民事執行法 第28条(執行文の再度付与等)
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- 執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。
- 2.前項の規定は、少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本又は記録事項証明書を更に交付する場合について準用する。
この条文の基本情報
執行文の再度付与等とは何ですか?
定義執行文の再度付与等とは、民事執行法第28条に定められた規定で、「執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第28条(執行文の再度付与等)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第28条の条文原文は「執行文は、債権の完全な弁済を得るため執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又はこれが滅失したときに限り、更に付与することができる。」で始まります。
- 民事執行法第28条は第一節 総則に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第28条の前の条は民事執行法第27条です。
- 民事執行法第28条の次の条は民事執行法第29条です。
- 民事執行法第28条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第28条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第28条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/28
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法28条は、債権の完全な弁済を得るため債務名義の正本が数通必要なとき、又は正本が滅失したときに限り、執行文を更に付与できると定める規定である。
Q · 判決の正本を無くしたり、預金と給料を同時に差し押さえたい場合、執行文はもう一度もらえますか?
必要性か滅失を疎明できれば再度付与を受けられます
民事執行法28条1項は、債権の完全な弁済を得るために執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又は正本が滅失したときに限り、執行文を更に付与できると定めます。「限り」とある通り例外扱いであり、複数必要な事情や滅失の経緯を裁判所書記官(公正証書なら公証人)に説明する必要があります。同条2項は、少額訴訟の確定判決や仮執行宣言付き支払督促などの正本・記録事項証明書を再交付する場合にこの規律を準用します。
解説
判決で勝った。強制執行のために執行文の付いた債務名義の正本を手に入れた。ところが、相手の預金口座は A 銀行、給与は B 社、不動産は C 県にある。三か所を同時に差し押さえたいのに、手元の正本は一通だけ。ここで多くの人が「一通ずつ順番に回すしかない」と諦める。民事執行法28条は、そうではないと言っている。債権の完全な弁済を得るために正本が数通必要なとき、または正本を紛失・焼失したときに限り、執行文をもう一度付けてもらえる。「限り」という二文字が重要だ。理由なく何通でも取れるわけではなく、複数必要な事情、または滅失した事情を裁判所書記官(または公証人)に説明する必要がある。逆に言えば、その事情を説明できるなら、あなたは同時に複数の財産を押さえにいける。相手が資産を移す前に、一斉に網をかけられるかどうかは、この条文を知っているかどうかで決まる。
法的な位置づけ
民事執行法28条は執行文の再度付与を定める規定である。債権の完全な弁済を得るために執行文の付された債務名義の正本が数通必要であるとき、又は当該正本が滅失したときに限り、更に執行文を付与することができる。2項は、執行文を要しない少額訴訟の確定判決等の正本又は記録事項証明書の再交付に1項を準用する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.相手の財産を洗い出して必要通数を確定する 財産開示手続(民執196条以下)や第三者からの情報取得手続(民執204条以下)で、預金口座、勤務先、不動産、売掛金を一覧化する。執行対象と執行機関ごとに何通の正本が要るかを先に数える
- 2.再度付与の理由を書面で組み立てる 数通必要な場合は、財産が複数箇所に分散し順次執行では完全な弁済に足りない事情を具体的に記載する。滅失の場合は、いつどこでどのように手元から失われたかを時系列で疎明する。曖昧な記載は補正で往復し、その間に相手の資産が動く
- 3.債務名義を作った機関に申し立てる 判決・和解調書なら第一審裁判所の書記官、執行証書なら原本を保存する公証人に申立てをする(民執26条)。手数料と債務者への通知の要否を窓口で確認する
- 4.複数の執行を同日に着手する 付与された複数の正本で、預金差押えと債権差押えを同じ日に申し立てる。一件ずつ先行させると、その通知が債務者への警報となり残りが空振りする
- 5.拒絶されたら異議で争う 書記官が再度付与を拒んだ場合、民事執行法32条の異議申立てを行う。逆に債務者側から執行文付与に対する異議の訴え(民執34条)が起きる可能性も想定しておく
よくある質問 AI による整理
Q1執行文の再度付与とは何ですか?
既に執行文が付された債務名義について、もう一度執行文を付与してもらう手続です。民事執行法28条1項が、数通必要なときと滅失したときの二つの場合に限って認めています。
Q2執行文は何通まで発行できますか?
上限の数は条文に書かれていません。基準は「債権の完全な弁済を得るために必要な通数」であり、必要性を疎明できる範囲でのみ認められます。理由なく複数取ることはできません。
Q3債務名義の正本を紛失したらどうすればいいですか?
民事執行法28条1項後段により、滅失を理由に再度付与を受けられます。判決の記録は裁判所に残るため、正本の再交付を受けたうえで改めて執行文を付けてもらう流れになります。
Q4執行文の再度付与を断られたらどうなりますか?
