要点民事執行法 35 条は、債務名義への実体的異議がある債務者が強制執行の不許を求める請求異議の訴えを定める。確定判決では異議事由が口頭弁論終結後の事由に限られる。
Q · もう完済したのに、古い判決で差し押さえられました。止められますか?
訴えは起こせるが、それだけでは差押えは止まらない
民事執行法 35 条の請求異議の訴えにより、判決確定後の弁済・相殺・消滅時効の完成などを理由に「この債務名義による強制執行は許すな」と裁判所に求められます。ただし確定判決の場合、異議事由は口頭弁論終結後に生じたものに限られます(2 項)。最大の注意点は、訴えを起こしただけでは執行は止まらないことです。止めるには 36 条の執行停止の裁判を別に申し立て、多くは担保を積む必要があります。執行が取立てまで完了すると訴えの利益が失われるため、初動の速さが結果を分けます。
十年前の借金訴訟で負けて判決が確定した。その後あなたは全額返した。ところが今日、債権者が古いあの判決を持ち出して、あなたの給料の差押えを申し立ててきた。すでに払ったのに、なぜ強制執行が動くのか。答えは、裁判所は「判決という紙(債務名義)」を見て執行するのであって、その後あなたが払ったかどうかを自動では確認しないからだ。ここで登場するのが民事執行法 35 条の請求異議の訴えである。判決確定後に弁済・相殺・免除・時効完成といった事情が生じたなら、あなたは債務者側から訴えを起こし、「この債務名義での強制執行は許すな」と裁判所に求められる。ただし確定判決については、主張できる事由は口頭弁論終結後に生じたものに限られる(2 項)。前の裁判で言えたはずの話を蒸し返すことはできない。そして最大の罠は、この訴えを起こしただけでは差押えは止まらないことだ。止めるには別途、執行停止の裁判(36 条)を取りにいく必要がある。
民事執行法 35 条は請求異議の訴えを定める規定であり、債務名義に係る請求権の存在または内容に異議のある債務者が、強制執行の不許を求めて提起する訴えを規律する。確定判決の場合、異議事由は口頭弁論終結後に生じたものに限定され、既判力による遮断を受ける。
AI 輔助整理,以條文原文為準
債務名義に係る請求権の存在や内容に異議のある債務者が、その債務名義による強制執行の不許を求めて提起する訴えです(民事執行法 35 条)。弁済・相殺・時効完成などが異議事由になります。
原則として債務名義を作成した裁判所(第一審の受訴裁判所)などが管轄です。33 条 2 項が準用され、債務名義の種類ごとに管轄裁判所が定まります。
金額は事案により裁判所が個別に定めます。差押債権額や損害の見込みを基準に保証金の額が決まり、担保なしで停止が認められることは多くありません。
着手金と報酬は請求額により幅があります。執行停止の申立てや担保供託の実費も別途生じます。差押え直後の迅速な相談が費用対効果を高めます。
35 条は請求権の実体(弁済・時効等)を争い、34 条は執行文付与の当否(条件成就や承継の有無)を争います。争う対象が実体か手続要件かで区別されます。
35 条は債務名義上の債務者が請求権を争うのに対し、38 条の第三者異議は、差押えの目的物が第三者の所有であることなどを理由に第三者が執行の排除を求める訴えです。
できます。判決確定後に時効が完成し援用した場合、それは口頭弁論終結後の事由なので確定判決でも請求異議で主張できます。時効更新の有無の確認が前提になります。
できます。裁判上の和解調書・調停調書も債務名義なので、成立後の弁済等を請求異議で主張できます。既判力の範囲は債務名義の種類により異なります。
止まりません。ここが最大の誤解です。35 条の訴えを提起しても執行停止の効力はなく、別に執行停止の裁判(36 条)を申し立て、通常は担保を積む必要があります。業界裏話ヒント:担保なしで停止が認められることは少なく、しかも執行が取立てや配当まで進んでしまうと、後で本訴に勝っても取られた金は戻らず訴え自体が却下される。弁護士は請求異議と執行停止を必ず同時に、かつ差押え直後の数日で動かす。この初動の速さが結果を左右する
確定判決の場合は言えません。異議事由は口頭弁論終結後に生じたものに限られます(35 条 2 項)。終結前の弁済は前の裁判で主張すべきだったとされ、既判力で遮断されます。業界裏話ヒント:ただし債務名義が執行認諾文言付きの公正証書なら話は逆。公正証書には既判力がないので、作成前の弁済や相殺、さらには作成手続の瑕疵まで請求異議で主張できる。まず自分の紙が判決か公正証書かを確認するのが最初の分岐点です
争えます。公正証書(執行証書)は債務名義なので執行できますが、確定判決のような既判力がないため、請求異議の訴えでは弁済済みの事実などを幅広く主張できます。35 条 1 項後段は、裁判以外の債務名義の成立に異議がある債務者も同様に訴えられると定めます。業界裏話ヒント:公正証書は既判力の壁がない分、確定判決より覆しやすい局面がある。振込履歴・領収書といった弁済の証拠さえ揃えば、裁判を一度も経ていないからこそ、実体審理で一から争える
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 争う対象 | 民執 35 条:請求権の実体(弁済・相殺・時効完成等) | — |
| 訴えを起こす人 | 債務名義上の債務者 | — |
| 確定判決での事由制限 | 口頭弁論終結後に生じた事由に限る(2 項) | — |
| 執行を止める手段 | 36 条の執行停止の裁判が別途必要 | — |
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