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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

大気汚染防止法 第25条(無過失責任)

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  1. 工場又は事業場における事業活動に伴う健康被害物質(ばい煙、特定物質又は粉じんで、生活環境のみに係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの以外のものをいう。以下この章において同じ。)の大気中への排出(飛散を含む。以下この章において同じ。)により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出に係る事業者は、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
  2. 2.一の物質が新たに健康被害物質となつた場合には、前項の規定は、その物質が健康被害物質となつた日以後の当該物質の排出による損害について適用する。

この条文の基本情報

無過失責任とは何ですか?

定義無過失責任とは、大気汚染防止法第25条に定められた規定で、「工場又は事業場における事業活動に伴う健康被害物質(ばい煙、特定物質又は粉じんで、生活環境のみに係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの以外のものを…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 大気汚染防止法第25条(無過失責任)は、日本の大気汚染防止法に含まれる条文です。
  2. 大気汚染防止法第25条の条文原文は「工場又は事業場における事業活動に伴う健康被害物質(ばい煙、特定物質又は粉じんで、生活環境のみに係る被害を生ずるおそれがある物質として政令で定めるもの以外のものを…」で始まります。
  3. 大気汚染防止法第25条は第四章の二 損害賠償に置かれています。
  4. 大気汚染防止法の公布日は昭和43年6月10日です。
  5. 大気汚染防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 大気汚染防止法第25条の前の条は大気汚染防止法第24条です。
  7. 大気汚染防止法第25条の次の条は大気汚染防止法第25条の2です。
  8. 大気汚染防止法第25条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)第25条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000097
  • 本サイト収録大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)第25条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/343AC0000000097/25

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点大気汚染防止法25条は、工場等から排出された健康被害物質で人の生命・身体を害した場合、事業者に過失がなくても賠償責任を負わせる規定。財産被害は対象外。

Q · 工場が排出基準を守っていても、煙で病気になったら賠償を請求できるの?

できる。過失は不要だが因果関係の証明は必要

大気汚染防止法25条は、工場や事業場から排出された健康被害物質で人の生命・身体が害された場合、事業者に過失がなくても賠償責任を負わせます。排出基準の遵守は責任を免れる理由になりません。ただし、排出と健康被害の因果関係、損害額は被害者側が証明する必要があります。また対象は人身被害のみで、農作物や車などの財産被害は民法709条で過失を立証して請求することになります。

解説

「排出基準は守っていた」「設備は最新だった」。工場の煙で人が病気になった場合、こうした言い分は責任を逃れる理由にならない。大気汚染防止法25条は、工場や事業場の事業活動から大気中に出た健康被害物質(ばい煙、特定物質、粉じんのうち、生活環境だけに被害を及ぼすとして政令で除外されたもの以外)が人の生命や身体を害したとき、排出した事業者に賠償責任を負わせる。故意も過失も要件になっていない。いわゆる無過失責任(落ち度があったかどうかに関係なく責任を負う仕組み)である。民法709条で訴えるなら、被害者は巨大企業の過失を自分で証明しなければならない。本条ではその壁がまるごと取り払われている。ただし、被害者が何も証明しなくてよいわけではない。その排出が原因で病気になったという因果関係は、今も被害者側が示す必要がある。実際の争いは、ほぼこの一点に集中する。また、本条が守るのは命と体だけである。枯れた家庭菜園や黒く汚れた車の塗装は対象外で、民法709条に戻って過失を立証することになる。

法的な位置づけ

大気汚染防止法25条は、大気汚染による健康被害について事業者の無過失損害賠償責任を定める規定である。工場または事業場の事業活動に伴い、ばい煙・特定物質・粉じんのうち健康被害物質が大気中に排出または飛散し、人の生命または身体を害した場合、当該排出に係る事業者は過失の有無にかかわらず損害を賠償する責任を負う。新たに健康被害物質となった物質は指定日以後の排出にのみ適用される。

手順

  1. 1.健康被害を医学的に確定させる 診断書、通院記録、検査結果を揃え、健康被害の内容と発症時期を客観的に記録する。診断日は時効の起算点にも関わるため必ず控えておく
  2. 2.排出源を特定する資料を集める 自治体の大気常時監視データ、ばい煙発生施設の届出(都道府県への情報公開請求)、PRTR 公表データを入手し、近隣工場の排出物質と自身の症状を突き合わせる
  3. 3.公害紛争処理制度の利用を検討する 訴訟の前に、都道府県公害審査会等での公害調停や、公害等調整委員会の原因裁定を検討する。原因裁定では委員会側が調査を行い、因果関係の判断を示す
  4. 4.時効が迫る場合は催告で時間を確保する 損害と賠償義務者を知った時から5年の期限が近い場合、内容証明郵便で事業者に催告し、その後速やかに訴訟等の手続に移る

よくある質問 AI による整理

Q1大気汚染防止法25条とは何ですか?

