民事執行法 第210条(第三者からの情報取得手続に係る事件に関する情報の目的外利用の制限)
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- 申立人は、第三者からの情報取得手続において得られた債務者の財産に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
- 2.前条第一項第二号若しくは第三号又は第二項第二号若しくは第三号に掲げる者であつて、第三者からの情報取得手続に係る事件の記録中の第二百八条第一項の情報の提供に関する部分の情報を得たものは、当該情報を当該事件の債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は提供してはならない。
この条文の基本情報
第三者からの情報取得手続に係る事件に関する情報の目的外利用の制限とは何ですか?
定義第三者からの情報取得手続に係る事件に関する情報の目的外利用の制限とは、民事執行法第210条に定められた規定で、「申立人は、第三者からの情報取得手続において得られた債務者の財産に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第210条(第三者からの情報取得手続に係る事件に関する情報の目的外利用の制限)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第210条の条文原文は「申立人は、第三者からの情報取得手続において得られた債務者の財産に関する情報を、当該債務者に対する債権をその本旨に従つて行使する目的以外の目的のために利用し、又は…」で始まります。
- 民事執行法第210条は第四章に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第210条の前の条は民事執行法第209条です。
- 民事執行法第210条の次の条は民事執行法第211条です。
- 民事執行法第210条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第210条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第210条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/210
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法210条は、情報取得手続で得た債務者の財産情報を、債権を本旨に従って行使する目的以外に利用・提供することを禁じる。記録を閲覧した他の債権者も拘束される。
Q · 裁判所経由で調べられた私の口座や勤務先の情報、相手は何にでも使えるんですか?
回収目的以外に使えば違法で、罰則の対象になります
民事執行法210条により、第三者からの情報取得手続で得た預貯金・勤務先・不動産の情報は、その債権を本旨に従って行使する目的、つまり差押えの申立てや財産の特定、和解交渉にしか使えません。職場への取立て電話、親族への通知、名簿としての提供は禁止行為で、罰則の対象になります。2項では、事件記録の情報提供に関する部分を閲覧した他の債権者も、同じ目的外利用の禁止に拘束されます。
解説
裁判所から一通の通知が届く。「あなたの預貯金口座の情報が債権者に提供されました」。多くの人はこれを絶望の知らせとしてしか読まない。だが210条を知る者は、同じ紙を監視の起点として読む。第三者からの情報取得手続(民事執行法205条から207条)で債権者が掴んだあなたの不動産・勤務先・預貯金の情報には、法律上の首輪が付いている。使えるのは「その債権を本旨に従って行使する目的」だけ、つまり差押えの申立て、財産の特定、和解交渉といった回収行為に限られる。職場に電話して取立てを迫る、親族に知らせる、名簿業者に売る、これらはすべて禁止行為であり罰則の対象になる。しかも2項は、事件記録を閲覧した他の債権者、あなたが名前も知らない相手にまで同じ首輪をかける。差し出したのは財産であって、生活情報の支配権ではない。
法的な位置づけ
民事執行法210条は、第三者からの情報取得手続により開示された債務者の財産情報の利用目的を制限する規定である。1項は申立人を、2項は事件記録中の情報提供に関する部分を閲覧した債権者を名宛人とし、いずれも当該債権を本旨に従って行使する目的以外の利用および第三者への提供を禁止する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.情報提供の通知書を受領日つきで保管する 民事執行法208条の通知が届いたら、封筒ごと保管し、受領日・提供された情報の種類(不動産・勤務先・預貯金)・申立人名を記録する。後に目的外利用が起きたとき、流出元を切り分ける起点になる
- 2.目的外利用の形跡を日時つきで固める 職場での噂、親族への連絡、身に覚えのない督促の急増などを、日時・相手・内容の三点セットで記録する。通話は録音、メール・SMS・SNS はスクリーンショットで保全し、後から編集できない形で保存する
- 3.内容証明で使用停止と説明を請求する 民事執行法210条違反であること、親告罪であることを明示し、情報の使用停止・破棄・取得経路の説明を求める。相手に代理人弁護士がいる場合、この一通は懲戒リスクに直結するため交渉態度が和解寄りに変わりやすい
- 4.6か月の告訴期間内に刑事の一手を打つ 親告罪のため、犯人を知った日から6か月以内に告訴状を提出する(刑事訴訟法235条)。相談だけで期間を消化しないよう、提出日を先に決めて逆算する。相手が士業や登録業者なら弁護士会・監督官庁への申立ても並行する
- 5.民事の損害賠償を別枠で検討する 刑事の結果を待たずに、民法709条に基づく慰謝料請求を検討する。時効は損害および加害者を知った時から3年。刑事で相手が謝罪・情報破棄に応じる局面は、民事の和解金を同時に確定させる好機になる
よくある質問 AI による整理
Q1情報取得手続の目的外利用とは?
