第十五条第二項各号に掲げる場合において当該各号に定める養子の数を同項の相続人の数に算入することが、相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合においては、税務署長は、相続税についての更正又は決定に際し、税務署長の認めるところにより、当該養子の数を当該相続人の数に算入しないで相続税の課税価格(第十九条又は第二十一条の十四から第二十一条の十八までの規定の適用がある場合には、これらの規定により相続税の課税価格とみなされた金額)及び相続税額を計算することができる。
要点相続税法 63 条は、養子を相続人の数に算入することが相続税の負担を不当に減少させると認められる場合、税務署長が更正・決定に際し養子を数に算入せず税額を計算できると定める。
Q · 養子を増やして相続税を減らす対策は、どこまで税務署に認められるの?
枠内の養子でも、実態がなければ数から外されます
相続税法 15 条 2 項により、法定相続人の数に算入できる養子は実子がいれば 1 人、いなければ 2 人までに制限されます。さらに同法 63 条は、その枠内の養子であっても、数に算入することが相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、税務署長が更正又は決定に際して当該養子を数に算入せず、課税価格と相続税額を計算できると定めます。民法上有効に成立した縁組でも、税務の計算上だけ「いなかったこと」にされうる二段構えの規定です。
相続税を下げる王道の一つが、孫や子の配偶者を養子に迎えることだ。法定相続人が一人増えれば基礎控除は600万円積み増され、生命保険や死亡退職金の非課税枠も各500万円ずつ広がり、累進税率が分割で緩んで税額そのものが下がる。だが相続税法15条2項は、算入できる養子を実子がいれば1人、いなければ2人までに絞っている。ここまでは相続対策をかじった人なら知っている。知られていないのが63条だ。この条文は、その1人2人の枠内であっても、養子を数に入れることが「相続税の負担を不当に減少させる」と認められれば、税務署長が更正や決定の際にその養子を数から外して課税価格と税額を計算できると定める。つまり頭数を稼ぐためだけの養子縁組は、民法上は有効なまま、税務の世界だけで「いなかったこと」にされうる。あなたが養子縁組で相続対策を組もうとしているなら、この最後の関門を知らずに設計図を引くのは危うい。
相続税法 63 条は養子の数の否認を定める規定であり、15 条 2 項各号の養子の数を法定相続人の数に算入することが相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、税務署長が更正又は決定に際し、その認めるところにより当該養子を算入せずに課税価格及び相続税額を計算できる旨を規定する。
養子の数の否認規定です。15 条 2 項で算入が認められる養子でも、その算入が相続税の負担を不当に減少させると認められれば、税務署長が更正・決定の際に数から外して税額を計算できます。
相続税法 15 条 2 項により、実子がいる場合は養子 1 人まで、実子がいない場合は 2 人までです。何人縁組しても、それを超える人数は法定相続人の数に算入されません。
縁組から相続開始までの期間が極端に短いほど、節税目的の露骨さが問題視されます。同居・扶養などの実態がなければ、63 条による否認の検討対象になり得ます。
法定相続人が 1 人増えるごとに基礎控除は 600 万円増えます(3000 万円+600 万円×人数)。加えて生命保険金と死亡退職金の非課税枠が各 500 万円ずつ増えます。
更正・決定の処分を知った日の翌日から 3 か月以内に、再調査の請求または審査請求を行う必要があります(国税通則法 77 条)。期限を過ぎると争えなくなります。
受けません。特別養子縁組による養子や、配偶者の実子で養子となった者などは実子とみなされ(相続税法 15 条 3 項)、養子の数の制限の対象外です。
減ります。生命保険金・死亡退職金の非課税枠はいずれも 500 万円×法定相続人の数で計算されるため、養子 1 人の否認が基礎控除と非課税枠を同時に縮めます。
離縁により相続開始時点で養子でなくなれば、その者は法定相続人ではなく、数にも算入されません。相続開始時にどの身分であったかが基準になります。
下がります。法定相続人が増えれば基礎控除(3000万円+600万円かける人数)と生命保険・退職金の非課税枠(各500万円かける人数)が増え、累進税率も分割で緩みます。ただし相続税法15条2項で算入は実子ありなら1人、なしなら2人まで。業界裏話ヒント:さらに孫養子は相続税額が2割加算される(18条)。控除で得た分を加算で吐き出すこともあり、税理士は『孫養子は必ずしも得ではない』ことを最初から知っている
なりません。最高裁は平成29年1月31日、専ら節税目的でも直ちに縁組意思がないとはいえず民法上は有効と判断しました(民法802条)。業界裏話ヒント:ただし有効と否認は別物です。民法上有効な縁組でも、相続税法63条で税務上は数から外されうる。『縁組は無効か』ではなく『税務で算入されるか』が本当の争点で、ここを混同する人がとても多い
実務ではめったに発動されません。15条2項で既に頭数が絞られているため、63条はその枠内の1人すら実態がない極端な場合の最終手段です。業界裏話ヒント:伝家の宝刀ゆえ税務署も抜けば訴訟リスクを負う。だから『抜かれない前提』で設計する人が多いが、直前縁組や実態ゼロの露骨な事案では実際に抜かれる。露骨さそのものが引き金になる
変わります。相続税は法定相続人の数で総額を計算して各人に按分するため(16条)、養子1人の否認で総額が増え、共同相続人全員の負担が連動して上がります。業界裏話ヒント:だから否認への対応は相続人がバラバラに動くと不利になる。一人が納得して修正申告すると他の防御が崩れる。共同戦線を組めるかどうかが結果を分ける
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 働き方 | 63 条:枠内の養子でも実態次第で個別に否認(税務署長の裁量) | — |
| 発動する場面 | 更正又は決定に際してのみ発動(申告段階の一般ルールではない) | — |
| 実務での頻度 | 極めて低い。15 条 2 項で大半が処理されるため最終手段 | — |
| 波及範囲 | 基礎控除・生命保険金と死亡退職金の非課税枠・累進税率が同時に変動し、共同相続人全員の税額に波及 | — |
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