民事執行法 第86条の2(売却代金)
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- 売却代金は、次に掲げるものとする。
- 一不動産の代金
- 二第六十三条第二項第二号の規定により提供した保証のうち申出額から代金の額を控除した残額に相当するもの
- 三第八十条第一項後段の規定により買受人が返還を請求することができない保証
- 2.第六十一条の規定により不動産が一括して売却された場合において、各不動産ごとに売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各不動産の売却基準価額に応じて案分して得た額とする。各不動産ごとの執行費用の負担についても、同様とする。
- 3.第七十八条第三項の規定は、第一項第二号又は第三号に規定する保証が金銭の納付以外の方法で提供されている場合の換価について準用する。
この条文の基本情報
売却代金とは何ですか?
定義売却代金とは、民事執行法第86条の2に定められた規定で、「売却代金は、次に掲げるものとする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第86条の2(売却代金)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第86条の2の条文原文は「売却代金は、次に掲げるものとする。」で始まります。
- 民事執行法第86条の2は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第86条の2の前の条は民事執行法第86条です。
- 民事執行法第86条の2の次の条は民事執行法第87条です。
- 民事執行法第86条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第86条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第86条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/86_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法86条の2は、売却代金を不動産の代金・差押債権者の保証の残額・返還請求できない保証の三つと定める。一括売却時は売却基準価額に応じて按分する。
Q · 競売で買受人が代金を払わなかったとき、没収された保証金はどこへ行くの?
国庫ではなく、売却代金として債権者への配当原資になります
民事執行法86条の2第1項は、売却代金を三つに整理します。①不動産の代金、②63条2項2号により差押債権者が提供した保証のうち申出額から代金額を控除した残額、③80条1項後段により買受人が返還を請求できない保証(代金不納付で失権した際の保証)です。したがって没収された保証は国庫に入るのではなく、配当原資に合流します。また2項により、61条の一括売却で各不動産ごとの売却代金を定める必要があるときは、総額を各不動産の売却基準価額に応じて按分し、執行費用の負担も同じ比率によります。
解説
競売で不動産を落札した。代金を納めた。そこで終わりだと思っているなら、この条文はあなたの想定より広い範囲を「売却代金」に組み込んでいる。まず、落札者が納める不動産の代金そのもの。次に、次順位買受申出人が積んだ保証金のうち、申出額から実際の代金を引いた残りに相当する部分。そして、代金を納めずに買受けの効力を失った買受人が返還請求できなくなった保証金(80条1項後段、いわゆる没収された保証金)。この三つがひとつの原資に合流し、債権者への配当原資になる。あなたが債権者なら、配当表を見て「代金額より配当原資が多い」と気付くことがある。その差額の正体がここにある。逆にあなたが代金を納めなかった買受人なら、失った保証金は国庫に入るのではなく、あなたを追い出した債権者たちの取り分になっている。さらに2項が効いてくる。複数の不動産を一括売却した場合、総額をどう各物件に割り振るかは売却基準価額の比で按分する。この按分比が、後順位抵当権者にとっては配当の有無を分ける計算式になる。
法的な位置づけ
民事執行法86条の2は売却代金の範囲を定める規定であり、不動産の代金、63条2項2号により提供された保証のうち申出額から代金額を控除した残額、80条1項後段により返還を請求できない保証の三者を売却代金とする。一括売却の場合は総額を各不動産の売却基準価額に応じて按分し、執行費用の負担も同一の比率による。
よくある質問 AI による整理
Q1民事執行法の売却代金とは何ですか?
競売で債権者に配当する原資のことです。86条の2は、不動産の代金、63条2項2号の保証のうち申出額から代金額を控除した残額、80条1項後段で返還されない保証の三つを売却代金と定めています。
Q2競売の入札には保証金がいくら必要ですか?
原則として売却基準価額の2割に相当する額の保証提供が必要です(民事執行規則の定めによる原則)。実際の額は裁判所の売却実施処分および物件明細の公告で必ず確認してください。
Q3競売で代金を納付しないとどうなりますか?
