保険者は、保険給付を受ける者が、正当な理由なしに、第五十九条の規定による命令に従わず、又は答弁若しくは受診を拒んだときは、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
要点健康保険法 121 条は、正当な理由なく 59 条の命令に従わず、答弁や受診を拒んだ場合、保険者が保険給付の全部又は一部を行わないことができると定める規定です。
Q · 健保組合からの照会を放置していると、本当に保険給付を止められるんですか?
不正がなくても、調査に答えないだけで止められます
健康保険法 121 条により、保険給付を受ける者が正当な理由なしに 59 条の命令(文書提出、質問への答弁、指定医の受診)に従わないとき、保険者は保険給付の全部又は一部を行わないことができます。不正受給の徴収を定める 58 条と違い、不正の立証は不要で、「答えなかった」という事実だけで発動します。防御線は二本、「正当な理由なしに」という要件と、「全部又は一部」「行わないことができる」という裁量の幅です。処分に不服があれば同法 189 条により社会保険審査官へ審査請求ができます。
健康保険が止まる理由として真っ先に思い浮かぶのは、保険料の滞納か不正受給だろう。だが 121 条が定めるのはそのどちらでもない。止まる理由は「答えなかった」ことだ。59 条により、保険者(協会けんぽや健康保険組合)はあなたに文書の提出を命じ、質問し、指定した医師の診断を受けさせることができる。この命令に正当な理由なく従わない、あるいは答弁や受診を拒んだとき、保険者は保険給付の全部または一部を行わないことができる。刑事手続も裁判所の判断も要らない。保険者が単独で決められる。裏を返せば、この条文には防御線が二本、最初から書き込まれている。「正当な理由なしに」という要件と、「全部又は一部」「行わないことができる」という裁量の余地だ。止められた側が争うとき、本当の戦場は「拒んだかどうか」ではなく、この二本の線の上にある。
健康保険法 121 条は、保険者による給付制限を定める規定である。保険給付を受ける者が正当な理由なしに、同法 59 条に基づく文書提出命令に従わず、又は答弁若しくは受診を拒んだ場合、保険者は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。不正の立証を要する 58 条とは異なり、調査への不協力それ自体を制限の要件とする点に特徴がある。
保険給付を受ける者が正当な理由なく 59 条の命令に従わず、答弁や受診を拒んだとき、保険者が給付の全部又は一部を行わないことができると定める給付制限の規定です。
故意の事故(116 条以下)、療養の指示に従わない場合(119 条)、保険料の滞納(120 条)、そして調査への不協力(121 条)など、原因ごとに条文が分かれています。
条文に定義はありませんが、長期入院、災害被災、成年後見の開始、文書の不到達など、命令に応じられない客観的事情が該当しうると考えられます。個別判断です。
いいえ。条文は「全部又は一部」と定め、さらに「行わないことができる」と裁量を残しています。事情に比して全部停止が重すぎる場合、その裁量の幅自体が争点になります。
審査請求は処分を知った日の翌日から 3 か月、取消訴訟は処分を知った日から 6 か月が原則です。保険給付を受ける権利自体も 2 年で時効消滅します(193 条)。
交通事故など第三者行為の届出や照会に正当な理由なく応じないと、59 条の命令違反として 121 条の給付制限の対象になりえます。求償に必要な調査だからです。
58 条は「偽りその他不正の行為」を要件に受給額を徴収する規定、121 条は不正の有無を問わず調査に応じないこと自体を要件に給付を止める規定です。
違法とは限りませんが処分である以上争えます。189 条により社会保険審査官へ審査請求、その決定に不服なら社会保険審査会へ再審査請求、さらに取消訴訟という順序です。
59 条の命令にあたる照会であれば、正当な理由なく従わない状態が続けば 121 条で全部または一部を止められる。裁判も刑罰も経由しない。ただし「忙しい」でも、期限延長を書面で申し出た記録があれば正当な理由の検討材料になる。業界裏話ヒント:実務で効くのは回答の中身より「反応した記録」だ。一枚の書面で提出予定日を伝えておくだけで、後の争いで処分の前提が揺らぐ
59 条は保険者が当該職員に質問または診断をさせることができると定め、これを拒むと 121 条の対象になる。ただし命令は保険給付に関して必要がある範囲に限られ、給付と無関係な検査まで無制限に強制できるわけではない。業界裏話ヒント:受診したうえで所見に異議を述べる方が圧倒的に強い。拒否すると争点が「給付の当否」から「拒んだかどうか」にすり替わり、こちらの土俵が消える
そんなことはない。給付制限は保険給付に関する処分なので、健康保険法 189 条により社会保険審査官へ審査請求ができ、その決定に不服なら社会保険審査会へ再審査請求できる。業界裏話ヒント:勝ち筋は「拒んでいない」の一本槍ではなく、「全部止めたのは行き過ぎだ」に置く方が通りやすい。条文自身が「全部又は一部」と書いており、裁量の幅そのものが攻撃対象になっている
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制限の引き金 | 121 条:正当な理由なく 59 条の命令に従わない・答弁や受診を拒む | — |
| 立証の重さ | 不正の立証は不要。不協力の事実と「正当な理由なし」の判断のみ | — |
| 効果の範囲 | 保険給付の全部又は一部を行わないことができる(裁量) | — |
| 主な争点 | 正当な理由の有無/命令が「保険給付に関して必要」な範囲か/全部停止の比例性 | — |
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