消防法 第35条の7
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- 消防機関は、傷病者の搬送に当たつては、実施基準を遵守しなければならない。
- 2.医療機関は、傷病者の受入れに当たつては、実施基準を尊重するよう努めるものとする。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 消防法第35条の7は、日本の消防法に含まれる条文です。
- 消防法第35条の7の条文原文は「消防機関は、傷病者の搬送に当たつては、実施基準を遵守しなければならない。」で始まります。
- 消防法第35条の7は第七章の二に置かれています。
- 消防法の公布日は昭和23年7月24日です。
- 消防法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 消防法第35条の7の前の条は消防法第35条の6です。
- 消防法第35条の7の次の条は消防法第35条の8です。
- 消防法第35条の7には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第35条の7 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186 - 本サイト収録
消防法(昭和二十三年法律第百八十六号)第35条の7(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/323AC1000000186/35_7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点消防法35条の7は、救急搬送の実施基準について、消防機関に遵守義務、医療機関に尊重の努力義務を課す。病院が受入れを断っても本条違反にはなりにくい。
Q · 救急車の受入先が決まらないとき、病院には受け入れる義務があるの?
守る義務は救急隊だけ、病院は努力義務にとどまる
消防法35条の7第1項により、消防機関は傷病者の搬送に当たって都道府県の実施基準を遵守しなければなりません。一方、同条2項は医療機関に対し、受入れに当たって実施基準を尊重するよう努める義務を課すだけです。そのため、病院が受入れを断ったことだけで本条違反になることは通常ありません。医師の応招義務(医師法19条)も正当な事由があれば診療を拒めます。受入困難の解消は、協議会(35条の8)での基準見直しに委ねられています。
解説
救急車のサイレンが近づいてくる時点で、行き先は紙の上でほぼ決まっている。都道府県が定めて公表する「傷病者の搬送及び受入れの実施基準」(消防法35条の5)に、症状ごとにどの病院群へ向かうか、受入先が見つからないときにどう動くかが書かれているからだ。本条は、この一枚の基準に二通りの重さを与えた。消防機関には「遵守しなければならない」という義務を課し、医療機関には「尊重するよう努める」という努力義務だけを課している。同じ基準でも、救急隊は縛られ、病院は縛られない。この仕組みは、妊婦の受入先が見つからない事案が続いたことを受け、平成21年(2009年)改正で生まれた。救急車が最寄りの病院を素通りしても、迷っているとは限らない。基準に沿って専門施設へ向かっている可能性がある。受入を断られ続けたときに問うべきなのは、個々の病院の良し悪しより先に、基準そのものと、それが実際にどう運用されたかである。
法的な位置づけ
消防法第35条の7は、都道府県が定める傷病者の搬送及び受入れの実施基準の効力を定める規定である。第1項は消防機関に対し、傷病者の搬送に当たって実施基準を遵守する義務を課し、第2項は医療機関に対し、傷病者の受入れに当たって実施基準を尊重するよう努める義務を課す。平成21年(2009年)の消防法改正で新設された。
手順
- 1.自分の都道府県の実施基準を確認する 都道府県の消防・防災または医療政策の担当ページで、消防法35条の5に基づき公表されている実施基準を探す。家族のリスクに合う症状区分(脳卒中、心疾患、周産期など)の医療機関リストを確認しておく
- 2.救急隊に渡す情報を一枚にまとめる 既往歴、服用中の薬、かかりつけ病院、アレルギーを紙一枚にまとめ、薬手帳と一緒に保管する。発症時には発症時刻を書き足し、救急隊の到着直後に手渡す
- 3.搬送中の照会経過を記録する 付き添いの場合、照会した時刻、断られた件数、隊員が伝えた理由をスマートフォンのメモに時刻付きで残す。後で搬送の経過を検証する際の足場になる
- 4.救急活動記録を開示請求し基準と突き合わせる 落ち着いた後、管轄の消防本部へ救急活動記録の開示を請求する。記録と公表されている実施基準を照らし合わせ、基準どおりの運用だったかを確認し、必要に応じて弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1救急搬送の実施基準とは?
都道府県が消防法35条の5に基づき定めて公表する、症状ごとの搬送先の選び方や受入先が決まらない場合の対応ルールです。救急隊はこれを守る義務を負います。
Q2救急車のたらい回しはなぜ起きる?
救急隊は実施基準を守る義務を負う一方、病院は基準を尊重する努力義務しか負わないためです。満床や専門医不在の夜には、照会が何件も続くことがあります。
Q3病院が救急の受入れを断ったら罰則はある?
