不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第2条(定義)
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- この法律において「アクセス管理者」とは、電気通信回線に接続している電子計算機(以下「特定電子計算機」という。)の利用(当該電気通信回線を通じて行うものに限る。以下「特定利用」という。)につき当該特定電子計算機の動作を管理する者をいう。
- 2.この法律において「識別符号」とは、特定電子計算機の特定利用をすることについて当該特定利用に係るアクセス管理者の許諾を得た者(以下「利用権者」という。)及び当該アクセス管理者(以下この項において「利用権者等」という。)に、当該アクセス管理者において当該利用権者等を他の利用権者等と区別して識別することができるように付される符号であって、次のいずれかに該当するもの又は次のいずれかに該当する符号とその他の符号を組み合わせたものをいう。
- 一当該アクセス管理者によってその内容をみだりに第三者に知らせてはならないものとされている符号
- 二当該利用権者等の身体の全部若しくは一部の影像又は音声を用いて当該アクセス管理者が定める方法により作成される符号
- 三当該利用権者等の署名を用いて当該アクセス管理者が定める方法により作成される符号
- 3.この法律において「アクセス制御機能」とは、特定電子計算機の特定利用を自動的に制御するために当該特定利用に係るアクセス管理者によって当該特定電子計算機又は当該特定電子計算機に電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機に付加されている機能であって、当該特定利用をしようとする者により当該機能を有する特定電子計算機に入力された符号が当該特定利用に係る識別符号(識別符号を用いて当該アクセス管理者の定める方法により作成される符号と当該識別符号の一部を組み合わせた符号を含む。次項第一号及び第二号において同じ。)であることを確認して、当該特定利用の制限の全部又は一部を解除するものをいう。
- 4.この法律において「不正アクセス行為」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。
- 一アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能に係る他人の識別符号を入力して当該特定電子計算機を作動させ、当該アクセス制御機能により制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者又は当該識別符号に係る利用権者の承諾を得てするものを除く。)
- 二アクセス制御機能を有する特定電子計算機に電気通信回線を通じて当該アクセス制御機能による特定利用の制限を免れることができる情報(識別符号であるものを除く。)又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為(当該アクセス制御機能を付加したアクセス管理者がするもの及び当該アクセス管理者の承諾を得てするものを除く。次号において同じ。)
- 三電気通信回線を介して接続された他の特定電子計算機が有するアクセス制御機能によりその特定利用を制限されている特定電子計算機に電気通信回線を通じてその制限を免れることができる情報又は指令を入力して当該特定電子計算機を作動させ、その制限されている特定利用をし得る状態にさせる行為
この条文の基本情報
定義とは何ですか?
定義定義とは、不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条に定められた規定で、「この法律において「アクセス管理者」とは、電気通信回線に接続している電子計算機(以下「特定電子計算機」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条(定義)は、日本の不正アクセス行為の禁止等に関する法律に含まれる条文です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条の条文原文は「この法律において「アクセス管理者」とは、電気通信回線に接続している電子計算機(以下「特定電子計算機」という。」で始まります。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の公布日は平成11年8月13日です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条の前の条は不正アクセス行為の禁止等に関する法律第1条です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条の次の条は不正アクセス行為の禁止等に関する法律第3条です。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第2条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0000000128 - 本サイト収録
不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成十一年法律第百二十八号)第2条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/411AC0000000128/2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点不正アクセス禁止法2条4項は、他人のIDやパスワードを無断で入力し、または認証を迂回する情報を入力して、制限された機能を使える状態にする行為を不正アクセス行為と定義する。
Q · 他人のパスワードでログインしただけで、中身を見なくても不正アクセスになるの?
ログイン成功の時点で成立。中身を見なくても犯罪になる
不正アクセス禁止法2条4項1号は、他人の識別符号を無断で入力し、制限されている特定利用を「し得る状態にさせる」行為を不正アクセス行為と定義しています。成立に必要なのはログインが通ることだけで、データの閲覧や持ち出しは要件になっていません。本人または管理者の承諾がある場合は除かれます。違反すると3条・11条により3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象になります。
解説
パスワードを技術的に「破った」かどうかは、犯罪が成立するかどうかと関係がない。以前に聞いたパスワードでも、付箋に書いてあったパスワードでも、本人の承諾なく他人のIDとパスワードを入力してログインした瞬間に、本条4項1号の「不正アクセス行為」が成立する。中身を一行も読まなくても、データを何も持ち出さなくても、「制限されている特定利用をし得る状態」(本来は鍵がかかっていて使えない機能が使える状態)になった時点で既遂である。逆に、パスワードも生体認証もかかっていない領域を開いても、原則としてこの法律の対象外になる。本条は、アクセス管理者、識別符号、アクセス制御機能、不正アクセス行為という4つの定義を積み上げて、「誰の鍵を」「どの扉に」「誰の許可なく」差し込んだかで線を引いている。罰則は11条で、3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金である。浮気調査でも、退職時のデータ回収でも、脆弱性の発見でも、この線の位置を知っているかどうかで結果が分かれる。
法的な位置づけ
不正アクセス行為とは、アクセス制御機能を有する特定電子計算機に対し、電気通信回線を通じて他人の識別符号、または制限を免れる情報・指令を入力し、アクセス管理者等の承諾なく、制限された特定利用をし得る状態にさせる行為をいう。不正アクセス禁止法2条4項が、1号から3号までの3類型として定める。
よくある質問 AI による整理
Q1不正アクセス行為とは何ですか?
