会社法 第331条の2
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- 成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)を得た上で、成年被後見人に代わって就任の承諾をしなければならない。
- 2.被保佐人が取締役に就任するには、その保佐人の同意を得なければならない。
- 3.第一項の規定は、保佐人が民法第八百七十六条の四第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人に代わって就任の承諾をする場合について準用する。この場合において、第一項中「成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)」とあるのは、「被保佐人の同意」と読み替えるものとする。
- 4.成年被後見人又は被保佐人がした取締役の資格に基づく行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 会社法第331条の2は、日本の会社法に含まれる条文です。
- 会社法第331条の2の条文原文は「成年被後見人が取締役に就任するには、その成年後見人が、成年被後見人の同意(後見監督人がある場合にあっては、成年被後見人及び後見監督人の同意)を得た上で、成年被後…」で始まります。
- 会社法第331条の2は第一款 選任に置かれています。
- 会社法の公布日は平成17年7月26日です。
- 会社法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 会社法第331条の2の前の条は会社法第331条です。
- 会社法第331条の2の次の条は会社法第332条です。
- 会社法第331条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
会社法(平成十七年法律第八十六号)第331条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000086 - 本サイト収録
会社法(平成十七年法律第八十六号)第331条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/417AC0000000086/331_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点会社法331条の2は、成年被後見人・被保佐人でも後見人や保佐人の同意を得れば取締役に就任できると定める。就任後の取締役としての行為は行為能力の制限を理由に取り消せない。
Q · 親が認知症で後見が付いたら、もう会社の取締役は辞めるしかないの?
いいえ、後見人・保佐人の同意があれば就任を続けられます
会社法331条の2により、成年被後見人は成年後見人が本人(後見監督人がいればその同意も)の同意を得て本人に代わって就任を承諾すれば、取締役になれます。被保佐人は保佐人の同意があれば就任できます。2021年3月施行の改正前は、後見・保佐の開始が取締役の欠格事由でしたが、現在は一律の締め出しは撤廃されました。さらに第4項により、就任後に取締役として行った行為は行為能力の制限を理由に取り消すことができず、取引の安全も保たれます。
解説
親が一代で築いた町工場。その親が認知症と診断され、家庭裁判所で後見開始の審判を受けた。2021年2月以前なら、この瞬間に親は取締役の地位を自動的に失っていた。成年被後見人・被保佐人であることが、取締役の欠格事由だったからだ。会社法331条の2は、この差別的な扱いを撤廃した。今は、成年後見人が本人(後見監督人がいればその同意も)の同意を得たうえで、本人に代わって就任を承諾すれば、成年被後見人でも取締役になれる。被保佐人なら保佐人の同意があればよい。さらに効くのが第4項だ。取締役として行った契約や決裁は、本人の行為能力が制限されていることを理由に取り消せない。取引相手を守る規定であると同時に、会社の意思決定が後から覆らない安定性を保証している。判断能力が衰えても、適切な支援があれば経営に関われる、その道をこの一条が開いた。
法的な位置づけ
会社法331条の2は、成年被後見人および被保佐人の取締役就任に関する手続を定める規定である。2021年施行の改正により、これらの者を一律に取締役の欠格事由とする旧規定が削除され、後見人・保佐人の関与(同意・承諾)を要件として就任を認めるとともに、就任後の取締役の資格に基づく行為は行為能力の制限によって取り消せないものとした。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.本人が就いている役職を特定する まず本人が取締役・監査役・執行役のいずれに就いているかを確認する。役職ごとに準用される規定(会社法331条の2・335条・402条)が異なり、必要な同意手続も変わるため、出発点として必須
- 2.後見・保佐の類型に応じた同意書類を設計する 成年被後見人なら成年後見人の就任承諾+本人同意(後見監督人がいればその同意も)、被保佐人なら保佐人の同意を準備する。補助(被補助人)は本条の対象外で原則通常どおり就任できる点に注意
- 3.司法書士と変更登記の必要書類を確認する 商業登記の必要書類と添付書面を司法書士に確認する。同意書類が一つでも欠けると登記が通らないため、申請前に書類一式を点検する
- 4.変更登記を2週間以内に申請する 就任・退任・資格変更が生じた日から原則2週間以内に変更登記を申請する(会社法915条1項)。怠ると過料の対象になるため、起算点と期限を管理する
よくある質問 AI による整理
Q1成年被後見人でも取締役になれますか?
なれます。会社法331条の2により、成年後見人が本人(後見監督人がいればその同意も)の同意を得て、本人に代わって就任を承諾すれば取締役に就任できます。2021年3月以降のルールです。
Q2会社法331条の2はいつから施行されましたか?
