環境基本法 第35条(国際協力の実施等に当たっての配慮)
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- 国は、国際協力の実施に当たっては、その国際協力の実施に関する地域に係る地球環境保全等について配慮するように努めなければならない。
- 2.国は、本邦以外の地域において行われる事業活動に関し、その事業活動に係る事業者がその事業活動が行われる地域に係る地球環境保全等について適正に配慮することができるようにするため、その事業者に対する情報の提供その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。
この条文の基本情報
国際協力の実施等に当たっての配慮とは何ですか?
定義国際協力の実施等に当たっての配慮とは、環境基本法第35条に定められた規定で、「国は、国際協力の実施に当たっては、その国際協力の実施に関する地域に係る地球環境保全等について配慮するように努めなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 環境基本法第35条(国際協力の実施等に当たっての配慮)は、日本の環境基本法に含まれる条文です。
- 環境基本法第35条の条文原文は「国は、国際協力の実施に当たっては、その国際協力の実施に関する地域に係る地球環境保全等について配慮するように努めなければならない。」で始まります。
- 環境基本法第35条は第六節 地球環境保全等に関する国際協力等に置かれています。
- 環境基本法の公布日は平成5年11月19日です。
- 環境基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 環境基本法第35条の前の条は環境基本法第34条です。
- 環境基本法第35条の次の条は環境基本法第36条です。
- 環境基本法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/405AC0000000091 - 本サイト収録
環境基本法(平成五年法律第九十一号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/405AC0000000091/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点環境基本法35条は、国が国際協力を行う際に現地の地球環境保全等に配慮し、海外で事業を行う企業にも情報提供等の支援をするよう努めると定める努力義務規定である。
Q · 日本の援助や日本企業の海外事業で環境被害が出たら、環境基本法で国の責任を問えるの?
直接は難しい。本条は国の努力義務を定めるにとどまる
環境基本法35条1項は、国が国際協力を行う際に現地の地球環境保全等に配慮するよう努めることを、2項は海外で事業を行う企業が現地の環境に配慮できるよう国が情報提供等に努めることを定めます。どちらも努力義務のため、本条から直接の賠償請求権を導くことは困難です。実際に声を届ける経路は、実施機関(JICA・JBIC等)の異議申立手続や、現地法に基づく事業者への請求です。
解説
日本の環境法は、原則として国境の外には及ばない。日本企業が東南アジアで工場を建てても、日本の排水基準がそのまま適用されるわけではない。では、日本の税金を使う海外援助や海外で稼ぐ企業は、現地の環境を壊してもよいのか。この問いに対する日本の公式な答えが環境基本法35条である。1項は、国が国際協力を行うとき、その地域の地球環境保全等に配慮するよう努めなければならないと定める。2項は、海外で事業を行う企業が現地の環境に適正に配慮できるよう、国が情報提供などの措置を講ずるよう努めると定める。どちらも努力義務(守らなくても直ちに罰則や違法の判断が出るわけではない、方向性を示す義務)であり、本条を根拠に誰かを直接訴えることは難しい。それでも本条は、JICA や JBIC の環境社会配慮ガイドライン、住民の異議申立制度といった実務の仕組みを支える政策上の土台になっている。条文だけでは何もできないが、その先にある手続を知っている人は動ける。
法的な位置づけ
環境基本法35条は、国際協力の実施等に当たっての環境配慮を定める規定である。1項は国が国際協力を実施する際に当該地域の地球環境保全等へ配慮する努力義務を、2項は本邦以外で行われる事業活動について事業者が現地の地球環境保全等に適正に配慮できるよう、国が情報提供その他の必要な措置を講ずる努力義務を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1環境基本法35条とは何ですか?
国が国際協力を行うときに現地の環境に配慮し、海外で事業をする企業が環境に配慮できるよう支援することに努めると定めた規定です。
Q2日本の環境規制は海外工場にも適用される?
原則として適用されません。環境規制は属地的で、海外工場を直接縛るのは現地の法令です。本条も企業に義務を課す条文ではありません。
Q3努力義務とはどういう意味ですか?
守るよう努めることを求める義務で、違反しても直ちに罰則や違法の判断につながるものではありません。政策の方向性を示す性格が強い規定です。
Q4ODAの環境被害は誰に相談できる?
事業の実施機関(JICAやJBICなど)が設けている異議申立の窓口が現実的な相談先です。手続の要件は各機関の要綱で確認します。
Q5JICAの環境社会配慮ガイドラインとは?
JICAが協力事業の環境・社会面への影響を審査するために定めた指針です。本条が示す国の姿勢を実務に落とした仕組みの一つといえます。
Q6海外進出する中小企業は現地の環境規制をどう調べる?
JETROなどの公的機関が進出先の規制情報や相談窓口を提供しています。本条2項が想定する国の支援の一例です。
Q7日本企業の海外での環境問題はどこに申し立てられる?
OECD多国籍企業行動指針に基づく日本NCP(連絡窓口)への申立てが選択肢になります。判決のような強制力はありませんが、対話の場が設けられます。
Q8環境基本法35条で国を訴えられる?
困難です。本条は国の努力義務を定めた規定であり、個人に具体的な請求権を与えるものではないと解されるためです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1日本の援助で建った工場のせいで被害が出たら、日本政府を訴えられるんですか?
本条(環境基本法35条1項)は国の努力義務を定めた規定であり、ここから直接の賠償請求権を導くことは難しい。現実的な経路は、実施機関の異議申立手続と、現地法に基づく事業者への請求である。実務のポイント:異議申立は判決のような強制力を持たないが、審査結果は公表され、次の融資判断や追加融資の条件に影響しうる。公開されることで効き目が生まれる仕組みである
Q2うちは中小企業ですが、海外工場の環境対策で国から何か支援ってあるんですか?
