民事執行法 第200条(陳述義務の一部の免除)
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- 財産開示期日において債務者の財産の一部を開示した開示義務者は、申立人の同意がある場合又は当該開示によつて第百九十七条第一項の金銭債権若しくは同条第二項各号の被担保債権の完全な弁済に支障がなくなつたことが明らかである場合において、執行裁判所の許可を受けたときは、第百九十九条第一項の規定にかかわらず、その余の財産について陳述することを要しない。
- 2.前項の許可の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
この条文の基本情報
陳述義務の一部の免除とは何ですか?
定義陳述義務の一部の免除とは、民事執行法第200条に定められた規定で、「財産開示期日において債務者の財産の一部を開示した開示義務者は、申立人の同意がある場合又は当該開示によつて第百九十七条第一項の金銭債権若しくは同条第二項各号の被担…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第200条(陳述義務の一部の免除)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第200条の条文原文は「財産開示期日において債務者の財産の一部を開示した開示義務者は、申立人の同意がある場合又は当該開示によつて第百九十七条第一項の金銭債権若しくは同条第二項各号の被担…」で始まります。
- 民事執行法第200条は第一節に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第200条の前の条は民事執行法第199条の3です。
- 民事執行法第200条の次の条は民事執行法第201条です。
- 民事執行法第200条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第200条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第200条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/200
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法200条は、財産開示期日で一部を開示した債務者が、申立人の同意または完全な弁済に支障がないことが明らかな場合に、執行裁判所の許可を得て残余の陳述義務を免れる。
Q · 財産開示に呼ばれたら、本当に全財産を話さないといけないの?
必要ない。裁判所の許可を得れば残りは黙っていい
民事執行法200条1項により、財産開示期日で財産の一部を開示した開示義務者は、申立人の同意があるか、その開示によって申立債権の完全な弁済に支障がなくなったことが明らかな場合に、執行裁判所の許可を受ければ、199条1項の全部陳述義務にかかわらず残余の財産について陳述する必要がありません。ただし免除は自動では発動せず、許可を得るまでは全部陳述義務が続きます。許可の申立てについての裁判には執行抗告ができます(同条2項)。
解説
財産開示手続に呼び出された債務者は、原則として自分の財産をすべて洗いざらい陳述しなければならない。だが民事執行法200条は、その義務に一つだけ出口を用意している。一部だけ開示した時点で、債権者が同意したか、あるいは「開示された財産だけで債権を完全に回収できることが明らかだ」と裁判所が判断すれば、残りの財産については口をつぐんでよい。ここで押さえるべきは、この免除が自動では発動しないという点である。開示義務者が自分で許可を申し立て、執行裁判所の許可を得て初めて効く。あなたが債務者側なら、預金800万円を開示した段階で500万円の債権が完全に賄えるなら、不動産や生命保険や取引先情報まで晒す必要はない。あなたが債権者側なら、この許可が出た瞬間、追加の財産情報を取る道が閉じる。だからこの申立てに気付かず放置することは、情報収集の機会を自ら捨てることに等しい。
法的な位置づけ
民事執行法200条は、財産開示手続における陳述義務の一部免除を定める規定である。財産開示期日で財産の一部を開示した開示義務者は、申立人の同意がある場合、または197条1項の金銭債権若しくは同条2項各号の被担保債権の完全な弁済に支障がなくなったことが明らかな場合に、執行裁判所の許可を条件として、残余の財産についての陳述義務を免れる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出状が届いたら申立人の債権総額を確認する 財産開示期日の呼出状と添付された申立書から、元本、確定済みの遅延損害金、執行費用を合計して「免除ライン」となる債権総額を把握する。この金額が、どこまで開示すれば200条1項の許可に届くかの基準値になる
- 2.開示する財産を換価容易性の順に並べる 預金、給与、上場株式など、額が明確で換価が容易な財産を上位に並べた陳述順序を事前に設計する。順序を決めずに質問に答え始めると、秘匿したい事業用資産や取引先情報から先に口に出てしまう
- 3.期日で順に陳述し、債権総額を超えた時点で許可を申し立てる 設計した順序で陳述し、開示額が債権総額を明確に上回った時点で、執行裁判所に200条1項の許可を申し立てる。裁判所が判断できるよう、残高証明など裏付け資料を当日持参する
- 4.許可が出るまでは陳述義務が続くことを守る 許可を得る前に自己判断で回答を止めれば、199条1項の陳述義務違反として213条1項5号の罰則対象になりうる。申立て中も裁判所の求めには応じ、許可の告知を待ってから陳述を終える
- 5.許可・却下の裁判に不服があれば1週間以内に執行抗告する 債権者側は許可決定に、開示義務者側は却下決定に対し、告知を受けた日から1週間の不変期間内に執行裁判所へ抗告状を提出する(200条2項、10条2項)。債権者は並行して第三者からの情報取得手続(204条以下)への切替えを検討する
よくある質問 AI による整理
Q1財産開示手続とは何ですか?
