供託者カ供託物ヲ受取ル権利ヲ有セサル者ヲ指定シタルトキハ其供託ハ無効トス
要点供託法 9 条は、供託物を受け取る権利のない者を被供託者に指定した供託を無効と定める。供託所が受理しても有効性は保証されず、債務は消滅しないまま遅延損害金が進行する。
Q · 家賃を供託所に納めたのに「その供託は無効だ」と言われました。本当ですか?
宛名を誤った供託は無効で、債務は消えません
供託法 9 条は、供託物を受け取る権利のない者を被供託者に指定した供託を無効と定めます。賃貸人が建物を売却して賃貸人たる地位が新所有者に移っていた場合や、賃貸人が死亡して相続人に承継された場合に、旧名義のまま供託を続けると 9 条により無効を主張されます。無効なら債務は最初から消えておらず、供託日以降の遅延損害金が生き、賃貸借では滞納期間として解除の材料にされます。受取権者に迷いがあるときは、民法 494 条 2 項の債権者不確知供託として「A 又は B」と並記するのが安全です。
供託書には「被供託者」を書く欄がある。この欄に、供託物を受け取る権利のない人の名前を書いた瞬間、その供託は丸ごと無効になる。供託法 9 条が定めているのはそれだけだ。恐ろしいのは、供託所の窓口が止めてくれないという点である。供託官の審査は形式審査(書類の体裁と添付書類が揃っているかだけを見る審査)で、整っていれば受理される。受理印の入った供託書正本を手にしたあなたは「これで払った」と息をつく。だが大家が半年前に建物を売却して賃貸人の地位が新所有者に移っていたなら、旧大家を被供託者にした供託は無効になりうる。あなたは賃料を一円も払っていない扱いになり、滞納として契約解除の材料にされる。供託は債務を消すための最後の避難路だが、宛名を外した瞬間、その効力はゼロで戻ってくる。
供託法 9 条は、供託者が供託物の受取権を有しない者を被供託者として指定した場合、その供託を無効とする規定である。供託所の審査は形式審査であり、受理は書類の体裁が整っていることを意味するにとどまり、供託の有効性を保証しない。無効となれば債務消滅の効果は生じず、供託時に遡って債務不履行の状態が継続する。
受取権のない者を被供託者に指定した供託を無効とする規定です。金額が正確でも期日を守っても、宛名が真の受取権者と違えば供託全体が効力を失います。
供託物の還付を請求できる本来の債権者です。賃料供託なら現在の賃貸人、債権譲渡後なら譲受人、賃貸人の死亡後なら相続人が該当します。
債務は最初から消えていない扱いになり、供託日以降の遅延損害金が発生します。賃貸借では滞納期間が進行し、信頼関係破壊による解除の材料にされます。
民法 494 条 2 項を理由に、被供託者欄へ「A 又は B」と並記します。誰か一人に決め打ちするより、供託法 9 条による無効を避けられます。
錯誤による取戻請求は可能ですが、錯誤を証する書面や相手方の承諾書を求められます。完了を待たず正しい宛名で供託し直す方が、解除の阻止には有効です。
教えてくれません。供託官の審査は形式審査で、書類の体裁と添付書類が整っていれば受理されます。有効か無効かを判断するのは後日の民事訴訟です。
差押え後は民事執行法 156 条の執行供託となり、受取権者は配当手続で決まります。弁済供託の書式で債権者を指定すると供託の性質を取り違えます。
払渡請求権は権利を行使できる時から時効が進みます。民法 166 条では知った時から 5 年、行使できる時から 10 年が原則ですが、実務上見解が分かれます。
違います。供託官の審査は形式審査で、受理は書類の体裁が整っているという意味しか持ちません。受取権のない者を被供託者に指定していれば、受理されていても供託法 9 条により無効です。業界裏話ヒント:却下されたときは監督法務局長への審査請求という不服申立ての道が用意されている一方、受理された供託の有効性を供託所が保証する仕組みは一切ありません。無効が発覚するのは、多くの場合、数年後の訴訟の場です
受取権者は相続人です。相続人が確定していれば法定相続分に応じて全員を被供託者に並べ、誰が相続人か確知できない、または争いがあるなら債権者不確知(民法 494 条 2 項)を理由に「A 又は B」と記載します。業界裏話ヒント:相続人の一部だけを被供託者にすると、その持分に対応する部分にしか効力が及ばない扱いになりえます。分からないことを隠して一人に決め打ちする方が、正直に不確知と書くより危険です
錯誤による取戻しは可能ですが、供託所には錯誤を証する書面の提出を求められ、相手方の承諾書や供託が無効である旨の判決がないと通らないことがあります(取戻し一般は民法 496 条、還付・取戻請求は供託法 8 条)。業界裏話ヒント:取戻しの完了を待つと、その間も滞納期間が進みます。実務では先に正しい宛名で供託し直し、資金が二重に寝ることを受け入れて解除を止める。順番を逆にした人が家を失っています
所有権の移転に伴い賃貸人たる地位も移転するので、以後の受取権者は新所有者であるあなたです(民法 605 条の 2)。ただし賃借人に対して地位の移転を主張するには、所有権移転登記が必要です(同条 3 項)。業界裏話ヒント:登記を備える前の期間についてなされた旧所有者宛の供託は、賃借人保護の観点から有効と評価される余地があります。登記を放置した日数分だけ、あなたは家賃を取り損ねる可能性がある
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文が規律する対象 | 供託法 9 条:被供託者の指定を誤った供託の効力(無効) | — |
| 誰に効いてくるか | 供託者(債務者)— 宛名を誤れば債務が消えない | — |
| 違反・不備の効果 | 供託が丸ごと無効、遅延損害金と滞納期間が継続 | — |
| 実務での確認タイミング | 供託書作成前の登記簿・相続関係の裏取り | — |
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