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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月9日読了 8 分8 分8 分

民事執行法 第29条(債務名義等の送達)

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強制執行は、債務名義若しくは確定により債務名義となるべき裁判の正本若しくは謄本又はその債務名義若しくは裁判に係る電磁的記録が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送達されたときに限り、開始することができる。第二十七条の規定により執行文が付与された場合においては、執行文の謄本又は執行文に係る電磁的記録及び同条の規定により債権者が提出した文書の謄本又は電磁的記録に記録されている事項の全部を記録した電磁的記録も、あらかじめ、又は同時に、送達されなければならない。

この条文の基本情報

債務名義等の送達とは何ですか?

定義債務名義等の送達とは、民事執行法第29条に定められた規定で、「強制執行は、債務名義若しくは確定により債務名義となるべき裁判の正本若しくは謄本又はその債務名義若しくは裁判に係る電磁的記録が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 民事執行法第29条(債務名義等の送達)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
  2. 民事執行法第29条の条文原文は「強制執行は、債務名義若しくは確定により債務名義となるべき裁判の正本若しくは謄本又はその債務名義若しくは裁判に係る電磁的記録が、あらかじめ、又は同時に、債務者に送…」で始まります。
  3. 民事執行法第29条は第一節 総則に置かれています。
  4. 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
  5. 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
  6. 民事執行法第29条の前の条は民事執行法第28条です。
  7. 民事執行法第29条の次の条は民事執行法第30条です。
  8. 民事執行法第29条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第29条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004
  • 本サイト収録民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第29条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/29

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点民事執行法29条は、債務名義の正本・謄本または電磁的記録が、あらかじめ又は同時に債務者へ送達されたときに限り強制執行を開始できると定める。事後の送達では瑕疵は治癒されない。

Q · 勝訴判決が確定したら、すぐに相手の口座を差し押さえられますか?

できません。債務名義の送達が先に必要です

民事執行法29条により、強制執行は債務名義の正本・謄本または電磁的記録が、あらかじめ又は同時に債務者へ送達されたときに限り開始できます。判決の確定だけでは足りず、26条の執行文付与と29条の送達という二つの関門を経て初めて差押命令を申し立てられます。送達を欠いたまま開始された執行は違法であり、執行異議(11条)により執行処分が取り消されます。執行開始後に送達しても瑕疵は治癒されません。

解説

勝訴判決を手にした瞬間、多くの人は「これで相手の口座を差し押さえられる」と考える。だが民事執行法29条は、その前に一枚の関門を置いている。債務名義(判決正本、和解調書、公正証書など、強制執行の根拠になる文書)が債務者本人に送達されていなければ、執行は一歩も動かせない。しかも送達は「あらかじめ、又は同時に」でなければならない。執行が始まった後に慌てて送達しても、その執行は違法として取り消される。あなたが債権者なら、判決確定の直後に真っ先にやるべきは執行文の付与申請と送達証明書の取得であり、差押命令の申立てではない。逆にあなたが債務者なら、身に覚えのない差押えを受けたとき最初に確認すべきは「債務名義は自分に送達されていたか」だ。送達が欠けていれば、執行異議(11条)で執行そのものを止められる。判決の中身を争う話ではなく、手続の入口で崩す話である。

