金融商品取引法 第44条(二以上の種別の業務を行う場合の禁止行為)
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- 金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、二以上の業務の種別(第二十九条の二第一項第五号に規定する業務の種別をいう。)に係る業務を行う場合には、次に掲げる行為をしてはならない。
- 一投資助言業務に係る助言を受けた顧客が行う有価証券の売買その他の取引等に関する情報又は投資運用業に係る運用として行う有価証券の売買その他の取引等に関する情報を利用して、有価証券の売買その他の取引等の委託等(媒介、取次ぎ又は代理の申込みをいう。以下同じ。)を勧誘する行為
- 二投資助言業務及び投資運用業以外の業務による利益を図るため、その行う投資助言業務に関して取引の方針、取引の額若しくは市場の状況に照らして不必要な取引を行うことを内容とした助言を行い、又はその行う投資運用業に関して運用の方針、運用財産の額若しくは市場の状況に照らして不必要な取引を行うことを内容とした運用を行うこと。
- 三前二号に掲げるもののほか、投資者の保護に欠け、若しくは取引の公正を害し、又は金融商品取引業の信用を失墜させるものとして内閣府令で定める行為
この条文の基本情報
二以上の種別の業務を行う場合の禁止行為とは何ですか?
定義二以上の種別の業務を行う場合の禁止行為とは、金融商品取引法第44条に定められた規定で、「金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、二以上の業務の種別(第二十九条の二第一項第五号に規定する業務の種別をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 金融商品取引法第44条(二以上の種別の業務を行う場合の禁止行為)は、日本の金融商品取引法に含まれる条文です。
- 金融商品取引法第44条の条文原文は「金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人は、二以上の業務の種別(第二十九条の二第一項第五号に規定する業務の種別をいう。」で始まります。
- 金融商品取引法第44条は第七款 弊害防止措置等に置かれています。
- 金融商品取引法の公布日は昭和23年4月13日です。
- 金融商品取引法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月9日時点では廃止情報はありません。
- 金融商品取引法第44条の前の条は金融商品取引法第43条の6です。
- 金融商品取引法第44条の次の条は金融商品取引法第44条の2です。
- 金融商品取引法第44条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第44条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000025 - 本サイト収録
金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第44条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月9日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000025/44
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点金融商品取引法44条は、兼営する金融商品取引業者等に対し、助言・運用業務で得た情報を使った勧誘と、他業務の利益のための不必要な取引を禁止する規定である。
Q · 証券会社が手数料目当てに何度も売買させていたら、法律違反になりますか?
手数料稼ぎの不必要な売買は44条2号違反になりえます
金融商品取引法44条2号は、投資助言業務・投資運用業以外の業務による利益を図るため、取引の方針・取引の額・市場の状況に照らして不必要な取引を内容とする助言または運用を行うことを禁じています。いわゆる回転売買の規制です。争点は手数料の水準ではなく取引の必要性であり、当初の運用方針書と取引履歴を突き合わせて年間売買回転率を算出するところから検討が始まります。同条1号は助言・運用業務で得た顧客の取引情報を使った委託等の勧誘を禁じ、3号は残余の禁止行為を内閣府令に委任しています。
解説
