民事執行法 第87条(配当等を受けるべき債権者の範囲)
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- 売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。
- 一差押債権者(配当要求の終期までに強制競売又は一般の先取特権の実行としての競売の申立てをした差押債権者に限る。)
- 二配当要求の終期までに配当要求をした債権者
- 三差押え(最初の強制競売の開始決定に係る差押えをいう。次号において同じ。)の登記前に登記された仮差押えの債権者
- 四差押えの登記前に登記(民事保全法第五十三条第二項に規定する仮処分による仮登記を含む。)がされた先取特権(第一号又は第二号に掲げる債権者が有する一般の先取特権を除く。)、質権又は抵当権で売却により消滅するものを有する債権者(その抵当権に係る抵当証券の所持人を含む。)
- 2.前項第四号に掲げる債権者の権利が仮差押えの登記後に登記されたものである場合には、その債権者は、仮差押債権者が本案の訴訟において敗訴し、又は仮差押えがその効力を失つたときに限り、配当等を受けることができる。
- 3.差押えに係る強制競売の手続が停止され、第四十七条第六項の規定による手続を続行する旨の裁判がある場合において、執行を停止された差押債権者がその停止に係る訴訟等において敗訴したときは、差押えの登記後続行の裁判に係る差押えの登記前に登記された第一項第四号に規定する権利を有する債権者は、配当等を受けることができる。
この条文の基本情報
配当等を受けるべき債権者の範囲とは何ですか?
定義配当等を受けるべき債権者の範囲とは、民事執行法第87条に定められた規定で、「売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第87条(配当等を受けるべき債権者の範囲)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第87条の条文原文は「売却代金の配当等を受けるべき債権者は、次に掲げる者とする。」で始まります。
- 民事執行法第87条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第87条の前の条は民事執行法第86条の2です。
- 民事執行法第87条の次の条は民事執行法第88条です。
- 民事執行法第87条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第87条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第87条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/87
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法87条は、不動産競売の配当を受けられる債権者を四類型に限定する。抵当権者等は登記で当然に、一般債権者は配当要求の終期までに配当要求をしなければ配当を受けられない。
Q · 他人が競売を申し立てた不動産でも、私の貸金を配当してもらえるの?
抵当権者は自動、一般債権者は終期までの配当要求が必要
民事執行法87条により、競売の売却代金の配当を受けられるのは、差押債権者、配当要求の終期までに配当要求をした債権者、登記された仮差押債権者、売却で消滅する抵当権等を持つ債権者の四類型です。抵当権者は登記があれば配当要求なしで当然に配当されますが、判決や公正証書しか持たない一般債権者は、終期までに配当要求をしなければ配当表に載りません。終期を一日でも過ぎれば、正当な債権でも配当は受けられません。
解説
友人に300万円を貸し、公正証書まで作った。だが相手は姿を消し、めぼしい財産も見当たらない。ところがある日、その相手名義のマンションが銀行の抵当権実行で競売にかかっていると知る。ここであなたが取るべき行動を決めるのが、この87条だ。売却代金の分け前(配当)を受け取れる債権者は、この条文が列挙した四種類に限られる。競売を申し立てた差押債権者、配当要求の終期までに手を挙げた債権者、登記された仮差押えの債権者、そして売却で消える抵当権・質権・先取特権を持つ債権者。抵当権者は何もしなくても自動的にこの列に並ぶが、あなたのような一般債権者は、債務名義を用意して「配当要求」をしない限り列に入れない。しかも締切(配当要求の終期)を一日でも過ぎれば、あなたの債権がどれほど正当でも、配当表にあなたの名前は載らない。売却代金は、列に並んだ者だけで山分けされる。
法的な位置づけ
民事執行法87条は、不動産競売の売却代金から配当等を受けるべき債権者の範囲を定める規定である。差押債権者、配当要求の終期までに配当要求をした債権者、登記された仮差押債権者、売却により消滅する担保権者の四類型を列挙し、抵当権者等は登記により当然に、一般債権者は配当要求により配当加入する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.登記簿と競売事件記録を確認 対象不動産の登記簿を取得し、執行裁判所の競売事件記録を閲覧して、既に競売が始まっているか、配当要求の終期はいつかを特定する。終期は公告されるだけで個別通知は来ない
- 2.債務名義を用意する 確定判決、仮執行宣言付支払督促、執行証書(公正証書)などの債務名義がなければ最優先で取得する。一般債権者は債務名義がなければ配当要求できない
- 3.終期までに配当要求を提出 配当要求の終期までに、執行裁判所へ配当要求書と債権計算書を提出する(民執51条)。一日でも過ぎれば不適法として扱われ、配当表に載らない
- 4.担保権者は登記を確認(配当要求は不要) 抵当権者・質権者・登記済先取特権者は、配当要求なしで当然に配当される。ただし自分の登記が仮差押えの登記より後でないかを確認する。後なら2項により劣後の可能性がある
よくある質問 AI による整理
Q1民事執行法87条とは何ですか?
