受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月9日読了 7 分7 分7 分

民法 第970条(秘密証書遺言)

クイックジャンプ
  1. 秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
  2. 一遺言者が、その証書に署名し、印を押すこと。
  3. 二遺言者が、その証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること。
  4. 三遺言者が、公証人一人及び証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名及び住所を申述すること。
  5. 四公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すこと。
  6. 2.第九百六十八条第三項の規定は、秘密証書による遺言について準用する。

この条文の基本情報

秘密証書遺言とは何ですか?

定義秘密証書遺言とは、民法第970条に定められた規定で、「秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 民法第970条(秘密証書遺言)は、日本の民法に含まれる条文です。
  2. 民法第970条の条文原文は「秘密証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。」で始まります。
  3. 民法第970条は第一款に置かれています。
  4. 民法の公布日は明治29年4月27日です。
  5. 民法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
  6. 民法第970条の前の条は民法第969条の2です。
  7. 民法第970条の次の条は民法第971条です。
  8. 民法第970条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式民法(明治二十九年法律第八十九号)第970条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • 本サイト収録民法(明治二十九年法律第八十九号)第970条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/129AC0000000089/970
裁判例 1件に引用されています

関連度の高い1件を表示しています

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点民法970条は秘密証書遺言の方式を定める。署名押印した証書を同じ印章で封印し、公証人一人と証人二人以上の前で自分の遺言だと申述すれば成立し、本文はパソコンや代筆でもよい。

Q · 遺言の中身を誰にも見られたくない。そんな遺言の作り方ってあるの?

民法970条の秘密証書遺言なら中身を隠したまま残せます

民法970条の秘密証書遺言を使えば、内容を誰にも知られないまま遺言を残せます。本文はパソコンや他人の代筆でもよく、遺言者は証書に署名押印し、同じ印章で封印したうえで、公証人一人と証人二人以上の前に封書を提出し、自分の遺言である旨と筆者の氏名住所を申述します。公証人は中身を見ず、封紙に日付と申述だけを記載します。ただし内容の有効性は誰も保証せず、家庭裁判所の検認(1004条)も必要です。

解説

遺言には三つの作り方がある。全文を手書きする自筆証書、公証人に口述する公正証書、そしてほとんど誰も使わない秘密証書だ。970条が定めるこの三番目の方法には、他にない強みが一つある。中身をパソコンで打っても、他人に清書させてもいい。あなたが署名と押印さえできれば、内容そのものを自分の手で書く必要がない。手が震えて長文が書けない人、字に自信がない人でも、内容を秘密にしたまま遺言を残せる。流れはこうだ。書面に署名押印し、同じ印で封をし、公証人一人と証人二人以上の前に封書を差し出して、自分の遺言だと述べる。公証人は中身を一切見ず、封筒の上に日付とあなたの申述を記録する。つまり公証人が証明するのは「あなたがこの封書を遺言だと言った」という事実だけで、中身が法的に有効かは誰もチェックしない。ここに最大の落とし穴がある。

法的な位置づけ

民法970条が定める秘密証書遺言は、遺言の方式の一つであり、遺言者が証書に署名押印し、用いた印章で封印したうえで、公証人一人と証人二人以上の前に封書を提出し、自己の遺言である旨と筆者の氏名住所を申述することで成立する。公証人は内容を確認せず、封紙に提出日付と申述のみを記載するため、内容の秘密が保たれる点に特徴がある。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.遺言の本文を作成する 財産の分け方や遺言事項を本文にまとめる。手書きでもパソコンでも他人の代筆でもよい。内容が法的に有効な指定になっているか、公証人は中身を見ないため、専門家に内容だけ事前相談すると安全
  2. 2.証書に署名し押印する 完成した証書に遺言者本人が署名し、印を押す。この署名押印だけは必ず本人がする必要があり、代筆は認められない
  3. 3.同じ印章で封印する 証書を封筒に入れて封じ、証書に押したのと同一の印章で封印する。別の印を使うと方式違反となり無効リスクが生じるため、実印で統一しておく
  4. 4.公証人と証人の前で申述する 公証人一人と証人二人以上の前に封書を提出し、自分の遺言である旨と筆者の氏名・住所を申述する。証人に推定相続人・受遺者やその配偶者・直系血族を選ばない(974条の欠格事由)
  5. 5.死亡後は検認を申し立てる 遺言者の死亡を知ったら、封書を開けずに遅滞なく家庭裁判所へ検認を申し立てる。検認前に開封すると5万円以下の過料(1005条)。検認は形式確認であり内容の有効性は別問題

よくある質問 AI による整理

Q1秘密証書遺言とは何ですか?

中身を誰にも見せずに残せる遺言の方式です。署名押印した証書を封印し、公証人一人と証人二人以上の前で自分の遺言だと申述して作ります(民法970条)。

Q2秘密証書遺言の費用はいくらですか?

