災害対策基本法 第86条の14
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- 都道府県知事は、被災者の保護の実施のため緊急の必要があると認めるときは、運送事業者である指定公共機関又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人並びに運送すべき場所及び期日を示して、被災者の運送を要請することができる。
- 2.指定公共機関又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、都道府県知事は、被災者の保護の実施のため特に必要があると認めるときに限り、当該指定公共機関又は指定地方公共機関に対し、被災者の運送を行うべきことを指示することができる。この場合においては、同項の事項を書面で示さなければならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第86条の14は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第86条の14の条文原文は「都道府県知事は、被災者の保護の実施のため緊急の必要があると認めるときは、運送事業者である指定公共機関又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人並びに運送すべき場所…」で始まります。
- 災害対策基本法第86条の14は第三款に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第86条の14の前の条は災害対策基本法第86条の13です。
- 災害対策基本法第86条の14の次の条は災害対策基本法第86条の15です。
- 災害対策基本法第86条の14には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第86条の14 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第86条の14(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/86_14
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法86条の15は、都道府県知事が運送事業者である指定公共機関等に被災者の運送を要請でき、正当な理由なく応じない場合は書面で指示できると定める。
Q · 大災害のとき、被災者を運ぶバスを動かす権限は誰にあるの?
都道府県知事。要請し、拒否されれば書面で指示できる
災害対策基本法86条の15により、被災者の運送を要請・指示する権限は都道府県知事にあります。知事は緊急の必要があるとき、運送事業者である指定公共機関・指定地方公共機関に、運送すべき人・場所・期日を示して運送を要請できます。事業者が正当な理由なく応じない場合、特に必要があると認めるときに限り、同じ事項を書面で示して運送を指示できます。市町村長はこの権限を持たないため、市町村は県へ具体的に要望することになります。
解説
避難所の体育館に千人が詰め込まれている。隣の県には空いた避難施設がある。足りないのは移動手段だけだ。この「足」を確保するための切り札が本条である。都道府県知事は、緊急の必要があると認めるとき、運送事業者のうち指定公共機関(国が指定した、災害時に役割を負う公益的な事業者。例:JR 各社などの大手輸送事業者)と指定地方公共機関(知事が指定した地域の事業者。例:地元のバス会社)に対して、「誰を、どこへ、いつまでに」運ぶかを示して運送を要請できる。正当な理由がないのに応じなければ、次の段階として、書面で運送を「指示」できる。ここで押さえておきたいのは三点である。まず、この権限を持つのは知事であり、市町村長ではない。次に、「お願い」と「指示」は二段構えになっている。そして、指示には内容を書面で示すことが義務付けられている。被災した自治体の職員や運送会社の担当者は、この順番を知っているかどうかで、混乱のさなかに打てる手の速さが変わってくる。
法的な位置づけ
災害対策基本法86条の15は、被災者の運送に関する都道府県知事の権限を定める規定である。知事は、被災者の保護の実施のため緊急の必要がある場合、運送事業者である指定公共機関又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人・場所・期日を示して運送を要請でき、正当な理由のない不応諾があり特に必要があるときは、書面により運送を指示できる。
手順
- 1.運送ニーズを「人・場所・期日」に整理する 市町村の避難所担当が、移動が必要な人数、高齢者や障害のある人など要配慮者の有無、移動先の避難施設、移動期限を一覧化する。本条1項が要請文書に求める事項と同じ形にしておく
- 2.都道府県の災害対策本部へ要望する 整理した情報を添えて、都道府県の災害対策本部に知事による運送要請を求める。市町村長には本条の権限がないため、県を通すことが正式ルートになる
- 3.運送事業者は要請への回答を書面で返す 要請を受けた指定公共機関・指定地方公共機関は、示された人・場所・期日の実行可能性を判断し、応じられない場合は道路状況や乗務員の安全確保など具体的理由を文書で回答する
- 4.拒否で遅れている場合は指示の検討を求める 正当な理由のない拒否で運送が進まない場合、市町村は拒否の事実と経緯を県に伝える。知事は特に必要があると認めるとき、同じ事項を書面で示して運送を指示できる
よくある質問 AI による整理
Q1被災者の運送要請とは何ですか?
