要点法人税法64条の14は、支配関係5年未満・共同事業なし・新規事業開始の三要件が揃った通算法人について、支配関係発生日前から持つ特定資産の損失を適用期間中は損金不算入とする規定。
Q · 含み損のある子会社をグループ通算に入れたら、その売却損は損金にできますか?
三条件が揃った期間だけ損金にできません
法人税法 64 条の 14 により、①通算承認の効力発生日まで 5 年超の支配関係がない、②通算承認後に他の通算法人と共同で事業を行っていない、③支配関係発生日以後に新たな事業を開始した、という三つがすべて重なった通算法人は、支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から保有していた特定資産の譲渡・評価換え・貸倒れ・除却等による損失額を、適用期間中は損金に算入できません。三条件のいずれか一つでも外れれば制限は発動せず、適用期間を過ぎた事業年度なら損金算入が可能です。
グループ通算制度に子会社を加えれば、その子会社が抱える含み損(帳簿価額より値下がりした不動産や株式)を売却し、グループ全体の黒字と相殺して節税できる。多くの経理担当者や税理士がそう考える。だがこの 64条の14 が、その節税ルートに地雷を埋めている。支配関係が 5 年に満たない会社を通算に取り込み、しかも共同で事業を行う実態がなく、かつ支配関係発生後に新たな事業を始めた、この三つが重なると、支配関係発生日前から持っていた資産(特定資産)の譲渡損・評価損・貸倒れ・除却による損失は、一定期間(適用期間)まるごと損金不算入になる。つまり税務上なかったことにされる。あなたが M&A で買った含み損付きの会社を通算に入れて節税する絵を描いていたなら、その絵はこの条文でほぼ塗りつぶされる。逆に三条件のどれか一つを外せば、地雷は作動しない。どこを踏むと発動し、どこを避ければ安全かを知っている側だけが、含み損を合法的に生かせる。
法人税法 64 条の 14 は、グループ通算制度における特定資産譲渡等損失額の損金不算入を定める規定である。支配関係 5 年未満、共同事業要件の不充足、支配関係発生日以後の新規事業開始という三要件を満たす通算法人につき、支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から保有する資産の譲渡・評価換え・貸倒れ・除却等による損失を、適用期間中は損金の額に算入しないものとする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
支配関係発生日の属する事業年度開始の日前から保有する資産(特定資産)の譲渡・評価換え・貸倒れ・除却等による損失額から、特定資産の譲渡・評価換え等による利益額を控除した金額です(64条の14第2項)。
企業グループ内の各法人が個別に申告しつつ、所得と欠損を通算できる制度です。連結納税制度に代わり令和2年度改正で創設され、令和4年4月1日以後開始事業年度から適用されています。
グループ通算制度の創設に伴い新設された規定で、令和4年(2022年)4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。それ以前の連結納税制度には本条の適用はありません。
含まれません。64条の14第2項第1号は、棚卸資産、帳簿価額が少額であるものその他政令で定めるものを特定資産から除外しています。除外範囲は施行令の確認が必要です。
譲渡による損失だけでなく、評価換え、貸倒れ、除却その他の事由による損失まで含まれます。売らずに評価減や貸倒処理をしても、同じく損金不算入の対象になります。
変わります。60条の3の欠損等法人に該当し、その適用期間内に通算承認の効力が生じたときは本条は適用されません(第3項)。承認後に欠損等法人となった場合は適用期間が前倒しで終了します(第4項)。
条文は「共同で事業を行う場合として政令で定める場合」とし、具体的な判定は施行令に委任されています。事業の関連性や規模、経営参画などの指標で判断されるため、施行令の確認が不可欠です。
適用されません。第1項は対象を64条の11第1項各号・64条の12第1項各号に掲げる法人(開始・加入時の時価評価対象法人)に限定しているため、まずこの入口要件の確認が先です。
絶対ではありません。64条の14 が発動するのは、支配関係 5 年未満・共同事業なし・支配関係発生後の新規事業開始という三条件が揃った場合だけで、一つでも外れれば損金算入できます。業界裏話ヒント:実務では『共同事業要件』(政令で定める)を満たす形に組めるかどうかが分かれ目。事業の相互関連、規模比、役員の相互就任など複数の指標があり、設計次第で制限を合法的に外せる。ここを詰めずに諦める会社が多い
どちらも封じられます。組織再編には 62条の7、通算には 64条の14 が用意され、双子の思想で含み損の持ち込みを規制するので、スキームを乗り換えても逃げられません。業界裏話ヒント:両制度は『特定資産』『適用期間』の定義や当てはめが微妙に違い、5 年前の基準日や新規事業要件で結論がずれることがある。稀に一方では制限され他方では外れるケースがあり、再編と通算の順序を組み替える高度なプランニングの余地が残る
『通算開始から 3 年経過日』と『支配関係発生日から 5 年経過日』のいずれか早い日までです(64条の14 第 1 項)。支配関係が古い会社ほど早く明けます。業界裏話ヒント:終期が『早い方』である点を見落とし、5 年間ずっと制限が続くと誤解して含み損の実現を先送りしすぎる会社が多い。実は 3 年で明けているのに、みすみす損金機会を捨てているケースがある。決算前に必ず両方の日付を計算する
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|---|---|---|
| 適用場面 | 法人税法 64条の14:グループ通算の開始・加入により含み損を持ち込む場合 | — |
| 制限の対象 | 特定資産譲渡等損失額(譲渡・評価換え・貸倒れ・除却等の損失−特定資産の利益) | — |
| 期間の呼称と終期 | 適用期間:効力発生日以後3年経過日と支配関係発生日以後5年経過日の早い方まで | — |
| 他条との調整 | 第3項で60条の3適用時は不適用、第4項・第5項で適用期間が前倒し終了 | — |
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