介護保険法 第21条(損害賠償請求権)
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- 市町村は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
- 2.前項に規定する場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、市町村は、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる。
- 3.市町村は、第一項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を国民健康保険法第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)であって厚生労働省令で定めるものに委託することができる。
この条文の基本情報
損害賠償請求権とは何ですか?
定義損害賠償請求権とは、介護保険法第21条に定められた規定で、「市町村は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第21条(損害賠償請求権)は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第21条の条文原文は「市町村は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権…」で始まります。
- 介護保険法第21条は第一節 通則に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第21条の前の条は介護保険法第20条です。
- 介護保険法第21条の次の条は介護保険法第22条です。
- 介護保険法第21条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第21条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第21条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/21
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法21条は、第三者の行為で要介護となり市町村が保険給付を行ったとき、給付額の限度で被保険者の損害賠償請求権を市町村が取得すると定める。
Q · 交通事故で親が要介護になり介護保険を使ったら、加害者への賠償請求はどうなるの?
給付額の範囲で請求権が市町村に移り、その分は自分では処分できない
介護保険法21条1項により、第三者の行為が原因で要介護となり市町村が保険給付を行うと、給付の価額の限度で被保険者の損害賠償請求権が法律上当然に市町村へ移転します。この移転した部分は、被害者が示談で放棄しても市町村の請求権として残ります。逆に被害者が先に加害者から同一事由の賠償を受けていれば、2項によりその限度で市町村は給付を免れます。示談前に市町村の介護保険担当へ届け出て、給付累計額を確認することが重要です。
解説
親が階段で転倒したのは、隣家の工事業者が歩道に置いた資材が原因だった。その後の要介護認定で訪問介護が始まり、費用の9割は介護保険が払う。ここまでは誰でも分かる。だが介護保険法21条はその先を規定している。市町村が保険給付を行った瞬間、あなたの家族が加害者に対して持っていた損害賠償請求権は、給付額の範囲で自動的に市町村のものになる。誰の同意も要らない、書類も要らない、法律上当然に移転する。これを知らずに加害者と「治療費も介護費も全部込みで200万円で示談」と合意してしまうと、市町村はすでに移転を受けた請求権の分を加害者に請求し、加害者は「もう払った」と抗弁し、最終的にその混乱の負担はあなたに戻ってくる可能性がある。さらに2項は、あなたが先に加害者から賠償を受け取っていれば、市町村はその分だけ介護保険の給付をしなくてよいと定める。つまり第三者行為による要介護では、示談の一筆が介護サービスの財布に直結している。
法的な位置づけ
介護保険法21条は、第三者行為による給付事由について保険給付を行った市町村が、給付の価額の限度で被保険者の第三者に対する損害賠償請求権を法律上当然に取得する代位取得の規定である。あわせて、被保険者が先に同一事由の損害賠償を受けた場合の給付免責と、求償事務の国民健康保険団体連合会への委託を定める。
手順
- 1.要介護の原因が第三者行為か確認 事故、暴行、施設内での他害など、要介護状態の原因に第三者の行為が関わっているかを整理し、加害者と加害者側保険会社を特定する
- 2.市町村に第三者行為による被害届を提出 住所地の市町村の介護保険担当窓口へ、第三者行為による被害届を提出する。ケアマネジャーにも原因を共有し、届出漏れを防ぐ
- 3.介護給付の累計額を照会 示談交渉の前に、これまでに支給された介護給付費の累計額と今後の求償予定額を市町村または国保連に照会し、自分が処分できる範囲を把握する
- 4.示談書の文言を確認して署名 示談書に「介護保険給付に係る市町村の求償権は本示談の対象外とする」旨を明記し、賠償項目を慰謝料・逸失利益・介護費などに細分して記載してから署名する
よくある質問 AI による整理
Q1介護保険の第三者行為求償とは?
事故など第三者の行為で要介護となり介護保険を使った場合、市町村が給付した分を加害者に請求する仕組みです。根拠は介護保険法21条1項です。
Q2第三者行為による被害届 介護保険 どこに出す?
住所地の市町村の介護保険担当窓口に提出します。事故証明、加害者や保険会社の連絡先などを添えるのが一般的で、様式は市町村ごとに異なります。
Q3介護保険 交通事故 使える?