工場や事業場から出た健康被害物質で人の生命・身体が害された場合に、事業者に過失がなくても損害賠償責任を負わせる無過失責任の規定です。

Q2健康被害物質とは何ですか?

ばい煙、特定物質、粉じんのうち、生活環境だけに被害を生じるおそれがあるとして政令で除外されたもの以外の物質を指します(25条1項括弧書き)。

Q3無過失責任と過失責任の違いは?

過失責任(民法709条)では被害者が加害者の落ち度を証明します。無過失責任では落ち度の証明が不要で、排出と被害の因果関係と損害の証明が中心になります。

Q4公害で健康被害を受けたら誰を訴える?

健康被害物質を排出した工場・事業場の事業者が賠償義務者です。複数の工場が関わる場合は、共同不法行為(民法719条)として複数の事業者に請求する余地があります。

Q5大気汚染の健康被害 いつまで請求できる?

損害と賠償義務者を知った時から5年、損害の発生から20年で時効にかかります(25条の4)。発症が遅い病気でも20年は損害発生時から数えます。

Q6工場の粉じんでアスベスト被害 請求できる?

粉じんのうち健康被害物質に当たるものの飛散で人の身体が害されたのであれば、本条の対象になり得ます。ただし指定日以後の排出分に限られ、因果関係の証明が必要です。

Q7大気汚染 損害賠償 相場は?

一律の相場はなく、治療費、休業損害、慰謝料などを個別に積み上げます。複数事業者が関与し寄与度が著しく小さい場合は減額されることがあります(25条の2)。

Q8地震で工場から有害物質が漏れたら責任は?

天災など不可抗力が競合した場合、裁判所は賠償額を定める際にその事情を斟酌できます(25条の3)。責任自体が当然に消えるわけではありません。

この条文についての質問 AI による整理

Q1排出基準をちゃんと守ってる工場でも、訴えられたら負けるんですか?

責任の有無は基準を守っていたかどうかでは決まりません。25条は無過失責任で、基準を定めた規制(13条など)とは別の民事ルールです。ただし被害者は因果関係を証明する必要があり、その点で基準内の濃度データは強い反証材料になります。実務のポイント:工場側の測定データだけで勝負すると不利です。被害者側は自治体の常時監視局のデータを独自に押さえ、別の角度から因果関係を組み立てるべきです

Q2近所に工場がいくつもあって、どこのせいか分からないんですが

複数の事業者による共同不法行為(民法719条)として、連帯して責任を問える可能性があります。ただし寄与の程度が著しく小さい事業者については、裁判所が賠償額を減らせます(25条の2)。実務のポイント:いきなり訴訟を起こす前に、公害等調整委員会の原因裁定を使う手があります。委員会が自ら調査して因果関係を判断してくれるので、個人では手に負えない専門的な立証の負担が大きく減ります

Q3工場の煙で畑の作物がやられました。これも無過失責任で請求できますか?

できません。本条が対象にしているのは人の生命と身体の被害だけで、財産被害は民法709条で過失を立証する必要があります。実務のポイント:同じ訴訟の中で、健康被害は25条、作物被害は709条というように二本立てで請求できます。健康被害を先に固めれば、同じ証拠を財産被害の立証にも流用できます

Q4ぜんそくになったら、国の公害補償制度で認定してもらえないんですか?

公害健康被害の補償等に関する法律に基づく大気汚染系の第一種地域の指定は、昭和63年(1988年)に全面解除されました。そのため、新たに発症した人は同法の認定を受けられません。実務のポイント:今ぜんそくを発症した人にとって、行政の補償に頼る道はほぼ閉じています。25条による民事請求か公害紛争処理制度が主な選択肢になるので、そもそもの前提から変わっています

間違えやすい点 AI による整理

  • 「排出基準を守っていれば民事上も責任はない」と考える事業者は多いが、排出基準は行政上の規制であり、本条の賠償責任とは別物である。基準の遵守は責任の有無を左右しない。ただし実務上は、因果関係を否定する材料として使われる
  • 「無過失責任なのだから、被害者は被害を訴えるだけで勝てる」という発想は、問いの立て方そのものが誤っている。無過失責任が外すのは過失の証明だけである。排出と健康被害の因果関係と損害額の証明は、今も被害者に残っている。さらに複数の工場が原因となった場合、寄与の程度が著しく小さい事業者については、裁判所が賠償額を減らせる(25条の2)
  • 被害者から見れば「後になって有害だと分かった物質なら、昔の排出にも責任を問えて当然」と思える。しかし法律から見れば、第2項が指定日以後の排出にしか本条を適用しないと明記している。事業者の予測可能性を守るための線引きだが、それを知らずに無過失責任を前提に訴訟計画を立てると、昔の排出分について過失を立証する準備が丸ごと抜け落ちる
比較の観点この条文ほかの条文
過失の要否大気汚染防止法25条:不要(無過失責任)民法709条:被害者が加害者の故意・過失を証明
大気汚染防止法25条の2:責任成立後、寄与度が著しく小さい事業者の賠償額を斟酌
保護される被害人の生命・身体の被害のみ生命・身体・財産など権利・法律上保護される利益全般
25条の責任を前提とする額の調整規定
時間的な限界新たな健康被害物質は指定日以後の排出にのみ適用(2項)排出時期による適用制限なし(過失の立証が必要)
大気汚染防止法25条の4:知った時から5年、損害発生から20年で時効

