民事執行法 第85条(配当表の作成)
クイックジャンプ
- 執行裁判所は、配当期日において、第八十七条第一項各号に掲げる各債権者について、その債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに配当の順位及び額を定める。ただし、配当の順位及び額については、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合は、この限りでない。
- 2.執行裁判所は、前項本文の規定により配当の順位及び額を定める場合には、民法、商法その他の法律の定めるところによらなければならない。
- 3.配当期日には、第一項に規定する債権者及び債務者を呼び出さなければならない。
- 4.執行裁判所は、配当期日において、第一項本文に規定する事項を定めるため必要があると認めるときは、出頭した債権者及び債務者を審尋し、かつ、即時に取り調べることができる書証又は電磁的記録に記録された情報の内容の取調べをすることができる。
- 5.第一項の規定により同項本文に規定する事項(同項ただし書に規定する場合には、配当の順位及び額を除く。)が定められたときは、裁判所書記官は、配当期日において、配当表を作成しなければならない。
- 6.配当表には、売却代金の額及び第一項本文に規定する事項についての執行裁判所の定めの内容(同項ただし書に規定する場合にあつては、配当の順位及び額については、その合意の内容)を記載しなければならない。
- 7.第十六条第三項及び第四項の規定は、第一項に規定する債権者(同条第一項前段に規定する者を除く。)に対する呼出状の送達について準用する。
この条文の基本情報
配当表の作成とは何ですか?
定義配当表の作成とは、民事執行法第85条に定められた規定で、「執行裁判所は、配当期日において、第八十七条第一項各号に掲げる各債権者について、その債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに配当の順位及び額を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民事執行法第85条(配当表の作成)は、日本の民事執行法に含まれる条文です。
- 民事執行法第85条の条文原文は「執行裁判所は、配当期日において、第八十七条第一項各号に掲げる各債権者について、その債権の元本及び利息その他の附帯の債権の額、執行費用の額並びに配当の順位及び額を…」で始まります。
- 民事執行法第85条は第二目 強制競売に置かれています。
- 民事執行法の公布日は昭和54年3月30日です。
- 民事執行法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民事執行法第85条の前の条は民事執行法第84条です。
- 民事執行法第85条の次の条は民事執行法第86条です。
- 民事執行法第85条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第85条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/354AC0000000004 - 本サイト収録
民事執行法(昭和五十四年法律第四号)第85条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/354AC0000000004/85
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民事執行法85条は、執行裁判所が配当期日に債権額・執行費用・配当の順位及び額を定め、裁判所書記官が配当表を作成すると規定する。全債権者の合意があれば順位と額は合意による。
Q · 競売で家が売れたあと、お金は誰にいくら配られるんですか?
配当期日に出頭した者だけが取り分を動かせます
民事執行法85条により、執行裁判所は配当期日において、各債権者の債権の元本・利息その他の附帯債権の額、執行費用の額、配当の順位及び額を定めます。順位と額は原則として民法・商法その他の法律に従いますが(2項)、配当期日にすべての債権者間で合意が成立すれば、その合意が優先します(1項ただし書)。債権者と債務者は配当期日に呼び出され(3項)、裁判所はその場で出頭者を審尋し、即時に取り調べられる書証又は電磁的記録の情報のみを取り調べます(4項)。これらを踏まえて裁判所書記官が期日において配当表を作成します(5項・6項)。
解説
競売で家が売れた。売却代金は2,800万円。だが債権者はあなただけではない。抵当権者、税務署、他の一般債権者。この金をどう分けるかを決める場が「配当期日」であり、その結果を紙にしたものが「配当表」である。ここであなたが知っておくべき事実が三つある。第一に、配当の順位と額は裁判所が民法・商法その他の法律に従って決めるのが原則だが、配当期日に全債権者の合意が成立すれば、その合意が優先する(1項ただし書)。つまり交渉の余地が制度として開いている。第二に、あなたは債権者としても債務者としても、配当期日に呼び出される(3項)。呼出状が来たのに欠席すれば、あなた抜きで配当表が確定に向かう。第三に、裁判所はその場で出頭者を審尋し、即時に取り調べられる書証だけを調べる(4項)。後日提出しますは通らない。証拠は当日、手に持って行くものだ。
