商標法 第38条の2(主張の制限)
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- 商標権若しくは専用使用権の侵害又は第十三条の二第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。)に規定する金銭の支払の請求に係る訴訟の終局判決が確定した後に、次に掲げる審決又は決定が確定したときは、当該訴訟の当事者であつた者は、当該終局判決に対する再審の訴え(当該訴訟を本案とする仮差押命令事件の債権者に対する損害賠償の請求を目的とする訴え並びに当該訴訟を本案とする仮処分命令事件の債権者に対する損害賠償及び不当利得返還の請求を目的とする訴えを含む。)においては、当該審決又は決定が確定したことを主張することができない。
- 一当該商標登録を無効にすべき旨の審決
- 二当該商標登録を取り消すべき旨の決定
この条文の基本情報
主張の制限とは何ですか?
定義主張の制限とは、商標法第38条の2に定められた規定で、「商標権若しくは専用使用権の侵害又は第十三条の二第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第38条の2(主張の制限)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第38条の2の条文原文は「商標権若しくは専用使用権の侵害又は第十三条の二第一項(第六十八条第一項において準用する場合を含む。」で始まります。
- 商標法第38条の2は第二節 権利侵害に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第38条の2の前の条は商標法第38条です。
- 商標法第38条の2の次の条は商標法第39条です。
- 商標法第38条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第38条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第38条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/38_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法38条の2は、侵害訴訟の確定判決後に商標登録が無効・取消となっても、当事者は再審でその確定を主張できないと定める。確定判決の安定性を守る規定である。
Q · 商標が後から無効になったら、侵害で払った賠償金は取り戻せますか?
原則戻りません。確定判決後の無効確定は再審理由にできません。
戻りません。商標法38条の2は、侵害訴訟(または13条の2の登録前金銭請求訴訟)の終局判決が確定した後に、当該商標登録の無効審決や取消決定が確定しても、訴訟当事者であった者は再審の訴えでその確定を主張できないと定めています。仮処分・仮差押の債権者への損害賠償・不当利得返還を目的とする訴えも条文上ふさがれています。無効を争う最後のチャンスは、侵害訴訟の第一審で無効の抗弁(商標法39条が準用する特許法104条の3)を出すことでした。
解説
商標権侵害で敗訴し、八百万円の賠償金を払い終えた。その一年後、相手の商標そのものが無効審判で消え、登録は初めから無かったことになった(商標法46条の2の遡及効)。誰でもこう考える。権利が初めから無かったのなら、あの判決も間違いだったはずだ、払った金を返してもらおうと。商標法38条の2は、その願いの前で扉を閉める。確定した侵害判決の後に無効審決や取消決定が確定しても、あなたはそれを理由に再審を起こせない。理由は冷たいが筋は通っている。無効だと思うなら、最初の裁判で無効の抗弁を出して戦うべきだった。一度きりの戦場で攻撃防御を尽くさなかった者に、法は二度目を与えない。だからこの条文の本当の意味は、判決の後ではなく、訴えられた瞬間に効いてくる。
法的な位置づけ
商標法38条の2は、商標権侵害訴訟等の終局判決が確定した後に、当該商標登録の無効審決または取消決定が確定しても、訴訟当事者であった者は再審の訴えにおいてその確定を主張できない旨を定める再審の主張制限規定である。確定判決の法的安定性を、後発の無効・取消が持つ遡及効に優先させる機能を有する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.侵害で訴えられたら、まず無効の可能性を精査 商標権侵害で訴えられたら、第一審の早い段階で「相手の商標登録に無効事由(識別力欠如、先願・先使用、公序良俗違反等)がないか」を弁理士・弁護士と精査する。ここが無効を争える最後の戦場である
- 2.第一審の口頭弁論終結前に無効の抗弁を提出 無効事由があれば、商標法39条が準用する特許法104条の3に基づく無効の抗弁を、第一審の口頭弁論終結前に必ず提出する。判決確定後では38条の2が再審の扉を永久に施錠する
- 3.並行して無効審判の申立ても検討 侵害訴訟と並行して特許庁に無効審判(商標法46条)を申し立てる。無効審決が侵害訴訟の判決確定より前に確定すれば、訴訟の帰趨に影響し得る。確定のタイミングが勝負を分ける
- 4.判決確定後は返還ではなく再発防止に切り替える 判決が確定し賠償を払い終えた後に商標が無効になっても、38条の2により返還は事実上不可能。返還を追うより、進行中・将来の取引で同じ轍を踏まないブランド管理体制づくりに資源を振り向ける
よくある質問 AI による整理
Q1商標法38条の2はいつ新設されましたか?
