民法 第116条(無権代理行為の追認)
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追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
この条文の基本情報
無権代理行為の追認とは何ですか?
定義無権代理行為の追認とは、民法第116条に定められた規定で、「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第116条(無権代理行為の追認)は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第116条の条文原文は「追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」で始まります。
- 民法第116条は第三節に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民法第116条の前の条は民法第115条です。
- 民法第116条の次の条は民法第117条です。
- 民法第116条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第116条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第116条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/116
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法116条により、無権代理行為の追認は契約の時にさかのぼって効力を生ずる。ただし追認前に正当な権利を得た第三者を害することはできない。
Q · 親が勝手に私の名前で結んだ契約、追認したらいつから有効になるの?
追認すれば契約した日にさかのぼって有効になります
民法116条により、無権代理行為を本人が追認すると、別段の意思表示がない限り、追認した日ではなく契約の時にさかのぼって効力が生じます。これにより利息の起算日、果実の帰属、引渡し前の危険負担などが契約時を基準に確定します。ただし、追認するまでの間に目的物について正当な権利を取得した第三者がいる場合、その権利を害することはできません(同条ただし書)。遡及効は当事者間に限定され、先に動いた第三者を踏み越えることはできません。
解説
実家の母が、あなたに一言の相談もなく、あなたの名前でリフォーム業者と200万円の契約を結んでいた。請求書を見て初めて知る。この瞬間、選択権を握っているのはあなただ。民法113条により、あなたが「追認」しなければその契約はあなたを縛らない。だが追認すると決めた場合、その効力がいつから生じるかを定めるのが116条である。追認した今日からではなく、母が契約した日にさかのぼって、あなたが最初から当事者だったことになる。これは細かい話に見えて、利息の起算日、引渡し前に物が壊れたときの危険負担、その間に生じた果実の帰属、すべてを左右する。ただし条文の後半が鍵を握る。あなたが追認するまでの間に、その目的物について正当な権利を得た第三者がいれば、遡及効はその人を害せない。過去をさかのぼる力には、先に動いた他人を踏み越えられないという限界が組み込まれている。
法的な位置づけ
民法116条は無権代理行為の追認の効果を定める規定であり、追認は別段の意思表示がない限り契約の時にさかのぼって効力を生ずるとする。ただし、追認前に目的物について正当な権利を取得した第三者がいる場合、その権利を害することはできず、遡及効は当事者間の関係に限定される。
手順
- 1.事実を書面で特定する 誰が、いつ、どんな内容であなた名義の契約を結んだかを契約書・請求書から特定する。追認するか拒絶するかの判断材料を先に固める
- 2.追認か拒絶かを評価する 契約内容が自分に有利か不利かを冷静に評価する。追認すると契約の時にさかのぼって有効になり撤回できないため、安易に履行に関わる行為をしない
- 3.第三者の有無を確認し対抗要件を急ぐ 追認を決めたら、目的物について第三者が対抗要件を備えていないか確認する。不動産なら登記、動産なら引渡しを先に押さえる
- 4.追認または拒絶の意思表示を明確に伝える 拒絶するなら相手方と無権代理人へ明確に意思表示する。沈黙は民法114条の催告で拒絶に固まるので放置しない。内容証明郵便で証拠を残す
よくある質問 AI による整理
Q1追認とは何ですか?
無権代理など効力が未確定の行為を、本人が事後的に有効と認める一方的な意思表示です。民法116条により、追認すると原則として契約の時にさかのぼって効力が生じます。
Q2無権代理を追認すると効力はいつから生じますか?
別段の意思表示がなければ、追認した日ではなく契約の時にさかのぼって効力が生じます(民法116条本文)。利息の起算日や果実の帰属も契約時が基準になります。
Q3追認の遡及効とは何ですか?
追認によって、契約締結時から最初有効だったものとして扱う効力です。当事者間の法律関係を簡明にする擬制で、引渡し前の危険負担なども契約時を基準に確定します。
Q4民法116条ただし書の「第三者」とは誰のことですか?
追認前に目的物について正当な権利を取得した者です。遡及効はこの第三者の権利を害せず、対抗要件を先に備えた者が優先します。
Q5追認を拒絶するとどうなりますか?