執行文の付与を拒絶されたときは、民事執行法32条の執行文付与等に関する異議の申立てで争えます。書記官の処分に対し、その所属する裁判所へ申し立てる手続です。
Q5執行文の再度付与はどこに申し立てますか?
債務名義を作成した裁判所の書記官が窓口です。執行証書(公正証書)の場合は、その原本を保存する公証人が付与機関になります(民事執行法26条)。
Q6少額訴訟の判決は執行文がなくても執行できますか?
少額訴訟の確定判決や仮執行宣言付き判決・支払督促は、原則として執行文を要しません(民事執行法25条ただし書)。その代わり28条2項が正本等の再交付に同じ規律を準用します。
Q7預金と給与を同時に差し押さえることはできますか?
できます。執行機関や執行対象が分かれる場合は正本が複数必要になるため、28条1項前段の「数通必要」に当たるとして再度付与を申し立てるのが実務です。
Q8執行文の再度付与に期限はありますか?
申立て自体に期間制限はありません。ただし債務名義の請求権が時効消滅すれば執行できなくなります。確定判決で確定した権利の時効期間は10年です(民法169条1項)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1判決の正本、引っ越しで無くしちゃったんですけど、もう執行できないんですか?
できる。民事執行法28条1項後段が、正本が滅失したときの再度付与を明文で認めている。判決自体は裁判所に記録が残るので、正本の再交付を受け、改めて執行文を付けてもらう流れになる。実務のポイント:申立書に「紛失した」とだけ書くと補正を求められやすい。いつ、どういう状況で手元から失われたかを一段具体的に書くと通りが早い。書記官が見ているのは、二重執行のおそれがないと言えるかどうかである
Q2銀行と給料、両方いっぺんに差し押さえたいんですけど、正本は一通で足りますか?
執行機関が異なる複数の執行を同時に進めるには、それぞれに正本が必要になる場面がある。28条1項前段は、完全な弁済を得るために数通必要なときの再度付与を認めている。実務のポイント:実務では、財産開示手続や第三者からの情報取得手続(民執204条以下)で預金と勤務先を掴んでから、必要通数をまとめて申し立てる。先に一件だけ執行すると、その通知が相手への警報になり、残りが空振りする
Q3少額訴訟で勝ったんですが、判決文をどこかにやってしまいました。これも同じですか?
少額訴訟の確定判決や仮執行宣言付きの判決、支払督促は、原則として執行文なしで執行できる(民執25条ただし書)。そのため28条2項が、正本や記録事項証明書を再度交付する場合について1項の規律を準用している。実務のポイント:執行文が要らない類型ほど「紙一枚が全て」になる。少額訴訟で勝った人ほど、正本をコピーではなく原本のまま保管しているか確認しておくべきである
間違えやすい点 AI による整理
- 「執行文は申し立てれば何通でも出る」と思っている人がいるが、逆である。28条は「限り」と書いて再度付与を例外扱いにしている。数通必要な事情か滅失の事情を示さなければ、書記官は付与を拒む。拒まれた場合は異議の申立て(民執32条)という別ルートに乗る
- 正本を失くした時点で権利そのものが消えると考える人が多いが、失われたのは紙であって、確定判決で確認された債権ではない。ただし深刻なのは時間の方だ。再度付与の手続を回している間に、相手の預金は動き、勤務先も変わる。紙は取り戻せるが、財産の所在情報は取り戻せない
- 「複数の財産を一度に差し押さえるのは、やりすぎで超過差押えになるのでは」と心配する人がいるが、問いの立て方がずれている。28条が認めるのは、完全な弁済に必要な範囲での複数正本であって、無制限の重複執行ではない。超過差押えの禁止(民執128条等)は別の場面で働く歯止めであり、複数正本の取得自体が違法になるわけではない
- 債権者から見れば「回収の効率化」だが、債務者から見れば「同時多発の兵糧攻め」である。この落差を理解していない債務者は、一つ目の差押えを見て「まだ交渉できる」と油断し、翌週に生活口座と給与を同時に止められる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 民執28条:既に付与された執行文を更に付与する(数通必要・滅失) | 民執25条:そもそも執行文が必要か不要かの原則 民執27条:条件成就・承継の場合の特別な付与要件 |
| 要件 | 完全な弁済に数通必要であること、又は正本の滅失 | 債務名義の類型(少額訴訟確定判決・支払督促等は執行文不要) 条件成就または承継の事実を証する文書の提出 |
| 判断する主体 | 裁判所書記官(執行証書は公証人) | 執行機関が債務名義の類型で形式的に判断 裁判所書記官(判決以外は裁判所の許可が要る場合あり) |
| 拒否されたときの手段 | 民執32条の異議申立て | 執行申立ての却下に対する執行抗告 民執32条の異議申立て、民執33条の付与の訴え |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は日本のような執行文制度を持たず、執行名義の正本と確定証明書を執行法院へ提出する方式をとる。複数執行の際の正本交付は正本の交付申請という形で処理される。
