社会保険労務士法 第38条
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- 次の各号のいずれかに該当する場合には、社会保険労務士法人の社員若しくは清算人又は社会保険労務士会若しくは連合会の役員は、三十万円以下の過料に処する。
- 一この法律に基づく政令の規定に違反して登記をすることを怠つたとき。
- 二第二十五条の二十三の二第二項又は第五項の規定に違反して合併をしたとき。
- 三第二十五条の二十三の二第六項において準用する会社法第九百四十一条の規定に違反して同条の調査を求めなかつたとき。
- 四定款又は第二十五条の二十五第一項において準用する会社法第六百十五条第一項の会計帳簿若しくは第二十五条の二十五第一項において準用する同法第六百十七条第一項若しくは第二項の貸借対照表に記載し、若しくは記録すべき事項を記載せず、若しくは記録せず、又は虚偽の記載若しくは記録をしたとき。
- 五第二十五条の二十五第二項において準用する会社法第六百五十六条第一項の規定に違反して破産手続開始の申立てを怠つたとき。
- 六第二十五条の二十五第二項において準用する会社法第六百六十四条の規定に違反して財産を分配したとき。
- 七第二十五条の二十五第二項において準用する会社法第六百七十条第二項又は第五項の規定に違反して財産を処分したとき。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 社会保険労務士法第38条は、日本の社会保険労務士法に含まれる条文です。
- 社会保険労務士法第38条の条文原文は「次の各号のいずれかに該当する場合には、社会保険労務士法人の社員若しくは清算人又は社会保険労務士会若しくは連合会の役員は、三十万円以下の過料に処する。」で始まります。
- 社会保険労務士法第38条は第六章に置かれています。
- 社会保険労務士法の公布日は昭和43年6月3日です。
- 社会保険労務士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 社会保険労務士法第38条の前の条は社会保険労務士法第37条です。
- 社会保険労務士法第38条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第38条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC1000000089 - 本サイト収録
社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第38条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/343AC1000000089/38
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点社会保険労務士法38条は、社労士法人の社員・清算人や社労士会・連合会の役員が登記懈怠や違法な合併・清算をしたとき、30万円以下の過料に処すると定める。
Q · 社労士法人が登記を忘れたら、過料は誰に来るの?
法人ではなく社員・役員個人に最大30万円の過料が科される
社会保険労務士法38条1号により、政令に基づく登記を怠った場合、社労士法人の社員(実務上は代表権のある社員が中心)や清算人、社労士会・連合会の役員個人が30万円以下の過料に処されます。過料は刑罰ではないため前科にはなりませんが、決定は個人宛てです。金額は裁判所が非訟事件手続で決め、懈怠期間の長さが考慮されやすいとされます。
解説
社労士法人の「社員」は従業員のことではない。出資して法人を動かす社労士本人、つまり経営者を指す。38条は、その社員、清算人(法人をたたむときに後始末を担う人)、さらに社会保険労務士会や連合会の役員に対して、最大30万円の過料を定めている。過料とは、刑罰ではないお金の制裁である。対象になるのは次の七つ。登記を放置する。債権者への公告を飛ばして合併する。電子公告の調査を受けない。帳簿や貸借対照表に書くべきことを書かない、または嘘を書く。債務超過の清算で破産を申し立てない。借金を返す前に財産を社員で分ける。清算の手順を無視して財産を処分する。どれも、顧客の手続を代行するプロが自分の法人の手続でつまずく場面だ。過料は前科にならない。しかし決定書の宛名は法人ではなく、あなた個人である。さらに、自社の登記も守れない社労士という評判は30万円よりはるかに高くつく。
法的な位置づけ
社会保険労務士法38条は、社会保険労務士法人の社員・清算人および社会保険労務士会・連合会の役員を名宛人とする過料規定である。登記懈怠、債権者異議手続違反の合併、電子公告調査の不請求、会計帳簿・貸借対照表の不記載または虚偽記載、破産申立ての懈怠、違法な財産分配・処分の7類型について、30万円以下の過料を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1社労士法人の社員とは誰のことですか?
従業員ではなく、出資して法人の業務執行を担う社会保険労務士本人を指します。会社でいえば役員・経営者に近い立場で、38条の過料の名宛人になります。
Q2社労士法人の変更登記はいつまでにすればいい?
