要点相続税法 64 条は、同族会社等の行為・計算が相続税や贈与税の負担を不当に減少させると認められる場合に、税務署長がその行為にかかわらず課税価格を計算し直せると定める規定である。
Q · 税理士が組んだ節税スキーム、全部合法なら税務署に否認されませんよね?
個々が合法でも、全体が不当なら丸ごと否認されます
相続税法 64 条 1 項は、同族会社等の行為又は計算が株主・社員又はその親族等の相続税・贈与税の負担を不当に減少させる結果となると認められるとき、税務署長がその行為・計算にかかわらず課税価格を計算できると定めます。判断対象は個別行為の私法上の適法性ではなく、一連の行為の経済的合理性です。税負担の圧縮以外に説明のつかない再編は否認されうる一方、「不当性」の解釈は税務署の自由裁量ではなく、最終的に裁判所が実質審査します。
親の会社の株を子に渡すとき、額面通りに贈与すれば多額の贈与税がかかる。そこで資産管理会社を間にかませ、株価を圧縮し、増資や現物出資を組み合わせて税負担をぎりぎりまで削る。税理士が組んだこのスキームは、一つ一つの行為が完全に合法だ。ところが相続税法64条は、そのすべてを飛び越える。同族会社(少数の株主とその親族が支配する会社)の行為や計算が、相続税・贈与税を「不当に減少させる」と税務署長が認めたとき、その行為があたかも無かったものとして課税価格を計算し直せる。ポイントは「不当に」の一語。個々が合法でも、経済的合理性を欠き、税金逃れ以外に説明のつかない組み合わせは、丸ごと否認されうる。あなたが知るべきは、この否認が数年後の税務調査で突然やってくることだ。
相続税法 64 条は、同族会社等の行為計算否認を定める規定である。同族会社等の行為又は計算を容認すると、その株主・社員又は親族等の相続税・贈与税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合に、税務署長が更正・決定に際して、その行為・計算にかかわらず課税価格を計算できる。法人税法 132 条、所得税法 157 条と並行する租税回避否認規定である。
同族会社等の行為や計算が相続税・贈与税を不当に減少させると認められるとき、税務署長がその行為をなかったものとして課税価格を計算し直せる制度です。相続税法 64 条 1 項が根拠です。
同族会社等が関与し、その行為・計算を容認すると株主や親族等の相続税・贈与税が不当に減少する場合です。合併・分割・現物出資・株式交換等の組織再編も 4 項で射程に入ります。
会社法上適法でも、64 条 4 項は合併・分割・現物出資・株式交換等をした法人の行為計算を否認対象とします。分かれ目は事業目的の有無で、税負担圧縮しか説明がつかない再編は危険です。
更正・決定の期間制限は原則として法定申告期限から 5 年、贈与税は相続税法 36 条により 6 年、偽りその他不正の行為があれば国税通則法 70 条で 7 年まで遡れます。
処分があったことを知った日の翌日から 3 か月以内に、税務署長への再調査の請求または国税不服審判所への審査請求を行います(国税通則法 77 条)。期限を過ぎると争えません。
税目が異なります。64 条は同族会社等をめぐる相続税・贈与税の否認、法人税法 132 条は法人税の否認です。2 項は法人税法 132 条等の適用があった場合の準用を定めます。
64 条 3 項により、法人税法 2 条 10 号の同族会社、または所得税法 157 条 1 項 2 号に掲げる法人をいいます。家族経営の小規模な資産管理会社も規模を問わず該当します。
実行時点で事業目的と経済的合理性を書面化することです。取締役会議事録・稟議書・事業計画・株価算定書を残せば、数年後の税務調査で不当性を否定する客観証拠になります。
会社を使った株価圧縮や持株会社スキーム自体は広く使われ、適法な範囲なら有効です。ただし相続税法64条は、同族会社の行為・計算が相続税・贈与税を『不当に減少させる』と税務署長が認めれば、丸ごと否認して課税し直せます。分かれ目は経済的合理性の有無です。業界裏話ヒント:否認されるかは会社の『規模』ではなく『目的』で決まる。税負担の圧縮しか説明がつかない再編は小規模でも危ない。逆に真の事業目的があるなら、その記録を実行時点で残しておくことが最大の防御になる
されます。64条が判断するのは個別行為の適法性ではなく、一連の行為・計算の『不当性』です。各パーツが合法でも、束ねた全体が税逃れ以外に合理的説明のつかない場合、全体が否認されます(同条1項)。業界裏話ヒント:税務署は『契約書があるか』ではなく『なぜその取引をしたのか、税金以外の理由があるか』を見る。第三者間なら絶対にしない取引条件になっていると、それ自体が不当性の証拠にされる
いいえ。『不当に減少』の解釈は税務署の言い値ではなく、最終的に裁判所が経済的合理性を実質審査します。処分を知った日から3か月以内の審査請求、その後の取消訴訟で争えます(国税通則法77条以下)。業界裏話ヒント:行為計算否認の裁判では、納税者が勝った例も少なくない。争点は常に『その取引に事業上の合理性があったか』の一点。国税不服審判所の段階で覆るケースもあるので、処分を受けても即諦めず、まず理由付記の中身を専門家に精査させる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 否認の対象 | 相続税法 64 条:同族会社等・組織再編法人・法人課税信託の行為又は計算 | — |
| 対象税目 | 相続税・贈与税 | — |
| 発動要件 | 税負担を「不当に減少させる結果となると認められる」こと | — |
| 効果 | 行為・計算にかかわらず税務署長が課税価格を再計算 | — |
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