生活保護法 第76条(遺留金品の処分)
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- 第十八条第二項の規定により葬祭扶助を行う場合においては、保護の実施機関は、その死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却してその代金をこれに充てることができる。
- 2.都道府県又は市町村は、前項の費用について、その遺留の物品の上に他の債権者の先取特権に対して優先権を有する。
この条文の基本情報
遺留金品の処分とは何ですか?
定義遺留金品の処分とは、生活保護法第76条に定められた規定で、「第十八条第二項の規定により葬祭扶助を行う場合においては、保護の実施機関は、その死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 生活保護法第76条(遺留金品の処分)は、日本の生活保護法に含まれる条文です。
- 生活保護法第76条の条文原文は「第十八条第二項の規定により葬祭扶助を行う場合においては、保護の実施機関は、その死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充て、なお足りないときは、遺留の物品を売却し…」で始まります。
- 生活保護法第76条は第十二章に置かれています。
- 生活保護法の公布日は昭和25年5月4日です。
- 生活保護法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 生活保護法第76条の前の条は生活保護法第75条です。
- 生活保護法第76条の次の条は生活保護法第76条の2です。
- 生活保護法第76条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第76条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 - 本サイト収録
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第76条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000144/76
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点生活保護法76条は、葬祭扶助を行う場合、保護の実施機関が死者の遺留金銭・有価証券を費用に充て、不足時は遺留物品を売却して充当できると定める。自治体の回収は先取特権に優先する。
Q · 身寄りのない人の葬儀を役所が扶助したら、故人の遺品はどうなるの?
遺留金品はまず葬祭費用に充てられ、家主の先取特権より優先する
生活保護法76条1項により、18条2項の葬祭扶助を行った場合、保護の実施機関は故人が遺した現金と有価証券をまず保護費に充て、足りなければ遺留の物品を売却して代金を充てることができます。さらに2項により、都道府県又は市町村はこの費用について遺留物品の上に他の債権者の先取特権より優先する権利を持ちます。家主の滞納家賃の回収は、葬祭費用の回収より後になります。
解説
身寄りのない人が亡くなり、葬儀を出す家族がいない。そのとき大家や民生委員、近所の人が葬儀を引き受ければ、役所の葬祭扶助(生活保護のうち葬儀費用を出す仕組み)を使える。これが生活保護法18条2項である。ただし、その費用は全額が税金から出るわけではない。本条によって、保護の実施機関(福祉事務所を置く自治体)は、故人が遺した現金と有価証券をまず葬祭費用に充てることができる。それでも足りなければ、遺品を売却して代金を充てることもできる。さらに2項により、遺品に対する自治体の費用回収は、他の債権者の先取特権(法律で特別に認められた優先弁済権)よりも優先する。家賃を滞納されていた大家が「部屋の家財は滞納家賃の担保だ」と考えていても、葬祭費用の回収が先に来る。孤独死の後始末で、誰がどの順番で何を取れるのか。その答えは、この一条の中に書かれている。
法的な位置づけ
生活保護法76条は遺留金品の処分を定める規定であり、同法18条2項に基づく葬祭扶助を行う場合に、保護の実施機関が死者の遺留の金銭及び有価証券を保護費に充当し、不足するときは遺留の物品を売却して代金を充当できる旨を規定する。2項は、都道府県又は市町村に対し、当該費用について遺留物品上の他の債権者の先取特権に優先する権利を付与する。
手順
- 1.遺品に手を付けず現場を記録する 入居者の死亡を知ったら、警察の対応後も遺品を動かしたり捨てたりせず、室内の状態を写真と動画で記録する。現金・通帳・貴金属の所在をメモしておく
- 2.葬儀前に福祉事務所へ葬祭扶助を相談する 葬儀社に正式依頼する前に、死亡地または故人の居住地を管轄する福祉事務所へ連絡し、葬祭扶助の申請手続と遺留金品の扱いを確認する
- 3.遺留金品の目録と充当明細を確認する 福祉事務所が遺留の現金・有価証券・物品を葬祭費用に充当する際、目録と充当明細の写しを求め、売却予定品や残余の有無を確認する
- 4.自分の債権を残余から回収する準備をする 家主・業者は賃貸借契約書、滞納額明細、督促記録を揃え、相続人への請求か、相続人不存在なら家庭裁判所への相続財産清算人選任申立てと債権届出を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1遺留金品とは何ですか?