第三者からの情報取得手続で得た債務者の財産情報を、債権の回収以外に使うことです。職場への取立て、親族への通知、名簿業者への提供が典型例で、民事執行法210条が禁止しています。
Q2養育費の回収で相手の勤務先を調べるのは違法?
調べること自体は民事執行法206条で認められた手続です。違法になるのは、得た勤務先情報を差押え以外の目的、たとえば会社への通報や嫌がらせに使った場合で、210条違反となります。
Q3情報が提供されたことは債務者に知らされる?
知らされます。民事執行法208条により、裁判所は情報提供がされた旨を債務者に通知します。この通知書は、いつ誰にどの情報が渡ったかを示す証拠になるため保管が必要です。
Q4目的外利用の罰則はどれくらい?
民事執行法の罰則規定により罰金が科されます。金額は軽微ですが親告罪であり、相手が弁護士や債権回収会社であれば懲戒・監督官庁の処分という別系統の不利益に直結します。
Q5目的外利用を告訴できる期間はいつまで?
親告罪のため、犯人を知った日から6か月以内に告訴する必要があります(刑事訴訟法235条)。警察に相談しただけで告訴状を出さないまま期間が過ぎる例が多いので注意が必要です。
Q6情報取得手続では何が分かる?
不動産(民事執行法205条)、給与債権すなわち勤務先(206条)、預貯金債権や振替社債等(207条)の情報が、登記所・市町村・年金機構・金融機関から提供されます。
Q7回収目的の範囲はどこまで認められる?
差押命令の申立て、責任財産の特定、担保権の実行、和解交渉といった債権の実現に直結する行為までです。信用情報としての社内共有や与信判断への転用は範囲外と解されます。
Q8目的外利用された場合、損害賠償は請求できる?
民法709条に基づき精神的損害の賠償を請求できます。刑事の告訴とは別枠で、消滅時効は損害および加害者を知った時から3年です(民法724条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1差押えされたんですが、会社にまで話が伝わったのは違法じゃないんですか?
給与を差し押さえる手続では勤務先が第三債務者になるため、差押命令が会社に届くこと自体は適法です(民事執行法145条)。違法になりうるのは、その枠を超えて上司や同僚に事情を語り、取立てを迫る行為で、これは210条違反です。実務のポイント:差押命令の送達と、担当者への電話はまったく別物。相手が「会社にはもう伝えてある」と口を滑らせた瞬間、反撃材料が生まれる。相手方との通話は必ず録音しておくこと
Q2弁護士が調べてくれた相手の口座情報、私が持っていても問題ないんですか?
申立人本人も210条1項の対象なので、あなた自身も回収目的以外には使えません。差押えの検討や和解交渉での使用は範囲内、家族に共有したり相手に見せて圧力をかけるのは範囲外です。実務のポイント:情報を依頼者に口頭でしか伝えない事務所がある。書面で渡すと依頼者が SNS に上げるリスクを知っているからだ。渡し方が慎重な弁護士は、この条文を分かっている
Q3相手が目的外に使ったと思うんですが、警察は動いてくれますか?