消防法35条の7第2項は努力義務なので、断ったことだけで本条違反として罰せられる規定はありません。医師法19条の応招義務にも直接の罰則は設けられていません。
Q4救急車の行き先は誰が決める?
現場の救急隊が、都道府県の実施基準に定められた観察基準・選定基準に沿って判断し、医療機関に照会して決めます。距離だけで決まるわけではありません。
Q5救急隊が実施基準を守らなかったらどうなる?
消防法35条の7第1項の遵守義務違反となり得ます。基準からの逸脱で損害が生じた場合、国家賠償法1条に基づく賠償責任が問題になる余地があります。
Q6救急活動記録は開示請求できる?
多くの自治体で、本人や遺族などが個人情報保護の手続により救急活動記録の開示を請求できます。照会時刻や断られた理由の確認に役立ちます。
Q7救急搬送の実施基準はいつから?
平成21年(2009年)の消防法改正で、実施基準の策定(35条の5)や本条の遵守義務などが新設され、その後各都道府県で基準が策定されました。
Q8救急車が近くの病院を素通りするのはなぜ?
脳卒中や心筋梗塞、周産期など、症状に応じて対応可能な医療機関を実施基準が定めているためです。近さより治療できる施設への到着が優先されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1救急車って、こっちが病院を指定したらそこに行ってくれるんですか?
希望は聞いてもらえるが、拘束力はない。消防機関は実施基準を遵守する義務を負っており(消防法35条の7第1項)、症状に合わない病院や遠すぎる病院は断られることがある。実務のポイント:かかりつけ病院が実施基準の対象医療機関リストに入っていて、症状にも合っている場合は、その希望が通りやすい。病名と通院歴を具体的に伝えるほど、隊員は基準の枠内で希望をかなえやすくなる
Q2何件も断られて、搬送が遅れて悪化しました。病院を訴えられますか?
病院が受入を断ったこと自体は、本条違反になりにくい。医療機関に課されているのは努力義務だからだ(同条2項)。医師法19条の応招義務も、正当な事由があれば診療を拒める。実務のポイント:争点になりやすいのは、受入後の診療の遅れや、消防側の選定・照会の過程である。まず救急活動記録を開示請求し、どこで時間を失ったのかを特定してから、相手を絞るのが筋である
Q3実施基準って、どこで見られるんですか?
消防法35条の5により、都道府県は実施基準を定めて公表しなければならない。多くの場合、都道府県の消防・防災や医療政策の担当ページに掲載されている。実務のポイント:本文より別表の医療機関リストのほうが実用的である。脳卒中、心疾患、周産期など、家族のリスクに合う欄だけ確認しておけば、いざというときの行き先を予想できる
間違えやすい点 AI による整理
- 救急車はいちばん近い病院に行くものだと思われがちだが、実際の行き先を決めるのは距離ではなく実施基準である。脳卒中、心筋梗塞、重い外傷、周産期などは、症状に応じて対応可能な医療機関のリストが別に用意されていることが多い。近さより、治療できる施設に早く着くことが優先される
- 「受入拒否は違法だ」という問いの立て方そのものがずれている。本条が病院に課しているのは、基準を尊重するよう努める義務にすぎず、断ったことだけで本条違反にはならない。医師個人の応招義務(医師法19条)も、正当な事由があれば診療を拒める。問うべきなのは違法かどうかではなく、地域の受入体制のどこに穴があったかである
- 家族の側から見れば、救急隊が病院に電話をかけ続けているのは時間の無駄に見える。だが法の側から見れば、それは遵守義務を負った消防機関が、基準に沿った手順を踏んでいる姿である。その場で隊員を責めても搬送は速くならない。必要な情報を渡すほうが、照会は確実に速く進む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の対象 | 消防法35条の7:実施基準の効力(消防機関・医療機関) | 消防法35条の5:都道府県による実施基準の策定・公表 消防法35条の8:実施基準を協議する協議会の設置 |
| 義務を負う主体 | 消防機関(遵守義務)・医療機関(尊重の努力義務) | 都道府県 都道府県(協議会の構成員として消防機関・医療機関等が参加) |
| 義務の強さ | 消防機関は「しなければならない」、医療機関は「努めるものとする」 | 策定・公表は義務 協議・意見具申を通じた合意形成の仕組み |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は医療法60条で病院・診療所に危急病人への救治を求め、無故の遅延を禁じる。病院側に努力義務しか置かない日本より、受入側の義務が明確に書かれている