本条2項は、海外で事業を行う企業が現地の環境に配慮できるよう、国が情報提供などの措置を講ずるよう努めると定めている。JETRO などの公的機関が進出先の規制情報や相談窓口を提供している。実務のポイント:現地の環境許認可は、日本の感覚よりも取得に時間がかかることが多い。工場の着工日から逆算するのではなく、許認可の取得期間から逆算して計画を組んだ企業のほうが、操業開始の遅れを避けやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「日本企業なら海外工場にも日本の環境規制がかかる」と考える人は多いが、環境規制は原則として属地的(その国の領域内でのみ適用される)である。海外工場を縛るのは現地法であり、本条2項も企業に義務を課す条文ではなく、国が企業を支援する努力義務を定めた条文にとどまる
- 努力義務だから意味がない、という見方は本条の働き方を見誤っている。本条は個別の請求権を生まないが、政策の方向を定める基本法の規定として、ODA の環境社会配慮の仕組みを政策面で支えている。争うべき土俵は裁判所ではなく、実施機関の審査手続と融資判断の前段階である
- 住民の側から見れば「日本の援助で被害を受けた」という一つの事実だが、法律の側から見れば、援助の実施主体(外務省、JICA、JBIC)、融資先(相手国政府や事業者)、そして適用法(現地法)がそれぞれ分かれている。誰に何を求めるかを取り違えると、正しい主張でも宛先不明で届かない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 環境基本法35条:国自身の国際協力と、企業の海外事業活動への支援 | 環境基本法32条:地球環境保全等に関する国際協力の推進全般 環境基本法34条:地方公共団体・民間団体等による国際協力活動の促進 |
| 国に求められること | 国際協力の実施に当たって現地環境へ配慮する/企業へ情報提供等を行うよう努める | 国際協力を推進するために必要な措置を講ずるよう努める 地方公共団体・民間団体等の国際協力活動を促進する措置を講ずるよう努める |
| 法的性格 | 努力義務(直接の請求権は生じない) | 努力義務(政策推進の総則) 努力義務(促進・支援型) |
他国ではどう定めているか 2 か国
一定規模以上の企業に、子会社や取引先を含む海外での環境・人権リスクへの注意義務を課す。国の支援にとどまる本条2項より踏み込み、企業自身に法的義務を課す点で対照的
米国連邦政府の主要な行為が国外の環境に与える影響について、一定の環境評価を求める大統領令。国の対外活動に環境配慮を求める点で本条1項と方向を同じくする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 日本の円借款でつくられる発電所の建設予定地に住む人々が、漁場が失われると訴えている。条文そのものは住民に訴権を与えない。しかし実施機関の JICA には異議申立の窓口があり、住民は審査役に調査を求められる。本条はその仕組みの政策上の源流である
- 海外に工場を持つメーカーで法務を担当しているあなたに、現地 NGO から「日本本社は責任を取れ」という書簡が届いた。日本の環境法で直接処罰されることはない。ただし OECD 多国籍企業行動指針に基づく日本 NCP(連絡窓口)に申し立てられれば、本社が対話の場に引き出される
- もし日本政府が支援するインフラ事業で、現地の森林が大規模に伐採されていたらどうなるか? 本条1項は国に「配慮するよう努める」ことを求めているだけで、中止を命じる力はない。だから実際に効くのは、融資契約の前にどれだけ声が届くかである
- 融資判断を控えた大型案件で、環境影響評価書が公開された。意見を出せるのは、融資契約の合意までの限られた期間だけだ。契約が締結されれば、計画を変える余地は一気に小さくなる
- 中小企業が初めてベトナムに工場を出す。現地の環境規制を知らないまま操業すれば、止められるのは日本ではなく現地当局だ。JETRO などの公的機関が現地の規制情報を提供しており、本条2項が想定する国の支援はそこにある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 事業の実施主体と資金の出し手(JICA、JBIC、民間銀行など)を特定する2. 実施機関が公開している環境影響評価書や環境レビュー結果を入手し、被害の記録(写真、水質、漁獲量の変化)と照らし合わせる3. 実施機関の異議申立窓口に申し立てる。手続の要件(申立人の人数や事前の対話の有無など)は各機関の要綱で確認する4. 企業活動が原因なら、日本 NCP への申立ても選択肢に入れる。本条を根拠に国を直接訴えることは難しい点を前提に戦略を組む
訴えられた側:1. 自社の海外事業に適用される現地の環境法令と許認可の状況を棚卸しする2. 公的融資を受けている案件なら、融資元の環境社会配慮ガイドラインへの適合状況を点検し、記録を残す3. 住民や NGO からの指摘には、否認から入らず対話の窓口を早期に設ける。異議申立や NCP 手続で問われるのは結果だけでなく対話の姿勢である4. 本条自体は企業に義務を課さないが、取引先の調達基準や開示要請で同等の配慮を求められることを前提に備える
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。現地で損害賠償を求める場合は現地法の時効が適用される。実施機関の異議申立には受付期間が案件の段階に応じて定められているため、各機関の要綱で確認すること(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:環境基本法35条は基本法上の努力義務規定であり、個人に具体的な権利や請求権を付与するものではない。政策の方向性を示し、個別の施策や実施機関の指針を通じて具体化されるものと解される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成5年(1993年) 新設:環境基本法の制定に伴い、地球環境保全等に関する国際協力の章の一規定として新設された
- 環境基本法 第2条地球環境保全の定義規定
- 環境基本法 第5条国際的協調による地球環境保全の基本理念
- 環境基本法 第32条地球環境保全等の国際協力の総則
- 環境基本法 第34条地方公共団体・民間団体の国際協力促進
- 独立行政法人国際協力機構法 第3条ODA 実施機関の目的、配慮を実施する主体
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