消防法 第30条
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- 火災の現場に対する給水を維持するために緊急の必要があるときは、消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長は、水利を使用し又は用水路の水門、樋門若しくは水道の制水弁の開閉を行うことができる。
- 2.消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長は、火災の際の水利の使用及び管理について当該水利の所有者、管理者又は占有者と予め協定することができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 消防法第30条は、日本の消防法に含まれる条文です。
- 消防法第30条の条文原文は「火災の現場に対する給水を維持するために緊急の必要があるときは、消防長若しくは消防署長又は消防本部を置かない市町村においては消防団の長は、水利を使用し又は用水路の…」で始まります。
- 消防法第30条は第六章に置かれています。
- 消防法の公布日は昭和23年7月24日です。
- 消防法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 消防法第30条の前の条は消防法第29条です。
- 消防法第30条の次の条は消防法第30条の2です。
- 消防法第30条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第30条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186 - 本サイト収録
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第30条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC1000000186/30
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点消防法30条は、火災現場への給水維持に緊急の必要があるとき、消防長・消防署長等が水利を使用し、用水路の水門や水道の制水弁を開閉できると定める。権限者は「長」に限られる。
Q · 火事のとき、消防は自分の池や水門の水を勝手に使っていいの?
緊急の必要があれば同意なしで使える。損害の扱いは別問題
消防法30条1項により、火災現場への給水を維持するため緊急の必要があるときは、消防長・消防署長(消防本部のない市町村では消防団の長)が、池などの水利を使用し、用水路の水門・樋門や水道の制水弁を開閉できます。所有者の同意は要件ではありません。ただし30条には損失補償の明文がなく、損害の扱いは解釈や国家賠償法1条の問題になります。平時に2項の協定を結んでおけば、使用後の扱いを書面で決められます。
解説
火事の現場で消防車のホースが水を取る先は、消火栓だけではない。田んぼへ水を引く用水路の水門、町内の水道管の制水弁(水道管の途中にあり、水の流れを止めたり開けたりするバルブ)、さらに誰かが所有する池や水そうまで含まれる。消防法30条1項は、火災現場への給水を保つために緊急の必要があるときに限って、消防長・消防署長にそれらを使い、開け閉めする権限を与えている。消防本部のない市町村では消防団の長がこの権限を持つ。所有者の同意を待つ必要はない。押さえておくべき点は二つある。第一に、権限は「長」に与えられたもので、発動の条件は「緊急の必要」に絞られている。第二に、2項の「協定」は平時に結ぶ約束である。水門や池を持つ側にとって、使い方、連絡先、使用後の後始末を前もって書面に残せる数少ない窓口になっている。火事が起きた後では、交渉の席はもう用意されていない。
法的な位置づけ
消防法30条は、火災時の水利使用権限を定める規定である。火災現場への給水維持に緊急の必要がある場合に限り、消防長、消防署長または消防本部を置かない市町村の消防団の長に対し、水利の使用ならびに用水路の水門・樋門および水道の制水弁の開閉を認める。あわせて、同者が水利の所有者・管理者・占有者と火災時の使用および管理について事前に協定できる旨を定める。
手順
- 1.鎮火を確認するまで水利に手を触れない 水門・制水弁・取水ポンプが動いていても、消火活動が続いている間は自分で戻さない。現場の隊員か消防本部に活動の終了を確認してから管理に戻る
- 2.被害を日時入りで記録する 水位の変化、作物や魚、ポンプ・水槽などの設備の損傷を、日時が分かる写真や動画で残す。水門の開閉状態も撮影しておく
- 3.消防本部に使用の経緯を確認する 使われた水利、操作の時間帯、権限者(消防長・消防署長等)の判断の経緯を消防本部に問い合わせ、回答を記録する
- 4.市町村に補填の運用を確認し、必要なら弁護士に相談 30条に損失補償の明文がないため、まず市町村に見舞金や補填の運用があるかを聞く。操作が違法・過剰だった疑いがあれば、国家賠償法1条による請求を弁護士と検討する
- 5.次の火災に備えて2項の協定を申し出る 消防署に協定の締結を相談し、連絡先、使用後の補水・清掃、水門の原状回復の担当と期限、設備損傷時の扱いを書面に盛り込む
よくある質問 AI による整理
Q1消防水利とは何ですか?