平成23年(2011年)改正で、特許法104条の4と同じ改正パッケージにより新設されました。知財侵害訴訟の確定判決の安定性を確保するための規定です。
Q2無効の抗弁とは何ですか?
侵害訴訟の中で「その商標登録は無効審判で無効にされるべきものだ」と主張する防御方法です。商標法39条が準用する特許法104条の3が根拠で、第一審で出すのが鉄則です。
Q3再審の訴えとは何ですか?
確定した判決を例外的に見直す非常救済手段です。民事訴訟法338条の再審事由がある場合に限られ、38条の2はそのうち無効・取消確定を理由とする主張を封じます。
Q4特許でも同じルールがありますか?
あります。特許法104条の4が同趣旨で、特許無効審決などの確定を理由とする再審の主張を制限します。実用新案・意匠も同様の規定を持ちます。
Q5仮処分の債権者への損害賠償請求も対象ですか?
対象です。当該侵害訴訟を本案とする仮差押・仮処分命令事件の債権者への損害賠償・不当利得返還を目的とする訴えも、条文上明記されて封じられています。
Q613条の2の登録前の金銭請求も38条の2の対象ですか?
対象です。設定登録前の金銭的請求(13条の2、68条1項で準用する場合を含む)に係る訴訟の確定判決も、本条の射程に明記されています。
Q7無効審決の遡及効とは何ですか?
商標法46条の2により、無効審決が確定すると商標権は初めから存在しなかったものとみなされる効果です。ただし38条の2が、確定した過去の判決には及ばないよう封じます。
Q8侵害訴訟で無効の抗弁を出し忘れたらどうなりますか?
判決が確定すると、後で商標が無効になっても38条の2で再審が封じられ、払った賠償金は取り戻せません。攻撃防御は最初の一回の裁判で尽くす必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1賠償金を払い終えた後に、その商標が無効になりました。お金は返してもらえますか?
原則として返ってきません。商標法38条の2が、確定判決の後に無効審決・取消決定が確定しても、それを理由に再審を起こすことを禁じています。仮処分の債権者への不当利得返還を狙う訴えも条文上ふさがれています。実務のポイント:弁護士が口を濁すのは、無効を争う『最後のチャンス』が侵害訴訟の第一審にあったからです。そこで無効の抗弁を出したかどうかで、結末が天と地ほど変わる。
Q2では、わざわざ商標の無効審判を起こす意味はあるのですか?
あります。無効審決が確定すれば、その商標は将来に向かって行使できなくなり、他の取引相手や別の紛争では強力な武器になります。封じられるのは『確定した過去の判決を蒸し返すこと』だけです(38条の2)。実務のポイント:無効審判は『過去の清算』ではなく『未来の解放』のために使う、と割り切るのが実務家の発想です。
Q3商標権者として勝訴しました。相手が後から無効審判で勝ったら、賠償金を返さないといけませんか?