契約は本人に効力を生じず、契約した無権代理人が相手方に対し履行または損害賠償の責任を負います(民法117条)。
Q6黙示の追認でも認められますか?
認められます。契約の履行を求めたり目的物を使い始めたりする行為が黙示の追認と評価されることがあります。決断前に履行行為をしないことが重要です。
Q7相手方から催告された場合の期限はありますか?
相手方は民法114条により相当の期間を定めて追認するか催告でき、期間内に確答しないと追認を拒絶したものとみなされます。沈黙は安全ではありません。
Q8一度した追認を撤回できますか?
撤回できないのが通説です。追認は相手方または無権代理人への一方的意思表示で、到達時に効力が確定します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1親が勝手に私の名前で契約してたら、私が払わなきゃいけないんですか?
113条により、追認しない限りあなたは縛られません。追認するかは選べます。追認すれば116条で契約の時にさかのぼって有効、拒絶すればあなたに効力は及ばず、契約した親(無権代理人)が117条で相手方への責任を負います。実務のポイント:相手方は114条であなたに『追認するか確答せよ』と催告でき、相当の期間内に答えないと拒絶とみなされます。放置は安全ではなく、沈黙が拒絶に固まる前に意図的に動くべきです
Q2一度追認したら、やっぱりやめたと撤回できますか?
できません。追認は相手方または無権代理人に対する一方的な意思表示で、到達した時点で効力が確定し、撤回できないのが通説です。効力は116条で契約の時に遡及します。実務のポイント:追認は明示の言葉でなくてもよく、契約の履行を求めたり目的物を使い始めたりする『黙示の追認』でも成立しえます。決断前に相手と安易にやり取りすると、追認したと評価される行動を取ってしまう危険がある。決める前は履行に関わる行為を一切しないことです
Q3追認したら全部自分のものになるのに、なぜ『第三者を害せない』なんて制限があるんですか?
遡及効は当事者間の便宜のための擬制だからです。あなたが追認する前に、その目的物について対抗要件を備えた第三者がいれば、後から来た遡及効でその人の権利を覆すのは酷なので、116条ただし書がそこに歯止めをかけます。実務のポイント:この『第三者』は二重譲渡に似た場面で問題になり、対抗要件(不動産なら登記、動産なら引渡し)を先に備えたかが決め手です。追認を決めたら、対抗要件の具備を急ぐかどうかが勝負を分けます
Q4口頭で『まあいいよ』と言っただけでも追認になりますか?
なりえます。追認に特別な方式は不要で、口頭でも黙示でも成立します。ただし後で争いになったとき、追認の事実とその時期を立証できるかが問題になります。実務のポイント:追認の『時期』は、相手方の取消権(115条)との関係で決定的です。相手方が取り消す前に追認が成立していれば契約は確定、後なら契約は消える。先に動いた方が勝つ世界なので、追認すると決めたら証拠を残して速やかに伝えることです
間違えやすい点 AI による整理
- 「勝手に自分の名前で契約されたら、自分が払うしかない」と思い込みがちだが、113条で追認しない限りあなたは縛られない。追認するかしないかは、あなたが選べる。最初から相手のペースで払う義務はない
- 追認できること自体は知っていても、「いつから効くか」の重大さを見落としている人が多い。遡及効の有無で、利息の起算日、果実の帰属、引渡し前に物が壊れたときの損失負担が大きく動く。同じ追認でも、契約時に遡るか追認時からかで、手元に残る金額が変わる
- 「追認すればすべて自分のものになる」と考えて問いを立てると、ただし書という第二の戦場を見落とす。あなたが動く前に第三者が正当な権利を備えていれば、その人に遡及効は及ばない。問題は『追認するか否か』だけではなく、『先に第三者が動いていないか』でもある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律対象 | 民法116条:無権代理行為の追認の効果(遡及効) | 民法113条:無権代理行為の効力・追認の前提 民法119条:無効な行為の追認 |
| 遡及効の有無 | 原則として契約の時にさかのぼる | 追認がなければ本人に効力を生じない 遡及効なし、新たな行為をしたものとみなす |
| 第三者保護 | ただし書で第三者の権利を害せない | 追認・拒絶の選択権を本人に与える 無効原因を知って追認した場合に限る |