韓国は「집행문의 여러 통 부여와 재부여」として、複数通の付与と再付与を同一条文で明文化する。裁判所の許可を要する点で日本より手続的統制が明示的である。
ドイツは追加の執行正本の交付について、債務者の審尋を経ることを原則とし、裁判所の裁量的判断に服させる。日本28条の直接の母法にあたる規律である。
米国は writ of execution を執行対象ごとに裁判所書記官から発給させる方式であり、そもそも「正本の通数」という発想を採らない。複数財産への同時執行は複数の writ の申請で処理される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 貸した300万円の返還判決を得た。相手には給与、預金、軽自動車がある。一通ずつ順に執行していたら、最初の差押えを知った相手が残りを引き出して消す。数通付与を申し立てて、同日に一斉に着手する。これが28条1項前段の「完全な弁済を得るため数通必要」の典型例
- 引っ越しの荷ほどきで、執行文付き判決正本が入った封筒が見当たらない。再発行は無理だと思い込んで放置する人が多いが、滅失を理由に再度付与を受けられる(28条1項後段)。ただし「滅失した」と説明する疎明が要る。捨てたかもしれない、では通らない
- もし、あなたが債務者側で、ある日 A 銀行から差押えの通知が届き、翌日 B 社の給与も止まったとしたら? 相手が数通の執行文を取得して同時着手したということだ。任意の分割弁済交渉をするなら、この段階が最後のタイミングになる
- 少額訴訟で40万円の判決を得たが、判決正本を紛失。少額訴訟の確定判決は執行文なしで執行できる(民執25条ただし書)ため28条1項の直接適用はないが、2項が正本・記録事項証明書の再交付にこの規律を準用する。「執行文がないから再発行できない」という誤解でここが詰まる
- 支払督促で仮執行宣言を得たが、正本を相手の勤務先に送ってしまい手元にない。あと10日で相手が退職する情報が入った。給与差押えを打つには正本が要る。28条2項で再交付を申し立てるか、退職金を狙うか、判断のタイムリミットが目の前にある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 執行に入る前に相手の財産を洗い出す。預金、給与、不動産、売掛金を一覧化し、同時に押さえる必要があるかを判断する2. 複数必要なら、その理由(財産が複数箇所に分散し、順次執行では完全な弁済に足りない事情)を書面で整理し、債務名義を作った裁判所の書記官(公正証書なら公証人)に再度付与を申し立てる3. 紛失の場合は、いつどこで失ったかを時系列で疎明する4. 付与を拒まれたら、執行文付与の申立てに関する異議(民執32条)を検討する
訴えられた側:1. 複数の差押通知が短期間に届いたら、債権者が数通の執行文を取得して同時着手した合図だと読む2. 手元に残る財産と生活の維持を優先し、給与差押えの範囲制限(民執152条、原則4分の1まで、高額給与は別基準)を確認する3. 差押禁止債権の範囲変更の申立て(民執153条)で生活を守る余地がある4. 請求異議(民執35条)や執行文付与に対する異議の訴え(民執34条)で争える事由がないか、弁護士と早期に検討する
時効(請求できる期限):再度付与の申立て自体に特定の期間制限はない。ただし債務名義の元になった請求権が時効消滅すれば執行はできなくなる。確定判決で確定した権利の消滅時効は10年(民法169条1項)。強制執行の申立ては時効の完成猶予事由となる(民法148条)ため、正本の再取得が遅れること自体が時効管理のリスクになる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:28条1項の「数通必要であるとき」は、執行対象財産が複数存在し、それぞれ別個の執行機関または別個の執行手続を要するため、一通の正本では完全な弁済を得られない場合を指すと解される。必要性の判断は書記官の形式的審査に委ねられる。
通説:「滅失」には物理的な焼失・破損のほか、所在不明となった紛失も含まれると解されている。ただし債権者の手元にないことの疎明が求められ、二重執行のおそれがないと評価できることが実質的な要件として機能する。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定に伴い、旧民事訴訟法の強制執行編から執行文に関する規律を独立させ、再度付与の要件を28条として整理した。
- 民事執行法 第25条執行文の要否、執行文不要の類型
- 民事執行法 第26条執行文の付与機関と付与手続
- 民事執行法 第27条条件成就執行文・承継執行文の付与要件
- 民事執行法 第29条債務名義等の送達、執行開始の前提
- 民事執行法 第32条執行文付与を拒まれた場合の異議申立て
- 民事執行法 第34条執行文付与に対する異議の訴え
- 民事訴訟法 第368条少額訴訟手続、2項の準用対象の根拠
- 民事訴訟法 第391条仮執行宣言付き支払督促、2項の準用対象
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