組合等登記令により、変更が生じた時から原則2週間以内に変更登記が必要です。これを過ぎて放置すると38条1号の登記懈怠にあたりえます。
Q3社労士法人の過料はいくらですか?
38条は30万円以下と上限のみを定め、具体的な金額は裁判所が個別に決めます。登記の懈怠であれば、放置期間の長さが金額に影響しやすいとされます。
Q4過料と罰金の違いは何ですか?
罰金は刑事罰で前科がつきますが、過料は行政上の秩序罰で前科にはなりません。手続も刑事訴訟ではなく非訟事件手続法に基づいて進みます。
Q5社労士法人の合併で必要な債権者保護手続とは?
官報公告と知れている債権者への個別催告を行い、1か月以上の異議申述期間を設ける手続です。これを経ずに合併すると38条2号の過料対象になります。
Q6社労士法人を清算するとき財産はいつ分配できる?
債務をすべて弁済した後でなければ、社員に財産を分配できません(会社法664条の準用)。先に分配すると38条6号の過料対象になります。
Q7社労士会の理事も過料の対象になりますか?
なります。38条は社会保険労務士会と連合会の役員を名宛人として明記しており、会の登記懈怠などがあれば役員個人が過料の対象になりえます。
Q8過料の決定に不服がある場合はどうする?
当事者の陳述を聴かずに出される略式の過料裁判には、告知から1週間以内に異議を申し立てられます(非訟事件手続法122条)。最新の改正状況は確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1登記をちょっと忘れてただけで、本当に裁判所から通知が来るんですか?
来る。登記官が登記の懈怠を把握すると、過料事件として裁判所へ通知する運用があり、38条1号の対象として過料の裁判に進む。金額は30万円以下の範囲で裁判所が決める。実務のポイント:懈怠期間の長さが金額に反映されやすいため、気付いた日に申請するのが最も安く済む方法である。「どうせ過料が来るなら後でまとめて」という考えが一番高くつく
Q2過料を受けたら前科になったり、社労士の登録が取り消されたりしますか?
過料は刑罰ではないため、前科にはならない。社会保険労務士法5条の欠格事由も、禁錮以上の刑や同法違反による罰金刑などが中心で、過料は含まれていない。実務のポイント:ただし懲戒の規定は別建てになっている。帳簿の虚偽記載のように、過料の原因となった事実そのものが「信用失墜行為」の評価につながりうる。過料の額より、事実関係の説明に力を注ぐべきである
Q3社労士会の理事って名誉職ですよね?個人で過料なんてあるんですか?
ある。38条は社会保険労務士会と連合会の役員を名指ししており、主に関わるのは1号の登記懈怠である。役員が改選されたのに変更登記が遅れれば、対象は役員個人となる。実務のポイント:会の登記事務は事務局任せになりがちで、改選の時期に引継ぎの空白が生まれやすい。就任したら最初の理事会で、登記の担当者と期限を議事録に残しておくのが自衛策になる
間違えやすい点 AI による整理
- 過料は法人の口座から払うものだと思われがちだが、条文が名指ししているのは社員、清算人、役員という個人である。法人の経費で処理する前提で予算を組んでも、決定書の名義は変わらない
- 前科にならない過料だから軽い、という理解は半分しか正しくない。同じ事実、たとえば帳簿の虚偽記載は、社会保険労務士法の懲戒規定に基づく調査の端緒になりうる。過料は入口にすぎず、本当に痛いのはその先にある登録と信用の問題である
- 社員全員で連帯して責任を負う、という発想そのものがずれている。実務上、登記懈怠の過料はまず代表権のある者に科されるのが通例である。誰の名前で登記事務が回っているかを見ないまま「みんなの責任」と考えていると、代表社員一人だけが決定書を受け取る結果になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 社労士法38条:法人社員・清算人・会の役員の手続違反に対する過料 | 社労士法25条の23の2:合併時の債権者異議手続そのもの 社労士法5条:社労士となる資格の欠格事由 |
| 違反した場合の効果 | 30万円以下の過料(秩序罰、前科なし) | 手続を経ない合併は38条2号の過料につながる 登録ができない・登録取消の原因となる(過料は欠格事由に含まれない) |
