介護保険法 第207条
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- 次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした健康保険組合、国民健康保険組合、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団の役員、清算人又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
- 一第百六十三条の規定による報告若しくは文書その他の物件の提出をせず、又は虚偽の報告をし、若しくは虚偽の記載をした文書を提出したとき。
- 二第百九十七条第四項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき。
- 2.第百七十二条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした機構又は受託者の役員又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第207条は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第207条の条文原文は「次の各号の一に該当する場合には、その違反行為をした健康保険組合、国民健康保険組合、共済組合又は日本私立学校振興・共済事業団の役員、清算人又は職員は、三十万円以下…」で始まります。
- 介護保険法第207条は第十四章 罰則に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第207条の前の条は介護保険法第206条の2です。
- 介護保険法第207条の次の条は介護保険法第208条です。
- 介護保険法第207条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第207条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第207条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/207
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法207条は、健康保険組合等や支払基金の役員・職員が報告拒否・虚偽報告・検査拒否をした場合、行為者個人を三十万円以下の罰金に処すると定める。
Q · 健保組合が介護保険の報告を出さなかったら、罰金を払うのは誰?
組合ではなく、違反行為をした役員・職員個人です
介護保険法207条の罰金の名宛人は、健康保険組合・国民健康保険組合・共済組合・日本私立学校振興・共済事業団の「役員、清算人又は職員」、2項では支払基金又は受託者の役員・職員です。163条・197条4項・172条1項に基づく報告をしない、虚偽の報告や文書を出す、検査を拒む・妨げる・忌避すると、行為者個人が三十万円以下の罰金に処されます。罰金は刑事罰であり、過料と異なり確定すれば前科となります。
解説
罰金の名宛人を指差し確認してほしい。健康保険組合でも共済組合でもなく、「その違反行為をした役員、清算人又は職員」、つまり生身の個人である。あなたが組合の事務局で介護納付金関係の書類を扱っているなら、厚生労働大臣から求められた報告(163条)を出さない、あるいは数字をいじった文書を出した瞬間、被告人席に座るのはあなただ。しかも三十万円以下の「罰金」であって「過料」(行政上の秩序罰、前科にならない)ではない。罰金は刑事罰であり、確定すれば前科が残る。さらに条文はわざわざ「清算人」(解散した組織の後始末を担う人)を書き込んでいる。組合が消えても報告義務は消えず、幕引き役が責任を引き継ぐという宣言だ。組織の不始末は法人が金で片付ける、という前提がここでは通用しない。
法的な位置づけ
介護保険法207条は、健康保険組合等の保険者及び社会保険診療報酬支払基金に対する報告徴収・検査の実効性を担保する罰則規定である。163条・197条4項・172条1項に基づく報告の不提出、虚偽報告、虚偽記載文書の提出、検査の拒否・妨害・忌避を構成要件とし、法人ではなく違反行為をした役員、清算人又は職員個人を三十万円以下の罰金に処する。
よくある質問 AI による整理
Q1介護保険法207条とは?
健康保険組合等や支払基金が報告や検査に応じない場合に、違反行為をした役員・清算人・職員個人を三十万円以下の罰金に処する罰則規定です。
Q2介護保険法 虚偽報告 罰金 いくら?
三十万円以下の罰金です。163条・197条4項・172条1項に基づく報告について虚偽の報告や虚偽記載の文書を提出した行為者個人が対象になります。
Q3立入検査を延期し続けると違法?
正面から拒まなくても、引き延ばして検査を事実上させない行為は「忌避」に当たり得ます。候補日を書面で示すなど協力の記録を残すことが重要です。
Q4健保組合の清算人も罰則の対象になる?
なります。1項は名宛人に「清算人」を明記しており、組合が解散した後の報告・検査対応についても清算人個人が刑事責任を負い得ます。
Q5支払基金の委託先社員も処罰される?