令和元年改正により、2021年(令和3年)3月1日に施行されました。それ以前は成年被後見人・被保佐人が取締役の欠格事由でしたが、この日から手続を踏めば就任できるようになりました。
Q3取締役が後見開始の審判を受けたら退任が必要ですか?
当然には退任しません。就任手続が適法なら地位を維持できます。ただし就任の同意手続を欠いた場合は就任無効のリスクがあるため、後見人の承諾と本人同意の確認が必要です。
Q4成年被後見人が取締役に就任する必要書類は何ですか?
成年後見人による就任承諾書、本人の同意書、後見監督人がいればその同意書が必要です。変更登記は会社法915条により原則2週間以内に行います。
Q5被保佐人の取締役就任には誰の同意が要りますか?
保佐人の同意が必要です(会社法331条の2第2項)。保佐人に代理権付与の審判があれば、保佐人が本人に代わって就任を承諾することもできます(第3項)。
Q6取締役の変更登記の期限はいつまでですか?
就任・退任・資格変更があった日から原則2週間以内です(会社法915条1項)。怠ると過料の対象になります(会社法976条1号)。
Q7監査役や執行役にも331条の2は適用されますか?
監査役には会社法335条、執行役には402条を通じて準用されます。役職ごとに準用規定が異なるため、就任前にどの規定が適用されるか確認が必要です。
Q8後見監督人の同意はどんな場合に必要ですか?
成年被後見人の取締役就任で、後見監督人が選任されている場合に必要です。本人の同意に加え後見監督人の同意も得てから、成年後見人が就任を承諾します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が認知症になったら、もう会社の社長は続けられないんですよね?
2021年3月以降は違います。会社法331条の2により、成年後見人が本人(後見監督人がいればその同意も)の同意を得て就任を承諾すれば、成年被後見人でも取締役を続けられます。実務のポイント:この改正を知らない金融機関や取引先の担当者がまだ多く、「後見が付いた=即退任」と誤解されることがある。条文番号を示して説明できると、不要な退任圧力をはね返せる
Q2成年被後見人の取締役が結んだ契約、あとで取り消されたりしませんか?
取り消せません。第4項が、取締役の資格に基づく行為は行為能力の制限を理由に取り消すことができないと定めています。本人の個人的な契約(民法9条で取消可能)とは扱いが違います。実務のポイント:ここを混同して「リスクがある」と過大評価する取引先がいる。会社としての行為と個人としての行為は別軌道だと整理して示せば、取引を止められずに済む
Q3被保佐人と成年被後見人で、手続はどう違うんですか?
成年被後見人は本人に行為能力がないため、成年後見人が本人同意を得て「代わって」就任を承諾します(第1項)。被保佐人は本人に承諾能力があるので、本人が承諾し保佐人が「同意」する形です(第2項)。ただし保佐人に代理権付与の審判があれば、保佐人が代わって承諾できます(第3項)。実務のポイント:後見・保佐で手続が段階的に違う。補助(被補助人)はそもそも本条の対象外で、原則として通常どおり就任できる点を見落とす人が多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「後見開始=取締役を辞めなければならない」と信じている人がほとんどだが、2021年3月以降はそうではない。成年後見人が本人の同意を得て就任を承諾すれば、取締役の地位は維持も取得もできる。古い法律書や古いネット記事のまま動くと、不要な退任で会社を混乱させる
- 成年後見人が代わりに就任を承諾できることは知っていても、その「同意」の取り方を軽く見ている人が多い。本人の同意(後見監督人がいればその同意も)を欠いた就任承諾は効力を生じない。手続を一つ飛ばすと就任そのものが無効になり、その間の取締役会決議まで揺らぐ
- 「成年被後見人が取締役なら、その人の決裁は後で取り消せるはず」という前提でリスクを測る取引先がいるが、その問いの立て方が誤っている。第4項により、取締役の資格に基づく行為は行為能力の制限では取り消せない。取り消せる前提で身構えるより、就任が適法だったかを確認する方が実益がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 本人の行為能力 | 成年被後見人:行為能力なし(民法9条) | 被保佐人:重要行為に保佐人の同意が必要(民法13条) 被補助人:特定行為のみ補助人の同意(本条対象外) |
| 就任の同意主体 | 成年後見人が本人同意(+後見監督人同意)を得て代わって承諾 | 本人が承諾し保佐人が同意(代理権付与時は保佐人が承諾) 原則として通常どおり本人が就任を承諾 |
| 根拠条項 | 会社法331条の2第1項 | 会社法331条の2第2項・第3項 本条の適用なし |
| 就任後の行為の取消可否 | 取締役の資格に基づく行為は取消不可(第4項) | 取締役の資格に基づく行為は取消不可(第4項) 行為能力の制限自体が限定的 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は受監護又は輔助宣告が取消されていない者を依然として董事の消極資格としており、日本のように同意手続による就任を認める制度には至っていない
