要点手形法 29 条は、為替手形の支払人が手形の返還前に引受を抹消すれば引受拒絶とみなすと定める。ただし書面で引受を通知した相手には抹消後も責任を負う。
Q · 受け取った手形の引受サインが二重線で消されていたら、もう支払ってもらえないの?
原則引受拒絶だが、書面通知の相手には責任が残る
手形法 29 条 1 項により、支払人が手形の返還前に引受を抹消すると引受拒絶とみなされ、抹消は返還前にされたと推定されます。ただし同条 2 項により、支払人が書面で所持人または手形署名者に引受を通知していた場合は、抹消後でもその相手に対し引受の文言どおり責任を負います。券面上で消された事実より、手元に支払人からの引受通知の書面が残っているかどうかが回収の成否を分けます。書面通知がなければ、振出人・裏書人への遡求に切り替える必要があります。
取引先から受け取った為替手形。支払人の欄に「引受」のサインがあったのに、よく見ると二重線で消されている。これで支払ってもらえないのか、と血の気が引く。だが待ってほしい。手形法29条は、支払人が手形を返す前に引受を抹消すれば引受を拒んだものとみなすと定める。ここで効いてくるのが2項だ。支払人が書面であなたに「引き受けた」と通知していたなら、後で抹消しても、その通知の相手であるあなたに対しては引受の文言どおり責任を負う。つまり、消された二重線そのものより、あなたの手元に支払人からの引受通知の書面が残っているかどうかが勝敗を分ける。サインの抹消は「返還前にされた」と推定されるから、抹消は返還後だったと主張する側が立証責任を負う。一枚の通知書の有無で、回収できるか泣き寝入りかが決まる。
手形法 29 条は引受の抹消を定める規定であり、為替手形に引受を記載した支払人が手形の返還前にこれを抹消した場合は引受拒絶とみなし、その抹消は返還前にされたものと推定する。例外として、書面により引受を通知した所持人または手形署名者に対しては、抹消後も引受の文言に従った責任が存続する。
為替手形に一度記載した引受サインを支払人が消す行為です。手形法 29 条により、手形の返還前に抹消すれば引受を拒んだものとみなされます。
所持人の裏書人・振出人に対する遡求権は拒絶証書作成日等から 1 年で時効消滅します(手形法 70 条 2 項)。起算点の確認を急ぐ必要があります。
手形法 29 条 2 項により、書面で引受を通知した相手には、後で抹消しても引受の文言どおり責任を負い続けます。書面の有無が責任の存否を分けます。
抹消は手形の返還前にされたと推定されます(手形法 29 条 1 項後段)。返還後に消されたと主張する側が立証責任を負います。
約束手形は振出人自身が支払を約束するため、第三者である支払人の引受がそもそも存在しません。引受と抹消は為替手形特有の論点です。
引受人に対する請求権は満期日から 3 年で時効消滅します(手形法 70 条 1 項)。最新の改正状況の確認をおすすめします。
まず過去に支払人から書面の引受通知が来ていないか確認します。あれば 29 条 2 項で請求でき、なければ振出人・裏書人への遡求に切り替えます。
紙の手形は段階的に縮小されていますが、為替手形と引受の仕組みは残り、引受意思を後から消せるかという 29 条の論点は形を変えて存続します。
引受欄が抹消された為替手形は引受拒絶とみなされ(29条1項)、支払人の支払義務が原則ないため、銀行の手形割引は通常断られます。振出人・裏書人の信用で割り引かれる余地は残ります。業界裏話ヒント:支払人から過去に書面で引受の連絡が来ていれば、29条2項でその支払人への請求権が生きている。割引交渉の前にメールやFAXの記録を引っ張り出して提示すると、銀行の評価が変わることがある
原則はそのとおりで、返還前の抹消は引受拒絶とみなされます(29条1項)。しかも抹消は返還前にされたと推定されるため、返還後に消されたと争う側が立証責任を負います。業界裏話ヒント:この推定を覆すのは難しいが、29条2項の書面通知があれば話は別。支払人があなたや裏書人に書面で引受を伝えていたら、抹消の時期に関係なくその相手には責任を負う。『返す前に消した』という主張は、書面通知の有無を確認するまで鵜呑みにしない
29条2項は『書面を以て』通知した場合に責任を認める条文なので、純粋な口頭のみでは適用が難しいとされます。メール・FAX等が書面に当たるかは実務上、解釈が分かれている部分があり、最新の取扱いをご確認ください。業界裏話ヒント:だからこそ、支払人から引受の意向を聞いたら、その場で『先ほどの引受の件、書面で一筆いただけますか』と一通取っておく。この一手間が、後の抹消トラブルであなたを守る
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|---|---|---|
| 規律対象 | 29 条:引受の抹消とその効果・推定 | — |
| 基本効果 | 返還前の抹消=引受拒絶とみなす | — |
| 例外・救済 | 書面による引受通知の相手には抹消後も責任存続(2 項) | — |
| 関連時効 | — | — |
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