不動産競売の売却代金の配当を受けられる債権者の範囲を定める規定です。差押債権者、配当要求債権者、登記された仮差押債権者、売却で消滅する担保権者の四類型を列挙します。
Q2配当要求の終期とは何ですか?
裁判所書記官が定めて公告する、配当要求ができる最終期限です。競売手続の比較的早い段階で設定され、経過後は正当な債権でも配当要求できません(民執49条)。
Q3配当要求ができる債権者の範囲は?
執行力ある債務名義を持つ債権者、文書で証明した一般の先取特権者、仮差押債権者です(民執51条)。単なる契約書だけでは配当要求できません。
Q4消除主義とはどういう意味ですか?
競売の売却により抵当権・質権・先取特権が消滅し、その代わりに代金から配当を受ける原則です(民執59条)。担保権者は権利を失う代わりに代金から回収します。
Q5仮差押えの登記があると抵当権は劣後しますか?
抵当権の登記が仮差押えの登記より後なら、仮差押債権者が本案訴訟に勝った場合に劣後します(民執87条2項)。登記の先後で順位が入れ替わります。
Q6先取特権があれば配当要求は不要ですか?
登記された先取特権で売却により消滅するものは、四号債権者として配当要求なしで配当されます。未登記の一般先取特権は文書で証明して配当要求が必要です。
Q7配当要求書には何を提出しますか?
執行裁判所へ配当要求書と債権計算書を提出し、債務名義や先取特権を証明する文書を添付します(民執51条)。終期までに提出する必要があります。
Q8競売の配当は個別に通知されますか?
配当要求の終期は公告されるだけで、債権者への個別通知はありません。自分で事件記録を閲覧し、終期を確認して配当要求する必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1他人が競売を申し立てた不動産でも、私の貸金を回収できますか?
できます。あなたが債務名義を持つ一般債権者なら、配当要求の終期までに配当要求をすれば、②の債権者として配当に加われます(民事執行法87条1項2号、51条)。実務のポイント:一つの競売に相乗りする債権者が増えるほど、あなたの取り分は薄まる。だから待つ理由はなく、気づいた瞬間に出すのが得。書記官は終期を公告するだけで、あなたに個別通知は来ない。事件記録の閲覧は、自分から動かないと始まらない
Q2抵当権を持っていれば、何もしなくても配当されるって本当ですか?
本当です。売却で消滅する抵当権者は87条1項4号により、配当要求をしなくても登記さえあれば自動的に配当を受けます。権利が消える代わりに代金から回収する仕組み(民事執行法59条の消除主義)です。実務のポイント:ただし2項の落とし穴がある。あなたの抵当権の登記が仮差押えの登記より後だと、仮差押債権者が本案で勝った場合に劣後する。登記の日付が一日違うだけで順位が入れ替わることを、担保を取る側は必ず意識する
Q3配当要求の終期を過ぎてしまったら、もう一切もらえないのですか?
原則もらえません。終期を過ぎた配当要求は不適法として扱われ、あなたの債権がどれほど正当でも配当表に載りません(民事執行法49条、87条)。実務のポイント:終期は書記官が定めて公告しますが、実務では競売開始からかなり早い時期に設定されることが多い。だから『判決を取ってから動く』では間に合わないことがある。競売の兆候を感じたら、債務名義の準備と並行して事件記録の閲覧を始めるのが、間に合う側の動き方です
Q4配当表に載った他の債権者の額がおかしいと思ったら、どうすればいいですか?