中国は無民事行為能力・限制民事行為能力者を董事等の欠格事由とし、一律排除の構造を維持している
ドイツは特定の犯罪歴や職業禁止を就任障害とするが、世話(Betreuung)の開始自体は当然の欠格事由とはしていない
米国は多くの州で後見の開始を当然の取締役欠格事由とせず、定款や個別事情で判断する柔軟な構造をとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 創業社長である父が軽度認知症と診断され、保佐開始の審判を受けた。家族は「もう社長は退くしかない」と思い込んでいたが、保佐人の同意があれば取締役を続けられる。退任すると後継者問題が一気に表面化する中小企業では、この一年の猶予が事業承継の準備期間になる
- もし、あなたが取締役を務める会社の代表が後見開始の審判を受けたら、その人が取締役会で下した決裁は無効になるのか? 答えは第4項にある。就任が適法であれば、行為能力の制限を理由に取り消すことはできない。取引先との契約も、社内の決定もそのまま有効だ
- あなたが会社の総務担当で、成年被後見人となった取締役の就任登記を任された。成年後見人の同意書、本人の同意書、後見監督人がいればその同意書、必要書類が通常と違う。変更登記は2週間以内(会社法915条)、書類が一つ欠ければ登記は通らない
- 保佐開始を受けたあなた自身が、知人に頼まれて小さな会社の取締役に名を連ねることになった。保佐人の同意なしに就任を承諾しても、その就任は効力を生じない。逆に、保佐人に代理権付与の審判があれば、保佐人があなたに代わって就任を承諾できる(第3項)
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず本人が現在どの役職(取締役・監査役・執行役)に就いているかを確認、それぞれ準用規定が異なる2. 後見・保佐の審判申立てと並行して、就任または地位維持に必要な同意書類を設計:成年被後見人なら成年後見人の承諾+本人同意(+後見監督人の同意)、被保佐人なら保佐人の同意3. 司法書士に商業登記の必要書類を確認、変更登記は2週間以内4. 本人の判断能力の状態を記録し、取締役会への関与の度合いを現実的に設計する
訴えられた側:1. 取締役の一人が後見・保佐を受けたと判明したら、就任が適法な手続を経ているかを確認、欠けていれば就任無効のリスクがある2. 適法であれば第4項により、その取締役の決裁・契約は行為能力を理由に取り消せない、取引先への説明材料になる3. 必要な変更登記を期限内(会社法915条、2週間)に行う4. 善管注意義務(取締役としてプロが当然払うべき注意のレベル、会社法330条・民法644条)の履行可能性を取締役会として現実的に評価する
時効(請求できる期限):就任・退任・資格変更があった場合の変更登記は、原則として2週間以内(会社法915条1項)。これを怠ると過料の対象(会社法976条1号)。同意手続そのものに時効はないが、登記期限の起算点は「変更が生じた時」である
学説
通説:成年被後見人・被保佐人を一律に取締役の欠格事由としていた旧規定は過剰な制限であり、障害者の権利制限適正化の要請に反するとして、本条による就任手続の整備を積極的に評価する。入口で後見人・保佐人の関与を求め、出口で取消不可とする二段構えは本人保護と取引安全の調和と理解される。
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)改正、令和3年(2021年)3月1日施行 会社法改正により新設。従来、成年被後見人・被保佐人を取締役の欠格事由としていた旧331条1項2号を削除し、本条で就任手続(後見人・保佐人の同意・承諾)と就任後の行為の取消不可を定めた。成年被後見人等の権利制限の適正化を図る一連の法整備の一環
改正の年表
- 1.平成17年(2005年) 新設:会社法制定。旧331条1項2号は成年被後見人・被保佐人を取締役の欠格事由としていた
- 2.令和元年(2019年)改正・令和3年(2021年)3月1日施行 新設:成年被後見人等の権利制限の適正化を図る法整備の一環として、旧欠格規定を削除し331条の2を新設。就任手続(後見人・保佐人の同意・承諾)と就任後の行為の取消不可を明文化
- 会社法 第331条取締役の欠格事由、本条が補完する母規定
- 会社法 第330条役員と会社の委任関係、取締役の地位の前提
- 会社法 第335条監査役就任への準用関係
- 会社法 第402条執行役選任への準用関係
- 会社法 第915条就任・退任の変更登記義務
- 民法 第9条成年被後見人の法律行為の取消し、第4項の例外の前提
- 民法 第13条被保佐人の同意を要する行為の一般規定
- 民法 第876条の4第3項が明示的に引用する保佐人の代理権付与の審判
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