消火に使う水の供給源のことで、消火栓、防火水槽、池、プール、河川、用水路などが含まれます。市町村が設置するもののほか、所有者の承諾を得て指定される私有の水利もあります(消防法20条・21条)。
Q2消防法30条の権限は誰が持っていますか?
消防長、消防署長、そして消防本部を置かない市町村では消防団の長です。現場の隊員は長の指揮のもとで実際の操作を行います。
Q3消防が私有地の池の水を使うのは違法?
火災現場への給水を維持する緊急の必要があれば、消防法30条1項に基づく適法な使用です。必要性を欠く使用や過剰な操作があった場合に、違法性が問題になります。
Q4消防が水道の制水弁を操作できるのはなぜ?
火災現場の水圧と水量を確保するため、消防法30条1項が制水弁の開閉を明文で認めているからです。周辺地域で一時的に水圧の低下や濁り水が出ることがあります。
Q5消防水利の協定はどこに申し込む?
管轄の消防本部または消防署に相談します。消防法30条2項の協定は、消防長・消防署長等と水利の所有者・管理者・占有者の間で結ぶものです。
Q6消防水利の協定に法的な締結義務はある?
ありません。30条2項は「協定することができる」と定めるだけです。ただし協定がなくても、緊急時には1項によって水利が使われることがあります。
Q7消火で防火水槽が空になったら補水は誰がする?
消防法30条に補水義務の定めはありません。協定があればその内容に従い、なければ消防本部や市町村との協議になります。事前に協定で決めておくのが確実です。
Q8消防が開けた水門を閉めないと罪になる?
鎮火後に通常の管理へ戻すことは問題になりにくいですが、消火活動中に故意で閉めると、刑法114条の消火妨害罪に問われるおそれがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1消防に庭の池の水を使われて、鯉が死んじゃった。補償してもらえる?
30条には損失補償の明文がない。29条3項が、延焼のおそれがない対象物を処分した場合に時価での補償を定めているのとは対照的で、30条の水利使用に補償を求められるかは解釈が分かれている。操作が違法・過剰であれば、国家賠償法1条で市町村に賠償を求める余地がある。実務のポイント:法的な支払義務の有無を争う前に、自治体に見舞金や補填の運用があるかを聞く方が早く決着する場合がある
Q2うちの水門、消防が開けたまま帰っちゃった。勝手に閉めていいの?
消火活動が終わっていれば、管理者として通常の管理に戻すのが自然である。ただ、鎮火前や残り火の処理中に閉めると、刑法114条の消火妨害を疑われかねない。まず現場の隊員か消防本部に、活動が終わったかを確認すること。実務のポイント:30条2項の協定に「操作後の原状回復を誰がいつまでに行うか」を書いておけば、この確認の電話そのものがいらなくなる
Q3消防水利の協定って、結んだら損しない?断ってもいいの?