使えます。交通事故が原因でも要介護認定を受ければ介護保険サービスを利用できます。ただし給付分の賠償請求権は市町村に移り、後で加害者に求償されます。
Q4介護保険 求償 過失割合 反映される?
反映されます。市町村が取得するのは被害者の請求権そのものなので、被害者側に過失があれば過失相殺された範囲でしか加害者に請求できません。
Q5介護保険 求償 時効 いつまで?
元の不法行為債権と同じく民法724条・724条の2に従い、生命・身体侵害は損害と加害者を知った時から5年、不法行為時から20年が目安です。
Q6認知症の人に怪我をさせられた場合も求償される?
加害者に責任能力がなければ本人への請求は難しく、監督義務者の責任(民法714条)が問題になります。求償先はその判断によって変わります。
Q7介護保険の自己負担分も加害者に請求できる?
できます。市町村に移転するのは保険給付の価額の限度なので、1割〜3割の自己負担分は被害者自身の損害として加害者に請求できます。
Q8介護保険 求償 誰が請求してくる?
権利者は市町村ですが、21条3項により事務を国民健康保険団体連合会に委託できるため、実際の請求書は国保連から届くことが多いです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1市町村に届出をしないまま介護保険を使い続けたら、何か罰があるんですか?
介護保険法21条自体に罰則はなく、届出がなくても代位は法律上当然に生じる。ただし市町村が事実を把握できず求償に失敗すると、結果として保険財政の損失になる。実務のポイント:届出を出しておくと、後日加害者側保険会社との間で「どこまでが自己負担でどこからが保険給付か」を市町村が整理してくれる。これは実質的に無料の会計整理サービスで、示談交渉の資料としてそのまま使える
Q2示談で全部まとめて解決したのに、市町村から請求が来ることってありますか?
ある。被害者が示談で請求権を放棄しても、既に市町村へ移転した部分は被害者の処分権外なので、加害者への請求は残りうる(21条1項)。実務のポイント:加害者側保険会社の熟練担当者は示談書に「公的保険者の求償権を除く」と入れることを嫌がらない。むしろ二重払いリスクを避けたいので、この一文の追加は双方にとって合理的。言い出すのはあなたでよい
Q3加害者からお金を先に受け取ったら、介護サービスが使えなくなるんですか?
使えなくなるのではなく、同一の事由について受けた賠償額の限度で市町村が給付義務を免れる(21条2項)。その範囲を超えた分の給付は通常どおり受けられる。実務のポイント:「同一の事由」の範囲は実務上解釈が分かれる論点で、賠償金のうち慰謝料や逸失利益は介護給付と同一事由ではないとされる余地がある。示談書で賠償項目を細分して記載しておくと、後の調整が有利に進む
間違えやすい点 AI による整理
- 「介護保険から給付を受けたら、その分は加害者に請求できない」と理解している人は多い。半分正しいが、致命的な取り違えがある。請求権は消滅したのではなく市町村に移転しているだけで、加害者の支払義務総額は減らない。減るのはあなたの取り分であって、加害者の負担ではない。この区別を知らないと、加害者側に「保険から出ているんだから」と押し切られる
- 「代位が起きるのは知っている」と言う人でも、その効力発生時点を誤解している。移転は市町村が通知を出した時でも、求償を決めた時でもなく、保険給付を行った時点で法律上当然に生じる。つまりあなたが示談交渉をしているその瞬間、すでに手元にない権利が含まれている可能性がある
- あなたから見れば「自分の損害、自分の権利」だが、法律から見れば給付額の限度で権利者はすでに市町村。この落差が、示談後の二重請求トラブルであなたを板挟みにする
- 「介護保険は税金と保険料で賄われているのだから、加害者に回収する仕組みなんてないだろう」という前提そのものが誤り。健康保険にも労災にも同じ構造の求償規定があり、介護保険だけが例外ということはない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 介護保険法21条:第三者行為が原因の給付と加害者への求償 | 介護保険法20条:他の法令による給付との調整 介護保険法22条:不正受給者からの徴収 |
| 費用を最終的に負担する者 | 加害者(市町村が代位して請求) | 他法令の給付主体(労災など) 偽りその他不正な手段で給付を受けた者 |
| 被保険者側の落ち度 | 不要(被害者は正当に給付を受けている) | 不要(制度間の重複回避) 必要(不正受給が前提) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には公的介護保険がなく、長期照顧は税財源の長照制度で運営される。第三者行為による代位は全民健康保険の医療給付について定められている
