要点商標法38条の2は、侵害訴訟の確定判決後に商標登録が無効・取消となっても、当事者は再審でその確定を主張できないと定める。確定判決の安定性を守る規定である。
Q · 商標が後から無効になったら、侵害で払った賠償金は取り戻せますか?
原則戻りません。確定判決後の無効確定は再審理由にできません。
戻りません。商標法38条の2は、侵害訴訟(または13条の2の登録前金銭請求訴訟)の終局判決が確定した後に、当該商標登録の無効審決や取消決定が確定しても、訴訟当事者であった者は再審の訴えでその確定を主張できないと定めています。仮処分・仮差押の債権者への損害賠償・不当利得返還を目的とする訴えも条文上ふさがれています。無効を争う最後のチャンスは、侵害訴訟の第一審で無効の抗弁(商標法39条が準用する特許法104条の3)を出すことでした。
商標権侵害で敗訴し、八百万円の賠償金を払い終えた。その一年後、相手の商標そのものが無効審判で消え、登録は初めから無かったことになった(商標法46条の2の遡及効)。誰でもこう考える。権利が初めから無かったのなら、あの判決も間違いだったはずだ、払った金を返してもらおうと。商標法38条の2は、その願いの前で扉を閉める。確定した侵害判決の後に無効審決や取消決定が確定しても、あなたはそれを理由に再審を起こせない。理由は冷たいが筋は通っている。無効だと思うなら、最初の裁判で無効の抗弁を出して戦うべきだった。一度きりの戦場で攻撃防御を尽くさなかった者に、法は二度目を与えない。だからこの条文の本当の意味は、判決の後ではなく、訴えられた瞬間に効いてくる。
商標法38条の2は、商標権侵害訴訟等の終局判決が確定した後に、当該商標登録の無効審決または取消決定が確定しても、訴訟当事者であった者は再審の訴えにおいてその確定を主張できない旨を定める再審の主張制限規定である。確定判決の法的安定性を、後発の無効・取消が持つ遡及効に優先させる機能を有する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
平成23年(2011年)改正で、特許法104条の4と同じ改正パッケージにより新設されました。知財侵害訴訟の確定判決の安定性を確保するための規定です。
侵害訴訟の中で「その商標登録は無効審判で無効にされるべきものだ」と主張する防御方法です。商標法39条が準用する特許法104条の3が根拠で、第一審で出すのが鉄則です。
確定した判決を例外的に見直す非常救済手段です。民事訴訟法338条の再審事由がある場合に限られ、38条の2はそのうち無効・取消確定を理由とする主張を封じます。
あります。特許法104条の4が同趣旨で、特許無効審決などの確定を理由とする再審の主張を制限します。実用新案・意匠も同様の規定を持ちます。
対象です。当該侵害訴訟を本案とする仮差押・仮処分命令事件の債権者への損害賠償・不当利得返還を目的とする訴えも、条文上明記されて封じられています。
対象です。設定登録前の金銭的請求(13条の2、68条1項で準用する場合を含む)に係る訴訟の確定判決も、本条の射程に明記されています。
商標法46条の2により、無効審決が確定すると商標権は初めから存在しなかったものとみなされる効果です。ただし38条の2が、確定した過去の判決には及ばないよう封じます。
判決が確定すると、後で商標が無効になっても38条の2で再審が封じられ、払った賠償金は取り戻せません。攻撃防御は最初の一回の裁判で尽くす必要があります。
原則として返ってきません。商標法38条の2が、確定判決の後に無効審決・取消決定が確定しても、それを理由に再審を起こすことを禁じています。仮処分の債権者への不当利得返還を狙う訴えも条文上ふさがれています。業界裏話ヒント:弁護士が口を濁すのは、無効を争う『最後のチャンス』が侵害訴訟の第一審にあったからです。そこで無効の抗弁を出したかどうかで、結末が天と地ほど変わる。
あります。無効審決が確定すれば、その商標は将来に向かって行使できなくなり、他の取引相手や別の紛争では強力な武器になります。封じられるのは『確定した過去の判決を蒸し返すこと』だけです(38条の2)。業界裏話ヒント:無効審判は『過去の清算』ではなく『未来の解放』のために使う、と割り切るのが実務家の発想です。
判決が確定していれば、返す必要はありません。38条の2があなたの確定判決を守り、相手は無効確定を理由に再審を起こせません。業界裏話ヒント:だからこそ権利者側は、相手が無効審判を仕掛けてきても、侵害訴訟の判決を先に確定させることを優先する。確定のタイミングが賠償金の生死を分けます。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 38条の2:確定判決後の無効・取消確定を再審理由にできない(主張制限) | — |
| 効く場面 | 判決が確定した後(過去の清算を封じる) | — |
| 当事者の取るべき行動 | 確定前に無効を主張済みでなければ手遅れ | — |
| 覆せる範囲 | 確定判決は揺るがない(再審不可) | — |
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