保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、六月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。
要点健康保険法 120 条は、不正受給をした者に対し、保険者が 6 月以内の期間を定めて傷病手当金・出産手当金の支給を停止できると定める。不正の行為から 1 年経過後は決定できない。
Q · 傷病手当金を不正に受け取ったと言われたら、返せば終わりですか?
返還とは別に、将来の手当が最大 6 か月止まります。
健康保険法 120 条により、保険者は、偽りその他不正の行為で保険給付を受けた者だけでなく、受けようとした者に対しても、6 月以内の期間を定めて傷病手当金または出産手当金の全部または一部を支給しない旨の決定ができます。58 条の給付価額の徴収とは根拠が別の制度なので、全額返還しても停止決定が消えるわけではありません。ただし不正の行為があった日から 1 年を経過すると、この決定自体ができなくなります。療養の給付(医療そのもの)は本条の対象外です。
休職中のあなたの生活費を支えているのは傷病手当金である。その蛇口には、保険者(協会けんぽや健康保険組合)が手をかけられるレバーが一本ついている。健康保険法 120 条だ。偽りその他不正の行為により保険給付を受けた者、そして「受けようとした者」に対し、保険者は 6 月以内の期間を定めて、傷病手当金または出産手当金の全部または一部を支給しない旨の決定ができる。押さえるべき点は三つ。第一に、実際に金を受け取っていなくても、申請の段階で止められる。第二に、止まるのは傷病手当金と出産手当金だけで、病院にかかる療養の給付(医療そのもの)は本条では止まらない。第三に、ただし書がある。不正の行為があった日から 1 年を経過すると、保険者はこの決定をできない。返還の請求(58 条)は別の軌道で走り続けるが、支給停止のレバーには 1 年で切れるヒューズが仕込まれている。
健康保険法 120 条は、保険給付の不正受給に対する給付制限を定める規定である。保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対し、6 月以内の期間を定めて傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。不正の行為があった日から 1 年を経過したときは、この限りでない。
労務不能でない期間を申請する、就労や収入を隠す、事実と異なる証明を提出するなどが「偽りその他不正の行為」に当たります。単純な記載ミスは通常これに含まれません。
保険者の照会や実地調査、事業主の勤怠記録、入金記録、SNS の投稿などから就労実態が把握され、申請書に書いた労務不能期間との食い違いによって判明します。
健康保険法 120 条の上限は 6 月です。保険者が期間を定め、全部を止めるか一部にとどめるかも裁量で決まるため、事案によっては 1 月にとどまることもあります。
使えます。120 条が止められるのは傷病手当金と出産手当金という現金給付だけで、療養の給付(病院での診療そのもの)は本条の対象外です。
対象になります。本条は「受け、又は受けようとした者」と定めており、振込が一円もない申請段階でも 6 月以内の不支給決定の射程に入ります。
止まります。120 条の停止対象は傷病手当金と出産手当金の両方です。産休中に労務に服していた事実が争われれば、出産手当金の不支給決定もあり得ます。
120 条の支給停止は不正の行為があった日から 1 年で決定できなくなります。58 条の徴収金の消滅時効は 2 年(193 条)とされ、当たる物差しが別です。
悪質な場合は刑法 246 条の詐欺罪が別軌道で問題になります。返還や給付制限とは独立しており、行政上の措置を受けたことで刑事責任が消えるわけではありません。
止められる。58 条の徴収は財政上の損失回復、120 条の支給停止は将来に向けた制裁で、根拠が別だからだ。ただし本条は「できる」と書く裁量処分で、期間も 6 月以内、範囲も全部または一部と幅がある。業界裏話ヒント:全額返還や自主申告は処分を消さないが、裁量の幅を動かす唯一の材料になる。決定が出た後に持ち出しても遅い。効くのは弁明段階に書面で出したときだけである
「偽りその他不正の行為」は故意を要すると解するのが一般的で、単純な誤記はこれに当たらない。問題は、その故意が本人の説明ではなく、就労実態との食い違いの回数や不自然さから推認される点にある。業界裏話ヒント:調査照会に答える前に、勤怠記録・通院記録・入金履歴を自分で時系列に並べておく。先に口で説明してから記録を出すと、記録が説明と食い違った瞬間に、その食い違い自体が故意の材料に変わる
できない。健康保険法 192 条が審査請求前置を定めており、まず社会保険審査官へ審査請求し、その決定を経なければ取消訴訟を提起できない。期限は処分を知った日の翌日から 3 月以内である。業界裏話ヒント:審査請求書の冒頭に書くべきは事実の弁解ではなく、不正の行為があった日から 1 年を経過していないかというただし書の争点だ。期間を過ぎていれば、事実の当否に入る前に処分そのものが違法になる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 健保法 120 条:将来に向けた制裁としての支給停止 | — |
| 発動の要件 | 偽りその他不正の行為により受け、又は受けようとしたこと | — |
| 効果の範囲 | 傷病手当金・出産手当金の全部又は一部、6 月以内 | — |
| 時間の物差し | 不正の行為があった日から 1 年でこの決定ができなくなる(ただし書) | — |
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