災害時に都道府県知事が、運送事業者である指定公共機関・指定地方公共機関に、運ぶ人・場所・期日を示して被災者の運送を求める手続です(災害対策基本法86条の15第1項)。
Q2災害時の運送の「指示」は口頭でもできる?
できません。2項の指示を行う場合、知事は運送すべき人・場所・期日を書面で示さなければならないと条文が明記しています。
Q3運送要請を断れる「正当な理由」とは?
条文に具体例はなく事案ごとの判断です。道路の寸断、車両や乗務員の不足、乗務員の安全を確保できない状況などが典型として考えられます。
Q4運送の指示に従わないと罰則はある?
本条の条文自体には罰則の定めは書かれていません。ただし指定公共機関等は平時から防災上の責務を負っており、拒否の経緯は記録として残ります。
Q5知事が運送を要請できるのはいつ?
被災者の保護の実施のため「緊急の必要がある」と知事が認めるときです。さらに指示へ進むには「特に必要がある」という一段高い要件が課されます。
Q6被災者の運送費用は誰が払う?
本条には費用負担の定めがありません。実務では県と事業者の協議によることになるため、要請・指示を受けた段階で費用の扱いを確認し記録に残すことが重要です。
Q7指定地方公共機関とはどんな事業者?
都道府県知事が指定する、地域の公益的事業を営む法人等です。地元のバス会社などが指定されることがあり、一覧は各都道府県の地域防災計画で確認できます。
Q8災害時の避難バス、市町村はどう動けばいい?
運ぶべき人数・要配慮者の有無・行き先・期日を整理し、都道府県の災害対策本部へ要望します。具体的なほど知事の要請が早く出せます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1県の要請って、バス会社は断ってもいいんですか?
要請の段階に強制力はなく、断ることはできる。ただし正当な理由がない拒否であれば、知事は特に必要があると認めるときに限って、書面で運送を指示できる(災害対策基本法86条の15第2項)。実務のポイント:要請段階で断った理由が記録に残るかどうかが、次の局面を左右する。電話で済ませず、理由を文書で返す事業者のほうが、その後の協議で主導権を持ちやすい
Q2うちの町長から直接バス会社に頼めないんですか?
個別の契約やお願いは可能だが、本条に基づく要請・指示の権限者は都道府県知事である(同条1項)。実務のポイント:市町村が県に要望するとき、「人、場所、期日」を整理せずに「バスを出してほしい」とだけ伝えると、県は要請文書を作れず、照会の往復で丸一日が消えることがある。最初の要望書の具体性が、そのまま発車時刻を決める
Q3タクシー会社や観光バス会社も対象になりますか?