他人のIDやパスワードを無断で入力したり、認証を迂回したりして、本来は制限されている機能を使える状態にする行為です。不正アクセス禁止法2条4項が定義しています。
Q2識別符号とはパスワードのことですか?
パスワードに限りません。2条2項により、秘密とされる符号(パスワード等)のほか、指紋や顔などの生体情報、署名から作られる符号も識別符号にあたります。
Q3指紋認証や顔認証を突破した場合も不正アクセスになりますか?
なります。生体情報から作られる符号も識別符号に含まれるため(2条2項2号)、他人の生体情報を使って制限を解除すれば1号の不正アクセス行為になりえます。
Q4IDとパスワードを教えてもらってログインしたら違法?
その識別符号の利用権者本人、またはアクセス管理者の承諾があれば、4項1号の除外にあたり不正アクセス行為になりません。承諾の範囲を超えた利用には注意が必要です。
Q5脆弱性を突いたアクセスも不正アクセスになりますか?
なりえます。識別符号以外の情報や指令を入力して制限を免れる行為は、2条4項2号・3号のいわゆるセキュリティ・ホール攻撃型として不正アクセス行為に含まれます。
Q6不正アクセス禁止法の罰則はどのくらい?
不正アクセス行為(3条違反)は、11条により3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。識別符号の不正取得や保管、フィッシングにも別に罰則があります。
Q7不正アクセス罪は親告罪ですか?
親告罪ではありません。被害者の告訴がなくても捜査・起訴が可能で、示談が成立しても当然に処罰を免れるわけではありません。示談は起訴猶予や量刑の判断材料になります。
Q8アクセス管理者とは誰のことですか?
ネットにつながったコンピュータの利用について、その動作を管理する者です(2条1項)。通常はSNSやクラウドサービスの運営会社、社内システムなら会社がこれにあたります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手のスマホがロック解除されたまま置いてあって、LINEを見ちゃった。これも不正アクセスなんですか?
本法の不正アクセスは、「電気通信回線を通じて」識別符号等を入力することが要件になっている(本条4項)。すでに開いている端末の画面を見るだけなら、原則として該当しないと解されている。ただし、その端末から別のサービスにパスワードを入れてログインすれば話は別である。実務のポイント:不正アクセスにならなくても、プライバシー侵害として民法709条の慰謝料請求を受けることはありうる。刑事で無傷でも、民事で無傷とは限らない
Q2パスワードのかかっていないページをURLを推測して見つけて、見ただけ。それでも捕まりますか?
本条3項の「アクセス制御機能」が付加されていない領域へのアクセスは、原則として不正アクセス行為に当たらない。ただし、ID・パスワードで保護された領域をURLやパラメータの操作で迂回したなら、2号・3号に該当しうる(東京地判平成17.3.25)。どこまでが保護領域かは、実務上も解釈が分かれる場面がある。実務のポイント:脆弱性を見つけたら自分で深追いせず、IPA(情報処理推進機構)の脆弱性関連情報の届出制度を使う。善意の報告者であることを記録に残す最短ルートである
間違えやすい点 AI による整理
- 「パスワードを知っていたのだから、ハッキングではない」と考えがちだが、法律は技術的に破ったかどうかを問わない。他人の識別符号を、アクセス管理者(サービスの運営者)にも本人にも承諾を得ずに入力すること自体が、1号の不正アクセス行為である
- あなたから見れば「家族のLINEを確認しただけ」でも、法律から見れば運営会社と利用権者(そのアカウントの正規の利用者)のどちらの承諾もない特定利用である。家族間の例外規定は本条のどこにもない。この落差のせいで、離婚を有利に進めるはずの証拠が、一転して自分の刑事リスクに変わる
- 「何を見たか」「何を盗んだか」で罪が決まると考えるのは、問いの立て方そのものがずれている。4項の各号は「制限されている特定利用をし得る状態にさせる」ことを要件にしており、ログインに成功した時点で既遂になる。「中身は見ていない」という弁明は、罪が成立するかどうかではなく、刑の重さを左右する情状の問題にしかならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 不正アクセス禁止法2条:不正アクセス行為などの用語を定義する | 同法3条:不正アクセス行為を禁止する 同法4条:他人の識別符号の不正取得を禁止する |
| 問題になる行為 | 識別符号の無断入力、または制限を免れる情報・指令の入力(4項1〜3号) | 2条4項に定義された行為を実際に行うこと 不正アクセスに使う目的で他人のIDやパスワードを手に入れること |
| 既遂の時点 | 制限された特定利用をし得る状態になった時点(定義上の基準) | ログイン等が成功した時点 識別符号を取得した時点(ログインしなくても成立) |
| 罰則 | 定義規定のため本条自体には罰則なし | 11条:3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 12条:1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金 |
他国ではどう定めているか 6 か国