亡くなった人が遺した現金・有価証券・物品のことです。生活保護法76条では、葬祭扶助を行った場合にこれらを葬祭費用に充てる対象となります。
Q2葬祭扶助の費用は遺品から回収されますか?
回収されます。生活保護法76条により、まず遺留の現金と有価証券が充てられ、不足すれば遺留物品を売却した代金が充てられます。
Q3孤独死した入居者の遺品を大家が処分してもいい?
自己判断での処分は避けるべきです。葬祭扶助が行われれば遺品は葬祭費用への充当が優先し、勝手な処分は相続人や自治体との紛争の原因になります。
Q4滞納家賃と葬儀費用はどちらが優先?
葬祭扶助が行われた場合、遺留物品については自治体の費用回収が優先します(生活保護法76条2項)。家主の先取特権(民法312条)はその後です。
Q5遺留金品の処分は誰が行いますか?
保護の実施機関、つまり福祉事務所を設置する都道府県・市町村です。実務は死亡地や故人の居住地を管轄する福祉事務所が担当します。
Q6遺留金品で葬儀代が足りたら扶助は出ない?
葬祭扶助は遺留金品で費用を賄えない場合を前提とする制度です(18条2項)。遺留金品で足りる場合の扱いは、福祉事務所に事前に確認してください。
Q7遺留金品の処分に相続人の同意は必要?
本条は保護の実施機関が充当・売却できると定めており、条文上は相続人の同意を要件としていません。残余の扱いは施行規則と自治体の運用によります。
Q8遺品売却の代金が余ったらどうなる?
充当後の残余は、原則として相続人に引き渡されます。相続人が不明・不存在の場合は、自治体により供託や相続財産清算人の選任など扱いが分かれます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1赤の他人の葬式を出したら、お金は役所から出るんですか?
葬祭を行う扶養義務者がいない場合に、大家や民生委員など第三者が葬祭を行えば、その人に葬祭扶助が支給されうる(生活保護法18条2項)。そのうえで役所は、故人の遺留金品を費用に充てる(本条)。実務のポイント:葬儀を済ませてから申請すると却下されやすい。葬儀社に動いてもらう前に、福祉事務所へ電話を一本入れるかどうかで結果が変わる
Q2滞納家賃があるのに、部屋の物を役所に持っていかれるんですか?
葬祭扶助が行われた場合、遺品に対する自治体の費用回収は、あなたの先取特権より優先する(本条2項)。葬祭費用に充てた後の残余があれば、相続人や相続財産清算人に対して請求していくことになる。実務のポイント:遺品の価値は低いことが多く、本当に効くのは連帯保証や家賃債務保証会社の契約のほうである。孤独死リスクへの備えは、入居契約の時点で決まる
Q3葬儀代に使った後の残りのお金はどうなるんですか?