80条1項により買受けの効力を失い、提供した保証の返還を請求できません。物件は再売却手続に回り、返還されない保証は86条の2第1項3号により売却代金となります。
Q4競売の一括売却とは何ですか?
61条により、相互の利用上一括して売却することが相当な複数の不動産をまとめて売却する扱いです。この場合、各不動産の売却代金は総額を売却基準価額で按分して算出します。
Q5売却基準価額と買受可能価額の違いは何ですか?
売却基準価額は評価人の評価に基づき裁判所が定める基準額、買受可能価額はその8割に当たる入札の下限額です(60条)。按分の基準になるのは買受可能価額ではなく売却基準価額です。
Q6競売の執行費用は誰が負担しますか?
手続に要した執行費用は売却代金から優先的に償還されます。一括売却で各不動産ごとに負担を定める必要があるときは、86条の2第2項により売却基準価額に応じた按分となります。
Q7配当異議はいつまでに出せますか?
配当異議の申出は配当期日に出頭してする必要があり、異議が完結しない場合は配当期日から1週間以内に配当異議の訴えを提起しなければなりません(89条・90条)。
Q8次順位買受けの申出とは何ですか?
最高価買受申出人に次ぐ入札者が、買受人の代金不納付を条件に自ら買い受ける旨を申し出る制度です(67条・80条2項)。86条の2第1項2号の差押債権者の保証とは別の制度です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1落札したけど融資が下りなくて代金が払えません。保証金は少しでも戻りますか?
戻りません。80条1項後段により返還請求できず、その保証金は本条1項3号で売却代金の一部となり債権者への配当に回ります。実務のポイント:不動産競売の実務では、入札前に金融機関から融資可能額の内諾を取っておくのが定石です。競売物件は内見できないため融資審査が慎重になり、期限内に実行されないケースが実際にある。入札額の設定より、融資実行日の確定を先に固める
Q2土地と建物がまとめて売れました。私の抵当権は土地だけなんですが、いくらもらえますか?
2項により、売却代金の総額を各不動産の売却基準価額に応じて按分した額が土地分の売却代金になり、それを原資に配当されます。執行費用も同じ比率で負担します。実務のポイント:按分の基準は落札価格ではなく売却基準価額です。この価額は評価人の評価書に基づいて決まるので、配当を左右したいなら評価段階で動くしかない。落札後に按分結果だけ見て争っても、計算式は既に確定している
Q3保証金を現金じゃなく銀行の保証委託契約で出していた場合はどうなりますか?
3項が78条3項を準用しており、金銭以外の方法で提供された保証は換価されて売却代金に組み込まれます。現金と同じ扱いに落ち着く仕組みです。実務のポイント:支払保証委託契約で保証を提供すると入札時の現金負担は軽くなりますが、代金不納付になれば保証会社から求償されるため最終的な負担は変わりません。「現金を用意しなくていい=リスクが小さい」ではない
間違えやすい点 AI による整理
- 代金を納めなかった買受人の保証金は「裁判所が没収する」「国庫に入る」と理解されがちだが、行き先はまったく違う。1項3号により、それは売却代金の一部として債権者への配当原資になる。つまりあなたが失った600万円は、あなたが買おうとした物件の債権者の懐に入る。ペナルティではなく、損害の穴埋めという性質だ
- 一括売却の按分ルールを知っている人でも、その深刻さを見誤っている。按分の基準は落札価格でも固定資産評価額でもなく、売却基準価額(民事執行法60条)だ。この価額は評価人の評価書に基づいて裁判所が定める。つまり配当の分け前を左右する数字は、入札が始まるはるか前、評価書が出た時点でほぼ確定している。入札結果を見てから争っても遅い
- 「一括売却は物件がまとめて売れるだけで、権利関係には影響しない」と思っている抵当権者は多い。だが2項は執行費用の負担も同じ按分比で振り分けると定めている。自分の担保物件の売却基準価額が相対的に低ければ、受け取る配当は少なく、それでいて費用は按分負担する。全体から見た自分の物件の位置が、そのまま取り分になる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 86条の2:配当原資となる売却代金の範囲と一括売却時の按分 | 80条:代金不納付による失権と保証の不返還 84条:売却代金を原資とする配当等の実施 |
