民法 第554条(死因贈与)
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贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
この条文の基本情報
死因贈与とは何ですか?
定義死因贈与とは、民法第554条に定められた規定で、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 民法第554条(死因贈与)は、日本の民法に含まれる条文です。
- 民法第554条の条文原文は「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」で始まります。
- 民法第554条は第二節に置かれています。
- 民法の公布日は明治29年4月27日です。
- 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 民法第554条の前の条は民法第553条です。
- 民法第554条の次の条は民法第555条です。
- 民法第554条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
民法(明治二十九年法律第八十九号)第554条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089 - 本サイト収録
民法(明治二十九年法律第八十九号)第554条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/554
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点民法554条は、贈与者の死亡で効力を生じる死因贈与に、性質に反しない限り遺贈の規定を準用すると定める。契約でありながら贈与者は生前いつでも撤回できる。
Q · 「死んだらこの家をあげる」と契約してもらえば、確実に自分のものになりますか?
いいえ、贈与者は生前ならいつでも撤回できます
民法554条により、贈与者の死亡で効力を生じる死因贈与には、その性質に反しない限り遺贈の規定が準用されます。死因贈与は契約ですが、遺言撤回の規定(民法1022条、最判昭和47.5.25)が準用されるため、贈与者は生きている限りいつでも一方的に撤回でき、後の新しい遺言でも撤回扱いになります。ただし負担付死因贈与で受贈者が負担を履行し終えた場合は、原則として撤回できません(最判昭和57.4.30)。不動産なら生前の始期付所有権移転仮登記で順位を確保できます。
解説
親や恩人から「自分が死んだら、この家はお前にやる」と言われたとする。多くの人は遺言を思い浮かべるが、実はもう一つの道がある。それが死因贈与だ。民法554条は、贈与者の死亡で効力を生じる贈与に、遺贈の規定を「その性質に反しない限り」準用すると定める。ここに二つの落とし穴が潜んでいる。第一に、死因贈与は契約だから両者の合意で成立し、遺言のような厳格な方式(自筆・日付・押印などの書式ルール)は要らない。口頭でも理屈の上では成立する。第二に、契約なのに贈与者はいつでも一方的に撤回できる(最判昭和47.5.25が遺言撤回の規定を準用)。つまり「死んだらやる」とサインをもらっても、相手が後で別の遺言を書けば、あなたの取り分は消える。例外は負担付死因贈与で、あなたが介護などの負担を履行し終えていれば、撤回は原則として封じられる。契約書一枚の意味を、あなたは取り違えていたかもしれない。
法的な位置づけ
民法554条にいう死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与契約をいう。当事者の合意で成立する契約でありながら、その性質に反しない限り遺贈に関する規定が準用される点に特徴がある。受贈者は贈与者の死亡時に財産を取得するが、贈与者は生前に撤回しうる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.約束を書面化し成立の証拠を確保する 口約束のままにせず、死因贈与契約書を作成する。可能なら公正証書にし、贈与者の意思を客観的に残す。口約束しかない場合は録音・メール・証人など成立を示す証拠を急いで集める
- 2.不動産は生前に始期付仮登記を打つ 対象が不動産なら、贈与者の生前に始期付所有権移転仮登記を申請する。これにより贈与者が気変わりして他人に二重処分しても、受贈者の順位が優先する。撤回されにくくする最強の一手
- 3.負担付なら履行を完了させ記録を残す 負担付死因贈与の場合、介護や送金などの負担を「ほぼ終えた」ではなく「完全に終えた」状態を作る。送金記録・介護記録を保管し、履行完了が撤回制限の根拠となることを念頭に置く
- 4.贈与者死亡後は後発の遺言を最優先で確認する 贈与者死亡後に他の相続人と争いになったら、より新しい日付の遺言で死因贈与が撤回されていないかを真っ先に確認する。税は相続税の対象であるため申告期限(10か月)も確認する
よくある質問 AI による整理
Q1死因贈与とは何ですか?
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与契約です。民法554条が根拠で、契約として合意で成立しますが、その性質に反しない限り遺贈の規定が準用されます。
Q2死因贈与の仮登記とは何ですか?
贈与者の生前に不動産へ始期付所有権移転仮登記を打つことです。これにより贈与者が二重に処分しても受贈者の順位が優先し、撤回されにくくなります。
Q3死因贈与契約書はどう作りますか?
当事者の署名で作成できますが、後の紛争を防ぐため公正証書が推奨されます。不動産なら仮登記の申請もスムーズになり、成立の立証が容易になります。
Q4死因贈与で遺留分は侵害されますか?
