実用新案法 第37条(実用新案登録無効審判)
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- 実用新案登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その実用新案登録を無効にすることについて実用新案登録無効審判を請求することができる。この場合において、二以上の請求項に係るものについては、請求項ごとに請求することができる。
- 一その実用新案登録が第二条の二第二項に規定する要件を満たしていない補正をした実用新案登録出願に対してされたとき。
- 二その実用新案登録が第二条の五第三項において準用する特許法第二十五条、第三条、第三条の二、第四条、第七条第一項から第三項まで若しくは第六項又は第十一条第一項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされたとき(その実用新案登録が同項において準用する同法第三十八条の規定に違反してされた場合にあつては、第十七条の二第一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権の移転の登録があつたときを除く。)。
- 三その実用新案登録が条約に違反してされたとき。
- 四その実用新案登録が第五条第四項又は第六項(第四号を除く。)に規定する要件を満たしていない実用新案登録出願に対してされたとき。
- 五その実用新案登録がその考案について実用新案登録を受ける権利を有しない者の実用新案登録出願に対してされたとき(第十七条の二第一項の規定による請求に基づき、その実用新案登録に係る実用新案権の移転の登録があつたときを除く。)。
- 六実用新案登録がされた後において、その実用新案権者が第二条の五第三項において準用する特許法第二十五条の規定により実用新案権を享有することができない者になつたとき、又はその実用新案登録が条約に違反することとなつたとき。
- 七その実用新案登録の願書に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲又は図面の訂正が第十四条の二第二項から第四項までの規定に違反してされたとき。
- 2.実用新案登録無効審判は、何人も請求することができる。ただし、実用新案登録が前項第二号に該当すること(その実用新案登録が第十一条第一項において準用する特許法第三十八条の規定に違反してされたときに限る。)又は前項第五号に該当することを理由とするものは、当該実用新案登録に係る考案について実用新案登録を受ける権利を有する者に限り請求することができる。
- 3.実用新案登録無効審判は、実用新案権の消滅後においても、請求することができる。
- 4.審判長は、実用新案登録無効審判の請求があつたときは、その旨を当該実用新案権についての専用実施権者その他その実用新案登録に関し登録した権利を有する者に通知しなければならない。
この条文の基本情報
実用新案登録無効審判とは何ですか?
定義実用新案登録無効審判とは、実用新案法第37条に定められた規定で、「実用新案登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その実用新案登録を無効にすることについて実用新案登録無効審判を請求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 実用新案法第37条(実用新案登録無効審判)は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
- 実用新案法第37条の条文原文は「実用新案登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その実用新案登録を無効にすることについて実用新案登録無効審判を請求することができる。」で始まります。
- 実用新案法第37条は第五章 審判に置かれています。
- 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 実用新案法第37条の前の条は実用新案法第36条です。
- 実用新案法第37条の次の条は実用新案法第38条です。
- 実用新案法第37条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第37条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123 - 本サイト収録
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第37条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/37
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点実用新案法37条は、新規性欠如・冒認・訂正違反などの瑕疵がある実用新案登録を、無効審判で無効にできると定める。請求は原則『何人も』でき、権利消滅後も可能である。
Q · 「実用新案登録済み」と書かれた商品で警告された。その登録、本当に有効なの?
原則『何人も』請求でき、権利消滅後でも無効にできる
実用新案法37条により、登録された考案に新規性・進歩性の欠如、冒認、補正・訂正違反などの瑕疵があれば、実用新案登録無効審判で登録を無効にできます。実用新案は特許と違い無審査で登録されるため、登録証は有効性を保証しません。無効審判は原則『何人も』請求でき、利害関係は不要です(冒認・共同出願違反など一部の理由は権利者に限定)。権利が消滅した後でも、過去の損害賠償の争いが残るため請求できます。
解説
「実用新案登録済み」と箱に刻印された商品を見たとき、多くの人はそれを「国のお墨付き」と受け取る。だが、ここに日本の知財制度で最も誤解されている事実がある。実用新案は、特許と違って中身を審査せずに登録される(無審査登録)。つまり「登録済み」は「審査を通った」を意味しない。だからこそ第37条が効いてくる。この条文は、登録された考案が新規性や進歩性を欠く、冒認である(他人の考案を勝手に出願した)、補正や訂正のルールを破っている、といった瑕疵があれば、無効審判で登録ごと取り消せると定める。しかも請求できるのは原則「何人も」。あなたが競合の実用新案権に脅されている側でも、その登録を正面から崩しにいける。さらに、権利が消滅した後ですら請求できる(過去の損害賠償をめぐる争いが残るから)。実用新案の世界では、登録証より無効審判の結論のほうが、はるかに真実に近い。
法的な位置づけ
実用新案法37条は、実用新案登録無効審判を定める規定である。登録された考案が新規性・進歩性を欠く、条約違反、冒認、補正・訂正の要件違反などに該当する場合、登録を無効にする審判を請求できる。無審査で登録される実用新案について、登録の瑕疵を事後的に是正する制度であり、請求は原則として何人もでき、実用新案権の消滅後も可能である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.まず第12条の技術評価書の提示を求める 実用新案権侵害の警告を受けたら、すぐ引き下がらず、相手に第12条の技術評価書の提示を求める。評価が否定的なら相手の権利行使の正当性が揺らぎ、後の賠償リスク(29条の3)を相手に負わせる一手になる
- 2.登録前の公知証拠を集める 自社製品や同一構造が相手の登録出願より前に公開されていた証拠(旧カタログ、納品書、展示会写真、図面)を収集し、新規性欠如(3条)・進歩性欠如の無効理由を組み立てる
- 3.第37条の無効審判を特許庁に請求する 無効理由を特定したうえで、特許庁に実用新案登録無効審判を請求する。二以上の請求項があるものは請求項ごとに請求できる。権利が既に消滅していても3項により請求可能
- 4.弁理士と主戦場を決める 並行して弁理士に相談し、無効審判と侵害訴訟における無効の抗弁(特許法104条の3準用)のどちらを主戦場にするか戦略を決める。冒認・共同出願違反の主張は権利者に限られる点も確認する
よくある質問 AI による整理
Q1技術評価書とは何ですか?