2項は支払基金だけでなく「受託者」の役員・職員も対象としています。172条1項の報告・検査に違反すれば、委託先の個人が罰金の対象になります。
Q6介護保険法207条の公訴時効は何年?
罰金にあたる罪の公訴時効は三年です(刑事訴訟法250条2項7号)。起算点は犯罪行為が終わった時ですが、不作為の起算点には解釈の幅があります。
Q7報告拒否の罰金で前科はつく?
つきます。本条の罰金は刑事罰であり、行政上の秩序罰である過料とは異なります。確定すれば前科として記録され、資格の欠格事由などに影響し得ます。
Q8介護保険法207条 市町村職員も対象?
1項が列挙するのは健康保険組合・国民健康保険組合・共済組合・日本私立学校振興・共済事業団のみです。列挙外の主体の職員には本条は及びません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1罰金って、組合の経費で払ってもらえるんですよね?
払えない。本条の名宛人は役員・清算人・職員という個人で、罰金は本人に科される刑事罰である。組合が肩代わりすれば、その支出自体が組合財産の目的外使用として別問題になる。実務のポイント:役員賠償責任保険(D&O保険)は刑事罰金そのものをほぼ例外なく免責としており、カバーされるのは防御費用の部分にとどまる約款が多い。加入しているから安心、は成り立たない
Q2うっかり期限を忘れただけでも罰金になりますか?
刑事罰である以上、原則として故意が必要である(刑法38条1項、過失を罰するには特別の規定が要る)。純粋な失念は処罰対象になりにくい。危ないのは督促を受けた後で、求められていると分かりながら放置した時点から未必の故意が組み立てられる。実務のポイント:督促文書の受領日・開封日・庁内回覧日、この三つの日付が揃うと「知らなかった」はほぼ通らない
Q3市町村の国保担当や協会けんぽの職員も同じ罰則ですか?
1項が名指ししているのは健康保険組合、国民健康保険組合、共済組合、日本私立学校振興・共済事業団の四つだけである。罪刑法定主義により、列挙されていない主体の職員に本条の罰金は及ばない。実務のポイント:罰則は改正で名宛人の列挙が増減する。自分の組織名が列挙に入っているかを、解説書ではなく条文本体で指差し確認する。一分で終わるコンプラチェックになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「組合としてこの罰金をどう処理するか」という問いの立て方そのものが誤っている。本条は法人を名宛人にしていない。処理を検討すべきなのは組合の経理ではなく、報告文書に関与した個人の刑事弁護である。問いを立て直さない限り、守るべき人を誰も守らないまま手続が進む
- 三十万円以下という額の軽さは多くの人が知っている。知られていないのは、それが「過料」ではなく「罰金」だという一点だ。罰金は刑事罰であり、確定すれば前科として記録に残る。資格や許認可の欠格事由、渡航時の申告、再就職時の説明。金額の軽さと、その後の人生に残る痕跡の重さは、まったく比例していない
- あなたから見れば、上司の指示どおりに作って出しただけの書類一枚である。条文から見れば、それは「その違反行為をした職員」の行為そのものだ。指示の有無は量刑や故意の認定で考慮されうるが、名宛人の欄からあなたを消してはくれない。この落差が、組織内で最も弱い立場の人間を前科に近づける
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 罰則の根拠となる義務 | 207条1項1号:163条の報告・物件提出 | 207条1項2号:197条4項の報告・検査 207条2項:172条1項の報告・検査 |
| 名宛人(処罰される者) | 健保組合・国保組合・共済組合・私学事業団の役員、清算人又は職員 | 同左(役員、清算人又は職員) 支払基金又は受託者の役員又は職員 |
| 処罰される行為 | 報告・提出をしない、虚偽報告、虚偽記載文書の提出 | 報告をしない、虚偽報告、検査の拒否・妨害・忌避 報告をしない、虚偽報告、検査の拒否・妨害・忌避 |