他国ではどう定めているか 4 か国
経承認之法律行為、如無特別訂定、溯及為法律行為時発生効力。日本116条とほぼ同一の遡及効構造を持つが、第三者保護を明文のただし書として置いていない点が異なる。
追認は別段の意思表示がなければ契約時にさかのぼり効力を生じる。日本116条とほぼ同文で、第三者保護のただし書も対応する。
追認(Genehmigung)は法律行為の時に遡及するが、遡及前に処分された権利は害されない。日本116条の母法にあたる規定。
ratification は relation-back doctrine により代理行為時に遡及するが、第三者の介在的権利(intervening rights)を害さない点で116条と構造が一致する。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、退職した元従業員が辞める直前に、会社名であなたに無断で300万円の仕入契約を結んでいたら? 相手は履行を求めてくる。あと数日で納品期限。追認するか拒絶するか、その判断一つで会社が300万円を負うか否かが決まる
- 認知症の親の預金を動かすため、子が親の代理人と名乗って銀行と手続をした。後に成年後見人が選任され、過去の無権代理行為を追認するか拒絶するかを迫られる。追認すれば契約の時にさかのぼって有効になり、親の財産から支払う義務が固定される
- あなたは業者側。相手の代理人と名乗る人物と契約したが、本人が「そんな話は知らない」と言い出した。本人が追認するまで、あなたの立場は宙づりだ
- あなたが中古車を買った。実はその車は前の持ち主の家族が無断で売りに出していたもので、後から本人が別の人への売却を追認した。それでも116条ただし書により、先に正当に買ったあなたの権利は守られる。後から来た遡及効はあなたを害せない
- 親族があなたの実印を持ち出し、あなた名義で連帯保証契約を結んだ。追認すれば過去にさかのぼって保証人になる。しかも一度追認すると撤回できない。署名も押印もしていないのに、あなたの一言で数百万円の保証債務が確定する重さを知っておく
取るべき行動
被害を受けた側:1. 事実確認:誰が、いつ、どんな内容であなた名義の契約を結んだかを書面で特定する。2. 追認か拒絶かを急いで口に出さず、契約内容があなたに有利か不利かを冷静に評価。3. 拒絶するなら、相手方と無権代理人へ明確に拒絶の意思表示を。沈黙は114条の催告で拒絶に固まるので放置しない。4. 追認するなら、第三者が権利を取得していないか確認し、必要なら対抗要件の具備を急ぐ。5. 実印や通帳が無断使用された場合は、私文書偽造や横領の刑事責任追及も別途検討する
訴えられた側:1. あなたが取引相手なら、本人の追認が得られるかが生命線。本人へ114条の催告書を内容証明で送り、相当の期間を定めて確答を求める。2. 期間内に確答がなければ追認拒絶とみなされ、契約は本人に効力を生じない。3. その場合は無権代理人へ117条で履行または損害賠償を請求できる。ただしあなたが無権代理を知っていた場合は請求できない。4. 本人の追認がない間は115条で契約を取り消して関係を清算する選択肢もある。どちらが得か早期に試算する
時効(請求できる期限):追認自体に法定の期間制限はない。ただし相手方は114条で本人に『相当の期間』を定めて追認するか催告でき、その期間内に確答がなければ追認を拒絶したものとみなされる。また相手方は本人の追認がない間、115条で契約を取り消せる(無権代理を知っていた相手方を除く)。沈黙は安全策ではない
学説
通説:116条本文の遡及効は当事者間の便宜に基づく擬制であり、追認は相手方または無権代理人に対する一方的意思表示として到達時に確定し撤回できないと解する。ただし書の第三者保護は対抗要件具備の先後で判断される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。カタカナ文語体「追認ハ別段ノ意思表示ナキトキハ」を現行のひらがな口語体に改めた。遡及効と第三者保護という規律内容は維持し、表記のみの改正
改正の年表
- 1.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化(平成16年法律第147号)に伴い、カタカナ文語体を現行のひらがな口語体に改めた。遡及効と第三者保護という規律内容は維持し、表記のみの改正。
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