旅館業法 第5条
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- 営業者は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。
- 一宿泊しようとする者が特定感染症の患者等であるとき。
- 二宿泊しようとする者が賭博その他の違法行為又は風紀を乱す行為をするおそれがあると認められるとき。
- 三宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であつて他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき。
- 四宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。
- 2.営業者は、旅館業の公共性を踏まえ、かつ、宿泊しようとする者の状況等に配慮して、みだりに宿泊を拒むことがないようにするとともに、宿泊を拒む場合には、前項各号のいずれかに該当するかどうかを客観的な事実に基づいて判断し、及び宿泊しようとする者からの求めに応じてその理由を丁寧に説明することができるようにするものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 旅館業法第5条は、日本の旅館業法に含まれる条文です。
- 旅館業法第5条の条文原文は「営業者は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。」で始まります。
- 旅館業法の公布日は昭和23年7月12日です。
- 旅館業法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 旅館業法第5条の前の条は旅館業法第4条の2です。
- 旅館業法第5条の次の条は旅館業法第5条の2です。
- 旅館業法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000138 - 本サイト収録
旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC0000000138/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点旅館業法5条は、ホテル・旅館の営業者に宿泊を拒んではならない義務を課し、拒否できる場合を特定感染症、違法行為のおそれ、過重な要求の繰り返し、満室・条例事由の4つに限っている。
Q · ホテルや旅館は、気に入らない客の宿泊を自由に断れるの?
断れるのは満室など法定の4つの場合だけ
旅館業法5条1項により、営業者は原則として宿泊を拒めません。例外は、①特定感染症の患者等、②賭博等の違法行為や風紀を乱す行為のおそれ、③厚生労働省令で定める過重な要求の繰り返し、④満室または都道府県条例で定める事由、の4つに限られます。同条2項により、拒否する場合は客観的事実に基づいて判断し、求められれば理由を丁寧に説明できるようにする必要があります。
解説
ホテルのフロントで「本日はお泊めできません」と言われたら、多くの人は頭を下げて別の宿を探す。だが法律の前提は逆である。旅館業法5条は、営業者(旅館・ホテル・簡易宿所などを経営する者)に、原則として宿泊を「拒んではならない」義務を課している。断ってよいのは、限られた四つの場合だけだ。第一に、特定感染症(感染症法上の一類・二類感染症など、重い感染症に限られる)の患者等であるとき。第二に、賭博などの違法行為や風紀を乱す行為をするおそれがあるとき。第三に、過重な要求を「繰り返した」とき。第四に、満室のとき、または都道府県の条例が定める事由があるときである。令和5年改正で加わった2項によって、断る側は客観的な事実に基づいて判断し、求められれば理由を丁寧に説明できるようにしなければならなくなった。つまり、断られた側のあなたは「なぜですか、どの号に当たるのですか」と聞いてよい。この一言を知っているかどうかで、泣き寝入りするか、保健所が動くかが分かれる
法的な位置づけ
旅館業法5条は、旅館業の営業者に宿泊の応諾義務を課す規定である。1項は、特定感染症の患者等、違法行為等のおそれ、厚生労働省令で定める過重な要求の繰り返し、施設に余裕がない場合または都道府県条例で定める事由の四類型を除き宿泊拒否を禁じ、2項は、拒否の判断を客観的事実に基づいて行い、求めに応じて理由を説明できるようにすることを求める。
手順
- 1.その場で拒否の根拠を確認する フロントで断られたら、旅館業法5条1項のどの号に当たるのかを落ち着いて尋ねる。可能であれば、理由をメールや書面で出してもらう
- 2.日時・対応者・発言内容を記録する 拒否された日時、対応した従業員の名前、発言内容をその場でメモする。予約画面や支払い記録はスクリーンショットで保存する
- 3.所轄の保健所に相談する 施設所在地を管轄する保健所の旅館業担当に、記録を添えて相談する。違反が認められれば、行政指導や旅館業法8条による処分の対象になりうる
- 4.障害を理由とする拒否なら別の窓口も使う 障害を理由に断られた場合は、障害者差別解消法に基づく相談窓口にもあわせて相談する
- 5.かかった費用の請求を検討する 代わりの宿泊費や交通費がかかった場合は、領収書を保存し、民法709条による損害賠償請求を弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1宿泊拒否とは?違法になるのはどんな場合?
宿泊拒否とは、ホテル等が宿泊の申込みを断ることです。旅館業法5条1項の4つの事由のどれにも当たらずに断れば、同条違反になります。
Q2ホテルに宿泊を断られたらどこに相談すればいい?
施設の所在地を管轄する保健所(都道府県・保健所設置市・特別区の旅館業担当)が窓口です。拒否の日時や対応者などの記録を持って相談します。
Q3旅館業法5条はいつ改正された?
