会社法 第147条(株式の質入れの対抗要件)
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- 株式の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。
- 2.前項の規定にかかわらず、株券発行会社の株式の質権者は、継続して当該株式に係る株券を占有しなければ、その質権をもって株券発行会社その他の第三者に対抗することができない。
- 3.民法第三百六十四条の規定は、株式については、適用しない。
この条文の基本情報
株式の質入れの対抗要件とは何ですか?
定義株式の質入れの対抗要件とは、会社法第147条に定められた規定で、「株式の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第147条(株式の質入れの対抗要件)は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第147条の条文原文は「株式の質入れは、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができない。」で始まります。
- 会社法第147条は第三款 株式の質入れに置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第147条の前の条は会社法第146条です。
- 会社法第147条の次の条は会社法第148条です。
- 会社法第147条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第147条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第147条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/147
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法147条は株式の質入れの対抗要件を定める。株券不発行会社では株主名簿への記載、株券発行会社では株券の継続占有が必要で、欠けると第三者に対抗できない。
Q · 株を担保に取ったら、株券を金庫に入れておくだけで安心していいの?
ダメ。名簿記載か株券の継続占有が対抗要件
会社法147条により、株式の質権は「設定」だけでは第三者に対抗できません。株券不発行会社(現在の原則)では、質権者の氏名・住所が株主名簿に記載されて初めて会社や他の債権者に対抗できます(1項)。株券発行会社では、株券を「継続して」占有し続けることが必要で、一度でも相手に返した瞬間に対抗力が消えます(2項)。さらに3項は、民法364条の債権質の対抗要件(第三債務者への通知)を株式には使わせません。担保を取る側がこの一段を知らなければ、その担保は法的には存在しないも同然です。
解説
知人の会社に金を貸す代わりに、その株式を担保に取った。借用書もある、株券も金庫に預かった。これで取りはぐれないと安心していたら、別の債権者がその同じ株を差し押さえ、あなたの担保は宙に浮く。会社法147条が突きつけるのは、質権は「設定しただけ」では第三者に対抗できないという冷徹な事実だ。株券を発行している会社なら、あなたは株券を「継続して」占有し続けなければならない。一度でも相手に返した瞬間、対抗力は消える。株券を発行していない会社(今はこちらが原則)なら、株主名簿にあなたの氏名と住所が記載されて初めて、会社にも他の債権者にも「この株は私の担保だ」と言える。さらに3項は、民法の債権質ルール(第三債務者への通知)を株式には使わせない。株式の担保は、株式独自のルールで完結する。担保を取る側がこの一段を知らなければ、その担保は法的には存在しないも同然だ。
法的な位置づけ
会社法147条は、株式に対する質権の対抗要件を定める規定である。株券不発行会社の株式質権は株主名簿への質権者の氏名・住所の記載を、株券発行会社の株式質権は株券の継続占有を、それぞれ会社その他の第三者に対する対抗要件とする。民法364条が定める債権質の対抗要件は、株式には適用されない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象会社が株券発行会社かを最初に確認 株式を担保に取る前に、定款で株券発行会社か不発行会社かを確認する。現在は株券不発行が原則のため、預かるべき株券が存在しないケースが多い。会社類型で対抗要件の備え方が真逆になる
- 2.株券不発行会社なら株主名簿への記載を請求 登録質を選び、設定契約と同時に会社へ株主名簿への質権者記載を請求する(会社法148条)。記載された日が対抗要件具備日となり、回収時には会社が配当金・残余財産を直接支払う(151条・154条)
- 3.株券発行会社なら株券の交付を受け継続占有を維持 株券の交付を受け、以後一度も手放さず継続して占有する(会社法147条2項)。相手が一時返還を求めても応じず、必要なら第三者預託や供託で占有の連鎖を切らさない
- 4.競合する差押え・譲渡の有無を確認し先順位を判断 同一株式に他の質権者や差押えがないか株主名簿を確認する。先に対抗要件を備えた者が優先するため、自分の具備日と他者の具備日を比較し、先順位かどうかを判断する
よくある質問 AI による整理
Q1株式の質入れとは何ですか?
株式を担保にして融資を受ける仕組みです。会社法146条が設定を認め、147条が対抗要件(名簿記載または株券の継続占有)を定めます。設定だけでは第三者に対抗できません。
Q2株券不発行会社の株を担保に取るにはどうすればいいですか?