| 保証の扱い | 返還されない保証・申出額との差額を売却代金に算入する(入口) | 返還請求権を失わせる(原因) 算入後の原資を各債権者へ分配する(出口) |
| 効果が問題になる時点 | 配当原資の確定時(配当表作成の前提) | 代金納付期限の経過時 配当期日 |
| 主に影響を受ける者 | 全債権者(配当原資の総額が変わる) | 代金を納付しなかった買受人 各順位の債権者・剰余があれば債務者 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も買受人が代金を納付しない場合に保証金を返還せず、再競売の減価差額と費用に充当する構造を採る。複数不動産の合併競売も認められている
韓国も配当すべき金額に、代金のほか没取された保証金等を含める旨を条文上列挙する。日本法と同様に配当原資を明文で構成する立法方式
ドイツも配当原資(Teilungsmasse)を条文上構成するが、配当については優先主義を採り、差押えの先後が取り分を左右する点で日本の平等主義と異なる
米国は州法ごとに扱いが分かれ、落札後に代金を納付しない入札者の deposit は forfeit され、再売却の差損と費用に充当されるのが一般的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 土地と建物と隣接する駐車場、三筆をまとめて一括売却された。あなたは駐車場だけに抵当権を持つ後順位債権者だ。総額8,000万円のうち、駐車場にいくら割り振られるかで、あなたの配当はゼロにも数百万円にもなる。決め手は落札価格の交渉ではなく、売却基準価額がいくらで設定されていたか。評価書の段階で異議を出せたかどうかが、ここで効いてくる
- 買受人が代金納付期限を守れず、保証金が没収された。あなたは第一順位の抵当権者。この没収された保証金は、再売却の手続とは別に、売却代金として配当原資に組み込まれる。「不成立だったから何も戻ってこない」と諦める必要はない
- もし次順位買受申出人として申出額を高めに設定していたら、どうなるか。あなたが1,000万円で申出、実際に落札者が代金を納めず、あなたが買受人になった。あなたの納める代金は落札額基準ではなく、あなたの申出額に基づく。申出額と保証金の差が売却代金に流れ込む構造を理解していないと、資金計画が狂う
- 代金納付期限まであと7日。融資実行が間に合いそうにない。ここで納付を諦めた場合、あなたが積んだ保証金(原則として売却基準価額の2割)は返ってこない。3,000万円の物件なら600万円が消え、それが債権者への配当に回る。期限延長の制度はない、というのが実務の答えだ
取るべき行動
被害を受けた側:債権者として配当を待つ立場なら、1. 一括売却の可能性が出た段階で各物件の売却基準価額を確認、自分の担保物件の評価が低すぎないか評価書を精査する2. 買受人の代金不納付があった場合、没収保証金が売却代金に算入されているか配当表で確認3. 配当表に疑義があれば配当期日に出頭して配当異議の申出を行う。書面提出だけでは足りない4. 異議が容れられなければ配当異議の訴えの提起期限を確認する
訴えられた側:買受人として代金納付が危うい立場なら、1. 納付期限は延長制度がないことを前提に、融資実行日から逆算して入札する2. 納付不能が確実になった時点で、保証金全額が戻らないことを踏まえ、第三者への転売可能性や資金調達の代替手段を最優先で検討3. 保証金を金銭以外(支払保証委託契約等)で提供している場合、3項により78条3項が準用され換価される点を確認4. 次順位買受申出をする側なら、申出額と保証金の関係を事前に試算しておく
時効(請求できる期限):配当異議の申出は配当期日にしなければならず、異議が完結しない場合は配当期日から1週間以内に配当異議の訴えを提起する必要がある(民事執行法90条6項)。代金納付期限は裁判所が定めた日で、延長の制度はない(同法78条1項)
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