要点健康保険法217条の2は、全国健康保険協会の登記・認可・情報開示など八つの義務違反について、違反行為をした役員個人に二十万円以下の過料を科す。名宛人は法人ではなく役員である。
Q · 協会けんぽが法律違反をしたら、過料を払うのは協会ですか、役員ですか?
過料を払うのは協会ではなく、違反行為をした役員個人です。
健康保険法217条の2は「その違反行為をした協会の役員は、二十万円以下の過料に処する」と定めており、名宛人は法人ではなく役員個人です。対象は、第7条の7の登記の懈怠、第7条の27・第7条の31・第7条の34の認可の不取得、第7条の28第2項の承認の不取得、同条第4項の備置き・閲覧の拒否、第7条の33に反する余裕金の運用、第7条の35第2項・第7条の36第2項の届出および公表の懈怠または虚偽、そして法定業務以外の業務の実施という八類型です。各号は独立した違反類型であり、複数に該当すれば複数の過料が問題になり得ます。
協会けんぽ、正式名称は全国健康保険協会。中小企業の従業員とその家族およそ4000万人分の医療保険を預かる公法人である。その運営を縛る八つの号が、ここに並んでいる。注目すべきは名宛人だ。過料を科されるのは協会という法人ではなく、「その違反行為をした協会の役員」個人である。登記を怠った、厚生労働大臣の認可を取らずに動いた、財務諸表を備え置かず閲覧にも応じなかった、余裕金を認められていない方法で運用した、役員報酬の支給基準を公表しなかった、法律が定める範囲外の業務に手を出した。どれも一見「組織の失態」だが、請求書は個人の名前で届く。あなたが協会の役員になる日は来ないかもしれない。だが加入者として、あるいは保険料を折半で払う事業主として、あなたの保険料が私物化されないよう見張っているのは、まさに役員個人の財布に直結したこの八本の線である。
健康保険法第217条の2は、全国健康保険協会の運営に関する行政上の秩序罰を定める規定である。登記の懈怠、厚生労働大臣の認可または承認の不取得、財務諸表等の備置き・閲覧の拒否、余裕金の違法な運用、役員報酬等の支給基準の届出および公表の懈怠または虚偽、法定業務外の業務の実施という八類型について、違反行為をした協会の役員に二十万円以下の過料を科す。
全国健康保険協会の運営に関する八つの義務違反について、違反行為をした役員個人に二十万円以下の過料を科す規定です。登記や認可、情報開示、業務範囲などが対象です。
登記の懈怠、厚生労働大臣の認可・承認の不取得、財務諸表等の備置きや閲覧の拒否、余裕金の違法運用、報酬基準の届出・公表の懈怠や虚偽、法定業務外の業務の八類型です。
第7条の28第4項が財務諸表、事業報告書等、監事および会計監査人の意見を記載した書面の備置きと閲覧への供与を義務づけています。応じない場合は第4号の違反となります。
第7条の35第2項および第7条の36第2項が役員報酬等の支給基準の届出と公表を定めます。公表を怠ること、虚偽の公表をすることは、いずれも独立した過料の対象です。
第7条の33が業務上の余裕金の運用方法を制限しています。認められた方法以外で運用した場合、第5号の違反として、運用を決めた役員が過料の対象になります。
健康保険法に規定する業務と、他の法律により協会が行うものとされた業務に限られます。それ以外の業務を行うと第8号に該当し、加入者のためという動機は免責になりません。
検察官や行政庁が直接科すのではなく、非訟事件手続法の手続により裁判所が科します。刑罰ではないため刑事訴訟法は適用されず、前科にもなりません。
第7条の7第1項が政令で定めるところにより登記すべき事項を定めており、公法人としての存在と代表権を第三者に示すためです。登記を怠ると第1号の違反です。
なりません。過料は刑罰ではなく秩序罰であり、刑事訴訟法ではなく非訟事件手続法に基づいて裁判所が科すため、前科にも前歴にもなりません。ただし裁判所の裁判である以上、告知され記録は残ります。業界裏話ヒント:刑罰でないという安心感から放置されがちですが、過料の裁判には告知を受けた日から一週間という極端に短い即時抗告期間があります(最新の改正状況をご確認ください)。通知が届いてから弁護士を探し始めると、内容を争う前に期間が終わる。
条文の名宛人は「その違反行為をした協会の役員」であり、事務局職員ではありません。誰が違反行為をした役員に当たるかは、当該業務についての執行権限と責任の所在で判断されます。業界裏話ヒント:この判断を事実上左右するのは、職務分掌規程と理事会議事録の記載です。「事務局に一任」とだけ書かれた議事録は、責任の所在をぼかすどころか、一任した役員に責任を引き寄せることがある。誰が何を確認したかを具体的に残すほうが守りは厚い。
各号は「認可を受けなければならない場合において、その認可を受けなかったとき」という書き方で、事前に受けなかったという事実を捉えています(第7条の27、第7条の31、第7条の34、第7条の28第2項)。後から取得しても、受けずに行ったという事実自体は消えません。業界裏話ヒント:もっとも、過料を科すか否かは裁判所の判断に委ねられており、自主的な申告と速やかな是正の記録が考慮される余地はあります。隠して発覚するのと、自ら報告して是正記録を積むのとでは、同じ違反でも到達点が変わる。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 本条(217条の2):義務違反に対する行政上の秩序罰(過料)を定める制裁規定 | — |
| 名宛人 | 違反行為をした協会の役員個人 | — |
| 違反したときの効果 | 二十万円以下の過料(裁判所が非訟事件手続で科す) | — |
| 確認すべきタイミング | 違反成立後の事後的制裁(是正しても行為の事実は消えない) | — |
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