株券が存在しないため、株主名簿に質権者の氏名・住所を記載してもらう必要があります(会社法147条1項・148条)。記載がない限り、会社にも他の債権者にも対抗できません。
Q3株主名簿に質権者として記載してもらう方法は?
登録質を選び、会社に対し株主名簿への記載を請求します(会社法148条)。記載されれば会社が配当金や残余財産を直接質権者に支払います(151条・154条)。
Q4株式の質権の対抗要件はいつ備えるべきですか?
設定契約と同時に備えるのが鉄則です。対抗要件は早い者勝ちで、先に名簿記載または継続占有を備えた質権者が優先します。一日の遅れが優先順位を逆転させます。
Q5上場株式(振替株式)を担保に取るにはどうしますか?
振替株式は会社法147条ではなく社債株式振替法141条が規律します。証券会社の振替口座簿の質権欄に記載・記録することが対抗要件です。
Q6質権者は配当金を直接受け取れますか?
登録質なら会社が直接質権者に支払います(会社法154条)。略式質では会社は株主本人へ払うため、質権者は物上代位(151条)で別途差し押さえる必要があります。
Q7民法364条はなぜ株式に使えないのですか?
会社法147条3項が明文で適用を排除しているためです。株式の担保は債権質の通知ルールではなく、名簿記載・継続占有という株式独自のルールで完結します。
Q8株式の質入れと譲渡担保はどう違いますか?
質入れは担保権の設定で株主の地位は債務者に残ります。譲渡担保は形式上株式を債権者へ移転します。譲渡担保では株主名簿の名義書換が対抗要件となり、構造が異なります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1株を担保に取るのと、お金を貸すときの抵当権って何が違うんですか?
抵当権は不動産が対象、株式の担保は質権です。質権は目的物(株券)を債権者が占有するのが原則で、抵当権のように相手の手元に残しません。会社法147条2項が株券発行会社で「継続占有」を対抗要件とするのはこのためです。実務のポイント:実務では株券不発行会社が原則になり、預かるべき株券が存在しない。だから株主名簿への質権者記載(登録質)が事実上の標準です。名簿記載を怠ると会社は配当金を株主本人に払ってしまい、あなたは取りはぐれる。
Q2略式質と登録質、どっちにすればいいんですか?
回収の確実性を取るなら登録質です。株主名簿にあなたの氏名・住所を記載させれば(会社法148条)、会社が配当金や残余財産を直接あなたに支払います(会社法151、154条)。略式質だと会社は株主本人へ払うため、別途差押えが必要になる。実務のポイント:登録質は名簿に名前が残るので、その会社の他の株主や取引先に「担保に入っている」と知られます。融資の存在を秘密にしたい場面では略式質を選ぶこともあるが、その代償は回収の手間。守秘と確実性のトレードオフで選ぶ。
Q3担保に取った株券を、相手が「確定申告で必要」と言うんですが、貸していいですか?
貸してはいけません。会社法147条2項は「継続して」株券を占有することを対抗要件とします。一時的にでも返した瞬間、第三者に対抗できなくなり、その隙に別の債権者が差し押さえれば負けます。実務のポイント:相手が株券の一時返還を求めてきたら要注意。本当に申告目的ならコピーで足りることが多い。原本を手放させようとする動きは、二重担保や第三者への譲渡の前兆であることがある。占有は何があっても切らさないのが鉄則。
間違えやすい点 AI による整理
- 「株券を預かれば担保は完璧」と思っている貸し手が多いが、株券発行会社では「継続して」占有し続けることが対抗要件(2項)。一度でも相手に返せば、その瞬間に対抗力が消える。かつて預かった事実があっても、今この手に握っていなければ意味がない
- 「株を担保に取るなら、民法の質権ルールを調べればいい」と考えること自体が、すでに道を外している。3項が民法364条(債権質の対抗要件)を株式には適用しないと明言している。民法の教科書だけ読んでいると、株式には効かないルールを前提に動いてしまう
- 略式質と登録質の違いは知っていても、その差の深刻さを知らない人が多い。株主名簿に記載しない略式質では、会社が配当金を株主本人に払ってしまい、あなたは物上代位(会社法151条)を別途差し押さえねばならない。登録質なら会社が直接あなたに払う。同じ「担保」でも、回収の手間が天と地ほど違う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対抗要件 | 147条:名簿記載(不発行会社)または株券の継続占有(発行会社) | 148条:登録質の株主名簿記載事項 128条:株式譲渡における株券交付 |
| 会社からの支払 | 登録質なら会社が質権者へ直接支払(154条) | 151条:物上代位(配当金・残余財産等) 略式質は会社が株主本人へ支払 |