法的な位置づけ

民事執行法29条は、強制執行の開始要件として債務名義の送達を定める規定である。債務名義又は確定により債務名義となるべき裁判の正本・謄本もしくは電磁的記録が、あらかじめ又は同時に債務者へ送達されたことを要し、27条により執行文が付与された場合には、執行文の謄本等及び債権者提出文書の謄本等の送達も開始要件となる。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.債務名義を作成した機関を特定する 判決なら判決を出した裁判所、和解調書・調停調書ならその手続を行った裁判所、公正証書なら作成した公証役場が窓口になる。差押えを申し立てる執行裁判所とは別の窓口である点に注意する
  2. 2.執行文の付与と送達証明書を同時に申請する 民事執行法26条の執行文付与申請と、29条の送達を証明する送達証明書の交付申請を同一窓口で同時に行う。申請書に両方を記載すれば窓口への往復が一度で済む
  3. 3.未送達なら送達の申立てを行う 債務名義が債務者に未送達であれば、作成機関に送達の申立てを行い送達完了を待つ。転居等で不送達となった場合は、住民票の職務上請求、就業場所への送達、最終手段として公示送達(民事訴訟法110条以下)を検討する
  4. 4.27条の執行文なら追加送達を忘れない 条件成就執行文・承継執行文が付与された場合は、執行文の謄本または電磁的記録に加え、債権者が提出した文書の謄本等も、あらかじめ又は同時に送達しなければならない。この追加送達の漏れが実務上の典型的な失敗である
  5. 5.執行裁判所へ差押命令を申し立てる 執行文の付いた債務名義正本と送達証明書を揃え、執行裁判所へ差押命令を申し立てる。送達がまだの場合でも「同時送達」で要件を満たせるため、申立てと送達手続を並行させる設計が可能
  6. 6.債務者側は記録閲覧で送達の適法性を確認する 差押命令を受け取ったら、その日のうちに執行裁判所で事件記録を閲覧し、送達報告書の送達日・送達場所・送達方法・受領者の氏名と本人との関係を確認する。旧住所宛て、同居していない者への交付といった瑕疵があれば執行異議(11条)を申し立てる

よくある質問 AI による整理

Q1債務名義とは何ですか?

強制執行の根拠となる文書のことです。確定判決、仮執行宣言付判決、和解調書、調停調書、強制執行認諾文言付公正証書などが該当し、種類は民事執行法22条に列挙されています。

Q2強制執行の開始要件は何ですか?

執行力のある債務名義の正本(26条の執行文付与)と、債務名義の債務者への送達(29条)の二つです。両方が揃って初めて執行裁判所へ差押命令を申し立てられます。

Q3執行文の付与はいつ必要ですか?

原則としてすべての強制執行の前に必要です。債務名義を作成した裁判所の書記官または公証人に申請し、債務名義の正本末尾に執行力がある旨を付記してもらいます。

Q4公正証書で強制執行するにも送達は必要ですか?

必要です。作成時に謄本の交付を受けているだけでは足りず、執行のための送達手続を公証人に別途申し立て、送達証明書を取得する必要があります。

Q5債務名義の送達はいつまでに必要ですか?

強制執行の開始「前」または「同時」であることが要件です。執行開始後に送達しても要件は満たされず、その執行は違法として取り消されます。

Q6差押えを止める方法はありますか?

手続の瑕疵を争うなら執行異議(11条)、債権そのものを争うなら請求異議の訴え(35条)です。給与差押えなら差押禁止債権の範囲変更(153条)も検討できます。

Q7送達を欠いた差押えはどうなりますか?

開始要件を欠く違法な執行として、執行異議により執行処分が取り消されます。差押えの効力が失われると、その間に他の債権者が入り回収順位が変わることもあります。

Q8養育費の差押えにも債務名義の送達は必要ですか?

必要です。調停調書や審判書も債務名義であり、29条の送達要件が適用されます。元配偶者が転居して所在不明なら、住所調査から始めることになります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1送達証明書ってどこでもらえるんですか、裁判所ならどこでもいいんですか?

債務名義を作った機関で取ります。判決なら判決を出した裁判所の書記官、和解調書なら和解した裁判所、公正証書なら作成した公証役場です。執行を申し立てる執行裁判所とは別の窓口になることが多い。実務のポイント:執行文付与(26条)と送達証明書は同じ窓口で同時に申請できます。二度手間を避けるため、最初の申請書に両方を書く。窓口で「執行文と送達証明、両方お願いします」と言えるかどうかで、往復一回分の時間が変わる

Q2相手が引っ越して住所が分からない場合、送達できないから執行は諦めるしかないですか?

