介護保険法 第20条(他の法令による給付との調整)
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介護給付又は予防給付(以下「介護給付等」という。)は、当該要介護状態等につき、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)の規定による療養補償給付、複数事業労働者療養給付若しくは療養給付その他の法令に基づく給付であって政令で定めるもののうち介護給付等に相当するものを受けることができるときは政令で定める限度において、又は当該政令で定める給付以外の給付であって国若しくは地方公共団体の負担において介護給付等に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。
この条文の基本情報
他の法令による給付との調整とは何ですか?
定義他の法令による給付との調整とは、介護保険法第20条に定められた規定で、「介護給付又は予防給付(以下「介護給付等」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 介護保険法第20条(他の法令による給付との調整)は、日本の介護保険法に含まれる条文です。
- 介護保険法第20条の条文原文は「介護給付又は予防給付(以下「介護給付等」という。」で始まります。
- 介護保険法第20条は第一節 通則に置かれています。
- 介護保険法の公布日は平成9年12月17日です。
- 介護保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 介護保険法第20条の前の条は介護保険法第19条です。
- 介護保険法第20条の次の条は介護保険法第21条です。
- 介護保険法第20条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第20条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/409AC0000000123 - 本サイト収録
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第20条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/409AC0000000123/20
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点介護保険法20条は、労災保険の療養補償給付など政令で定める他法給付を受けることができるとき、その限度で介護給付・予防給付を行わないと定める他法優先の調整規定である。
Q · 仕事中の事故で要介護になったら、介護保険と労災のどっちを使うの?
原則は労災が優先し、その限度で介護保険は出ない
介護保険法20条により、労災保険の療養補償給付など政令で定める他法給付のうち介護給付等に相当するものを受けることができるときは、政令で定める限度で介護保険の給付は行われません。基準は「実際に受け取ったか」ではなく「受けることができるか」です。一方、国や地方公共団体の負担による相当給付は「行われたとき」が基準となります。他法給付でカバーされない部分については、介護保険が働く余地があります。
解説
要介護状態になった原因が「仕事中の事故」だったら、介護保険は原則として出番を譲る。介護保険法20条は、労働者災害補償保険法の療養補償給付や介護補償給付など、他の法令に基づく給付で介護給付等に相当するものを受けられるとき、その限度で介護保険からは給付しないと定めている。ここで見落とされがちなのが「受けることができるとき」という文言だ。実際に受け取ったかどうかではない。労災申請を面倒がって出さなかった場合でも、受給資格があれば介護保険は引っ込む。つまりあなたが労災の手続を怠ると、労災からも介護保険からも受けられない空白地帯に落ちる。さらに国や地方公共団体の負担で相当する給付が「行われたとき」は、そちらは実際の支給が基準になる。同じ条文の中で二つの基準が使い分けられている。要介護認定を受けたとき、ケアマネジャーが最初に確認するのはこの調整関係であり、そこを間違えると後で介護保険から給付費の返還を求められる。
法的な位置づけ
介護保険法20条は、介護給付及び予防給付と他の法令に基づく給付との調整を定める規定である。労働者災害補償保険法の療養補償給付等、政令で定める給付のうち介護給付等に相当するものを受けることができるときは政令で定める限度で、国又は地方公共団体の負担による相当給付が行われたときはその限度で、介護給付等を行わない。
手順
- 1.要介護の原因を整理する 要介護状態の原因が業務上の事由・通勤・その他の制度の対象かを整理し、診断書、事故報告書、勤務記録などの資料を確保する
- 2.労働基準監督署に労災給付の可否を確認 労働基準監督署で療養補償給付・介護補償給付等の請求可否を確認する。会社が協力しない場合でも本人による請求は可能
- 3.市町村の介護保険窓口に調整範囲を確認 要介護認定の申請時に労災請求中である旨を伝え、介護保険法20条による調整の対象範囲と、調整待ち期間中の取扱いを確認する
- 4.他法給付で不足する介護需要を記録 ケアプラン作成時に、他法給付でカバーされる範囲と実際の介護需要の差をケアマネジャーに記録してもらい、介護保険適用の根拠として保存する
よくある質問 AI による整理
Q1介護保険法20条とは何ですか?
