商標法 第68条の6(国際登録の名義人の変更の記録の請求)
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- 国際登録の名義人又はその譲受人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第九条に規定する国際登録の名義人の変更(以下「国際登録の名義人の変更」という。)の記録の請求を特許庁長官にすることができる。
- 2.前項に規定する請求は、国際登録において指定された商品若しくは役務ごと又は国際登録が効力を有する締約国ごとにすることができる。
この条文の基本情報
国際登録の名義人の変更の記録の請求とは何ですか?
定義国際登録の名義人の変更の記録の請求とは、商標法第68条の6に定められた規定で、「国際登録の名義人又はその譲受人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第九条に規定する国際登録の名義人の変更(以下「国際登録の名義人の変更」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第68条の6(国際登録の名義人の変更の記録の請求)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第68条の6の条文原文は「国際登録の名義人又はその譲受人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第九条に規定する国際登録の名義人の変更(以下「国際登録の名義人の変更」という。」で始まります。
- 商標法第68条の6は第一節に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第68条の6の前の条は商標法第68条の5です。
- 商標法第68条の6の次の条は商標法第68条の7です。
- 商標法第68条の6には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第68条の6 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第68条の6(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/68_6
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法68条の6は、マドリッド協定議定書による国際登録の名義人変更を特許庁長官に記録請求できると定め、指定商品・役務ごと又は締約国ごとの分割移転を認める。
Q · 海外で登録したブランド、会社を売るときは全部まとめて譲るしかないの?
国ごと・商品ごとに分割して名義変更を記録請求できます
商標法68条の6により、マドリッド協定議定書による国際登録の名義人又は譲受人は、特許庁長官に名義人変更の記録を請求できます。重要なのは第2項で、この変更は国際登録で指定した商品・役務ごと、又は効力を有する締約国ごとに行えること。つまりアジア向けの権利だけを現地パートナーへ、欧州は自社保持、化粧品分野だけ売却して医薬品分野は手元に残す、といった分割移転が可能です。M&A やライセンス交渉では、この分割可能性を握る側が価格設計の主導権を持ちます。
解説
会社を売った、ブランドを切り離して別会社に移した、海外の代理店と組んで一部地域の権利だけを譲った。こうした場面でほぼ確実に見落とされるのが、海外で登録した商標の「名義」だ。商標法68条の6は、マドリッド協定議定書を通じて世界に展開した国際登録について、その名義人の変更を特許庁長官に記録請求できると定める。ここで効いてくるのが第2項。名義変更は「指定した商品・役務ごと」にも「国際登録が効力を持つ締約国ごと」にもできる。つまり、あなたの国際商標は丸ごと一括でしか動かせないのではなく、商品カテゴリー単位、国単位で切り分けて移転できる。アジア向けの権利だけを現地パートナーに渡し、欧州は自社に残す。化粧品分野だけ売却し、医薬品分野は手元に保持する。この「分割の自由」を知らない経営者は、M&A やライセンス交渉のテーブルで、本来切り出せたはずの資産を一括でしか提示できず、価格交渉の武器を一本失っている。
法的な位置づけ
商標法68条の6は、マドリッド協定議定書に基づく国際登録の名義人の変更について、その記録を特許庁長官に請求する手続を定める規定である。第2項は、当該変更を国際登録の指定商品・役務ごと、又は国際登録が効力を有する締約国ごとに行うことを認め、権利の分割移転を可能にする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.現在の国際登録名義を確認する 買った(又は移転を受けた)国際登録の現在の名義を WIPO の Madrid Monitor で確認する。旧名義人のままなら直ちに次のステップへ進む
- 2.移転範囲を契約書と一致させる 全部移転か、国ごと・商品ごとの一部移転(68条の6第2項)かを確認し、譲渡契約の対象範囲と完全に一致させる。口頭合意は記録請求の範囲を画さないため、契約書の文言で範囲を確定する
- 3.特許庁長官へ名義人変更の記録請求を提出する 経済産業省令で定める様式により、特許庁長官に名義人の変更の記録を請求する(68条の6第1項)。一部移転の場合は指定商品・役務単位、又は締約国単位で請求する
- 4.旧名義人の協力義務と失効リスクを管理する 記録完了まで旧名義人による二重譲渡・更新放棄リスクが残るため、譲渡契約に協力義務と違約条項を組み込み、存続期間の更新期限から逆算して進捗を管理する
よくある質問 AI による整理
Q1マドリッドプロトコルの名義変更とは?