判決が確定していれば、返す必要はありません。38条の2があなたの確定判決を守り、相手は無効確定を理由に再審を起こせません。実務のポイント:だからこそ権利者側は、相手が無効審判を仕掛けてきても、侵害訴訟の判決を先に確定させることを優先する。確定のタイミングが賠償金の生死を分けます。
間違えやすい点 AI による整理
- 「権利が遡及的に消えたのだから、それを基にした判決も当然ひっくり返る」とあなたは思う。だが確定判決は、権利の存否とは切り離されて生き続ける。無効審決が確定しても、38条の2が再審での主張を封じる以上、判決の効力は残り、払った金は戻らない。
- 「無効審判で勝てば全部巻き戻せるはずだ」という問いの立て方そのものが誤っている。無効審判が巻き戻すのは将来の権利行使だけで、すでに確定した過去の判決には届かない。問うべきは『無効かどうか』ではなく『いつ無効を主張したか』である。
- あなたから見れば「無効な商標で不当に取られた金」だが、法律から見れば「最初の裁判で無効の抗弁を尽くさなかった自己責任」。この視点の落差が、あなたの返還請求を根こそぎ否定する。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 38条の2:確定判決後の無効・取消確定を再審理由にできない(主張制限) | 39条(特許法104条の3準用):侵害訴訟内で無効の抗弁を出す手段 46条の2:無効審決確定の遡及効(権利が初めから無かったとみなす) |
| 効く場面 | 判決が確定した後(過去の清算を封じる) | 侵害訴訟の係属中(第一審の口頭弁論終結前) 無効審決が確定したとき(将来の権利行使を止める) |
| 当事者の取るべき行動 | 確定前に無効を主張済みでなければ手遅れ | 口頭弁論終結前に無効の抗弁を提出する 無効審判を請求し審決確定を待つ |
| 覆せる範囲 | 確定判決は揺るがない(再審不可) | 勝てば請求棄却・賠償回避 将来の差止・損害賠償請求を阻止 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾も民事侵害訴訟内で権利無効の抗弁を争わせる仕組みを持ち、確定判決の再審は限定的。条文上の主張制限の明文化という点で日本と機能が近い。
米国は制定法ではなく判例法理(既判力・争点効)により、確定判決の蒸し返しを封じる。後の権利無効化を理由に確定した損害賠償判決を覆すことは原則できない点で機能が類似する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ハンドメイド作家として活動していたあなたは、似た名前のブランドから商標権侵害で訴えられて敗訴し、和解金を払った。後日、別の誰かがその商標を無効に追い込む。「じゃあ私の払った金は」と弁護士に駆け込んでも、38条の2が再審の道をふさぐ。一円も戻らない。
- 今まさに商標権侵害で訴えられ、第一審が進行中だとしたら? 弁護士が「無効の抗弁を出しますか」と聞いてくる、その一言が運命を分ける。ここで出さずに敗訴が確定すれば、後で商標が無効になっても取り返せない。判断猶予は、次の弁論期日まで。
- 商標権者として侵害訴訟に勝ち、判決が確定した。相手が後から「あの商標は無効だ」と審判を起こしても、確定した賠償は揺るがない。38条の2があなたの勝ちを固定する。
- 出願中の商標について、登録前の金銭的請求(商標法13条の2)で相手から金を取った。その後あなたの商標が無効になっても、確定した請求は再審で覆らない。13条の2の金銭請求も、この条文の射程に明記されている。
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず確定判決の確定日と、無効審決・取消決定の確定日の前後関係を確認する。判決確定が先なら、38条の2により再審での主張はほぼ封じられる2. 第一審で無効の抗弁を出せなかった『やむを得ない事情』が例外的に主張できないか弁護士と精査する(実務上、解釈が分かれている論点) 3. 返還を狙うより、進行中・将来の取引で同じ轍を踏まない体制づくりに切り替えるのが現実的
訴えられた側:1. あなたが商標権者で勝訴が確定しているなら、相手が後から無効審判で勝っても38条の2が賠償金を守る。慌てて返還に応じない2. 判決がまだ確定していない段階なら話は別、無効審判の結論が出る前に侵害判決を確定させる訴訟戦略を取る3. 相手が再審を申し立ててきたら、38条の2による主張制限を正面から主張し、却下を求める
時効(請求できる期限):38条の2自体に固有の期間はないが、前提となる再審の訴えには出訴期間がある。再審事由を知った日から30日(民事訴訟法342条1項)、判決確定から5年(同条2項)。もっとも本条が主張自体を封じるため、期間内であっても無効・取消の確定を理由とする再審は認められない(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:38条の2は、無効事由を侵害訴訟内で無効の抗弁として争えたはずの当事者に対し、後発の無効・取消の確定を理由とする再審を制限することで、紛争の一回的解決と確定判決の法的安定性を確保する規定と理解される。例外的救済の余地については解釈が分かれる論点とされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成23年(2011年)改正 特許法104条の4と同じ改正パッケージで新設。知的財産権侵害訴訟の確定判決の安定性を確保するため、判決確定後に無効審決・取消決定が確定しても、それを理由とする再審での主張を制限した
改正の年表
- 1.平成23年(2011年) 新設:特許法104条の4と同じ改正パッケージで新設。無効の抗弁(104条の3)を認めたことの裏返しとして、知財侵害訴訟の確定判決の安定性を確保するため、判決確定後の無効審決・取消決定の確定を再審で主張することを制限した。
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