法的な位置づけ
民事執行法85条は、不動産競売等の売却代金を各債権者に分配する配当期日の手続を定める規定である。執行裁判所は債権の元本・利息・執行費用の額と配当の順位及び額を法律に従って定めるが、全債権者間の合意が成立したときはその合意による。裁判所書記官は配当期日において配当表を作成する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.呼出状が届いたら期日を最優先で確保する 配当期日の呼出状(85条3項)を受け取ったら、まず期日を手帳に固定する。出頭しなければ配当表への異議を述べる機会(89条)を事実上失う。債権者だけでなく債務者にも呼出しがある点に注意する
- 2.期日前に事件記録と債権計算書を閲覧・謄写する 執行裁判所の担当書記官室に閲覧・謄写を申請し、配当表原案と各債権者が提出した債権計算書を入手する。先順位者の元本・利息・遅延損害金の計算根拠を確認するのが目的である
- 3.先順位債権額を検算し、争点を数字で特定する 利息の起算日と計算期間、遅延損害金の利率、登記された債権額や極度額の範囲内かを検算する。二重計上や過大な執行費用計上を見つけたら、どの行のどの数字を争うかを一覧化する
- 4.即時に取り調べられる書証を紙と電磁的記録で持参する 85条4項の取調べは、審尋と即時に取り調べることができる書証又は電磁的記録に記録された情報に限られる。契約書、請求書、入金記録、計算書を紙とデータの両方で用意し、当日その場で示せる状態にする
- 5.必要なら期日前に他の債権者と合意を模索する 85条1項ただし書は、配当期日に全債権者間の合意が成立すれば法定の順位及び額によらないことを認める。期日前に接触し、異議による全員の入金遅延という時間コストを材料に交渉する。一人でも欠ければ2項の法定計算に戻る
- 6.期日当日に異議を述べ、1週間以内に訴えを提起する 配当表に不服があれば配当期日にその場で異議を申し出る(89条1項)。沈黙は同意と同じ結果になる。異議を述べたら期日から1週間以内に配当異議の訴えを提起し、その証明をしなければ取下げ擬制となる(90条6項)
よくある質問 AI による整理
Q1配当表とは何ですか?
競売の売却代金を誰にいくら配るかを記載した書面です。民事執行法85条5項・6項により、裁判所書記官が配当期日に作成し、売却代金の額と配当の順位及び額が記載されます。
Q2配当期日はいつ決まりますか?
買受人が売却代金を納付した後、執行裁判所が期日を指定し、債権者と債務者に呼出状を送達します(85条3項)。納付から概ね1か月前後で指定される運用が一般的です。
Q3配当金は実際いつ受け取れますか?
配当表が確定し、配当が実施された後に交付されます。誰かが配当異議を申し出て配当異議の訴えに進んだ場合、その部分は供託され、訴訟の決着まで受け取れません。
Q4債権計算書はいつまでに提出しますか?
執行裁判所から催告があり、指定された期限までに提出します(民事執行規則60条)。元本・利息・遅延損害金の内訳を記載し、提出を怠ると債権届出の範囲で計算される不利益があります。
Q5配当の順位はどう決まりますか?
85条2項により、民法・商法その他の法律の定めに従います。抵当権の順位(民法373条)、租税債権の優先、一般債権者の債権者平等原則が組み合わさって決まります。
Q6税金の滞納は抵当権より優先されますか?
国税徴収法16条により、法定納期限等以前に設定登記された抵当権が優先し、それ以後の抵当権には租税債権が優先します。登記日と法定納期限等の前後関係が分岐点です。
Q7競売で剰余金が出たら債務者に戻りますか?
全債権者への配当と執行費用を差し引いてなお残余があれば、剰余金として債務者に交付されます。だからこそ債務者も配当期日に呼び出され(85条3項)、過大配当を争う利益があります。
Q8配当異議の訴えの費用はどのくらいかかりますか?
訴訟の目的の価額は争う配当額を基準に算定され、それに応じた手数料(印紙)と郵券が必要です。加えて弁護士費用がかかるため、争う金額との費用対効果を期日前に見積もる必要があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1配当期日って、行かなかったらどうなるんですか?
呼出しは必要的だが(4項の前提として3項)、出頭は義務ではない。ただし欠席すれば配当表への異議を述べる機会を失う(民事執行法89条1項は配当期日での異議を求める)。実務のポイント:弁護士は配当期日を「取りに行く日」ではなく「守りに行く日」と見ている。自分の取り分を増やす主張より、先順位者の過大計上を削る主張の方が、実際には金額を動かしやすい。欠席は、その削る作業を全員に委ねることを意味する
Q2全員が合意すれば法律と違う分け方でもいいって本当ですか?
