要点法人税法 61 条の 7 は、売買目的外有価証券のヘッジでデリバティブ取引等を行った場合に、契約時の帳簿記載を条件として対象有価証券の評価差額を損金・益金へ算入する時価ヘッジ処理を定める。
Q · 株の値下がりをデリバティブでヘッジしたのに、デリバティブの利益にだけ税金がかかるのはなぜ?
契約時の帳簿記載がなければ時価ヘッジ処理は使えないためです
売買目的外有価証券は期末に評価しない一方、デリバティブ取引等は法人税法 61 条の 5 のみなし決済で時価評価され課税されます。この歪みを解消するのが 61 条の 7 の時価ヘッジ処理で、ヘッジ対象有価証券評価差額を同じ事業年度の損金または益金に算入して相殺します。ただし適用は、デリバティブ取引等を行った時点で財務省令の定める事項を帳簿書類に記載していること、期末までに対象有価証券を譲渡していないこと、政令の有効性判定に該当することが条件です。
会社が持つ政策保有株や満期保有目的の債券は、税務上、期末に時価評価しないのが原則だ。ところが値下がりリスクを先物やオプションでヘッジすると、話が捻れる。デリバティブの方はみなし決済(法人税法61条の5)で期末に時価評価され、利益が出れば課税される。一方でヘッジ対象の有価証券は評価しないから、含み損は税務上ゼロのまま。経済的には損益トントンのはずなのに、デリバティブの利益にだけ税金がかかる幻の所得が生まれる。61条の7の時価ヘッジ処理は、この歪みを消すための特例だ。ヘッジ対象の有価証券の評価差額も同時に損金・益金へ算入し、デリバティブ側と相殺させる。ただし発動条件が厳しい。ヘッジ関係を組んだ契約時点で、対象と方法を財務省令どおり帳簿書類へ記載しておくこと。この一手を怠ると、後からいくら実態がヘッジでも、税務上は時価ヘッジと認められず、幻の所得だけが残る。
法人税法 61 条の 7 は時価ヘッジ処理を定める規定であり、売買目的外有価証券の価額変動により生ずるおそれのある損失(ヘッジ対象有価証券損失額)を減少させるためにデリバティブ取引等を行った場合において、契約時の帳簿記載、期末までの非譲渡、政令の有効性判定という要件を満たすときに、ヘッジ対象有価証券評価差額を損金または益金に算入する特例である。
売買目的外有価証券をデリバティブでヘッジしたとき、対象有価証券の評価差額を当期の損金・益金に算入して、デリバティブ側のみなし決済損益と相殺する法人税法 61 条の 7 の特例です。
短期売買目的で保有していない有価証券をいい、法人税法 61 条の 3 第 1 項 2 号に定義されます。期末に時価評価しないのが原則で、含み損益は税務上認識されません。
デリバティブ取引等を行った時点です。政令で定めるところにより評価する旨その他財務省令で定める事項を帳簿書類に記載した場合に限られ、後付け記載では要件を満たしません。
使えません。61 条の 7 は内国法人の各事業年度の所得計算を対象とする規定です。個人の有価証券・デリバティブ損益は所得税法の各所得区分の計算ルールによります。
期末時換算法で円換算する外貨建有価証券について、外国為替の売買相場の変動に基因する変動は 1 項が明文で除外しています。為替部分は 61 条の 9 の期末換算の系統で処理します。
被合併法人等が契約時に 1 項所定の帳簿記載をしていた場合、合併法人が自らデリバティブ取引等を行い記載していたものとみなされます(3 項)。記載がなければ承継後も適用できません。
1 項は、デリバティブ取引等を行った時から事業年度終了の時までに対象有価証券の譲渡がないことを要件とします。期中に譲渡すればその事業年度の時価ヘッジ処理は適用できません。
デリバティブ取引等がヘッジ対象有価証券損失額を減少させるために有効と認められる場合として政令で定める場合に該当するかで判定します。判定要件と評価差額の計算方法は政令に委任されています。
自動では相殺されません。何もしなければデリバティブは61条の5でみなし決済され利益に課税される一方、売買目的外有価証券は評価しないので含み損は税務上ゼロのままです。61条の7の時価ヘッジ処理を選び帳簿記載して、初めて対象株の評価差額も算入され相殺されます。業界裏話ヒント:この幻の所得は申告書上見えにくく、税理士が指摘しなければ気付かず払い続ける会社がある。ヘッジを組んだ期は必ず時価ヘッジ適用の要否を確認する。
認められにくいです。1項は、契約時点で財務省令の定める事項を帳簿書類に記載した場合に限ると明文で絞っており、後付けの記載や事項の欠落は時価ヘッジ処理の適用を失わせます。業界裏話ヒント:税務調査官が最初に見るのは記載の日付と事項の充足です。実態がヘッジでも形式要件を落とすと丸ごと否認され、対象株の評価差額算入が取り消される。形式が実質を殺す典型条文だ。
対象が売買目的外有価証券なら両方選べますが、時価ヘッジ(61条の7)は対象株の評価差額を今期に算入し、繰延ヘッジ(61条の6)はデリバティブ側の損益を対象の実現まで繰り延べます。含み損益をどの期に立てたいかで選びます。業界裏話ヒント:どちらも帳簿記載で固定され、期中に都合よく乗り換える後知恵の選択は封じられている。だからこそ組成時の設計で税負担の期ずれが決まる。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 対象と役割 | 61 条の 7:売買目的外有価証券をヘッジしたときの対象側の評価差額を損益算入 | — |
| 損益を立てる時期 | ヘッジ対象有価証券評価差額を当該事業年度に算入 | — |
| 帳簿記載の要否 | 契約時に財務省令所定の事項を帳簿書類へ記載した場合に限る | — |
| 為替変動部分の扱い | 期末時換算法で円換算する有価証券の為替相場変動に基因する部分は明文で除外 | — |
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