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
民法第191条の3

台湾は危険な事業・活動について過失を推定する方式で、事業者が注意を尽くしたことを証明すれば免責の余地がある。日本の本条は過失そのものを要件から外す点でより厳格

韓国
환경정책기본법 제44조

韓国は環境汚染による被害全般について原因者の無過失責任を定め、人身被害に限定しない点で日本より射程が広い

ドイツ
Umwelthaftungsgesetz § 1

ドイツは指定施設(Anlage)からの環境影響による人身・物損について危険責任を定め、施設単位で責任を構成する

アメリカ
Restatement (Second) of Torts §§ 519–520

米国は異常に危険な活動についての厳格責任をコモンロー上認めるが、大気汚染の人身被害は州法とネグリジェンス・ニューサンス法理で争われることが多い

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 工業地帯のそばに住む子どもがぜんそくと診断された。近くの工場が「うちは基準値内で操業している」と言い張ったら、どうなるのか? 基準を守っていても、本条の責任は消えない。争点は、その工場の排出と発症がつながっているかどうかの一点に絞られる
  • 化学工場の環境管理課長になったとしよう。設備は最新で、法定の測定も欠かしていない。それでも配管トラブルで物質が飛散し、周辺住民が体調を崩せば、会社は過失の有無にかかわらず賠償の当事者になる。一般の賠償責任保険は汚染による損害を免責にしていることが多い。自社の保険証券のどこまでが補償対象か、今期中に確かめておく価値がある
  • 工場の煤で家庭菜園の野菜が全滅した。残念ながら本条の出番はない。命や体の被害ではないからだ
  • 父親が中皮腫と診断され、原因は近くの工場からの飛散だと分かってから4年半が過ぎた。本条の請求権は、損害と賠償義務者を知った時から5年で時効にかかる(25条の4)。残りは半年。内容証明郵便での催告か、公害調停の申請を今月中に動かさないと、請求の道が閉じる
  • 長年近所の工場から出ていた物質が、政令改正で今年から健康被害物質の範囲に入った。持病との関係を追及したくても、第2項により本条の無過失責任が及ぶのは指定日以後の排出分だけである。それ以前の分は、民法709条で過失を証明する別ルートになる

取るべき行動

被害を受けた側:1. 診断書と通院記録で健康被害を確定させる2. 排出源を特定する材料を集める。自治体の大気常時監視データ、ばい煙発生施設の届出(都道府県への情報公開請求)、PRTR(化学物質の排出量を届け出る制度)の公表データが使える3. 訴訟の前に、公害紛争処理法の公害調停や、公害等調整委員会の原因裁定を検討する。費用負担が軽く、委員会側で調査してくれる4. 時効が迫っていれば、内容証明郵便で催告する

訴えられた側:1. 本条のもとでは「過失がない」という反論は通らないと前提を切り替える2. 争点は因果関係、複数事業者がいる場合の寄与度(25条の2)、天災など不可抗力の競合(25条の3)の三点に集中させる3. 排出測定の記録や操業日誌を、時効期間を意識して長期保存する4. 賠償責任保険が汚染損害を免責にしていないか確認する

時効(請求できる期限):被害者またはその法定代理人が損害と賠償義務者を知った時から5年、損害の発生の時から20年(大気汚染防止法25条の4)(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:本条は民法709条の過失要件を排除する特則であり、因果関係・損害の立証責任は被害者に残る。本章に定めのない事項は民法が適用される(25条の5)ため、共同不法行為(民法719条)や過失相殺の規定も補充的に働く。

改正沿革 AI による整理

  • 昭和47年(1972年) 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律により、健康被害物質の排出に関する無過失損害賠償責任の章が新設された。四日市ぜんそく訴訟など公害裁判で被害者の過失立証の負担が問題になったことが背景にある。その後の文言改正の有無は人による確認が必要

改正の年表

  1. 1.昭和43年(1968年) 新設:大気汚染防止法制定(昭和43年法律第97号)。当初は無過失責任の規定を持たなかった
  2. 2.昭和47年(1972年) 新設:大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律により、健康被害物質の排出に係る無過失損害賠償責任の章が新設され、本条が設けられた。水質汚濁防止法19条も同時に新設

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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