介護保険と他の法令に基づく給付の重複を調整する規定です。労災など政令で定める他法給付を受けられるときは、その限度で介護保険の給付が行われません。
Q2労災と介護保険は併用できる?
同じ要介護状態への相当給付は労災が優先し、政令で定める限度で介護保険は行われません。ただし労災でカバーされない部分に介護保険が働く余地はあります。
Q3通勤中の事故で要介護になった場合も介護保険より労災が先?
条文は療養給付(通勤災害)も明記しています。通勤災害として労災の給付を受けられるなら、その限度で介護保険は調整されます。
Q4介護保険法20条の「政令で定めるもの」とは?
調整対象となる他法給付は介護保険法施行令で具体的に指定されています。労災保険の給付のほか、複数の法律に基づく給付が含まれます。
Q5労災と知らずに介護保険を使っていたらどうなる?
後から労災の受給可能性が判明すると、介護保険から支給された分が返還・調整の対象となり得ます。早めに労働基準監督署に相談することが重要です。
Q6副業先の事故で要介護になったら?
複数事業労働者療養給付も条文に明記されています。複数の事業場で働く人の労災給付も、介護保険との調整の対象になります。
Q7自治体の独自給付を受けていると介護保険は減る?
国や地方公共団体の負担で介護給付等に相当するものが実際に行われたときは、その限度で介護保険は行われません。こちらは実際の給付が基準です。
Q8介護保険法20条で介護保険がゼロになることはある?
調整は「限度において」行われるため、全面排除とは限りません。他法給付で賄えない部分があれば、その範囲で介護保険が給付される余地があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1労災でも介護保険でも、どっちも使えるなら金額が多いほうを選べばいいんですよね?
選べません。20条は労災など他法給付が優先し、その限度で介護給付等を行わないと定めています。どちらを選ぶかという構造ではなく、順番が法定されています。実務のポイント:ただし労災の介護補償給付には月額上限があり、実際の介護需要がそれを上回る場合、超過部分に介護保険が及ぶ余地がある。「労災だから介護保険は一切使えない」と窓口で言われても、そこで引き下がらないこと
Q2労災の申請が面倒なので、介護保険だけで済ませたいのですが
条文は「受けることができるとき」と規定しており、実際に受給していなくても受給資格があれば調整対象です(20条)。申請しないことで介護保険が満額出るわけではありません。実務のポイント:実務上、市町村が労災の受給可能性を把握できないまま給付されるケースは確かにある。しかし後日判明すれば不当利得として返還請求の対象になる。数年分まとめて請求される事例があり、回避ではなく先送りにすぎない
Q3調整される制度って労災以外にもあるんですか?
あります。本条は「政令で定めるもの」に委任しており、介護保険法施行令が具体的な法令を列挙しています。原子爆弾被爆者援護法、戦傷病者特別援護法などが含まれます。実務のポイント:本人も家族も、自分が被爆者健康手帳や戦傷病者手帳の対象だと気付いていないケースがある。高齢の親の要介護認定を申請するとき、過去の被爆歴・戦傷歴・公害健康被害の認定歴を一度確認する価値がある。該当すれば自己負担が大きく変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「労災と介護保険は両方もらえる、二重取りではなく別制度だから」という理解は誤り。20条は相当する給付について明確に調整を定めており、政令で定める限度で介護保険は行われない。ただし労災の介護補償給付には上限額があり、その上限を超える部分について介護保険が働く余地がある点は実務上の重要論点である
- 調整が問題になるのは労災だけだと思われているが、条文は「その他の法令に基づく給付であって政令で定めるもの」と書いている。原子爆弾被爆者援護法、戦傷病者特別援護法、感染症法など、複数の法律が政令(介護保険法施行令11条)で指定されている。自分の要介護原因がどの制度の射程かを知らないまま介護保険だけ申請している人は多い
- 「申請しなければ調整されない」と考えるのは前提そのものが誤っている。条文は「受けることができるとき」と書いており、受給可能性の存在自体が調整の引き金になる。労災を申請していないことは、あなたを守らない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 介護保険法20条:他法給付との重複調整 | 介護保険法21条:第三者行為による損害賠償請求権の代位 介護保険法22条:不正利得の徴収 |
| 対象となる相手 | 労災保険等、政令で定める他法の給付 | 要介護状態を生じさせた加害者(第三者) 偽りその他不正の手段で給付を受けた者等 |