30条2項は「予め協定することができる」と定めているだけで、所有者に締結の義務はない。21条の消防水利の指定も、所有者等の承諾が前提である。ただし協定がなくても、緊急時には1項によって使われうる。実務のポイント:断っても緊急時の使用は止められない。それなら協定に連絡先、使用後の補水、損傷時の扱いを書き込み、所有者側が条件を決める方が有利になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「消防が使った水の代金は誰に請求されるのか」という問いから入る人が多いが、問いの立て方がずれている。水道の消火栓の水については、水道法24条3項により水道事業者は公共の消防用に使われた水の料金を取れない。問うべきは水の代金ではなく、池や水門、作物、設備に生じた損害をどう扱うかである
- 消防の邪魔をしてはいけないことは誰でも知っている。だが、その重さを知る人は少ない。火災の際に消火用の物を隠したり壊したり、その他の方法で消火を妨害すると、刑法114条の消火妨害罪として1年以上10年以下の拘禁刑の対象になる。取水中の水門を閉め直す、取水口をふさぐといった行為も、故意があれば状況次第でこの範囲に入りうる
- 30条の権限は消防隊員なら誰でも持つと思われがちだが、条文が定める権限者は消防長、消防署長、そして消防本部のない市町村の消防団の長に限られる。実際の操作は隊員が長の指揮のもとで行う。29条1項の破壊消防が「消防吏員又は消防団員」に直接権限を与えているのとは、書き分けられている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 消防法30条:水利の使用、用水路の水門・樋門、水道の制水弁の開閉 | 消防法21条:池・泉水・井戸・水槽などを消防水利に指定 消防法29条:火災に関わる消防対象物・土地の使用・処分・使用制限 |
| 所有者の同意 | 1項の緊急使用は不要。2項の協定は任意の合意 | 所有者・管理者・占有者の承諾が前提 不要 |
| 権限者 | 消防長・消防署長、消防本部のない市町村では消防団の長 | 消防長または消防署長 1項は消防吏員・消防団員、3項は消防長・消防署長等 |
| 損失補償の明文 | なし(解釈と国家賠償法の問題) | なし(承諾に基づく指定) 3項の場合は時価による補償を明記 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は消防指揮人員に各種水源の使用を認め、自来水事業機構への集中給水の通知を定める。権限者を「長」に絞る日本の書き方とは異なる
韓国は消防本部長・消防署長・消防隊長に、ダム・貯水池・プール等の水の使用と水道開閉装置の操作を認める。日本30条とほぼ同じ構造
中国は火災現場の総指揮に、各種水源の使用を含む現場措置の決定権を集中させる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 隣家の火事で、消防があなたの庭の池からポンプで水を吸い上げ始めたら、止められるのか? 現場への給水を保つ緊急の必要があれば30条1項の水利使用に当たり、その場で拒む法的根拠は乏しい。池に錦鯉がいるなら、ホースを止めようとするより、まず隊員に口頭でその事実を伝えることだ
- あなたは集落の用水路で水門の管理を任されている。火災現場への給水のため、消防署長の判断で水門が開けられた。翌朝、下流の田に水が回っていない。鎮火を確認しないまま自分の判断で水門を戻すと、消火妨害を疑われる側に回りかねない。まず消防本部に活動が終わったかを確認し、被害の写真を撮ってから動くこと
- 工場の防火水槽が近所の火災で空になった。補水の費用は誰が持つのか。協定がなければ、その話し合いはゼロから始まる。
- マンション管理組合の理事を務めるあなたのもとに、消防署から「敷地内の防火水槽を火災時の水利として協定したい」と打診が届いた。次の理事会まであと二週間しかない。使用後の清掃、補水、損傷時の扱い、夜間の連絡先を条件として書き込めるのは、署名する前の今だけである
取るべき行動
被害を受けた側:1. 鎮火を確認するまでは、水門や制水弁を自分で戻さない2. 水位、作物、設備、魚などの被害を日時入りの写真で記録する3. 消防本部に、使われた水利、操作した時間、権限を持つ者の判断の経緯を確認する4. 30条には損失補償の明文がないため、市町村に補填の運用があるかを聞く。操作が違法・過剰だった疑いがあれば、国家賠償法1条による請求を弁護士と検討する
訴えられた側:1. 火災の最中に水門を閉めた、取水を止めたと言われた場合は、その時点で鎮火の連絡を受けていたかを時系列で整理する2. 消防からの連絡記録、通話履歴、現場の写真を保全する3. 消火妨害罪(刑法114条)は故意が要件なので、妨害の意図がなかった事情を具体的に示す4. 再発を防ぐため、2項の協定で操作後の原状回復を誰が行うかを決めておく
時効(請求できる期限):30条自体に特定の期限はない。違法な操作による損害を国家賠償法1条で求める場合は、損害及び加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年(国家賠償法4条により民法724条を適用)。市町村に対する金銭請求一般は地方自治法236条により5年で時効となる(最新の改正状況をご確認ください)
- 消防法 第20条市町村の消防水利の設置・維持管理
- 消防法 第21条所有者の承諾による消防水利の指定
- 消防法 第29条破壊消防と損失補償規定の対比
- 水道法 第24条消火栓の設置義務と消防用水の無料化
- 刑法 第114条消火妨害罪による水利操作の保護
- 国家賠償法 第1条違法な水利操作に対する賠償責任
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