確定判決などを持つ債権者の申立てにより、債務者本人を裁判所に呼び出し、自分の財産を法廷で陳述させる手続です。民事執行法196条以下に定めがあり、差押えの対象を探すために使われます。
Q2財産開示期日に行かないとどうなりますか?
正当な理由なく出頭しない、陳述を拒む、虚偽の陳述をした場合は、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象になりえます(民事執行法213条1項5号、最新の改正状況をご確認ください)。
Q3陳述義務の免除はいつ申し立てますか?
財産の一部を開示した後、その期日の中で執行裁判所に許可を申し立てます。許可が出るまでは199条1項の全部陳述義務が続くため、申立て前に自己判断で黙るのは危険です。
Q4執行抗告の期限はいつまでですか?
許可の申立てについての裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内です(民事執行法10条2項)。この期間を過ぎると免除が確定し、後から争うことはできません。
Q5財産開示は何回でも申し立てられますか?
原則としてできません。債務者が過去3年以内に財産開示期日で陳述している場合、再実施は制限されます(民事執行法197条3項)。例外事由に当たるかを事前に確認する必要があります。
Q6養育費の回収でも財産開示は使えますか?
使えます。2020年施行の改正で財産開示手続は強化され、扶養義務等に係る債権では第三者からの情報取得手続(民事執行法204条以下)も利用しやすくなっています。
Q7財産開示で嘘をついたらどうなりますか?
虚偽の陳述は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です(民事執行法213条1項5号)。2020年施行の改正で、従来の過料から刑事罰へ引き上げられました。
Q8開示義務者は誰ですか?
債務者本人です。債務者が法人の場合は、その代表者が開示義務者として期日に出頭し陳述します。代理人だけが出頭しても、本人の陳述義務を果たしたことにはなりません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1一部だけ開示して黙っていたら、それだけで犯罪になるんですか?
許可を得ずに自己判断で陳述を止めれば、199条1項の陳述義務違反として213条1項5号の罰則対象になりえます。200条1項の許可を先に得ていれば義務そのものが免除されるので、同じ「黙る」でも法的評価は正反対です。実務のポイント:許可申立ては期日の場で口頭でも受け付けられる運用があり、書面を用意していなくても申立て自体は可能。ただし債権額を上回ることを示す資料がないと裁判所は判断できないので、通帳や残高証明を当日持参できるかが分かれ目になる
Q2債権者が同意しないと絶対に免除されないんですか?
いいえ。200条1項は「申立人の同意がある場合」と「完全な弁済に支障がなくなったことが明らかである場合」を並列で定めています。債権者が反対しても、開示済み財産で債権が完全に賄えることが明らかなら裁判所は許可できます。実務のポイント:実務では「明らか」の認定が厳しく、預金残高が債権額をわずかに上回る程度だと、遅延損害金の増加や他の差押えの競合を理由に許可されないことが多い。余裕を持った額を開示できるかが実質的な要件になっている
Q3免除の許可が出たら、もう相手の財産は調べられないんですか?
その手続内での追加陳述は求められませんが、2020年施行の第三者からの情報取得手続(204条以下)は別枠で使えます。銀行や登記所、市町村から預貯金・不動産・給与の情報を直接取得する道が残ります。実務のポイント:財産開示を先に実施していることが情報取得手続の要件になっている類型がある(給与債権に関する情報など)。免除で終わったとしても「財産開示手続を実施した」事実自体は残るので、次の手のための踏み台として無駄にはならない
間違えやすい点 AI による整理
- 「財産開示に呼ばれたら全財産を話すしかない」と債務者側は覚悟するが、問いの立て方が違う。正しい問いは「申立人の債権額を完全に賄う財産を、どの順番で開示するか」である。開示の順序を設計できれば、200条の免除許可に届く前に手続を止められる
- 債権者側は「免除許可が出ても大した損はない、また申し立てればいい」と考えがちだが、深刻度を見誤っている。財産開示は原則として過去3年以内に実施済みなら再実施が制限される(民事執行法197条3項)。一度免除で終わった手続を、簡単にやり直せる保証はない
- あなたから見れば「一部でも開示したのだから誠実に応じた」となるが、法律から見れば許可を得るまでは199条1項の全部陳述義務が生きている。許可前に勝手に口を閉ざせば陳述拒絶であり、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(民事執行法213条1項5号、最新の改正状況をご確認ください)の対象になりうる。自己判断で止めるのと、許可を取って止めるのは、刑事責任の有無というレベルで違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 200条:陳述義務の一部免除(例外規定) | 199条:財産開示期日における全部陳述義務の本体 204条以下:第三者からの情報取得手続(別ルート) |