マドリッド協定議定書による国際商標登録の権利者(名義人)を変更し、その変更を国際登録簿に記録する手続です。商標法68条の6が国内での請求方法を定めています。
Q2国際登録の名義変更はどこに請求する?
特許庁長官に請求します。商標法68条の6第1項により、名義人又は譲受人が経済産業省令所定の様式で記録請求を行い、WIPO の国際登録簿へ反映されます。
Q3国際商標の名義変更に期限はありますか?
記録請求自体に法定の期限はありません。ただし国際登録の存続期間(10年、更新可)の更新時期が近い場合、旧名義人が放置すると失効するため、譲渡後は速やかに請求するのが実務の鉄則です。
Q4国際登録の名義変更の記録を怠るとどうなる?
記録されるまで対外的な権利者は旧名義人のままです。旧名義人による二重譲渡や、更新放棄による権利失効のリスクに、買ったはずの商標が晒され続けます。
Q5国際商標の名義変更は現地代理人が必要ですか?
マドリッド議定書の国際登録なら不要です。特許庁を経由した一本の記録請求で、効力を持つ複数の締約国へまとめて反映できます。これが国際登録制度を使う最大の実益です。
Q6マドリッド協定議定書とは何ですか?
一つの出願で複数国の商標保護を得られる WIPO の国際登録制度を定める条約です。日本は平成12年に加入し、商標法第7章の2で国内手続を整備しました。
Q7国際登録の存続期間は何年ですか?
10年で、更新により存続させられます。名義変更後は旧名義人が更新しないまま放置すると失効するため、更新期限から逆算して速やかに名義変更の記録請求を行うべきです。
Q8国際商標の譲渡契約で注意すべき点は?
譲渡の範囲(どの国・どの商品まで)を契約書で明確にし、全部移転か一部移転かを記録請求の範囲と一致させること。クロージングと同時に名義変更の記録請求を走らせるのが安全です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1会社ごと買ったんだから、海外の商標も自動で自分のものになるんじゃないですか?
実体上の権利は譲渡契約で移りますが、国際登録の名義は68条の6の記録請求をしない限り旧名義人のまま表示され続けます。記録されるまで対外的には旧オーナーが権利者に見え、更新や再譲渡で混乱が生じます。実務のポイント:M&A のデューデリジェンスで国内商標は確認しても、海外の国際登録の名義状態まで詰める担当者は意外に少ない。買収後に名義が動いていないと判明し、旧オーナーに改めて協力を求める羽目になる例は珍しくない。クロージング条件に名義変更請求の完了を入れておくのが防御策だ。
Q2海外の商標を、一部の国だけ・一部の商品だけ売るって本当にできるんですか?