死因贈与が他の相続人の遺留分を侵害する場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求(民法1046条)ができます。死因贈与も算定の基礎財産に含まれます。
Q5死因贈与は内縁の妻に使えますか?
使えます。内縁のパートナーには相続権がありませんが、死因贈与なら生前の合意で家や預金を残せます。仮登記で順位を固めれば一層確実です。
Q6負担付死因贈与とは何ですか?
受贈者に介護や送金などの負担を課す死因贈与です。受贈者が負担を履行し終えた場合、贈与者側からの撤回は原則として封じられます(最判昭和57.4.30)。
Q7死因贈与と遺贈の違いは何ですか?
死因贈与は当事者の合意で成立する契約、遺贈は遺言による単独行為です。死因贈与は方式が緩く仮登記が可能ですが、撤回の自由は遺贈と同様に残ります。
Q8死因贈与に公正証書は必要ですか?
法律上は必須ではありませんが、口約束は立証が困難です。公正証書にすれば「そんな約束はなかった」という否認を封じられ、実務では強く推奨されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1死因贈与と遺言って、結局どっちにすればいいんですか?
確実に渡したい相手がいて不動産が絡むなら、死因贈与+仮登記が強い。遺言は単独で書けるが方式不備で無効になりやすく、死因贈与は相手の合意が要る代わりに仮登記で順位を固められる(民法554条、985条準用)。実務のポイント:実務では『遺言は撤回前提の柔らかい意思表示、死因贈与+仮登記は固める手段』と使い分ける。専門家はまず不動産があるかどうかで設計を分けている
Q2一度結んだ死因贈与って、あとから取り消せちゃうんですか?
原則、贈与者は生きている限りいつでも撤回できます(民法1022条準用、最判昭和47.5.25)。後で別の遺言を書くだけでも撤回扱いになります。ただし負担付で受贈者が負担を履行し終えた場合は、原則撤回できません(最判昭和57.4.30)。実務のポイント:『撤回されない死因贈与』を作りたいなら、負担を設定してそれを完遂させるのが鍵。口約束より、負担の履行記録こそが最大の防御になる
Q3死んだ人から財産もらったら、税金は贈与税ですか?
いいえ、相続税です。死因贈与は税法上、遺贈と同じく相続税の課税対象になります(相続税法1条の3)。贈与税より基礎控除が大きいことが多く、結果的に有利な場合もあります。実務のポイント:名称に『贈与』とあるので贈与税だと誤解する人が後を絶たない。申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)も相続税のルールで動く。最新の改正状況をご確認ください
Q4口約束だけの死因贈与でも、認めてもらえますか?
理論上は成立しますが、立証が極めて困難です。書面がなければ、他の相続人に否認されたとき覆せないことが多い。書面によらない贈与は履行前なら解除も問題になります(民法550条)。実務のポイント:弁護士が必ず勧めるのは公正証書での死因贈与契約。後の紛争で『そんな約束はなかった』を封じられ、不動産なら仮登記の申請もスムーズになる。口約束は、ないのと大差ないと考えた方がいい
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約書にサインしてもらったのだから、もう撤回されない」と思い込みがちだが、死因贈与には遺言撤回の規定が準用され(民法1022条、最判昭和47.5.25)、贈与者は生きている限りいつでも一方的に撤回できる。契約の体裁は、受贈者を守ってくれない
- 「死因贈与は書面がないと無効では?」という問いそのものがずれている。遺贈の厳格な方式は『その性質に反する』として準用されず、死因贈与は契約だから口頭でも成立しうる。問題は有効性ではなく、後で立証できるかだ
- 死因贈与と遺贈が『似ている』ことは知っていても、その差が命取りになる場面の深刻さに気付いていない人が多い。負担付の履行後は撤回が封じられる、税の扱い、仮登記の可否、これらの違いを知らずに『どっちでも同じ』と選ぶと、数百万円単位で結果が変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 成立の方法 | 死因贈与(554条):当事者の合意による契約。方式は緩やか | 遺贈(964条):遺言による単独行為。厳格な方式が必要 生前贈与(549条):当事者の合意で成立し、生前に効力発生 |
| 効力発生時期 | 贈与者の死亡時(985条準用) | 遺言者の死亡時(985条) 契約成立・履行時(生前) |
| 撤回の可否 | 贈与者は生前いつでも撤回可。負担履行後は原則不可 | 遺言者はいつでも自由に撤回可(1022条) 書面によらない贈与は履行前に解除可(550条) |