本当である。1項ただし書は、配当期日においてすべての債権者間に合意が成立した場合、配当の順位及び額について裁判所の定めによらないと明記している。ただし「すべての」が要件で、一人でも同意しなければ2項に戻り、民法・商法その他の法律に従った計算になる。実務のポイント:この合意は債務者の同意を要件としていない。債権者間の分配ルールだからだ。逆に言えば、債務者は合意による順位変更それ自体には口を出せず、争えるのは配当表の内容に対する異議という別ルートになる
Q3配当表の数字がおかしいと思ったら、後から裁判で争えますか?
配当期日にその場で異議を述べていなければ、原則として配当表の内容は争えない。異議を述べた上で、期日から1週間以内に配当異議の訴えを提起する必要がある(民事執行法89条、90条)。実務のポイント:異議を述べても訴え提起の証明を1週間以内にしなければ取下げ擬制になる。この1週間は郵送日数を含むため、実働では3、4日しかない。期日に異議を述べると決めているなら、訴状は期日の前に下書きしておくのが実務の常道である
間違えやすい点 AI による整理
- 「配当は裁判所が法律どおりに計算するのだから、出頭しても何も変わらない」と考えるのは、前提の立て方が誤っている。問うべきは「計算が正しいか」ではなく「計算の入力となる各債権者の債権額が正しいか」である。裁判所は各債権者の届け出た元本・利息・遅延損害金を審査するが、他の債権者が疑問を突きつけて初めて明らかになる過大計上は少なくない
- 配当の順位が法律で固定されていることは多くの人が知っている。だが1項ただし書が「全債権者の合意があれば順位も額も自由に決めてよい」と明記していることの意味は、ほとんど知られていない。抵当権者が回収見込みの薄い残額を争うより早期確定を選ぶ場面では、後順位者との交渉が現実に成立する
- 「証拠は後から出せばいい」と思い込んでいると、その場で終わる。4項が認めるのは「即時に取り調べることができる書証又は電磁的記録に記録された情報」に限られる。証人尋問も鑑定も期日の続行も原則ない。契約書、帳簿、計算書、それを紙かデータで手元に持って出頭しなかった時点で、主張の裏付けは失われる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文が担う役割 | 民執85条:配当期日に債権額・執行費用・順位及び額を定め、配当表を作成する | 民執87条:そもそも配当を受けるべき債権者の範囲を画定する 民執89条・90条:配当表に対する異議の申出と配当異議の訴え |
| 問題になる時点 | 配当期日当日(表の中身が固定される瞬間) | 配当期日より前(差押え・配当要求・債権届出の段階) 配当期日当日の異議申出と、その後1週間以内の出訴 |
| 当事者が動かせる余地 | 全債権者の合意で順位と額を上書き可能(1項ただし書)、審尋と即時の書証取調べ(4項) | 配当要求の終期までに手続に参加したか否かで結論が決まる その場で異議を述べたか否かで、後日の争訟の可否が決まる |
| 失敗したときの帰結 | 欠席・沈黙のまま配当表が作成され、記載どおりに配当が実施される | そもそも配当表に名前が載らず、売却代金から一切回収できない 1週間以内に訴え提起の証明がなければ異議は取り下げたものとみなされる |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾も執行法院が分配表を作成し、債権者は分配期日の一定期間前までに異議を申し出る方式をとる。日本のように期日当日に全債権者の合意で順位を上書きする明文規定は置かれていない
韓国も배당기일(配当期日)に배당표を確定する構造で、異議は期日で述べ、배당이의의 소で争う。日本法との構造的類似が強い
中国は「参与分配」制度で執行裁判所が分配方案を作成し、債権者・被執行人が異議を申し立てる。担保物権の優先と一般債権の比例弁済という骨格は共通する
ドイツは Verteilungstermin において Teilungsplan を作成し、その場で異議(Widerspruch)を述べなければならない。日本の配当期日・配当表・配当異議の直接の母法にあたる
米国は連邦統一法ではなく州ごとの手続で、先取特権の優先順位(lien priority)に従って分配し、剰余は所有者に交付される。日本のような全国一律の配当期日の明文規定はない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたは元請から工事代金400万円を回収できず、相手の不動産に強制執行をかけた。ようやく売却され、配当期日の呼出状が届く。だが抵当権者の銀行が先順位で2,600万円、売却代金は2,800万円。あなたに回るのは200万円未満かもしれない。この日、出頭して配当表を見た瞬間にしか異議は出せない