証券会社の担当者から「今おすすめの銘柄があります」と電話が来る。あなたはその会社の投資助言サービスにも加入している。実はこの二つ、法律上は別々の「業務の種別」であり、片方で得た情報をもう片方の営業に流用することを金融商品取引法44条は明確に禁じている。1号が禁じるのは、助言業務や運用業務を通じて知った顧客の取引情報を使って、売買の媒介・取次ぎ・代理を勧誘する行為。2号が禁じるのは、他業務の利益のために、必要のない取引を助言したり運用したりすること。いわゆる回転売買(手数料稼ぎのための無用な売買)の禁止規定である。あなたが握るべき事実はこうだ。「担当者の熱心な提案」が、実は自社の手数料収入のための不必要な取引だったとしたら、それは営業姿勢の問題ではなく法令違反である。損害賠償請求や金融庁への申告という具体的な足場が、この条文から立ち上がる。
法的な位置づけ
金融商品取引法44条は、二以上の業務の種別に係る業務を兼営する金融商品取引業者等およびその役員・使用人を名宛人とし、業務間の利益相反が現実化する行為を禁止する規定である。投資助言業務・投資運用業で得た顧客の取引情報を利用した委託等の勧誘、および他業務の利益を図るための不必要な取引の助言・運用が禁止され、その他の禁止行為は内閣府令に委任される。
手順
- 1.苦情を入れる前に全期間の書面を確保する 取引報告書、運用報告書、契約締結時交付書面、契約締結前交付書面を全期間分そろえる。苦情を口にした後は業者が法務対応モードに入り開示範囲が絞られるため、「税務申告のため」として先に再交付を請求する
- 2.年間売買回転率と手数料負担率を計算する 年間の売買総額を平均運用残高で割って年間売買回転率を算出し、手数料総額を平均残高で割って手数料負担率を出す。当初の運用方針書と照合し、方針から乖離した売買を時系列で一覧化する
- 3.助言と勧誘の紐付きを示す証拠を保全する 担当者とのメール、LINE、通話録音、営業資料を保全する。とくに投資助言業務の推奨内容と、その後に来た売買の勧誘が時間的・内容的に対応している記録を最優先で確保する(44条1号の中核証拠)
- 4.FINMAC あっせんと当局申告を並行して進める 業者の苦情窓口と並行して、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)のあっせん手続を申し立てる。同時に金融庁・証券取引等監視委員会への情報提供を行う事実を交渉の場で明示する
よくある質問 AI による整理
Q1金融商品取引法44条とは何ですか?
二以上の業務の種別を兼営する金融商品取引業者等に対する禁止行為の規定です。助言・運用情報を使った勧誘(1号)、他業務の利益のための不必要な取引(2号)、内閣府令で定める行為(3号)を禁じます。
Q2回転売買は違法ですか?
運用の方針・運用財産の額・市場の状況に照らして不必要と評価される取引であれば、44条2号違反になりえます。売買回数そのものではなく、方針との乖離が判断の軸になります。
Q3払いすぎた手数料は取り戻せますか?
44条違反を前提に、民法709条の不法行為または使用者責任(民法715条)で損害賠償を請求する構成が一般的です。手数料総額と方針乖離の立証が実務上の要になります。
Q4FINMAC のあっせんとは何ですか?
証券・金融商品あっせん相談センターが行う裁判外紛争解決手続です。訴訟より短期・低コストで進むことが多く、業者側に手続応諾の枠組みがある点が特徴です。
Q5投資被害の時効はいつまでですか?
不法行為構成なら損害および加害者を知った時から3年、行為時から20年(民法724条)。契約責任構成なら知った時から5年、行使できる時から10年(民法166条)です。
Q6金融庁への申告はどうやりますか?
金融庁および証券取引等監視委員会の情報提供窓口に、業者名・担当者名・取引期間・問題となる取引の一覧を添えて申告します。行政処分には民事の時効の定めが及びません。
Q7取引報告書の開示請求はできますか?
業者に対し全期間の取引報告書・運用報告書の再交付を求めることができます。苦情を申し入れる前に請求すると開示範囲が絞られにくい、というのが実務の感覚です。
Q8投資一任契約で損したら誰の責任ですか?
相場変動による損失は原則自己責任です。ただし運用が方針から乖離し不必要な取引が重ねられていた場合は、44条2号と忠実義務(42条)の問題として業者の責任を問えます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1手数料が高いなと思ってるだけなんですが、これって違反になるんですか?
手数料の水準そのものは44条の問題ではない。争点は取引の必要性で、2号は運用方針・財産額・市場状況に照らして不必要な取引を禁じる。同じ手数料額でも、売買回数が方針から乖離していれば違反構成が立つ。実務のポイント:実務で決め手になるのは年間売買回転率という指標である。この数字を口にした瞬間、業者側の担当者は相手が調べていると判断し、対応の階層が上がる
Q2助言サービスと証券口座を同じ会社にまとめてるんですが、それ自体がまずいんですか?