| 発動の要件 | 一部開示 + 申立人の同意または完全な弁済に支障がないことが明らか + 執行裁判所の許可 | 財産開示期日の指定と適法な呼出し(198条) 債務名義等の要件充足、類型により財産開示の先行実施が必要 |
| 情報の出どころ | 債務者本人の陳述(そこで止める規定) | 債務者本人の陳述(全財産) 銀行・登記所・市町村・年金機構など第三者 |
| 不服申立て | 執行抗告(200条2項、告知から1週間) | 陳述拒絶等には213条1項5号の罰則 情報提供命令の申立てを却下する裁判に対し執行抗告 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では、発見済み財産が債権額に不足する場合に執行法院が債務者へ財産状況の報告を命じる構造で、報告範囲を裁判所が画する点が日本の免除許可と機能的に近い
韓国も財産明示手続を置き、債務者本人に財産目録の提出と宣誓を求める。日本と同様、開示範囲と制裁の設計が制度の実効性を左右する
ドイツでは執行官に対する財産開示(Vermögensauskunft)が中心で、開示は財産目録の提出と宣誓に代わる保証で完結する。裁判所の許可による一部免除という構成は採らない
米国では執行を助けるためのディスカバリーとして債務者審尋が行われ、範囲の限定はプロテクティブ・オーダーの申立てによる。裁判所が範囲を絞る点は機能的に類似する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸金500万円の回収で財産開示を申し立てた。債務者が期日で「ゆうちょ銀行に900万円ある」とだけ述べ、そこで開示免除の許可を申し立ててきた。あなたは他にも隠し資産があると疑っているが、900万円で全額回収できる以上、裁判所は許可する方向に傾く。ここで争うなら「完全な弁済に支障がない」とは言えない事情、たとえばその預金に他の差押えが競合している事実を出すしかない
- あなたが開示義務者の側だとしたらどうか。取引先リストや事業用不動産まで開示すれば、その情報が債権者経由で業界に流れかねない。だが申立人の債権額を十分カバーする預金を先に述べ、200条1項の許可を取れば、そこで陳述は止まる。守秘したい財産がある側にとって、これは知っているかどうかで結果が変わる出口である
- 許可決定が出た。あなたは債権者として納得がいかない。ここで残された手は執行抗告のみで、期限は決定の告知を受けた日から1週間(民事執行法10条2項)。あと7日で抗告状を執行裁判所に提出しなければ、免除は確定する
- 元配偶者から養育費を取り立てるため財産開示を申し立てた。相手は給与債権だけ開示して免除許可を求めてきた。だが養育費は将来分も含む継続的債権であり、一時点の給与額だけで「完全な弁済に支障がない」と言えるかは争える。定期金債権の特殊性を主張できるかどうかで、追加開示を引き出せるかが分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 期日前に債権額を確定させる。元本、確定遅延損害金、今後発生する遅延損害金、執行費用を書面で積算し、執行裁判所に提出しておく2. 期日では債務者の陳述が債権額を完全にカバーするかその場で検算する3. 免除許可の申立てがあれば、開示財産に他の差押えや担保が競合していないか、換価に時間や減価を伴わないかを指摘して「支障がなくなったことが明らか」ではないと主張する4. 許可決定が出たら、告知から1週間以内に執行抗告(200条2項)。並行して第三者からの情報取得手続(204条以下)に切り替える
訴えられた側:1. 呼出状が来たら、まず申立人の債権額の総額を確認する。これが免除ラインの基準値になる2. 開示する財産を、換価容易性と額の明確性の高い順に並べる。預金、給与、上場株式が上位3. 期日でその順に陳述し、債権額を上回った時点で200条1項の許可を申し立てる4. 許可が出るまでは陳述義務が続くので、無断で回答を拒めば罰則の対象になりうる点に注意5. 許可申立てが却下されたら、その裁判に対しても執行抗告ができる
時効(請求できる期限):許可の申立てについての裁判に対する執行抗告は、裁判の告知を受けた日から1週間の不変期間内(民事執行法10条2項)。財産開示期日そのものの出頭義務・陳述義務は期日当日に発生し、正当な理由なく不出頭・陳述拒絶・虚偽陳述をすれば6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(同法213条1項5号、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:200条の免除は比例原則を手続内に具体化したものであり、「完全な弁済に支障がなくなったことが明らか」の認定は、開示財産の換価容易性、他の差押えや担保の競合、遅延損害金の今後の増加を織り込んで厳格に判断すべきとされる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成15年(2003年) 新設:担保物権及び民事執行制度の改善のための民法等の一部改正により財産開示手続(196条以下)が創設され、本条も陳述義務の一部免除規定として新設された
- 2.令和元年(2019年) 改正:2020年施行の改正により財産開示手続全体が強化され、陳述拒絶等の制裁が過料から刑事罰に引き上げられるとともに、第三者からの情報取得手続(204条以下)が新設された
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