- もし、先順位の抵当権者の債権額が実際より水増しされていたら? 利息の計算期間、遅延損害金の利率、それが本当に登記された債権額の範囲内か。4項の審尋と書証取調べは、その場で疑問をぶつけるための装置である。黙って座っていれば、水増しされた額のまま配当表が作られる
- 債務者であるあなたにも呼出状が来る。「どうせ自分の家は取られたのだから関係ない」と思って捨てる。だが配当額が過大なら、剰余金が返ってこないだけでなく、残債務の消し方も変わる。あなたが出頭して先順位債権額を争えば、手元に戻る金が生まれる可能性がある
- 配当期日まであと5日。あなたは他の債権者と話し合い、順位を譲る代わりに一部を確実に受け取る合意を模索している。1項ただし書は、全債権者の合意があれば法定の順位を上書きすることを認めている。ただし全員の合意が要件。一人でも欠ければ裁判所の法定計算に戻る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 呼出状が届いたら日程を最優先で確保、欠席は事実上の放棄と同じ2. 期日前に執行裁判所の記録を閲覧し、自分より先順位の債権者の元本・利息・遅延損害金の計算根拠を確認3. 自分の債権額を裏付ける契約書・請求書・計算書を紙とデータの両方で持参(4項の即時取調べに耐える形で) 4. 当日、配当表に不服があれば配当期日でその場で異議を述べる、沈黙は同意とみなされる5. 異議を述べた場合は期日から1週間以内に配当異議訴訟を提起(民事執行法90条)
訴えられた側:1. 債務者として呼出状を受けたら、配当額が過大でないか(利息の二重計上、遅延損害金の利率超過)を確認、過大な配当は自分の残債務の減り方に直結する2. 剰余が出る可能性があるなら必ず出頭3. 執行費用の額(1項)も争える対象、不相当に高額な費用が計上されていないか点検4. 配当表に異議があればその場で述べ、1週間以内に配当異議訴訟へ
時効(請求できる期限):配当表への異議は配当期日にその場で述べなければならない(民事執行法89条1項)。異議を述べた者は、配当期日から1週間以内に配当異議の訴えを提起し、その証明をしなければ異議を取り下げたものとみなされる(同法90条6項)。この1週間は極めて短く、期日当日から弁護士に動いてもらう前提で組む必要がある
学説
通説:85条2項の「民法、商法その他の法律の定めるところ」には、担保物権の優先順位、租税債権の優先、債権者平等原則が含まれ、執行裁判所はこれに拘束される。裁判所の裁量による衡平配当は認められないと解されている
通説:1項ただし書の合意は債権者間の分配についての合意であり、債務者の同意を要件としない。債務者は合意による順位変更それ自体を争えず、配当表の内容に対する異議(89条)という別ルートによることになる
実務上の理解:4項の取調べが即時に取り調べることができる書証又は電磁的記録に限定されるのは、配当期日を一回で終結させ売却代金の滞留を防ぐ趣旨である。証人尋問や鑑定、期日の続行は原則として予定されていない
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和54年(1979年) 新設:民事執行法の制定により、旧民事訴訟法第六編の強制執行規定と競売法を統合。配当期日における債権額・執行費用・配当の順位及び額の決定と配当表の作成を一箇条にまとめた
- 2.令和5年(2023年) 改正:民事関係手続等における情報通信技術の活用等に伴う整備により、4項の取調べ対象に「電磁的記録に記録された情報の内容」が加えられ、デジタル証拠が期日での即時取調べの対象として明文化された
- 民事執行法 第87条配当を受けるべき債権者の範囲を画定
- 民事執行法 第89条配当表に対する異議の申出の方式と時期
- 民事執行法 第90条配当異議の訴え、1週間の出訴期間
- 民事執行法 第84条配当等の実施、配当手続への入口
- 民事執行法 第16条呼出状の送達方法を7項が準用
- 民法 第373条抵当権の順位、2項の配当順位の実体法根拠
- 国税徴収法 第16条法定納期限等以前の抵当権と国税の優劣
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める