| 課税区分 | 相続税(相続税法1条の3、現行効力を要確認) | 相続税 贈与税 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は死因贈与の明文規定を欠くが、実務上は贈与規定と遺贈規定の類推適用により承認している点が日本の準用構成に近い
韓国は死因贈与を明文化し遺贈の規定を準用する。日本民法554条を継受した構成で、撤回や課税の扱いも日本と類似する
ドイツは死因贈与に相続(遺贈)の規定を適用する。贈与者の生前に履行された場合は通常の生前贈与として扱う点に特徴がある
米国コモンローは、差し迫った死の予期と現実の引渡しを要件とし、贈与者が回復すれば自動的に失効する死因贈与法理を認める。日本より要件が厳格
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 長年同居して親の面倒を見てきたあなたに、親が「この家はお前にやる」と口約束した。死後、きょうだいが「そんな約束は知らない、法定相続分どおりに分けろ」と迫る。死因贈与は書面がなくても成立しうるが、立証できなければ絵に描いた餅になる
- もし、世話になった叔父から書面で死因贈与を受けていたのに、叔父が亡くなった後、もっと新しい日付の遺言が出てきて別の人に同じ財産を遺贈していたら? 後の意思が優先し、あなたの死因贈与は撤回されたものとして扱われる
- 「毎月仕送りしてくれたら死んだらマンションをやる」と約束し、あなたは8年間仕送りを続けた。ところが贈与者が突然「あの話はなかったことに」と言い出す。負担を履行済みなら撤回は原則できないが、それを示す送金記録が手元にあるか、勝負は残り時間との戦いだ
- 内縁の妻に家を残したい。遺言だと死後に親族から効力を争われるのが怖い。死因贈与の仮登記なら生前に順位を確保できる。生きているうちに動けるかが分かれ目だ
- 死因贈与でもらえば贈与税で安く済むと思っていたら、税務署からの通知は相続税。死因贈与は税法上、遺贈と同じ相続税の対象だ(相続税法1条の3)。読み違えると納税資金の計算が根底から狂う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 約束が書面化されているか確認、口約束なら録音・メール・証人など成立を示す証拠を急いで集める2. 不動産なら贈与者の生前に始期付所有権移転仮登記を依頼し、二重処分や撤回に備える3. 負担付なら送金・介護記録を保管(履行完了が撤回制限の根拠、最判昭和57.4.30) 4. 贈与者死亡後に他の相続人と争いになったら、より新しい日付の遺言で撤回されていないかを真っ先に確認する
訴えられた側:1. 死因贈与の効力を争う側なら、契約の成立・書面性・贈与者の意思能力を精査2. 贈与者により新しい遺言があれば撤回として優先する(民法1022条準用)と主張3. 死因贈与が遺留分を侵害していれば遺留分侵害額請求(民法1046条)を検討4. 負担付なら、受贈者が負担を本当に履行し終えていたかを争点化し、未履行なら撤回の余地を残す
時効(請求できる期限):死因贈与の効力は贈与者の死亡時に発生(民法985条準用)。撤回は贈与者の生前であればいつでも可能。遺留分侵害額請求をする場合は、相続開始および侵害を知った時から1年、相続開始から10年で時効消滅する(民法1048条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:死因贈与は契約だが遺贈の規定を準用する。撤回の自由を原則としつつ、負担を履行した受贈者の保護や仮登記による対抗力付与により、受贈者が現実に投じた信頼・負担に応じて保護を厚くする二段構えの調整がなされると解される。
改正沿革 AI による整理
- 平成16年(2004年)現代語化(要検証) 民法第3編の現代語化に伴い、片仮名文語体から平仮名口語体へ表記が改められたと解されるが、改正回数の網羅と新設・改正の区別に確信がないため人的検証が必要
改正の年表
- 1.明治29年(1896年) 新設:民法第3編(債権)制定時に贈与の規定の一つとして死因贈与が置かれ、その性質に反しない限り遺贈の規定を準用する構成が採られた
- 2.平成16年(2004年) 改正:民法の現代語化に伴い、片仮名文語体から平仮名口語体へ表記が改められたと解される(改正回数の網羅・表記の細部は人的検証が必要)
- 民法 第549条贈与契約の基本規定、死因贈与の母体
- 民法 第553条負担付贈与、履行後の撤回制限の前提
- 民法 第985条遺言の効力発生時期の準用、死亡時に効力
- 民法 第964条遺贈の基本規定、準用の対象
- 民法 第1022条遺言撤回の自由の準用(最判昭47.5.25)
- 相続税法 第1条死因贈与を相続税の課税対象とする特則(1条の3、現行効力を要確認)
- 不動産登記法 第105条始期付所有権移転の仮登記の根拠
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