要点相続税法 65 条は、持分の定めのない法人が設立者やその親族に特別の利益を与える場合、その受益者が利益の価額を贈与・遺贈により取得したものとみなして課税する規定である。
Q · 財団法人を作って財産を移せば、相続税は本当に消えるんですか?
消えません。身内に利益が流れれば個人に課税されます
相続税法 65 条により、持分の定めのない法人が設立者やその親族に施設の無償利用、余裕金の低利運用、解散時の財産帰属などの特別の利益を与えている場合、その法人へ財産を贈与・遺贈した時点で、特別の利益を受ける者が利益の価額に相当する金額を贈与者・遺贈者から取得したものとみなされ、贈与税または相続税が課されます。持分がないことは非課税の保証にならず、利益が最終的に誰へ流れる設計かが判定の分かれ目になります。
資産家が「財団法人を作れば相続税はかからない」という営業トークを聞きつけ、私財を財団に移す。持分がない法人なら、誰も持分を相続しないから課税対象が消える、という理屈だ。相続税法65条は、その抜け道の出口で待ち構えている。財団の施設をタダで使える、解散時に財産が特定の一族へ流れる、家族が理事として不相応な利益を受け取る。そうした「特別の利益」が設立者やその親族に与えられていると、税務署は「実質的にはあの人へ財産を贈与したのと同じだ」とみなす。すると特別の利益を受けた家族が、財団への贈与・遺贈をした人から直接もらったものとして贈与税や相続税を課される。器を法人に替えても、利益が身内へ還流する設計になっていれば、課税は個人を追いかけてくる。あなたが節税スキームの提案書を受け取ったとき、真っ先に確認すべきはこの一点だ。
相続税法 65 条は、持分の定めのない法人に対する財産の贈与・遺贈についてのみなし課税を定める規定である。当該法人が設立者、社員、理事、監事、評議員、寄贈者またはこれらの親族等に特別の利益を与えるときは、特別の利益を受ける者が、その受ける利益の価額に相当する金額を財産の贈与者または遺贈者から取得したものとみなされる。適用の詳細は政令に委任される。
持分の定めのない法人が設立者やその親族に特別の利益を与えている場合、その法人への贈与・遺贈があった時点で、利益を受ける者が財産を直接もらったものとみなして課税する規定です。
社員や出資者が財産の分配を請求する権利を持たない法人で、一般財団法人、公益財団法人、宗教法人、学校法人などが典型です。持分がないため、相続の対象となる持分も存在しません。
契約上の贈与でなくても、経済的に贈与と同じ利益移転があれば贈与とみなして課税する仕組みです。65 条は法人経由で身内に利益が流れる場合をみなし贈与・みなし遺贈として捕捉します。
寄付自体は持分の相続を生みませんが、財団が設立者一族に特別の利益を与えていれば 65 条で受益者に課税されます。12 条 1 項 3 号等の非課税財産に当たる場合は除かれます。
適用されます。65 条は法人の種別ではなく持分の有無と利益の流れ先を見るため、宗教法人でも住職一族が施設や資金を私的に利用していれば課税対象になり得ます。
贈与とみなされれば贈与税の申告期限(原則、翌年 3 月 15 日)、遺贈とみなされれば相続税の申告期限(原則、相続の開始を知った日の翌日から 10 か月)に従います。
65 条 4 項の委任を受け、特別の利益を受ける者の範囲や特別の利益の具体的な内容などを定める政令です。適用の実質的な線引きは条文本文でなく政令と通達で決まります。
設立自体は適法です。ただし身内に特別の利益が流れる設計なら 65 条、同族理事が支配する社団なら 66 条の 2 が適用され、期待した節税効果が失われる可能性があります。
持分がないので持分の相続という形では課税されませんが、それだけです。財団が設立者の一族に特別の利益を与えていれば、相続税法65条で受益者に贈与税・相続税がかかります。業界裏話ヒント:節税商品を売る側は「持分がない=非課税」の部分だけを強調し、65条や66条の存在を契約後まで説明しないことがある。提案書に65条への言及があるかどうかが、その提案の誠実さを測る物差しになる
施設の無償・格安利用、余裕金の低利貸付、解散時の財産の一族帰属、金銭の贈与などが典型で、その範囲は相続税法施行令と基本通達で細かく定められています(65条4項の委任)。業界裏話ヒント:判断の分かれ目は「第三者にも同じ条件で提供しているか」。身内にだけ有利な条件だと、金額の多寡にかかわらず特別の利益と認定されやすい。この線引きは実務上、解釈が分かれることもある
公益認定を受けていても、特定の関係者に特別の利益が流れていれば適用の対象になります。ただし公益認定法自体が特別の利益供与を禁じているため、認定の維持と65条の回避は方向が一致します。業界裏話ヒント:公益認定の取消しと65条課税は連動しがち。認定取消しを受けた財団は過去に遡って特別の利益を疑われるので、税務調査の入口になりやすい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 課税される主体 | 65 条:特別の利益を受ける個人(設立者の親族など) | — |
| 発動する要件 | 施設の利用・余裕金の運用・解散時の財産帰属等による特別の利益の供与 | — |
| 適用の優先関係 | 66 条 4 項の適用がある場合を除いて適用(条文本文に明記) | — |
| 除外される財産 | 12 条 1 項 3 号・21 条の 3 第 1 項 3 号に掲げる財産は課税対象から除外 | — |
ログインすると、他の読者と一緒にこの条文へメモを残せます。
ログインして共同ノートを始める以下は各文が単独で意味の通る客観的事実です。引用は e-Gov法令検索を基準としてください。