| 効果 | その限度で介護給付等を行わない | 市町村が給付の価額の限度で損害賠償請求権を取得 給付の価額の全部又は一部を徴収 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は社会保険方式の介護保険を持たず、税財源の長期照顧制度で対応している。職業災害給付との関係は日本のような単一の調整条文では整理されていない。
韓国は日本・ドイツを参照して社会保険方式の老人長期療養保険を導入しており、他制度との関係整理が課題となる点で日本と共通する。
ドイツ介護保険も法定労災保険等の給付を優先させる構造を採っており、他法優先の発想は日本の本条と共通する。
米国には公的介護保険はないが、Medicare は労災補償から支払いが見込まれる場合に二次的支払者となり、他制度優先の考え方が見られる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 建設現場で墜落事故に遭い、脊髄損傷で要介護4に。会社は「労災だと面倒だから健康保険で処理しよう」と持ちかけてきた。もし従えば、労災の介護補償給付も受けられず、介護保険も20条で調整される可能性が残る。ここでサインする書類一枚が、その後の数十年の給付額を決める
- もし親がトラック運転手として勤務中に事故に遭い、そのまま要介護状態になったとしたら、どこに申請すればいい? 答えは介護保険の窓口である市町村ではなく、まず労働基準監督署。順番を逆にすると、市町村から「労災が先です」と言われ、その間サービス利用は自費立替になりかねない
- 訪問介護事業所の請求担当者として、利用者が労災の介護補償給付を受けていることを後から知った。既に国保連に請求済みの介護報酬は返還対象になる。事業所が利用者から回収できなければ、そのまま事業所の損失になる
- 退職後に石綿による中皮腫と診断され、要介護状態に。石綿健康被害救済法による救済給付も選択肢に入る。あと数日で労災の時効期限が来る事案もあり、どちらの制度を先に動かすかで受給総額が数百万円単位で変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 要介護状態の原因が業務上の事由または通勤によるものか整理する。診断書、事故報告書、勤務記録を確保2. 労働基準監督署に労災の療養補償給付・介護補償給付の申請可否を確認、会社が非協力でも本人申請は可能3. 並行して市町村の介護保険窓口に「労災申請中」であることを伝え、調整対象となる範囲を書面で確認4. 労災の支給限度額を超える介護需要があればケアプランに数値で記録し、介護保険適用の根拠として残す
訴えられた側:介護サービス事業者として過誤請求を指摘された場合、まず利用者の他制度受給状況を時系列で再構成する。受給開始日と請求対象月の重複範囲を特定し、介護保険法施行令が定める調整の限度を超えて返還を求められていないか確認する。労災の上限超過部分については介護保険が働く余地があるため、一律返還に応じる前に保険者へ算定根拠の開示を求める
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はないが、調整の前提となる労災保険給付の請求権には時効がある(療養補償給付は療養の費用を支出した日の翌日から2年、障害補償給付は5年。労働者災害補償保険法42条)。介護保険の保険給付を受ける権利は2年(介護保険法200条)。いずれも最新の改正状況をご確認ください
学説
通説:本条は同一の要介護状態に対する給付の重複を防ぐ他法優先の調整規定であり、全面排除ではなく「限度において」調整する構造を採る。他法給付でカバーされない介護需要については介護保険が補充的に働くと解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成9年(1997年) 新設:介護保険法の制定により、他法給付との調整規定として設けられた。
- 2.令和2年(2020年) 改正:労災保険における複数事業労働者への給付の創設に伴い、調整対象として複数事業労働者療養給付が条文に加えられた。
- 介護保険法 第18条保険給付の種類、調整対象の範囲画定
- 介護保険法 第21条第三者行為による損害賠償請求権の代位取得
- 介護保険法 第22条不正受給時の返還と徴収
- 介護保険法 第200条保険給付を受ける権利の消滅時効
- 労働者災害補償保険法 第12条介護補償給付等の支給要件と上限
- 労働者災害補償保険法 第13条療養補償給付の内容、調整の対象給付
- 健康保険法 第55条労災保険給付との併給調整の同型規定
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