| 名宛人 | 社員・清算人・会の役員という個人 | 合併をする社会保険労務士法人 社会保険労務士になろうとする者・登録者 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾では社労士に相当する国家資格の法人制度がないため、会社責任者が期限内に登記を申請しない場合の罰鍰が同種の規律となる。名宛人が法人ではなく責任者個人である点は日本と共通する
ドイツは登記義務の懈怠に対して登記裁判所が強制金(Zwangsgeld)を課す。制裁というより履行強制の色彩が強い点で、日本の過料とは性格がやや異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 代表社員が交代したのに、変更登記を三か月放っておいたらどうなるか? 法務局の登記官から裁判所に通知が行き、ある日、過料の決定書があなた個人宛てに届く。金額は裁判所の裁量で決まり、懈怠期間(放置していた期間)の長さが考慮されやすい
- 顧客基盤を一気に広げようと、隣県の社労士法人との合併を急いだ。債権者への官報公告と個別の催告を済ませ、法定の異議申述期間(一か月以上)が満了するのを待つ前に、効力発生日の案内を顧問先へ出してしまった。この期間を守らずに合併すれば、あなたは社員として過料の対象者リストに載る
- 廃業に向けた清算の途中、清算人として帳簿を締めた。すると複合機のリース残債と未払いの賃料が、残った資産を上回っていた。直ちに破産手続開始の申立てをしなければならない。「とりあえず残りを社員で分けて畳もう」とすれば、申立ての懈怠と違法な分配で、違反が二つ重なる
- 決算で一部の売上を計上しないまま貸借対照表を作った。税務だけの問題では済まない。4号の虚偽記載にもあたる
- 県の社労士会で、頼まれて理事を引き受けた。会の役員変更登記が遅れても、責任は事務局ではなく、役員であるあなた個人に向く
取るべき行動
被害を受けた側:社労士法人の取引先や債権者として、合併や清算で回収が危うくなった場合の手順は次のとおり。1. 官報で合併や解散の公告を確認し、期間内に書面で異議を述べる2. 異議を述べたのに弁済も担保の提供もされないまま合併や分配が進んだ場合は、その経緯を記録に残す3. 債務超過なのに破産を申し立てていない疑いがあれば、債権者として自ら破産手続開始を申し立てることを検討する4. 違法な分配による回収は、弁護士に相談して社員への請求の可否を詰める
訴えられた側:1. 登記の懈怠や帳簿の不備に気付いたら、すぐに登記をして書類を是正する。放置期間が長いほど金額で不利になりやすい2. 陳述を聴かれる機会があれば、遅れた理由(社員の急病、引継ぎの空白など)を資料付きで出す3. 陳述を聴かれないまま略式の過料決定を受けた場合は、告知から一週間以内に異議を申し立てられる(非訟事件手続法122条) 4. 懲戒への波及に備えて、是正の記録を残しておく
時効(請求できる期限):過料には刑事事件の公訴時効のような規定がなく、懈怠が続く限り過料の対象になりうる。変更登記は変更が生じた時から二週間以内(組合等登記令3条1項)。略式の過料裁判に対する異議は、告知を受けた日から一週間以内(非訟事件手続法122条。最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:過料は刑罰ではない秩序罰であり、刑法総則や刑事訴訟法は適用されない。故意・過失の要否や時効の扱いも刑罰とは異なり、手続の懈怠が継続する限り過料の対象となりうると解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成14年(2002年) 改正:社会保険労務士法人制度の創設に伴い、法人の社員・清算人等を名宛人とする過料規定が整備された(施行は平成15年)。各号の構成は、その後の会社法制定等に合わせて調整されている。
- 社会保険労務士法 第25条の23の2合併時の債権者異議手続、2号の前提
- 社会保険労務士法 第25条の25会社法の帳簿・清算規定の準用根拠
- 社会保険労務士法 第5条欠格事由、過料は含まれない
- 会社法 第664条債務弁済前の財産分配の制限
- 会社法 第976条株式会社役員等の過料、同型の規定
- 非訟事件手続法 第119条過料事件の管轄と手続
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