令和5年(2023年)の改正で、同年12月13日に施行されました。感染症事由の限定、過重な要求の繰り返しを理由とする拒否(3号)、理由説明(2項)が加わりました。
Q4外国人であることを理由に宿泊を断れる?
断れません。国籍は5条1項のどの号にも当たらないからです。旅券の提示を求めることとは別問題で、国籍だけを理由にした拒否は違反と評価されえます。
Q5障害を理由に宿泊を断られたら違法?
障害そのものは拒否事由に当たりません。合理的配慮を求めることも過重な要求には当たらないとされ、障害者差別解消法上の問題にもなりえます。
Q6泥酔した客の宿泊は断れる?
多くの都道府県条例は、泥酔者などで他の宿泊者に著しく迷惑を及ぼすおそれがある場合を拒否事由にしています。4号の条例事由として断れる可能性があります。
Q7ホテルに宿泊を断られたら損害賠償を請求できる?
違法な拒否で代わりの宿泊費や交通費がかかった場合、民法709条の不法行為として請求を検討できます。拒否の記録と支出の領収書を保存しておきます。
Q8宿泊を断るとき、ホテルは理由を説明しないといけない?
5条2項は、宿泊希望者から求められたら理由を丁寧に説明できるようにすることを求めています。どの号に当たるのかを尋ねてかまいません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1一人客お断りの旅館って、法律的にアリなんですか?
5条1項は、満室など各号に当たる場合を除き宿泊拒否を禁じている。部屋が空いているのに人数だけを理由に一律に断ることがこれに当たるかは、実務上、解釈が分かれる。料金プランを二名以上に設定することと、宿泊を拒むことは区別して考えられている。実務のポイント:問い合わせの段階で「一名だと料金はいくらになりますか」と聞くと、拒否ではなく料金設定の話に切り替わり、泊まれることが少なくない
Q2クレームを何度も言ってくる客、次から予約を断ってもいいですか?
3号は、厚生労働省令で定める過重な負担を伴う要求を「繰り返したとき」に限って拒否を認める。不当な割引や慰謝料の要求、従業員への粗暴な言動を伴う要求などが典型とされる。単に不満を伝えることや、障害者による合理的配慮の要望は該当しない。実務のポイント:保健所が最初に確認するのは記録である。日時入りの対応記録がない拒否は、正当な理由があっても違反扱いのリスクを負う
Q3ホテルに断られたこと自体で罰則ってあるんですか?
5条違反には罰金刑の定めがある(旅館業法12条、50万円以下、最新の改正状況をご確認ください)。さらに都道府県知事は営業許可の取消しや営業停止を命じることができる(同法8条)。実務のポイント:実際に宿を動かすのは刑罰より保健所の行政指導である。許可を出している役所からの照会は、宿にとって最も避けたい事態で、相談一本で対応が変わることがある
Q4熱がある客を泊めないのは、感染対策として当然じゃないですか?
1号で拒否できるのは「特定感染症の患者等」に限られる。一類・二類感染症や新型インフルエンザ等感染症などが対象で、5類の新型コロナや季節性インフルエンザは含まれない。実務のポイント:発熱だけで断るのではなく、特定感染症の国内発生期間中に限っては感染防止対策への協力を求めること(同法4条の2)ができる。断るより、協力を求めて記録を残す方が法的に安全である
間違えやすい点 AI による整理
- 「ホテルは民間企業だから、客を選ぶ自由がある」と思われがちだが、旅館業は許可制の公共性ある営業として、一般の商売にはない応諾義務を負っている。普通の飲食店なら許される「お断り」が、宿泊ではそのまま違反になりうる
- カスタマーハラスメント対策として3号が新設されたことは知られているが、その要件の厳しさはあまり知られていない。対象は厚生労働省令で定める類型の要求に限られ、しかも「繰り返した」ことが必要である。一度怒鳴られただけで宿泊を断れば、今度は宿側が違反を問われる。障害者が合理的配慮を求めることは、そもそも過重な要求に当たらないとされている
- 刺青のある客について「宿泊を断れるか」と問う人は多いが、問いの立て方がずれている。宿泊そのものを拒むことと、大浴場の利用ルールを定めることは別の話である。前者は5条の各号に当たらない限り難しく、後者は施設利用の規則の問題として扱われるのが一般的とされる(実務上、解釈が分かれる部分もある)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性格 | 旅館業法5条:宿泊拒否の原則禁止と拒否事由の限定 | 旅館業法4条の2:特定感染症の国内発生期間中に感染防止対策への協力を求めるもの 旅館業法8条:違反した営業者への許可取消し・営業停止 |
| 感染症への対応 | 特定感染症の患者等に当たる場合に限って拒否できる | 拒否ではなく、宿泊者に協力を求めるという手段 感染症を理由とする違法な拒否があれば処分の対象になりうる |
| 宿泊者への影響 | 要件を満たさない拒否は違法になり、理由説明を求められる | 宿泊はでき、協力の求めに応じるかが問題になる 直接は営業者が対象(宿泊者は保健所への相談で処分につながる) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾にも旅館業を規律する法令はあるが、日本の5条のように宿泊の応諾を原則義務とし拒否事由を列挙する明文は確認できていない。差別的な拒否は身心障礙者権益保障法など個別法の問題として扱われる余地がある