対象は、運送事業者のうち指定公共機関または指定地方公共機関に指定されている者に限られる(同法2条の定義による)。どの事業者が指定されているかは都道府県ごとに異なる。実務のポイント:都道府県の地域防災計画の資料編には、指定地方公共機関の一覧が載っていることが多い。自社や地元の事業者が含まれているかは、そこを見れば数分で分かる(最新の指定状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「災害時は行政が交通機関に命令して避難させてくれる」と思われがちだが、本条の第一段階はあくまで「要請」であり、強制力はない。指示に進めるのは、正当な理由のない拒否があり、かつ「特に必要がある」と認められるときに限られる。行政も慎重に段階を踏むよう制度設計されている
- 市町村長が被災者の運送を直接バス会社に要請できると考えるのは、問いの立て方そのものがずれている。本条の権限者は都道府県知事である。市町村が取るべき行動は、県への迅速な要望と、運ぶべき人数・場所・期日の具体化である
- 運送事業者から見れば、要請は善意の協力依頼にすぎないように見える。法律から見れば、要請への拒否は「正当な理由」の有無という形で後から評価され、書面による指示の前提事実になる。電話口での断り方一つが、記録として残ることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権限者と相手方 | 災害対策基本法86条の15:都道府県知事 → 運送事業者である指定公共機関・指定地方公共機関 | 災害救助法7条:都道府県知事 → 医療・土木建築工事・輸送関係者 災害対策基本法86条の8:被災市町村長 → 他の市町村長(広域一時滞在の協議) |
| 手段の強さ | 要請(協力依頼)→ 正当な理由なき不応諾+特に必要があるとき書面で指示の二段階 | 従事命令(救助業務への従事を命じる強制的手段) 自治体間の協議(受入れの調整) |
| 示すべき内容・方式 | 運送すべき人・場所・期日を示す。指示は書面が必須 | 救助に関する業務への従事 被災住民の受入れについての協議 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾では災害応変センターの指揮官が、応変範囲内で人員・物資・交通手段等を徴調・徴用できる。日本の要請から書面指示へ進む二段階構造より、直接的な徴用権限の色彩が強い
米国では連邦の災害援助は州の要請と大統領の災害宣言を起点とする枠組みで、被災者輸送も連邦・州・民間の契約や協定を通じて調達されることが多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 市役所の防災担当として、豪雨で孤立した集落の高齢者80人を隣の市の避難所へ移したい。地元のバス会社に何度電話しても「運転手が足りない」と断られる。次に連絡すべき相手は県の災害対策本部である。知事を通せば、要請、さらには指示という正式なルートに乗せられる
- 地方のバス会社で運行管理者をしているあなたに、県から書面が届いた。運送する人、行き先、期日が書いてある。断るなら「正当な理由」が必要になる。乗務員の安全を確保できない道路状況なのか、ただ採算が合わないだけなのか。どちらなのかを今夜中に社内で整理しなければならない
- もし県からの「要請」を電話一本で断ったあと、同じ内容の「指示」が書面で届いたら、会社の立場はどう変わるのか?
- 避難所の運営を手伝っているあなたの友人が、「バスがいつまでも来ない。誰に言えばいいのか」と LINE で聞いてきた。答えは市町村ではなく都道府県である。あと48時間で避難所の食料が尽きる
- 知事の要請を受けて被災者を運んだ地元のバス会社。運送の費用を誰が負担するのか、契約書は一枚も交わしていない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被災者や支援者であれば、まず市町村の避難所担当に、移動が必要な人数・要配慮者(高齢者、障害のある人など)の有無・希望する行き先を具体的に伝える2. 市町村職員であれば、その情報を「人、場所、期日」の形に整理して都道府県の災害対策本部へ要望し、知事による本条の要請を求める3. 事業者の拒否で遅れているなら、拒否の事実と理由を記録して県に伝え、2項の指示の検討を促す
訴えられた側:1. 運送事業者であれば、要請文書の「人、場所、期日」を確認し、実行可能性を即座に判断する2. 応じられない場合は、道路状況・車両や乗務員の不足・安全確保の可否など具体的な理由を書面で回答する。何を「正当な理由」と認めるかは事案によって判断が分かれうる3. 書面で指示を受けたら、安全確保の条件や費用負担について県と協議し、そのやり取りを記録に残す4. 平時から自社が指定公共機関または指定地方公共機関に当たるかを確認し、防災業務計画との整合を取っておく
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。要請・指示に示された「期日」が実務上の期限になる。運送の費用等をめぐる金銭債権には一般消滅時効(民法166条、権利を行使できることを知った時から5年、行使できる時から10年)が適用される
- 災害対策基本法 第2条指定公共機関・指定地方公共機関の定義
- 災害対策基本法 第6条指定公共機関等の災害対策上の責務
- 災害対策基本法 第86条の8広域一時滞在の協議、運送の前提(現行効力を要確認)
- 災害救助法 第7条輸送関係者への従事命令による強制
- 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律 第71条避難住民の運送の求め、有事版の同種規定(現行効力を要確認)
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