公証人手数料は定額(実務上1万1000円程度)で、内容額に左右されない傾向があります。公正証書遺言より安い場合が多いですが、最新の手数料は公証役場でご確認ください。

Q3秘密証書遺言と公正証書遺言の違いは何ですか?

公正証書は公証人が中身を作り適法性を担保しますが、秘密証書は公証人が中身を見ず封紙に日付と申述を書くだけです。秘密証書は検認も必要です(1004条)。

Q4秘密証書遺言は検認が必要ですか?

必要です。公証人が関与しても、秘密証書遺言は家庭裁判所の検認が省けません(民法1004条)。検認不要なのは公正証書遺言だけです。

Q5秘密証書遺言の証人は誰でもなれますか?

推定相続人や受遺者、その配偶者・直系血族などは欠格事由(民法974条)に当たり証人になれません。選び方を誤ると遺言ごと無効になり得ます。

Q6秘密証書遺言はパソコンで作れますか?

本文はパソコン作成や他人の代筆でも構いません(970条)。ただし最後の署名押印は遺言者本人が手書きでする必要があります。

Q7秘密証書遺言の作り方の手順は?

本文を作成し署名押印、同じ印章で封印、公証人一人と証人二人以上の前で封書を提出し自分の遺言だと申述、公証人が封紙に日付と申述を記載する流れです。

Q8秘密証書遺言が無効になるのはどんなときですか?

署名押印や封印を欠く、別の印で封印した、証人が欠格者だった等で方式違反となります。ただし全文自書なら自筆証書遺言として救済される余地があります(971条)。

この条文についての質問 AI による整理

Q1秘密証書遺言って、わざわざ作るメリットあるんですか。公正証書のほうが確実なんですよね?

中身を生前に誰にも知られたくない、という一点に尽きます。公正証書遺言は公証人と証人が内容を知りますが、秘密証書遺言は公証人すら中身を見ません(970条)。費用も公正証書より安い傾向です。実務のポイント:実務ではほとんど使われていません。年間の作成件数は公正証書遺言の数百分の一。中身を公証人がチェックしないため、せっかく作っても内容が無効・不明確で揉めるリスクが残るからです。秘密性に強いこだわりがなければ、専門家はまず公正証書を勧めます

Q2封筒、開けちゃいました。もう遺言は無効ですか?

遺言自体は無効になりません。開封しても遺言の効力には影響しませんが、検認前に開けると5万円以下の過料(民法1005条)の対象です。実務のポイント:過料を恐れて開封の事実を隠すほうが危険です。検認の場で『すでに開いていた』と正直に申告すれば足ります。むしろ問題は、開封によって『中身を改ざんしたのでは』と他の相続人に疑われること。開けてしまったら、その場で写真を撮り、他の相続人に即連絡して透明性を確保するのが実務の知恵です

Q3字が書けない父でも、秘密証書遺言なら残せますか?

本文は他人が書いてもパソコンで打ってもよいので、その点はクリアできます(970条)。ただし最後に遺言者本人が署名押印する必要があります。署名がどうしてもできない場合、秘密証書遺言は使えません。実務のポイント:署名すらできない状態なら、公正証書遺言のほうが現実的です。公正証書は公証人が口述を筆記でき、署名できない事情があれば公証人がその旨を付記して対応する仕組み(969条)があるからです。方式を選ぶ前に、本人が今できる動作を冷静に確認するのが先決です

間違えやすい点 AI による整理

  • 秘密証書遺言は公証人が関わるから公正証書遺言と同じく確実だ、と多くの人が思っている。確かに公証人は関わる。だが関わり方がまるで違う。公正証書では公証人が中身を作り内容の適法性を担保するが、秘密証書では公証人は封筒の外側に日付と申述を書くだけで、中身は一切見ない。同じ「公証人」でも保証している範囲がまったく別だと気づいていないことが、最大の盲点だ
  • 公証人が関わる遺言は検認不要だと思われがちだが、検認が省けるのは公正証書遺言だけ。秘密証書遺言は、たとえ公証人が関与していても家庭裁判所の検認が必要(民法1004条)。混同したまま放置すると、相続手続が進まない
  • 「方式を一つでも間違えたら、その遺言は全部無効になる」という前提で諦める人がいる。だが問いの立て方が違う。秘密証書遺言として方式を欠いても、自筆証書遺言の要件(全文自書・日付・署名押印)を満たしていれば、自筆証書遺言として有効になる(民法971条)。無効か有効かの二択ではなく、別の方式へ生き残る道がある
比較の観点この条文ほかの条文
本文の作成者民法970条:パソコン・他人の代筆も可、署名押印のみ本人民法968条:自筆証書、全文自書が原則(財産目録は印字可)
民法969条:公正証書、公証人が遺言者の口述を筆記
公証人の関与封紙に日付と申述を記載のみ、中身は見ない関与しない(一人で作成可)
中身を作成し適法性を担保
内容の秘密公証人にも知られず完全に秘密一人で作るため秘密だが本人性が争われやすい
公証人・証人に内容が知られる
検認の要否必要(民法1004条)必要(法務局保管制度利用時は不要)
不要