配当期日にその場で『配当異議の申出』を述べ、1週間以内に配当異議の訴えを提起します(民事執行法89条、90条)。期日で黙っていると、後から争う道は閉じます。実務のポイント:異議は『額』や『順位』への不服が対象で、単に相手が気に入らないでは通らない。存在しない債権、二重計上、時効消滅した債権が紛れていないかを、配当期日の前に配当表で検算しておくのが、異議を実らせる前提です
間違えやすい点 AI による整理
- 判決さえ取れば債務者の財産が競売されたとき自動的に配当がもらえると思われているが、違う。一般債権者は自分から配当要求をしない限り、配当表に載らない。判決は入場券ではなく、入場券を買う資格にすぎない
- 配当要求に締切があること自体は知っていても、その締切(配当要求の終期)が競売手続のかなり早い段階で切られること、そして一度過ぎたら例外なく救済されないことの深刻さを、多くの人が過小評価している。終期後に気づいた瞬間、勝負はもう終わっている
- 「抵当権者だから当然一番にもらえる」と考える人がいるが、あなたの抵当権の登記が仮差押えの登記より後に入っていれば、2項によって話は逆転する。仮差押債権者が本案訴訟に勝てば、あなたは劣後する。登記が一日違うだけで、あなたの優先権はひっくり返る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 87条:配当を受けるべき債権者の範囲(四類型を限定列挙) | 49条:配当要求の終期(参加の時的限界) 51条:配当要求ができる債権者の資格 |
| 一般債権者の扱い | 配当要求をした者のみ2号として配当加入 | 終期を過ぎると配当要求は不適法 債務名義または文書で証明した先取特権が必要 |
| 抵当権者の扱い | 登記があれば4号として当然に配当 | 終期は担保権者の当然配当には影響しない 配当要求は不要 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は參與分配制度を採り、參與分配の終期までに執行名義で申立てをした債権者が分配を受ける点で87条・49条と機能的に対応する
韓国も配当を受ける債権者の範囲を条文で列挙し、配当要求の終期制度を持つ。日本法の継受色が濃い
ドイツは配当を受ける権利の順位クラス(Rangklassen)を法定し、売却により担保権が消滅して代金から満足を受ける点で消除主義と共通する
米国は統一法典を持たず、先取特権の優先順位(first in time, first in right)と州の実行法に従って売却代金を分配する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 友人に300万円を貸し公正証書まで作ったのに相手は失踪。ところがその名義のマンションが銀行の抵当権実行で競売に出たと知る。あなたは配当要求をすれば②の債権者として分け前に加われるが、勝負は配当要求の終期まで。残された時間は数週間、債権計算書の準備と事件記録の閲覧を今日から始めないと、正当な貸金が一円も戻らない
- もし、あなたが判決を取った直後に、別の債権者が先にその不動産の競売を申し立てていたと気づいたら? あなたは自分で競売を起こさなくても、その手続に相乗りして配当要求できる。ただし終期を過ぎていれば、その入口はもう閉じている
- あなたが抵当権者として貸し付けたが、登記した時点で既に他人の仮差押えの登記が入っていた。この場合は2項が働き、あなたが自動で配当されるとは限らない。仮差押債権者が本案訴訟に勝てば、あなたの取り分はそちらに回る。登記の先後という一点が、優先権の常識をひっくり返す
- あなたの不動産が一人の債権者に競売されたと思っていたら、配当期日には見知らぬ債権者が何人も名を連ねていた。皆、終期までに配当要求で滑り込んでいたのだ
- 工事代金が未払いのまま、施主の建物が競売にかかった。下請けのあなたでも、不動産工事の先取特権を登記していれば④の債権者として配当に加われる。登記一つの有無が、泣き寝入りと回収を分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 対象不動産の登記簿と裁判所の競売事件記録を確認し、既に競売が始まっているか、配当要求の終期はいつかを特定する2. 債務名義(確定判決、仮執行宣言付支払督促、執行証書など)がなければ最優先で取得、なければ配当要求できない3. 終期までに執行裁判所へ配当要求書と債権計算書を提出する(民事執行法51条) 4. 一般の先取特権は文書で証明。抵当権者なら配当要求は不要で、登記があれば自動的に④として扱われる
訴えられた側:他の債権者の取り分に納得できない側なら、1. 配当表を配当期日の前に閲覧し、各債権者の順位と額を検算する2. 過大・無資格と思う債権者がいれば、配当期日にその場で「配当異議の申出」を述べる(民事執行法89条)、黙って帰れば争えない3. 申出後1週間以内に配当異議の訴えを提起する(民事執行法90条) 4. 債務者本人なら、無剰余で取り消せないか、時効消滅した債権が混じっていないかも点検する
時効(請求できる期限):配当要求の終期までに配当要求をしなければ配当を受けられない(民事執行法49条、終期は裁判所書記官が定め公告される)。終期は競売手続の比較的早い段階で切られ、経過後の救済はない。配当額に異議があれば配当期日にその場で申出をし、1週間以内に配当異議の訴えを提起しなければ失権する(民事執行法89条、90条)
学説
通説:87条1項が列挙する四類型は配当加入資格の限定列挙であり、ここに現れない一般債権者は配当要求(民執51条)をしない限り配当に与れない。売却による担保権の消滅(消除主義、民執59条)と対をなす、配当加入の入口規定と解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧競売法および旧民事訴訟法の強制執行編を統合。配当を受けるべき債権者の範囲を87条に整理し、仮差押債権者の劣後(2項)を明文化した。
- 民事執行法 第49条配当要求の終期、参加者確定の時的限界
- 民事執行法 第51条配当要求をなしうる債権者の範囲
- 民事執行法 第59条売却に伴う権利の消滅、消除主義の根拠
- 民事執行法 第85条配当の順位および額の決定
- 民事執行法 第89条配当異議の申出、配当表への不服手続
- 民事保全法 第53条本条が参照する仮差押え・処分禁止仮処分の登記制度
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