実用新案登録の有効性を特許庁が評価した書面です(実用新案法12条)。実用新案は無審査登録のため、権利行使の前提として相手に提示するのが実務上の鉄則とされます。
Q2実用新案の無効審判はどこに請求しますか?
特許庁に対して実用新案登録無効審判を請求します。審判官の合議体が審理し、無効審決が確定すると登録は初めから存在しなかったものとみなされます。
Q3実用新案の無効審判の費用はいくらですか?
特許庁所定の審判請求手数料に加え、無効資料の調査費用や弁理士費用がかかります。請求項の数に応じて手数料が増えるため、対象請求項を絞る戦略が重要です。
Q4冒認出願とは何ですか?
考案について実用新案登録を受ける権利を持たない者が、他人の考案を勝手に出願・登録することです。37条1項5号の無効理由で、主張できるのは権利を有する者に限られます。
Q5「実用新案登録済み」の表示は信用できますか?
それは審査を通った証ではありません。実用新案は無審査で登録されるため、表示は『受付印』に近く、有効性は保証されません。中身は技術評価書や無効審判で初めて検証されます。
Q6訂正で無効理由を回避できますか?
明細書等の訂正(14条の2)で請求の範囲を適法に減縮し、無効理由を避けられる場合があります。ただし訂正自体が要件違反なら、37条1項7号で逆に無効理由になります。
Q7実用新案権侵害の警告状が届いたらどうすればいい?
まず相手に12条の技術評価書の提示を求めます。評価が低ければ権利行使の正当性が揺らぎ、自社製品が登録前から公開されていた証拠を集めて37条の無効審判で反撃できます。
Q8無効審判の請求にはどんな証拠が必要ですか?
新規性・進歩性欠如を示すには、登録出願より前の公知文献・カタログ・納品書・展示会記録などが有力です。冒認なら開発経緯と出願経緯を示す記録が決め手になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1実用新案って、特許と何が違うんですか? 登録されてれば同じく強い権利じゃないの?
決定的に違うのは審査の有無です。特許は実体審査を通って初めて登録されますが、実用新案は無審査で登録される(早期登録の代わりに有効性は保証されない)。だから第37条の無効審判で崩されやすい。実務のポイント:実務では、実用新案権を行使する側はまず第12条の技術評価書を取得して相手に提示するのが鉄則です。評価書なしの警告は『中身に自信がない』というシグナルとして読まれる。受けた側はそこを突いて反撃に回れる
Q2ライバル会社の実用新案、うちと関係なくても無効にできるんですか?
できます。第2項は原則『何人も』無効審判を請求できると定めており、利害関係は不要です。例外は冒認(第1項第5号)や共同出願違反など、権利を持つ者に限られる一部の理由だけ。実務のポイント:業界の標準的な構造が一社に登録されてしまった場合、複数社が情報を持ち寄って無効資料(登録前の公知文献やカタログ)を集めるのは珍しくない。一社では見つからない古い証拠も、業界で束ねれば登録は崩れる
Q3権利を持ってる相手がもう更新をやめて権利が切れた。今さら無効にする意味あります?