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
中華民国民法第1192条〜第1195条(密封遺囑)

台湾も密封遺囑を認め、遺言者が署名し公証人と証人の前で自己の遺言だと述べる点で日本と類似。指定公証人制度の運用に差がある

韓国
대한민국 민법 제1069조(비밀증서에 의한 유언)

韓国も秘密証書遺言を規定。証書の表面に提出と封印の事実を記載させる手続が日本と共通する

ドイツ
BGB § 2232

ドイツには独立の『秘密証書遺言』はないが、遺言者が封書を公証人に交付して公正証書遺言を作る方法があり、中身を秘匿しつつ公証する点で機能的に近い

フランス
Code civil art. 976〜980(testament mystique)

フランスの testament mystique が日本法の母法。署名した文書を封印し公証人と証人の前で提出する構造が酷似する

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 親が「遺言は書いた、内容は誰にも見せたくない」と言って封筒を残して亡くなった。中身を見たいが、勝手に開けていいのか。だめだ。封のある遺言書を家庭裁判所の検認前に開けると、5万円以下の過料(民法1005条)。あなたに残された手順は、まず検認の申立てだ
  • 脳梗塞の後遺症で右手が思うように動かず、長い文章を手書きできなくなった。でも財産の分け方は細かく指定したい。自筆証書遺言は全文自書が原則で詰む。秘密証書遺言なら、パソコンで打った文書に署名押印して封をすればいい。字が書けないことが、遺言を諦める理由にならなくなる
  • 封を開けたら、中身が白紙だった。署名はあるが本文がない。方式は整っていても、何も指定していなければ遺言として意味をなさない
  • 兄が「これが親父の秘密証書遺言だ」と封書を持ち出してきた。だが本文は兄のワープロ打ちで、署名だけが親の手だ。これは適法。秘密証書遺言は本文を他人が書いてよく、筆者の氏名住所を申述させる仕組みだから、本文が他人の字でも無効にならない。疑うなら遺言能力など別の角度から攻める必要がある

取るべき行動

被害を受けた側:1. 本文を作成する。手書きでもパソコンでも他人の代筆でもよいが、内容が法的に有効な指定になっているか、専門家に中身だけ事前相談すると安全(公証人は中身を見ない) 2. 証書に署名し押印3. 同じ印章で封筒に封印(別の印はNG) 4. 公証人一人と証人二人以上の前に封書を提出し、自分の遺言である旨と筆者の氏名住所を申述5. 証人に推定相続人や受遺者、その配偶者直系血族を選ばない(974条の欠格事由)。ここを外すと遺言ごと無効になりうる

訴えられた側:1. 封書は絶対に勝手に開けない。検認前に開封すると5万円以下の過料(民法1005条) 2. 遺言者の死亡を知ったら遅滞なく家庭裁判所に検認を申し立てる(民法1004条) 3. 検認はあくまで形式の確認で、内容の有効性は別問題。方式違反や遺言能力(認知症等)を疑うなら、別途遺言無効確認の訴えを検討4. 自分の遺留分が侵害されていれば、遺留分侵害額請求(民法1046条)を相続開始と侵害を知ってから1年以内に行う(最新の改正状況をご確認ください)

時効(請求できる期限):遺言の方式そのものに時効はない。ただし遺言者の死亡後は遅滞なく検認を申し立てる必要があり(民法1004条)、封書の無断開封は5万円以下の過料(民法1005条)。遺留分侵害額請求権は相続開始および侵害を知った時から1年、相続開始から10年で消滅(民法1048条)

学説

通説:970条の秘密証書遺言は、署名押印・封印・申述・公証人の記載という方式要件を満たして成立する。公証人は内容を審査しないため内容の適法性は担保されず、要件を欠く場合でも971条により自筆証書遺言への転換が認められる余地がある。

改正沿革 AI による整理

  • 平成16年(2004年) 民法現代語化に伴う改正。片仮名文語体から平仮名口語体へと表記を改めた。方式の実質的内容は維持
  • 平成30年(2018年)相続法改正 自筆証書遺言に財産目録のパソコン作成を認める規定(968条2項)が新設され、補正規定が968条3項へ繰り下がったことに伴い、970条2項の準用先を「第968条第2項」から「第968条第3項」へ修正

改正の年表

  1. 1.明治31年(1898年) 新設:明治民法(相続編)施行に伴い、秘密証書遺言の方式を規定。フランス民法の testament mystique を母法とする
  2. 2.平成16年(2004年) 改正:民法現代語化に伴う改正。片仮名文語体から平仮名口語体へ表記を改めたが、方式の実質的内容は維持
  3. 3.平成30年(2018年) 改正:相続法改正で自筆証書遺言に財産目録のパソコン作成を認める規定(968条2項)が新設され補正規定が968条3項へ繰り下がったことに伴い、970条2項の準用先を968条2項から3項へ修正

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

民法の全文を見る所属する編章節を開く:第一款

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›