他人の帳号密碼の無断入力、保護措置の破解、システムの漏洞の利用による入侵を処罰しており、日本の4項1号・2号とよく似た構造を持つ。ただし台湾は告訴乃論(刑法第363条)であり、非親告罪の日本とはここが大きく違う。
正当な接近権限なく、または許容された権限を超えて情報通信網に侵入する行為を禁止する。権限超過型も明文で含む点が日本より広い。
国家事務・国防・先端科学技術分野のシステムへの侵入(1項)と、その他のシステムからのデータ取得・不正制御(2項)を区別して処罰する。
特別に保護されたデータに対し、アクセス保護(Zugangssicherung)を克服して権限なくアクセスすることを処罰する。日本の「アクセス制御機能」要件と発想が近い。
データ自動処理システムへの不正なアクセス・滞在を処罰する。判例上、保護措置の存在は必須とされておらず、日本より処罰範囲が広い。
「権限なく、または権限を超えて」のアクセスを処罰する。連邦最高裁は、入口が閉じているかどうかで判断する限定的な解釈を採った。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 配偶者のスマホに届く通知が気になり、以前盗み見たApple IDのパスワードで自分のiPadからログインしたら、どうなる? 中身を見る前でも、ログインが通った時点で本条4項1号に当たり、11条の処罰対象になる。離婚調停で証拠として出したとたん、相手方は刑事告訴という強力なカードを手に入れる
- 退職日まで残り3日。辞めた後に同僚のIDで顧客管理システムに入れば、同僚本人も会社も承諾していない限り1号の不正アクセスになる。「自分が作ったデータを取り戻しただけ」という理屈は通らない
- 自社ECサイトの検証中に、URLのパラメータを一つ書き換えたら、他の会員のマイページが開いてしまった。善意のエンジニアでも、認証による制限を迂回して特定利用ができる状態にした以上、2号・3号の問題に直面しうる。どこで手を止め、誰に報告したかの記録が自分を守る
取るべき行動
被害を受けた側:1. ログイン履歴、不審な送信履歴、設定変更の通知メールを日時付きで保存する2. その後にパスワードを変更して二段階認証を設定し、使い回している他サービスもすべて変える3. 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口に相談する。本罪は非親告罪(被害者の告訴がなくても起訴できる罪)なので、加害者が家族でも捜査対象になる4. 損害があれば民法709条で賠償請求を検討し、加害者の特定は弁護士会照会や捜査機関への情報提供で進める
訴えられた側:1. ログインした当時、利用権者本人または管理者の承諾があったことを示すもの(メッセージ等)を確保する。これは1号の除外事由になる2. 認証のない領域へのアクセスだったなら、アクセス制御機能が存在しなかったと主張できる余地がある3. 警察から連絡が来たら、供述する前に弁護士に相談する4. 非親告罪だが、被害者との示談は起訴猶予の判断材料になる5. 取得したデータを独断で消去しない。証拠隠滅を疑われる
時効(請求できる期限):不正アクセス罪(3条違反、11条)の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)で、ログイン行為の時点から起算する。ログインのたびに別個の罪が成立しうる。民事の損害賠償請求権は、損害及び加害者を知った時から3年、行為の時から20年で消滅する(民法724条)
学説
通説:本法の保護法益は個々の情報の秘密ではなく、アクセス制御機能に対する社会的な信頼、つまり電気通信に関する秩序である。そのため、ログインに成功した時点で既遂となる抽象的危険犯と理解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:平成11年法律第128号として制定され、2000年2月に施行された。アクセス管理者・識別符号・アクセス制御機能の定義を置いた。
- 2.平成24年(2012年) 改正:平成24年法律第12号による改正。不正アクセス行為の定義を2条4項に集約し、識別符号の不正取得・保管、フィッシング行為の禁止を新設した。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第1条法目的、電気通信秩序の維持
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第3条本条4項の行為の禁止規定
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第4条他人の識別符号の不正取得の禁止
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第7条フィッシング行為の禁止
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律 第11条不正アクセス行為の罰則
- 刑法 第168条の2コンピュータウイルス作成等の処罰
- 刑法 第234条の2侵入後のデータ破壊による業務妨害
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ログインして共同ノートを始める出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。