残余は相続人に引き渡されるのが原則である。相続人がいない、または分からない場合、生活保護法施行規則に基づく供託や相続財産清算人の選任など、自治体によって扱いが分かれる(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:疎遠な親族ほど、役所からの通知を無視して残余の受取り機会を逃しがちだ。相続放棄をするかどうかは、残余の額を確認してから判断しても遅くない(相続放棄の期限は民法915条の3か月)
間違えやすい点 AI による整理
- 「葬祭扶助は生活保護を受けていた人だけの制度」と思われがちだが、18条2項2号は、故人が被保護者でなくても、葬祭を行う扶養義務者がおらず遺留金品で費用を賄えない場合を対象にしている。生前に生活保護と無縁だった人の葬儀にも使える
- 大家は「部屋に残った物は滞納家賃の担保」だと考えがちである。確かに先取特権はあるが、葬祭扶助が行われた場合、自治体の費用回収のほうが優先する。しかも、先取特権があっても大家が自分で遺品を処分してよいことにはならない。自力救済は、法律上は別の紛争の火種になる
- 「預金通帳が残っていれば役所が引き出して葬祭費用に使う」という想定も危うい。本条が挙げているのは「金銭及び有価証券」と「物品」である。預貯金をどこまで同じように扱えるかは、金融機関の対応も含めて実務上解釈が分かれてきた論点だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の内容 | 生活保護法76条:葬祭扶助の費用に遺留金品を充当 | 生活保護法18条:葬祭扶助の範囲と支給要件 生活保護法77条:扶養義務者からの費用徴収 |
| 費用回収の相手 | 死者の遺留金品(現金・有価証券・物品) | 回収規定ではなく支給の根拠 扶養義務を履行しなかった扶養義務者 |
| 他の債権者との関係 | 遺留物品上の他の債権者の先取特権に優先(2項) | 該当なし 扶養義務者の負担額の問題で、遺品の優先関係とは別 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では低所得者の葬儀費用を社会救助の枠組みで補助し、相続人不明の遺産は遺産管理人の手続で清算する。日本のような費用回収の優先権規定との対応は個別の確認を要する
韓国の基礎生活保障制度にも葬祭給付があり、受給者の死亡時に葬祭を行う者へ支給される
ドイツでは葬儀費用の負担義務者に負担を期待できない場合、社会扶助の担い手が必要な葬儀費用を引き受ける
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- アパートの入居者が孤独死した。親族には連絡がつかず、大家のあなたが火葬まで面倒を見るしかない。葬祭扶助を申請すれば、費用は自治体から葬祭を行う者に支給される。そのうえで役所は、部屋に残された現金を葬祭費用に充てていく
- もし、滞納家賃30万円を抱えたまま入居者が亡くなり、部屋にブランド時計が残っていたらどうなる? 大家には不動産賃貸の先取特権(民法312条)がある。しかし葬祭扶助が行われた場合、その時計について自治体の費用回収のほうが優先する(本条2項)
- 疎遠だった叔父が亡くなったと役所から連絡が来た。遺品の一部はすでに売却され、葬祭費用に充てられたという。あなたは相続人として怒るべきなのか。答えは、充当した後の残りがどうなったかを確認することにある
- 入居者の死亡から3日で、管理会社が「早く部屋を空けたい」と遺品を処分しようとしている。葬儀の前に葬祭扶助を申請しないと、支給されない自治体が多い。そのうえ遺品を勝手に捨てると、充当に使えるはずの財産が消えてしまう
取るべき行動
被害を受けた側:1. 滞納家賃などの債権を持つ大家・業者は、まず契約書、滞納額の明細、督促の記録を揃える2. 葬祭扶助が行われたかを福祉事務所に確認する。行われていれば、遺品は葬祭費用への充当が先になる3. 相続人なら、遺留金品の目録と充当明細の開示を求め、残余の引渡し先を確認する4. 相続人がいなければ、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立て、そこで債権を届け出ることを検討する
訴えられた側:1. 大家として遺品を処分し、相続人や他の債権者から責任を問われた場合は、処分した物品、時期、その理由を記録で説明できるよう整理する2. 処分前に福祉事務所や警察へ相談していた記録があれば提示する3. 処分で得た金銭を自分の債権に充てていた場合は、自治体の優先権(本条2項)との関係で返還を求められうるため、早めに専門家へ相談する4. 今後の契約では、残置物の処理に関する特約を検討する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。債権一般には一般消滅時効(民法166条、知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が適用される。実務上の分水嶺は葬祭扶助の申請時期で、多くの自治体は葬儀の実施前の申請を原則としている(取扱いは自治体に確認のこと)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:現行の生活保護法(昭和25年法律第144号)の制定。葬祭扶助に係る遺留金品の充当と、その費用についての先取特権に対する優先権を定めた
- 生活保護法 第18条葬祭扶助の範囲と2項の要件
- 生活保護法 第77条扶養義務者からの費用徴収
- 生活保護法 第19条保護の実施機関の定め
- 民法 第309条葬式費用の先取特権
- 民法 第312条家主の不動産賃貸先取特権、本条2項に劣後
- 墓地、埋葬等に関する法律 第9条引取手のない遺体の市町村長による火葬
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