| 民法ルールとの関係 | 147条3項:民法364条(債権質の通知)を適用排除 | 146条:株式質入れの設定根拠 民法352条:動産質の継続占有(原型) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も記名株式の質入れでは背書と交付、会社・第三者への対抗には株主名簿への記載を要する点で構造が近い
韓国商法も略式質(株券交付)と登録質(株主名簿記載)を区別し、登録質では会社が直接支払う点が日本と類似
ドイツは権利質の一般規定を基礎とし、記名株式は裏書・交付、GmbH 持分は公正証書を要するなど形式要件が手厚い
米国は投資財産への担保権を UCC Article 9で規律し、口座管理機関への control 取得が完成(perfection)の中心的手段となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 友人の会社に500万円を融資し、担保にその会社の株式を取った。株券を預かったが、相手が「税務申告に必要」と言うので一週間だけ返した。その間に別の債権者が株式を差し押さえる。継続占有が途切れたあなたの質権は、もう第三者に対抗できない
- もし、あなたが担保に取ろうとした株式の会社が、株券不発行会社だったとしたら? 株券を預かること自体ができない。株主名簿に質権者として記載されない限り、あなたの担保はゼロ。設定契約の翌日に相手が株を第三者へ譲渡すれば、もう間に合わない
- スタートアップの創業者として、自社株を担保に銀行から融資を受けた。銀行があなたの名簿記載や株券差入れにこだわる理由が、今なら分かる。一行の記載が、銀行の担保を守っている
- あなたが債権者として相手の株式を差し押さえようとしたら、株主名簿にすでに別の質権者の名前が記載されていた。先に対抗要件を備えたその質権者に、あなたは優先される。担保の世界は早い者勝ちだ
- 親が貸付金の担保に取っていた株式を相続したが、株券がどこにあるか分からない。継続占有の連鎖が切れていれば、その担保はとうに対抗力を失っているかもしれない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 設定契約と同時に対抗要件を確認:株券発行会社なら株券の交付を受け、以後継続占有を維持。株券不発行会社なら株主名簿への質権者記載を会社へ請求(会社法148条) 2. 回収の確実性を取るなら登録質:名簿に記載させれば会社が配当金・残余財産を直接あなたに支払う(会社法151、154条) 3. 株券を絶対に手放さない、返却が必要な場面は第三者預託で連鎖を切らない4. 競合する差押え・譲渡の兆候があれば、自分の対抗要件具備日を確認し先順位かどうかを判断する
訴えられた側:1. 株を担保に差し出す側なら、略式質か登録質かで会社や他の株主への露見度が変わる、登録質は名簿に名前が残る点に注意2. 別の債権者として同じ株を狙うなら、まず株主名簿を確認し先行する質権者の有無をチェック3. 先行質権者がいれば優先順位で負ける、無理に差し押さえても回収はできない4. 株券発行会社なら、相手の質権者が株券を現に継続占有していなければ、対抗力を争える余地がある
時効(請求できる期限):質権設定自体に期限はないが、対抗要件の具備は「早い者勝ち」。同一株式に複数の権利者が現れた場合、先に対抗要件(名簿記載または継続占有)を備えた者が優先する。継続占有は途切れた瞬間に対抗力を失うため、時間的連続性が常に問われる
学説
通説:会社法147条の対抗要件は、株券不発行会社では株主名簿への質権者記載、株券発行会社では株券の継続占有とされる。略式質と登録質の区別は対抗力ではなく会社からの直接支払の可否に関わり、登録質では会社が質権者へ直接弁済する点に実益がある。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法(平成17年法律第86号)の制定により、従来の商法上の株式質規定を整理し、株券不発行会社の原則化に対応して名簿記載と継続占有を対抗要件として明文化した
- 会社法 第146条株式の質入れを認める設定根拠規定
- 会社法 第148条登録質における株主名簿の記載事項
- 会社法 第151条質権の物上代位(配当金・残余財産等)
- 会社法 第154条登録株式質権者への会社の直接支払
- 会社法 第128条株券発行会社における株式譲渡と株券交付
- 民法 第364条本条3項が株式への適用を排除する債権質の対抗要件
- 民法 第352条継続占有を対抗要件とする動産質の原型
- 社債、株式等の振替に関する法律 第141条振替株式の質入れは振替口座簿の記載が対抗要件
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