ドイツには宿泊施設一般の応諾義務はなく、一般平等待遇法が大量取引における人種・宗教・障害などを理由とする差別的拒否を禁止する構造である
フランスは、出自・障害などを理由とする財やサービス提供の拒否を刑事罰の対象とする。宿泊に特化した応諾義務ではなく、差別禁止の一般規定で対応している
米国はホテルを公共施設として、人種・宗教・出身国などによる差別を連邦法で禁止する。コモン・ロー上の宿屋(innkeeper)の受入義務の伝統も背景にある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 車椅子で予約サイトから予約し、到着したら「設備が対応していないので」とキャンセルを告げられた。満室でもなく、迷惑行為もしていない。5条のどの号にも当てはまらない拒否である可能性が高く、障害者差別解消法上の問題にもなりうる。まずその場で、どの事由で断るのかを書面かメールで出してもらう
- 旅館の経営者として、同じ客から「料金を半額にしろ」「謝罪として土下座しろ」と電話が三日続いている。予約は来週。3号は一度の要求では足りず「繰り返したとき」に限られる。今日から日時・内容・対応者を記録し始めれば、拒否の客観的根拠になる
- 熱があるだけで宿泊を断れるのか? 新型コロナウイルス感染症は令和5年5月に5類へ移行しており、1号の特定感染症には当たらない。発熱を理由とした一律の拒否は、5条違反と評価される余地がある
- 週末の夜、泥酔した友人を連れてビジネスホテルに飛び込んだら断られた。多くの都道府県条例は「泥酔者等で他の宿泊者に著しく迷惑を及ぼすおそれ」を拒否事由に置いている。4号経由の正当な拒否になりうる
- 外国人の友人が、旅券を見せた途端に「外国の方はお断り」と言われたと LINE してきた。国籍だけを理由にした拒否は、どの号にも当たらない。どの保健所に相談すればよいか、あなたが三分で教えられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. その場で拒否の理由を具体的に尋ね、可能ならメールや書面で出してもらう。日時、対応者名、発言内容をスマホにメモする2. 予約確認画面や支払い記録をスクショで保存する3. 施設所在地を管轄する保健所(都道府県・保健所設置市・特別区の旅館業担当)に相談する。違反が認められれば、行政指導や営業停止等の処分(旅館業法8条)の対象になりうる4. 障害を理由とする拒否なら、障害者差別解消法に基づく相談窓口も併用する5. 代わりの宿泊費や交通費の損害は、民法709条で請求を検討する
訴えられた側:1. 拒否の前に、5条1項のどの号に当たるのかを客観的事実で確認する。外見、国籍、障害、軽い発熱だけでは足りない2. 3号を使うなら、要求が厚生労働省令の類型に当たること、繰り返されたことを記録で示せるようにする3. 自施設所在地の条例が定める拒否事由(泥酔者など)を確認し、従業員マニュアルに落とし込む4. 拒否する際は理由を丁寧に説明し、説明内容も記録する。保健所から照会があったとき、この記録が唯一の防御になる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の期限はない。拒否による損害の賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年、行為時から20年(民法724条)。違反に対する罰金刑の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項)。行政処分には時効の定めはなく、相談は早いほど記録が鮮明で有利になる
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、同年12月13日施行 旧1号の「伝染性の疾病」を「特定感染症の患者等」に改め、過重な要求の繰り返しを拒否事由とする3号を加え、みだりな拒否の防止と理由説明を求める2項を設けた。改正の全履歴は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和23年(1948年) 新設:旅館業法の制定とともに、営業者の宿泊拒否を原則として禁止する規定が設けられた
- 2.令和5年(2023年) 改正:旧1号の「伝染性の疾病」を「特定感染症の患者等」に改め、過重な要求の繰り返しを拒否事由とする3号を新設し、みだりな拒否の防止と理由説明に関する2項を設けた(同年12月13日施行)
- 旅館業法 第3条営業許可制、応諾義務の前提となる地位
- 旅館業法 第4条の2特定感染症発生期間中の協力の求め
- 旅館業法 第8条違反時の許可取消し・営業停止
- 旅館業法 第12条本条違反に対する罰金(現行効力を要確認)
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第8条事業者の差別禁止と合理的配慮義務
- 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 第6条特定感染症の範囲を画する類型定義
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