諦める必要はありません。住民票の写しの職務上請求や、就業場所への送達、最終手段として公示送達(民事訴訟法110条以下)という方法があります。公示送達は裁判所の掲示場に掲示することで送達の効力を生じさせる制度です。実務のポイント:公示送達で執行まで進めても、後から債務者が現れて追完上訴や再審を申し立てるリスクが残ります。回収した金銭を返さねばならない事態もあり得る。所在調査に費用をかけてでも実際の送達を試みる方が、最終的な回収の安定性は高い

Q3差押えを受けたんですが、判決が送られてきた記憶がありません。これで止められますか?

止められる可能性があります。29条の送達を欠いた執行は違法であり、執行異議(11条)の対象になります。ただし「補充送達」といって同居の家族や従業員が受け取っていれば、本人が実際に読んでいなくても送達は有効です。まず執行裁判所で記録を閲覧し、送達報告書を確認してください。実務のポイント:送達報告書には受領者の氏名と本人との関係が記載されています。ここに実際には同居していない人物や、そもそも知らない名前が書かれているケースが実務では時々出てくる。この一行が執行を覆す糸口になる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「判決が確定すればすぐ差押えできる」と思われているが、確定は出発点にすぎない。執行文の付与(26条)と債務名義の送達(29条)という二つの手続を経て初めて執行が開始できる。この二段階を知らずに申立てをして却下される債権者は珍しくない
  • 送達が必要なことは知っていても、その欠缺が持つ意味の重さを見落としている人が多い。送達を欠いた執行は単なる形式ミスではなく、執行処分そのものが取り消される瑕疵である。差押えの効力が遡って失われれば、その間に他の債権者が入ってきて回収順位が入れ替わることもある
  • 債務者から見れば「争うなら判決の中身を覆すしかない」と映るが、法律から見れば執行手続の適法性は判決の当否とは完全に別の土俵にある。この土俵の違いを知らないまま、勝ち目の薄い再審だけを検討して、手続違背という近道を見落とす
  • 「執行文も送達も弁護士がやること」と思われているが、送達証明書の申請自体は当事者本人が裁判所の窓口でできる簡素な手続である。手続の存在を知っているかどうかだけが分かれ目になる
比較の観点この条文ほかの条文
条文の役割民執29条:債務名義の送達(執行開始の要件)民執26条:執行文の付与(執行力の公証)
民執11条:執行異議(違法執行の救済)
手続を担う機関債務名義を作成した裁判所書記官・公証人(送達の実施と証明)事件記録の存する裁判所書記官・公証人(執行文の付記)
執行裁判所(執行処分の当否を判断)
欠けたときの効果執行開始が違法となり、執行処分が取り消される。事後送達では治癒されない執行力が証明されず、差押命令の申立てが却下される
救済手段そのものであり、申立てにより違法な執行処分を取り消す
争える対象送達の有無・時期・場所・方法という手続の適法性執行力の存否、条件成就・承継の有無
執行処分の手続違背全般(実体的不服は35条の請求異議の訴え)

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
強制執行法第6條

台湾は債務名義の事前送達ではなく、判決正本と確定証明書等の提出を執行開始の入口要件とする。債務者への告知は執行開始後の通知で担保する設計であり、日本の29条とは保障のタイミングが異なる

韓国
민사집행법 제39조(집행개시의 요건)

韓国は日本法を経由して同じ構造を採用し、集行権原が「미리 또는 동시에」送達されたときにのみ執行を開始できると定める。条文の文言・要件構成ともに日本の29条と極めて近い

ドイツ
ZPO § 750

本条の直接の母法。判決が既に送達されているか同時に送達されることを執行開始の要件とし、執行文の付与と併せて債務者の手続保障を確保する。日本法はこの二段構えをそのまま継受した

アメリカ
Fed. R. Civ. P. 69

米国は判決執行の手続を原則として州法に委ね、債務名義の事前送達を一律の開始要件とはしない。債務者の保護は Due Process 上の告知・聴聞要求と、州法上の exemption(差押禁止財産)制度が担う