| 法定刑 | 三十万円以下の罰金 | 三十万円以下の罰金 三十万円以下の罰金 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は介護保険制度を持たず長期介護は税財源方式。保険関係の検査拒否等は行政罰である罰鍰で処理されるのが中心で、刑事罰で個人を処罰する日本方式とは発想が異なる
韓国は日本の介護保険を参考に長期療養保険制度を導入しており、報告・検査義務違反に対する罰則を置く
ドイツは介護保険(Pflegeversicherung)関係の義務違反を秩序違反(Ordnungswidrigkeit)として過料で処理するのが基本で、前科とならない点が日本の罰金と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 立入検査の日程調整の電話が三度目、こちらはまだ日を決めていない。担当者は多忙だと繰り返すだけだ。これは「忌避」(正面から拒まずに引き延ばして検査を事実上させないこと)になるのか。厚生労働省側は交渉経過を記録している。先方が示した検査候補日まで残り十日、ここから先に送る一通のメールが、後で故意の証拠として読まれる
- 常務理事から「この数字は丸めておけ」と言われ、あなたは文書を作り直して提出した。指示したのは理事、押印して出したのはあなたである。条文が処罰するのは「その違反行為をした」者だ
- 勤め先の健保組合が解散し、あなたは清算人に指名された。半年後、解散前の年度の報告に不備があるとして照会が届く。すでに存在しない組合の代わりに答える立場は清算人であり、答えなければ罰金の名宛人も清算人である。役目を引き受けた時点で、過去の書類の責任も一緒に受け取っていた
- 支払基金から介護保険関係業務の一部を受託している会社で、あなたは現場責任者だ。基金への検査(172条1項)が受託先にも及んだとき、2項が名指ししているのは「支払基金又は受託者の役員又は職員」、つまりあなた自身である。委託契約書に検査協力条項があるかどうかと、あなたの刑事責任は別の話だ
取るべき行動
被害を受けた側:組織内で虚偽の報告を求められた側の立場。1. その場で押印しない。指示者・日時・指示内容を記録し、自分宛にメールで送って時刻を固定する2. 組合の監事、顧問弁護士、または公益通報の外部窓口へ一報を入れ、相談した事実を残す3. すでに提出済みなら、訂正報告を自主的に出す道を検討する。自主申告は故意の認定にも量刑にも効く4. 検査に関する連絡は必ず書面で受け、応答も書面で返す
訴えられた側:1. 争点は金額ではなく故意の有無。督促や検査要請をいつ認識したか、その時点の記録を全部集める2. 指示系統を時系列で再現し、誰の判断でどの文書が出たかを分解する3. 報告遅延なら直ちに完全な報告を提出し、忌避を疑われているなら候補日を書面で提示して協力姿勢を記録化する4. 罰金でも前科は残る。略式命令(書面だけで罰金が決まる簡易手続)に安易に同意せず、正式裁判で争う実益を弁護人と検討する
時効(請求できる期限):公訴時効は三年(刑事訴訟法250条2項7号、罰金にあたる罪)。起算点は犯罪行為が終わった時(同253条1項)。報告をしない不作為については、報告期限の経過時を起算点とみるか、義務が存続する限り時効が進行しないとみるかで実務上、解釈が分かれている。検査の拒否・妨害・忌避は、その行為の時が起算点となる
学説
通説(刑法総則の適用):本条の罪にも刑法8条により刑法総則が適用され、刑法38条1項により故意が必要となる。単なる失念による報告遅延は原則として処罰対象外で、督促等で義務を認識した後の放置が問題となる。
- 介護保険法 第163条医療保険者への報告・物件提出命令の根拠
- 介護保険法 第197条報告徴収及び立入検査の権限(4項)
- 介護保険法 第172条支払基金等への報告徴収・検査(1項)
- 刑法 第38条故意犯処罰の原則、失念の不可罰性
- 刑法 第8条他法令の罪への刑法総則の適用
- 刑事訴訟法 第250条罰金にあたる罪の公訴時効三年
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