要点相続税法 21 条の 17 は、遺産を取得しなかった相続時精算課税適用者でも、生前に精算課税で受けた贈与財産を相続により取得したものとみなして相続税を課すと定める。価額は贈与時で固定される。
Q · 親の遺産を一円ももらっていないのに、相続税の申告が必要って本当ですか?
遺産ゼロでも精算課税の贈与分は相続税の対象になります
相続税法 21 条の 17 により、特定贈与者から相続も遺贈も受けなかった相続時精算課税適用者は、生前に精算課税で受けた贈与財産を相続により取得したものとみなされます。相続人以外(孫など)であれば遺贈とみなされ、2 割加算の対象になりうる点も要注意です。財産の価額は贈与時の価額で固定され、既に納めた贈与税は相続税額から控除、控除しきれない額は還付されます。ただし還付を受けるにも相続税の申告が必要です。
親から生前に相続時精算課税を使って 2,500 万円分の株式をもらった。その後、親が亡くなったが、遺産はすべて兄が相続し、あなたの取り分はゼロ。ここで多くの人が「何ももらっていないのだから相続税は関係ない」と考える。相続税法 21 条の 17 は、その思い込みを正面から否定する。特定贈与者(生前贈与をくれた親など)から相続も遺贈も受けなかった精算課税適用者でも、生前にもらった精算課税対象の財産は「相続により取得したものとみなす」。つまり、あなたは遺産を一円も受け取っていなくても、過去にもらった贈与を相続税の計算に持ち込んで精算しなければならない。しかも、あなたが相続人でない場合(孫など)は「遺贈」とみなされ、2 割加算の対象になりうる。すでに払った贈与税は相続税額から差し引かれ、払いすぎていれば還付されるが、精算そのものからは誰も逃げられない。
相続税法 21 条の 17 は、相続時精算課税適用者が特定贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかった場合の課税関係を定める規定である。精算課税の適用を受けた贈与財産を相続(相続人以外の者は遺贈)による取得とみなし、贈与時の価額により相続税の課税価格に算入したうえで、既に納付された贈与税額を相続税額から控除する。
60 歳以上の父母・祖父母から 18 歳以上の子・孫への贈与について、累計 2,500 万円まで贈与税をかけず、相続時にまとめて精算する制度です。選択届出書の提出が必要で、一度選ぶと撤回できません。
相続の開始があったことを知った日の翌日から 10 か月以内です(相続税法 27 条)。遺産の取得がゼロでも精算課税適用者は申告義務があり、期限を過ぎると無申告加算税と延滞税の対象になります。
被相続人の一親等の血族と配偶者以外の者、典型的には孫やきょうだいです。ただし贈与を受けた時点で一親等の血族であった場合は、その財産に対応する税額は加算対象から外れます(21 条の 17 第 2 項)。
2024 年(令和 6 年)分以降、精算課税の贈与に年 110 万円の基礎控除が設けられました(21 条の 11 の 2)。この枠内の贈与は相続時に課税価格へ持ち戻されず、精算台に載りません。
戻せません。選択届出書を提出した特定贈与者からの贈与は、以後すべて精算課税の対象として固定されます。相手ごとの選択なので、別の贈与者からの贈与は暦年課税のままです。
受贈者の住所地を所轄する税務署に、最初の贈与を受けた年の翌年 2 月 1 日から 3 月 15 日までに、贈与税の申告書とあわせて提出します。期限を過ぎると精算課税を選べません。
相続税の申告書を提出したうえで、控除しきれない贈与税額の還付を請求します(33 条の 2)。申告しなければ還付は受けられず、請求できる期間にも制限があるため早めの対応が必要です。
精算課税適用者が特定贈与者より先に死亡した場合、その相続人が精算課税に係る納税に関する権利義務を承継します。承継の範囲と手続は個別事情に左右されるため税理士への確認が必要です。
相続時精算課税を選んだ時点で、その特定贈与者からの贈与は「相続時にまとめて精算する」約束になっているからです(21 条の 17 第 1 項)。取得がゼロでも、生前贈与分は相続で取得したものとみなされ課税価格に入ります。業界裏話ヒント:税理士でも相続人以外(孫など)の精算課税適用者を見落とすことがあり、申告漏れが後の税務調査で発覚するケースが少なくない。何ももらっていない人ほど、自分から精算課税の選択歴を申告する必要がある。
なりません。相続放棄は民法上の相続人の地位を失わせるだけで、精算課税の贈与財産は放棄しても相続税の精算対象として残ります(21 条の 17 第 1 項)。しかも放棄で相続人以外になると遺贈みなしで 2 割加算のリスクが出ます。業界裏話ヒント:借金対策で相続放棄する人は多いが、精算課税の贈与を受けていると放棄しても相続税だけは追いかけてくる。放棄前に精算課税の選択歴があるかを必ず確認しないと、想定外の納税が残る。
捨てません。精算課税で納めた贈与税が相続税額を上回れば、その差額は現金で還付されます(21 条の 17 第 4 項、33 条の 2)。ただし還付には相続税の申告が必須で、申告しなければ払いすぎた税金は戻りません。業界裏話ヒント:取得ゼロで「申告しても払う税金はない」と考えて申告しない人が、実は還付を受けられる立場だったというケースがある。精算課税を使ったら、納付だけでなく還付の可能性からも申告書を出す価値がある。
されません。精算課税で取り込む価額は贈与時の価額で固定されます(21 条の 17 第 3 項)。値上がりなら得ですが、値下がりだと高い贈与時価額のまま課税されて損をします。業界裏話ヒント:この価額固定は諸刃の剣で、値動きの読めない資産を安易に精算課税で贈与すると、値下がり局面で相続税が実勢より重くなる。将来確実に上がる資産に絞って使うのが実務の鉄則です。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 適用場面 | 21 条の 17:特定贈与者から相続も遺贈も受けなかった精算課税適用者 | — |
| 課税価格への算入方法 | 贈与財産を相続(相続人以外は遺贈)により取得したものとみなして算入 | — |
| 評価の基準時 | 贈与の時における価額で固定(21 条の 17 第 3 項) | — |
| 既納贈与税の扱い | 相続税額から控除し、控除しきれない額は還付(第 4 項、33 条の 2) | — |
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