兼営そのものは違法ではない。44条が禁じるのは、助言業務で得た顧客の取引情報を使って売買の委託等を勧誘する行為である(1号)。適切な情報遮断があれば兼営は成り立つ。実務のポイント:勧誘の電話が来たとき「その提案は助言部門の情報を見て架けていますか」と一言聞くとよい。適切な体制の会社なら即答できるし、記録も残る
Q3担当者個人に責任を問えますか、それとも会社だけですか?
条文は「金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人」を名宛人としており、担当者個人も規律対象である。ただし民事の回収実務では、使用者責任(民法715条)で会社を相手にする方が現実的なことが多い。実務のポイント:担当者個人の名前を書面に明記して申告すると、社内での扱いが変わる。会社は個人の逸脱として処理したがるため、組織的な指示の有無を早い段階で書面に残しておく
Q4内閣府令で定める行為って、どこを見れば分かるんですか?
金融商品取引業等に関する内閣府令に具体的な禁止行為が列挙されている。44条3号はそこへの委任規定であり、実際の行政処分ではこの府令が根拠になることも多い。実務のポイント:業者と交渉するとき、法律の条番号だけでなく府令の条番号まで挙げられるかどうかで相手の警戒度が変わる。府令は e-Gov 法令検索で無料で全文が読める
間違えやすい点 AI による整理
- 「証券会社が儲かる商品を勧めるのは当たり前」と多くの投資家が受け入れているが、問題はそこではない。44条2号が禁じるのは「不必要な取引」であり、必要性の判断基準は運用方針・財産額・市場状況という客観的な三要素に置かれている。つまり「勧誘の熱心さ」ではなく「取引の必要性」が争点になる。あなたが立てるべき問いは「なぜこの商品を勧めたのか」ではなく「なぜこの回数の売買が必要だったのか」である
- 回転売買の被害は知られているが、その深刻度は過小評価されている。年間回転率が高い口座では、市場が横ばいでも手数料と税負担だけで元本が数年で目減りする。しかも被害者は「相場が悪かった」と自分を納得させてしまうため、法令違反として構成できることに最後まで気付かない
- あなたから見れば「担当者が親身に相談に乗ってくれている」。法律から見れば「投資助言業務に係る助言を受けた顧客が行う取引に関する情報を利用した委託等の勧誘」に該当しうる。この落差が致命的なのは、親密さが証拠保全の意欲を奪う点にある。信頼している相手の会話は録音しないし、メモも残さない
- 44条は3号で内閣府令に委任しているため、「条文に書いてある二つだけが禁止行為」と読むのは誤り。金融商品取引業等に関する内閣府令が具体的な禁止行為を追加しており、実際の摘発ではそちらが根拠になることも多い
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の対象 | 44条:自社内で二以上の業務の種別を兼営する場合の利益相反 | 44条の2:親法人等・子法人等というグループ内の利益相反 41条・42条:投資助言業務・投資運用業における忠実義務・善管注意義務 |
| 禁止の中身 | 助言・運用情報を使った委託等の勧誘、他業務の利益のための不必要な取引 | 親子法人等が関与する取引に伴う顧客の利益を害する行為 顧客の利益より自己または第三者の利益を優先すること全般 |
| 適用の前提 | 同一業者が二以上の業務の種別(29条の2第1項5号)を行っていること | 親法人等・子法人等の存在とその関与 投資助言契約または投資一任契約等の存在 |
| 違反したときの足場 | 行政処分+民法709条・715条による損害賠償 | 行政処分+グループ全体の体制整備責任 契約上の債務不履行および不法行為による損害賠償 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は顧問業者・信託事業者の忠実義務と禁止行為を正面から規定し、日本の41条・42条と44条にまたがる内容を一体で規律する。兼営に伴う情報流用の明文化度は日本より低い
韓国は44条で利益相反の管理義務、45条で情報交流の遮断(차이니즈 월)を条文レベルで義務づける。日本が行為禁止型なのに対し、韓国は体制義務型に寄っている
ドイツは MiFID II の国内法化として、利益相反の特定・防止・開示と組織的要件を包括的に定める。個別の禁止行為列挙ではなく、原則 + 組織規制という構造をとる