この違反は親告罪とされており、あなたの告訴がなければ検察官は起訴できません。逆に言えば、刑事を動かす鍵はあなたが握っています(罰則は30万円以下の罰金、最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:罰金額は軽いが、相手が弁護士や債権回収会社なら懲戒や業務改善命令という別系統の圧力に直結する。刑事告訴より、弁護士会や監督官庁への申立ての方が実際には効くことが多い
Q4情報取得手続の記録は、他の債権者にも見られるって本当ですか?
本当です。債務名義を持つ他の債権者や、一般の先取特権を有することを証する文書を出した債権者は、記録の閲覧等を請求できます(民事執行法209条)。ただし閲覧した者も210条2項で同じ目的外利用の禁止に縛られます。実務のポイント:この閲覧ルートは実務上、債権者間の情報共有経路として機能している。一社に差押えされた直後に他社の動きが急に速くなるのは偶然ではない
間違えやすい点 AI による整理
- 「差押えされたのだから、もう何をされても文句は言えないのか」という問いの立て方そのものが誤っている。強制執行に服するのは財産であり、生活情報の使い道は別の法律問題である。回収手続に耐える義務と、情報を自由に使われる義務は、まったく別の話だ。
- 210条に罰則があることは知っていても、それが親告罪だと知らない人が多い。告訴がなければ検察官は起訴できず、その告訴も犯人を知った日から6か月で切れる(刑事訴訟法235条)。警察に相談だけして返答を待っていると、期限内に告訴を出さないまま罰則が空文化する。
- あなたから見れば「弁護士が調べた情報を依頼者が受け取っただけ」だが、法律から見れば、申立人である依頼者本人も1項の禁止の主体である。プロに任せたから安全という感覚が、この落差で崩れる。
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 210条:取得した財産情報の使い道(出口)を制限 | 206条:勤務先情報を誰からどう取得するか(入口) 209条:事件記録の情報提供部分を誰が閲覧できるか |
| 名宛人 | 申立人(1項)+記録を閲覧した債権者(2項) | 申立債権者と市町村・年金機構等の第三者 債務名義を有する債権者、一般の先取特権を証する債権者 |
| 違反したときの帰結 | 罰則(親告罪)+民法709条の損害賠償 | 要件を欠けば申立て却下、情報提供が受けられない 閲覧要件を欠けば請求が認められない |
| 効力が続く期間 | 手続終了後も継続、期間の定めなし | 手続の申立てから情報提供までの局面限り 記録が保存されている間の閲覧局面限り |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は執行法内に目的外利用禁止の専条を置かず、執行法院の調査権限と個資法の特定目的外利用制限を組み合わせて処理する。日本のように執行手続内部に罰則付きの出口制限を置く構造ではない
韓国も財産照会制度を持ち、照会結果を強制執行以外の目的で使用することを禁じ罰則を設ける構造がある。日本より法定刑が重い点が特徴とされる
ドイツは執行官が第三者(年金保険機関・金融情報当局・自動車登録機関)へ照会する制度を持ち、取得情報の利用を強制執行の目的に限定する。裁判所ではなく執行官が主体である点が日本と異なる
米国は執行手続法ではなく債権回収業規制法が、第三者への債務情報の開示や勤務先への連絡を制限する。私訴による法定損害賠償という強力なエンフォースメントを備える点が日本と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、債権者があなたの勤務先を裁判所経由で特定した翌週、上司の直通番号に「お宅の社員は借金を返さない」と電話したとしたら? 給与の差押命令が会社に届くこと自体は適法な手続(民事執行法145条)だが、その枠を外れた電話は210条違反になりうる。正規ルートを一歩外れた瞬間、回収する側だった相手が加害者の位置に立つ。
- 養育費を滞納する元配偶者の勤務先を、市町村からの情報提供で手に入れた。怒りのまま、その会社の代表番号に「御社の社員が養育費を払いません」と伝えた。この一本の電話で、正当な回収者だったあなたが被告人になりうる。