韓国は救急医療を単独の法律で規律し、救急医療機関の役割や受入れに関する規定を設ける。消防法の一章で救急搬送を扱う日本とは立法の構造が異なる
ドイツでは救急業務が州の権限に属し、各州の救急業務法と救急指令センターが搬送先選定を担う。基準の策定主体が地方である点は日本と共通する
米国は救急部門を持つ病院に対し、来院患者の診察と安定化を連邦法で義務づける。病院側の受入れを努力義務にとどめる日本と対照的な設計である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 父が夜中に倒れ、ろれつが回らない。救急車は5分先の総合病院を通り過ぎ、20分先の病院へ向かった。家族は車内で「なぜ近くじゃないのか」と詰め寄りかけた。だが脳卒中が疑われる場合、実施基準は血栓を溶かす治療(t-PA)や血管内治療ができる施設を優先するよう定めていることが多い。素通りは、父の脳を守るための選択だった可能性が高い
- 救急車に乗ってから40分、隊員が電話で5件目の病院に断られている。もしあなたが付き添いなら、何を記録しておけばいいのか? 照会した時刻、断られた件数、隊員が口にした理由。この記録が、後で搬送の遅れを検証するときの唯一の足場になる
- あなたは救急隊長で、かかりつけの遠い病院へ運んでほしいと患者の家族に強く求められた。実施基準から外れた搬送で容体が悪化すれば、遵守義務違反を問われるのは消防機関の側である。家族の希望を聞きつつ、医学的な理由を手短に説明できるかが現場の勝負になる
- 救急外来の当直医が一人しかおらず、重症患者の処置中に新しい受入要請が入った。断ること自体は、本条違反にはならない。ただし、地域で取り決めた「最終的な受入先」の当番に当たっていた夜なら、話は変わる
- 妊娠30週の妻の出血が止まらない。現場に着いた救急隊は、周産期医療センターへの照会を始めた。残された時間はおそらく1時間もない。実施基準では、産科救急は一般の救急とは別の受入ルートで動くことが多い。かかりつけの産院名と母子手帳を、隊員にすぐ渡せるかどうかで照会の速さが変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 搬送中は、照会の時刻、断られた件数、伝えられた理由を、スマホのメモに時刻付きで残す2. 落ち着いたら、管轄の消防本部へ救急活動記録の開示を請求する(各自治体の個人情報保護の手続による) 3. 都道府県が公表している実施基準と記録を突き合わせ、基準どおりの運用だったかを確認する4. 基準からの逸脱が疑われ、損害が生じているなら、国家賠償法1条にもとづく請求を視野に、医療過誤に強い弁護士へ相談する
訴えられた側:1. 消防機関側は、観察結果、選定理由、照会の経過を活動記録に具体的に残す。それが遵守を立証する唯一の証拠になる2. 医療機関側は、受入不可の理由(満床、専門医不在、処置中)を当直記録に残す3. 地域の協議会(35条の8)で受入困難の実態を共有し、実施基準の見直しを提案する。個別の非難を、構造の改善に置き換えられる4. 患者側から苦情が来たら、基準の内容と判断の理由を書面で説明する
時効(請求できる期限):本条に固有の期限はない。搬送の遅れを理由とする国家賠償請求は、国家賠償法4条により民法が準用され、損害と加害者を知った時から5年(生命・身体侵害、民法724条の2)、不法行為の時から20年(民法724条)。医療機関に対する債務不履行構成の場合は、権利行使できることを知った時から5年、行使できる時から20年(民法166条・167条)
改正沿革 AI による整理
- 平成21年(2009年)改正 産科救急などで受入医療機関が決まらない事案が相次いだことを受け、都道府県による実施基準の策定(35条の5)や協議会(35条の8)とあわせて新設された。消防機関には遵守義務、医療機関には尊重の努力義務を定めた
改正の年表
- 1.平成21年(2009年) 新設:産科救急などで受入医療機関が決まらない事案が相次いだことを受けた消防法改正で、実施基準の策定(35条の5)、協議会(35条の8)とあわせて新設。消防機関に遵守義務、医療機関に尊重の努力義務を定めた
- 消防法 第35条の5都道府県の実施基準策定・公表義務
- 消防法 第35条の6国による実施基準策定への助言・援助
- 消防法 第35条の8実施基準を協議する協議会の設置
- 消防法 第2条第9項で救急業務を定義
- 医師法 第19条医師個人の応招義務と正当事由
- 医療法 第30条の4救急医療を含む医療計画との調和
- 国家賠償法 第1条消防機関の搬送過誤に対する賠償責任
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