米国は churning を suitability 義務違反および詐欺として構成し、口座支配性・過当性・悪意性の三要素で判断する判例法が蓄積している。日本の実務上の判断枠組みもこの整理を参照している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 投資一任契約を結んで半年、運用報告書を見ると売買回数が異様に多い。値上がりも値下がりもしていないのに、手数料だけが積み上がっている。これが「運用の方針、運用財産の額若しくは市場の状況に照らして不必要な取引」に当たるなら、44条2号違反である。取引履歴と運用方針書を並べて回転率を計算するところから始まる
- 投資助言契約に入っているあなたに、同じ会社の営業担当から「先生が推奨した銘柄、うちの証券口座で買いませんか」と電話が来る。助言内容という情報を使った委託等の勧誘は44条1号が正面から禁じる行為だ。録音があれば、それがそのまま証拠になる
- もし、あなたが金融商品取引業者の営業担当者で、上司から「助言部門の推奨リストを見て顧客に架電しろ」と指示されたら? 指示に従った瞬間、あなた個人が44条の名宛人になる。条文は「金融商品取引業者等又はその役員若しくは使用人」と書いており、会社だけでなく担当者個人を規律する
- 証券会社の内部監査で、助言部門と営業部門が同じフロアで席を並べていることが発覚。情報遮断(チャイニーズウォール)が機能していない状態は、それ自体が44条3号の内閣府令委任事項および体制整備義務の問題に直結する。金融庁検査まであと2週間、というタイミングで発覚するのが最悪のパターンだ
- 退職した元担当者が「あの会社では毎月ノルマのために顧客を回転させていた」と証言。すでに損失を確定させたあなたに残された時間は、損害と加害者を知った時から3年(民法724条)。証言を得た日が起算点になるとは限らない点に注意が要る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 全期間の取引報告書・運用報告書・契約締結時交付書面を揃える。苦情を入れる前に確保するのが要点2. 年間の売買回転率と手数料総額を計算し、当初の運用方針書と照合。方針と乖離した売買を時系列で一覧化3. 担当者との会話記録、メール、LINE を保全。助言内容と勧誘の紐付きが見えるものを最優先4. 業者の苦情窓口と並行して、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)の あっせん手続を検討。訴訟より短期で解決する例が多い5. 損害賠償は民法709条または金融商品取引法上の責任構成で組む
訴えられた側:1. 業務の種別ごとの情報管理体制(部門間の情報遮断、システム上のアクセス権限)の記録を直ちに保全2. 問題とされる取引について、運用方針・顧客の投資目的・当時の市場状況に照らした必要性を、取引ごとに文書で再構成3. 勧誘の端緒が助言・運用業務由来の情報でないことを示す資料(公開情報、既存の顧客カルテ)を整理4. 内閣府令上の禁止行為に該当しないかを条文単位で確認、該当のおそれがあれば早期に自主的な顧客対応と当局報告を検討
時効(請求できる期限):44条自体に特定の時効はない。民事の損害賠償請求は損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年(民法724条)。契約責任として構成する場合は権利行使できることを知った時から5年、権利行使できる時から10年(民法166条)。行政処分には時効の定めがなく、当局への申告は古い事案でも受け付けられる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:44条は業務の兼営自体を禁じるのではなく、利益相反が現実化する行為類型のみを切り出して禁止する行為規制である。したがって適切な情報遮断と利益相反管理体制が備わっていれば兼営は適法であり、体制の不備は44条違反を推認させる事情として機能すると理解されている。
実務的理解(民事構成):44条は直接の私法上の効力規定ではないため、投資家の救済は民法709条の不法行為または715条の使用者責任を通じて行われる。44条違反の事実は、注意義務違反・違法性を基礎づける中核的な評価根拠事実として位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:証券取引法(昭和23年法律第25号)制定。米国1934年証券取引所法を母法とし、証券業者の行為規制の枠組みが置かれた
- 2.平成18年(2006年) 改正:証券取引法を金融商品取引法へ改組。投資助言・代理業と投資運用業を横断的に取り込み、業務の種別を二以上行う場合の禁止行為として現行44条の構造が整備された
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