あります。第3項により、実用新案権の消滅後でも無効審判は請求できます。理由は、権利が生きていた期間の侵害をめぐる損害賠償請求が残るから。無効が確定すれば、その請求の根拠ごと消せます。実務のポイント:相手が権利満了後に過去分の賠償を請求してきたら、消滅後の無効審判で根本から争うのが定石。『もう切れたから』と払う前に、登録自体の有効性を疑う価値がある
間違えやすい点 AI による整理
- 「登録されているのだから有効な権利だ」と誰もが思い込む。だが実用新案は無審査で登録されるため、登録された瞬間には有効性の保証が一切ない。あなたが信じている『登録=有効』という前提そのものが、この制度では成り立たない
- 「無効審判は、利害関係のある当事者しか起こせない」と考えがちだが、第2項は原則『何人も』請求できると定める。あなたと直接取引のない第三者でも、業界の誰かが、あなたの実用新案を崩しにくる可能性が常にある。例外は冒認や共同出願違反など一部の理由だけ
- 「権利が切れたら、もう争う意味はない」と思われているが、第3項は権利消滅後でも無効審判を請求できると明記する。理由は、過去の侵害をめぐる損害賠償の争いが消えないから。期限が過ぎたから安全、ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 目的・効果 | 37条 無効審判:登録自体を無効にし、初めからなかったものとする | 12条 技術評価書:登録の有効性を特許庁が評価し提示する 14条の2訂正:登録の範囲を適法に減縮し無効理由を回避する |
| 請求できる人 | 原則『何人も』(冒認・共同出願違反は権利者に限る) | 何人も請求可(権利者・第三者とも) 実用新案権者(手続上の限定あり) |
| タイミング | 権利の消滅後でも請求可(3項) | 権利行使・交渉の前提として随時取得 無効審判の係属中などに防御として活用 |
| 攻守の位置づけ | 相手の権利を崩す『攻め』の手段 | 権利の信頼性を示す『前提』資料 攻められた側が無効を避ける『守り』の手段 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も新型専利は形式審査で登録され、挙発(無効請求)で争う。無審査ゆえに崩されやすい構造は日本と共通する
韓国も実用新案は無審査登録(등록주의)を採り、無効審判で事後的に是正する点が日本と酷似する
ドイツの実用新案(Gebrauchsmuster)も無審査登録で、抹消手続(Löschung)により無効化する。実用新案制度の発祥国である
米国は実用新案を持たず、小発明も特許で保護する。無効化は IPR や訴訟で行う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの自社製品に「実用新案権を侵害している」と警告状が届いた。相手は登録番号を振りかざしてくる。だが第12条の技術評価書を見せろと要求し、評価が低ければ、第37条の無効審判で逆に潰しにいける。無審査登録は、攻める道具にも、崩される標的にもなる
- 町工場のあなたが長年作ってきた治具と同じ構造を、後から来た会社が実用新案登録し、製造中止を迫ってきた。あなたの製品が登録前から世に出ていた証拠(カタログ、納品書、展示会写真)を集めれば、新規性欠如(第3条)を理由に無効にできる。何人も請求できるから、あなたに資格がないとは言われない
- もし、共同で開発した仲間が、あなたに無断で考案を自分だけの名義で登録していたら? これは冒認(第1項第5号)に当たる。ただしこの理由で無効を主張できるのは、考案について実用新案登録を受ける権利を持つ者に限られる。第三者は口を出せない、あなた自身が動くしかない
- クラウドファンディングで「実用新案登録済み・模倣品にご注意」と謳う新製品が話題。あなたが似た物を売ろうとして警告された。残された判断時間はわずか。出荷を止めるか、無効審判で争うか。その登録が審査を経ていない事実を知っているかどうかで、決断は正反対になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 実用新案権侵害の警告を受けたら、まず相手に第12条の技術評価書の提示を求める。評価がなければ権利行使の正当性が揺らぐ2. 自社製品が相手の登録より前に公開されていた証拠(カタログ、納品書、展示記録)を集め、新規性・進歩性欠如の無効理由を組み立てる3. 第37条の無効審判を特許庁に請求、権利が消滅していても請求可能4. 並行して弁理士に相談し、無効審判と侵害訴訟の無効の抗弁(特許法104条の3準用)のどちらを主戦場にするか戦略を決める
訴えられた側:1. 自分の実用新案に無効審判を起こされたら、まず請求された無効理由(新規性欠如か、冒認か、訂正違反か)を特定する2. 訂正審判・訂正請求(第14条の2)で請求の範囲を適法に減縮し、無効理由を回避できないか検討する3. 専用実施権者など登録した権利者には審判長から通知が行く(第4項)ので、ライセンス先との連携を早期に固める4. 冒認や共同出願違反の主張には、開発経緯と出願経緯の記録で正面から反論する
時効(請求できる期限):実用新案登録無効審判に特定の請求期限はなく、権利の消滅後でも請求できる(第3項)。ただし、無効を前提とした損害賠償・不当利得の請求権には民法上の消滅時効(民法166条、債権は権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が別途かかるため、金銭回収を狙うなら時効起算点の管理が必須
学説
通説:無審査登録主義の下で登録される実用新案は有効性が担保されないため、37条の無効審判は粗悪な権利を市場から排除する事後的是正装置として機能すると解されている。早期の権利付与の利便と、登録に対する社会の信頼とを均衡させる安全弁である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:実用新案法の全部改正(法律第123号)。現行法の基礎を形成した
- 2.平成5年(1993年) 改正:審査主義から無審査登録主義へ転換(1994年施行)。早期登録と引き換えに、無効審判による事後的是正の重要性が高まった
- 3.平成16年(2004年) 改正:実用新案制度の見直し(権利行使・訂正制度の整備等)。無効理由・訂正の規律が現行の形に近づいた
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