韓国の老人長期療養保険でも、第三者行為による給付について公団が損害賠償請求権を取得する仕組みがあり、日本と構造が近い
ドイツでは介護保険を含む社会保険給付について、損害発生時点で請求権が社会保険者へ移転する。日本の給付時点での移転より早い段階で移転する点が特徴
米国ではMedicareが二次的支払者として給付を行い、責任保険などの一次的支払者に対して償還を求める仕組みがある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 交通事故で父が要介護3になった。相手方保険会社が「介護費用は将来分も含めて一括で」と示談案を出してきた。ここで市町村への「第三者行為による被害届」を出さないままサインすると、すでに支給されていた介護給付分の求償関係が宙に浮く。示談書に何を書くかを決める前に、市町村の介護保険担当窓口に一本電話を入れるかどうかで結末が変わる
- 介護施設で他の入居者に突き飛ばされて骨折し、要介護度が上がった。この場合の第三者は施設ではなく他の入居者だが、施設側にも安全配慮義務違反があれば併存する。加害者が認知症の高齢者であれば責任能力が問題になり(民法713条)、監督義務者の責任(民法714条)へと争点が移る。市町村の求償先が誰になるかは、この段階で決まる
- もし、あなたが加害者の側だったら? 自転車で高齢者に接触し、相手が要介護状態になった。被害者本人と示談したから終わったと思っていたら、数か月後に市町村から介護給付費の求償通知が届く。示談書に「本件に関し一切の請求権を放棄する」と書いてあっても、すでに市町村へ移転済みの請求権は被害者が放棄できない
- ケアマネジャーとして担当利用者の要介護原因が交通事故だと気付いた。市町村への届出を促すかどうか、あと数日でサービス担当者会議。届出がないまま給付が続くと、後日の求償実務が一気に難しくなる
- 加害者側の保険会社から「介護保険を使ってください、その分は賠償から控除します」と言われた。これは2項の裏返しの主張だが、順序をどちらにするかで自己負担分の扱いも、将来介護費の算定も変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 要介護の原因が第三者行為だと分かった時点で、市町村の介護保険担当に「第三者行為による被害届」を提出(健康保険の第三者行為届と同じ発想)2. 事故証明、診断書、加害者と保険会社の連絡先を揃える3. 示談交渉に入る前に、これまでの介護給付費の累計額を市町村に照会し、求償予定額を把握4. 示談書には「介護保険給付に係る市町村の求償権は本示談の対象外とする」旨を明記し、自分が処分できない権利まで放棄しない
訴えられた側:1. 被害者が要介護状態になった案件では、被害者への賠償とは別に市町村からの求償が来る前提で資金を確保2. 被害者と示談する際は「既に市町村へ移転した分を除く」と範囲を限定し、二重払いを防ぐ3. 加入している自動車保険・個人賠償責任保険の担当者に、介護保険求償の想定を早期に共有4. 過失相殺が認められる事案なら、市町村の求償額にも過失割合が反映されるため、過失割合の主張は被害者側との交渉と同時並行で行う
時効(請求できる期限):市町村が取得する請求権は元の不法行為に基づく損害賠償請求権と同一性を保つため、消滅時効は民法724条・724条の2(損害および加害者を知った時から3年、人の生命または身体を害する不法行為は5年、不法行為時から20年)に従う。起算点は被害者が知った時であり、市町村が給付を行った日ではない点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:21条1項の取得は、保険給付の事実のみによって法律上当然に生じる法定代位であり、被保険者の意思表示や第三者への通知を要しない。取得される請求権は元の不法行為債権と同一性を保つため、過失相殺や消滅時効も元の債権を基準に判断される
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法の制定に伴い、国民健康保険法64条と同様の第三者行為求償規定として設けられた
- 介護保険法 第20条他法令給付との調整、給付重複の回避
- 介護保険法 第22条不正受給者からの徴収、費用回収の一般規定
- 介護保険法 第18条保険給付の種類、代位の対象となる給付の範囲
- 介護保険法 第200条保険給付を受ける権利の消滅時効
- 民法 第709条市町村が代位取得する請求権の発生根拠
- 国民健康保険法 第64条医療保険側の同一構造の第三者行為求償規定
- 労働者災害補償保険法 第12条労災側の求償と控除、労災優先との調整
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