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 貸金の返還請求で勝訴判決を取り、相手の給与を差し押さえようと裁判所に行った。窓口で「送達証明書は?」と聞かれ、何のことか分からず出直しになる。判決正本は自分に届いているが、相手に届いたことを証明する書面は別途、判決を出した裁判所の書記官に申請しないと出ない
  • ある朝、銀行から「預金が差し押さえられました」と連絡が来た。訴訟をされた覚えもない。調べると、公示送達で判決が出ていた。この場合でも29条の送達要件は形式上満たされている。争うなら追完上訴や再審の道になり、執行異議だけでは足りない
  • 強制執行認諾文言付きの公正証書で分割払いの約束をしていたが、支払いが止まった。債権者が執行に踏み切る。この場合、公正証書の謄本が債務者に送達されている必要がある。公証役場で作成時に交付を受けているだけでは足りず、執行のための送達手続が別に要る
  • もし、判決から10年が経とうとしていて、あと3か月で時効が完成するとしたら? 差押えを急ぎたいが、執行文付与と送達で数週間かかる。送達が空振り(相手が転居)すれば、住所調査からやり直し。時効完成に間に合わせるには、逆算して動くしかない
  • 債務者側として、突然の差押えに焦っている。まず取るべき行動は、執行裁判所で差押命令の記録を閲覧し、債務名義がいつ、どの住所に、どう送達されたかを確認すること。旧住所への送達で自分が受け取っていなければ、崩せる可能性がある

取るべき行動

被害を受けた側:債権者側の手順:1. 判決正本を受け取ったら、その裁判所の書記官に執行文付与を申請(26条)2. 同じ窓口で送達証明書を申請、債務名義が債務者に送達済みであることを証明する書面を得る3. 未送達なら送達申請を行い、送達完了を待つ4. 執行文・送達証明書・債務名義正本を揃えて執行裁判所へ差押命令を申し立てる5. 相手が所在不明なら、住民票の職務上請求や公示送達を検討。この段階で司法書士・弁護士に相談すると早い

訴えられた側:債務者側の手順:1. 差押命令が届いたら、まず執行裁判所で事件記録を閲覧し、債務名義の種類と送達日・送達場所・送達方法を確認2. 自分が受け取っていない、旧住所宛て、同居していない者への交付といった事情があれば、執行異議(11条)または執行抗告を申し立てる3. 送達自体は適法だが判決内容に不服がある場合は、請求異議の訴え(35条)という別ルートを検討4. 給与差押えは生活に直結するため、差押禁止債権の範囲変更(153条)の申立ても並行して検討する

時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。送達は執行開始「前」または「同時」であることが要件であり、事後の送達では治癒されない。関連する時間圧としては、確定判決に基づく請求権の消滅時効は10年(民法169条)。執行異議(11条)に法定の申立期間はないが、執行手続が終了すると救済の実益が失われるため、差押命令の送達を受けた直後に動くこと

学説

通説:29条の送達は債務者に対する手続保障の中核であり、執行開始要件として執行機関が職権で調査すべき事項と解される。送達を欠く執行処分は違法であり、執行異議(11条)により取り消される

通説:「あらかじめ、又は同時に」という時期的要件は厳格に解され、執行開始後の送達では瑕疵は治癒されない。債務者が事実上内容を知っていたという事情も、原則として要件充足を基礎づけない

実務の理解:補充送達により同居者や従業員が受領していれば、債務者本人が現実に了知していなくても送達は有効とされる。そのため争点は「本人が読んだか」ではなく「送達報告書上の受領者が要件を満たす者か」に移る

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.明治23年(1890年) 新設:旧民事訴訟法の執行編において、ドイツ ZPO § 750の構造を継受し、債務名義の事前送達を執行開始要件とする規定が置かれた
  2. 2.昭和54年(1979年) 新設:民事訴訟法から執行手続を分離して民事執行法を制定。執行開始要件としての債務名義の送達が第29条として整理され、27条の執行文に係る追加送達義務も明文化された
  3. 3.令和5年(2023年) 改正:民事関係手続のデジタル化に伴う整備により、送達対象に電磁的記録が加えられた。執行文及び債権者提出文書についても、謄本に加え電磁的記録に記録された事項の全部を記録した電磁的記録が送達対象となった

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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