- 裁判所の通知で「勤務先情報が提供された」と知った二週間後、職場で自分の借金の噂が回り始めた。刑事で動かせる期限は、犯人を知った日から6か月(刑事訴訟法235条)。この期間に告訴という一手を打たなければ、罰則は紙のまま終わる。
- 身に覚えのない消費者金融からの督促が急に増えた。心当たりを辿ると、最初の債権者が起こした情報取得手続の記録を、別の債権者が閲覧していた。閲覧そのものは209条で認められた行為だが、その情報を回収以外の目的、たとえば与信情報としての社内共有や名簿転売に使えば、閲覧した債権者も210条2項違反になる。
- 友人が「弁護士が相手の口座を調べてくれた、これで相手の会社に乗り込む」と相談してきた。ここであなたが止められるかどうかで、友人が罰金付きの前科を負うかどうかが変わる。回収の武器を持った人間が、そのまま犯罪者になる境界がここにある。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 208条の通知書を保管し、提供された日付と情報の種類を記録する2. 目的外利用の形跡(職場での噂、親族への連絡、督促の急増)を日時つきでメモし、録音・メール・SNS のスクショで固める3. 内容証明で使用停止と説明を要求、相手が弁護士なら所属弁護士会への懲戒請求も選択肢4. 犯人を知った日から6か月以内に警察へ告訴(親告罪、刑事訴訟法235条) 5. 精神的損害は民法709条で別途請求する
訴えられた側:1. 使った情報が205条から207条の手続で得たものか、別ルート(登記の一般閲覧、本人からの申告)かを切り分ける。別ルートなら本条の射程外2. 用途が回収行為の範囲内(差押命令の申立て、財産の特定、和解交渉)と説明できるか整理する3. 親告罪なので、告訴が出る前の謝罪と情報破棄の合意が最も効く4. 社内で情報を共有した範囲を洗い出し、拡散を止めた記録を残す
時効(請求できる期限):刑事は親告罪のため、犯人を知った日から6か月で告訴期間が満了(刑事訴訟法235条)。罰金のみの罪であり公訴時効は3年(同250条2項)。民事の損害賠償は損害および加害者を知った時から3年(民法724条)。禁止義務そのものに期間の定めはなく、手続が終わった後も継続する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説的理解:「その本旨に従って行使する目的」とは、差押命令の申立て、責任財産の特定、担保権の実行、和解交渉など当該債権の実現に直結する行為を指し、信用情報としての社内共有、他の与信判断への転用、名簿としての提供はこれに含まれないと解される
解釈が分かれる論点:債権譲渡・サービサーへの売却があった場合、譲受人が従前の手続で得られた情報を引き継いで利用できるかは実務上争いがある。回収目的での引継ぎは範囲内と解する余地がある一方、名簿としての転売は明確に禁止行為にあたる
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)改正、令和2年(2020年)4月1日施行 第三者からの情報取得手続(205条から209条)とともに新設。財産開示手続における目的外利用の制限と同趣旨の規律を、新設の情報取得手続にも及ぼし、記録を閲覧した他の債権者まで拘束範囲を広げた
改正の年表
- 1.令和元年(2019年) 新設:民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律により、第三者からの情報取得手続(205条から209条)とともに新設。令和2年(2020年)4月1日施行。財産開示手続における目的外利用の制限と同趣旨の規律を新設の情報取得手続に及ぼし、記録を閲覧した他の債権者まで拘束範囲を広げた
- 民事執行法 第206条給与債権に係る情報取得、勤務先情報の開示根拠
- 民事執行法 第207条預貯金債権等に係る情報取得の根拠
- 民事執行法 第208条情報提供の方法と債務者への通知
- 民事執行法 第209条記録の閲覧等が可能な者の限定、本条2項の主体を画定
- 民事執行法 第213条目的外利用に対する罰則、親告罪(現行効力を要確認)
- 個人情報の保護に関する法律 第18条利用目的による制限の一般法、本条は執行手続の特則
- 民法 第709条目的外利用による損害賠償請求の根拠
- 刑事訴訟法 第235条親告罪の告訴期間6か月の制限
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