できます。68条の6第2項が、国際登録で指定した商品・役務ごと、または効力を持つ締約国ごとの名義変更を正面から認めています。アジアだけ現地企業に、欧州は自社保持、といった分割が可能です。実務のポイント:この分割可能性を知らないと、交渉を「全部か無か」の二択に自分で追い込みがち。実務では買い手が欲しい範囲だけ切り出して値付けする方が総額が上がることが多く、分割を前提に座組みを組める側が価格交渉で優位に立つ。
間違えやすい点 AI による整理
- 「国際登録は全部か無かでしか譲渡できない」という前提で M&A の座組みを考えている時点で、設計の幅を自ら狭めている。問うべきは「どの国・どの商品を、誰に、いくらで」であって、「一括譲渡か据え置きか」ではない。第2項は商品ごと・締約国ごとの分割移転を正面から認めている
- 名義変更の記録が「単なる事務手続」であることは知っていても、それを怠った場合の深刻さを知らない人が多い。記録されるまで対外的な権利者は旧名義人のまま。旧名義人が存続期間の更新を放棄すれば、あなたが買ったはずの商標が効力を持つ国々で一斉に失効しうる
- 「商標の海外名義変更は各国ごとに現地代理人を立てて個別に手続するしかない」と身構える人がいるが、マドリッド議定書の国際登録なら違う。特許庁を経由した一本の記録請求で、効力を持つ複数の締約国へまとめて反映できる。これが国際登録制度を使う最大の実益だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の目的 | 68条の6:国際登録の名義人変更の記録請求 | 68条の5:国際登録の存続期間の更新の申請 68条の4:事後指定(保護国の追加) |
| 分割の可否 | 指定商品・役務ごと、締約国ごとに分割可能(第2項) | 国際登録単位で更新 追加する締約国を個別に指定 |
| 請求権者 | 名義人又は譲受人 | 名義人 名義人 |
| 詳細の委任先 | 経済産業省令(68条の7が補充) | 経済産業省令 経済産業省令 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾はマドリッド議定書の締約国ではないため、各国で個別に商標権の移転登記を行う必要がある。第42条は移転は登記しなければ第三者に対抗できないと定める
韓国はマドリッド議定書の締約国であり、国際登録の名義変更は WIPO を通じて記録される。日本と同様の国際登録制度を国内法で整備している
ドイツもマドリッド議定書の締約国であり、internationale Registrierung の名義変更は WIPO 国際登録簿に記録される。EU 商標(EUIPO)とは別系統である点に注意
米国は2003年にマドリッド議定書に加入。国際登録の assignment(譲渡)は WIPO へ申請し国際登録簿に記録される。USPTO はその通報を受ける立場
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外展開していたブランドを他社へ売却する契約に今週サインする。だが買い手が欲しいのは「欧州の権利だけ」だとしたら、国際登録ごと全部渡す必要があるのか。答えは否。68条の6第2項で締約国ごとに名義変更できるため、残りの地域はあなたの資産として手元に残せる。この一点を知らずに丸ごと譲ると、価値ある地域権利をタダで付けてしまう
- あなたが事業譲渡で商標ごと会社を買い取った。契約書には「国内外の商標一切を譲渡する」とある。ところが半年後、国際登録の名義はまだ前オーナーのまま。記録請求をしていなかったため、対外的な権利者は売主のままで、売主による二重譲渡や更新放棄のリスクにあなたの資産が晒され続ける
- 化粧品で築いたブランドを、化粧品分野だけ売却したい。同じ商標の医薬品分野は手元に残したい。68条の6なら、指定商品・役務ごとに名義人を分けて記録できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 買った(または移転を受けた)国際登録の現在の名義を WIPO の Madrid Monitor で確認、旧名義人のままなら即動く2. 特許庁を経由した名義人変更の記録請求を、経済産業省令所定の様式で提出(68条の6第1項) 3. 全部移転か、国ごと・商品ごとの一部移転か(第2項)を譲渡契約の範囲と完全に一致させる4. 記録完了まで旧名義人による二重譲渡・更新放棄リスクが残るため、譲渡契約に協力義務と違約条項を組み込んでおく
訴えられた側:1. 譲渡したつもりの範囲(どの国・どの商品まで)を契約書で再確認、口頭合意は記録請求の範囲を画さない2. 一部移転なら、残した地域・商品の権利が自分に残ることを記録上も明確にする(第2項) 3. 買い手から名義変更への協力を求められたら、代金完済を条件にするなど履行の同時性を主張できる4. 範囲を巡る紛争は、まず議定書と契約書の文言、次に合意経緯で判断される。交渉のメール履歴を保全しておく
時効(請求できる期限):名義人変更の記録請求自体に法定の期限はない。ただし国際登録の存続期間(10年、更新可)の更新時期が近い場合、旧名義人が更新しないまま放置すると権利が失効するため、譲渡後は速やかに請求するのが実務上の鉄則。更新期限から逆算して動くこと(最新の制度運用をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)新設 マドリッド協定議定書への加入に伴う改正(平成11年法律第41号、平成12年3月14日施行)で、第7章の2とともに新設された条文。国際登録の名義人変更の記録請求手続を国内法に取り込んだ。その後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:マドリッド協定議定書への加入に伴う改正(平成11年法律第41号、平成12年3月14日施行)で、第7章の2とともに新設。国際登録の名義人変更の記録請求手続を国内法に取り込んだ
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