生活保護法 第76条の2(損害賠償請求権)
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都道府県又は市町村は、被保護者の医療扶助又は介護扶助を受けた事由が第三者の行為によつて生じたときは、その支弁した保護費の限度において、被保護者が当該第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
この条文の基本情報
損害賠償請求権とは何ですか?
定義損害賠償請求権とは、生活保護法第76条の2に定められた規定で、「都道府県又は市町村は、被保護者の医療扶助又は介護扶助を受けた事由が第三者の行為によつて生じたときは、その支弁した保護費の限度において、被保護者が当該第三者に対し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 生活保護法第76条の2(損害賠償請求権)は、日本の生活保護法に含まれる条文です。
- 生活保護法第76条の2の条文原文は「都道府県又は市町村は、被保護者の医療扶助又は介護扶助を受けた事由が第三者の行為によつて生じたときは、その支弁した保護費の限度において、被保護者が当該第三者に対し…」で始まります。
- 生活保護法第76条の2は第十二章に置かれています。
- 生活保護法の公布日は昭和25年5月4日です。
- 生活保護法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 生活保護法第76条の2の前の条は生活保護法第76条です。
- 生活保護法第76条の2の次の条は生活保護法第76条の3です。
- 生活保護法第76条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第76条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 - 本サイト収録
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第76条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000144/76_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点生活保護法76条の2により、第三者の行為で医療扶助・介護扶助を受けた場合、自治体は支弁した保護費の限度で被保護者の損害賠償請求権を取得する。
Q · 生活保護を受けている人が事故に遭ったら、治療費の賠償は誰が加害者に請求するの?
医療扶助で出た分は自治体が加害者に請求する
生活保護法76条の2により、第三者の行為が原因で医療扶助または介護扶助を受けた場合、保護費を支弁した都道府県または市町村が、その支弁額の限度で被保護者の損害賠償請求権を取得します。そのため治療費・介護費の部分は自治体が加害者やその保険会社に請求し、被保護者本人はその部分を請求できません。一方、慰謝料や休業損害など医療・介護以外の損害は本人の請求権として残ります。
解説
生活保護を受けている人が交通事故に遭ったとき、治療費は誰が払うのか。多くの人は「医療扶助が出るから本人の負担はゼロ、それで話は終わり」と考える。法律上の決着はそこで終わらない。事故の原因が第三者(加害者)にあれば、市役所や県は、医療扶助や介護扶助として支払った金額の範囲で、あなたが加害者に対して持っている損害賠償請求権を自動的に取得する(法律上の権利の引き継ぎで、「求償」と呼ばれる)。つまり、治療費の部分の賠償請求権は、もうあなたの手元にない。加害者の保険会社と示談交渉をするとき、この点を知らないと話が噛み合わない。一方で、慰謝料や休業損害など医療・介護以外の損害は、条文上あなたに残る。どこまでが役所の取り分で、どこからがあなたの取り分か。その線を引けるかどうかで、示談書の中身が変わる。
法的な位置づけ
生活保護法第76条の2は、第三者行為求償を定める規定であり、被保護者が第三者の行為により医療扶助または介護扶助を受けた場合に、保護費を支弁した都道府県または市町村が、その支弁額を限度として、被保護者が当該第三者に対して有する損害賠償請求権を法律上当然に取得する旨を定める。
手順
- 1.事故情報をそろえてケースワーカーに報告 加害者の氏名・連絡先、加入している保険会社、警察の交通事故証明書をそろえ、事故後できるだけ早く担当ケースワーカーに届け出る。示談の話が進んでいる場合はその状況も伝える
- 2.自治体の求償範囲と費目を確認 福祉事務所に、医療扶助・介護扶助としていくら支弁したか、どの費目を加害者側に求償する予定かを確認し、可能であれば書面で受け取る
- 3.保険会社の示談案を費目ごとに照合 示談案の治療費・介護費と自治体の求償額が重複していないか、差引きが慰謝料や休業損害に食い込んでいないかを費目ごとに照合し、疑問点は書面で問い合わせる
- 4.賠償金受領前に保護への影響を相談 受け取る賠償金が収入としてどう扱われるか、生活保護法63条の返還や保護の停止・廃止につながるかを福祉事務所に事前に確認する。必要に応じて法テラスの無料相談を利用する
よくある質問 AI による整理
Q1第三者行為求償とは何ですか?
第三者の行為による傷病で公費が医療費等を負担したとき、その負担額の範囲で加害者に費用を請求する仕組みです。生活保護では生活保護法76条の2が根拠です。
Q2生活保護 交通事故 慰謝料は誰がもらえる?
慰謝料は被保護者本人が請求できます。自治体が取得するのは医療扶助・介護扶助として支弁した額の範囲に限られるためです。
Q3生活保護の第三者行為求償 対象になる事故は?
交通事故に限らず、暴行、他人の飼い犬による咬傷、施設の管理不備による転倒など、第三者の行為が原因で医療扶助・介護扶助を受けた場合が対象になりえます。
Q4生活保護受給者の事故 自治体への届出は必要?
必要です。加害者の氏名・連絡先や保険会社をケースワーカーに届け出ないと、自治体は請求の相手を特定できず、示談との調整も難しくなります。
Q5自治体の求償額はいくらになる?
医療扶助・介護扶助として実際に支弁した保護費の額が上限です。診療報酬明細などを基に算定され、事故と因果関係のある部分に限られます。
Q6加害者の過失が小さい場合も全額求償される?
自治体が取得するのは被保護者の損害賠償請求権そのものなので、過失相殺などで賠償額が減れば、求償できる額もその範囲に限られると考えられます。
Q7自治体の求償に時効はある?
あります。取得するのは不法行為に基づく損害賠償請求権なので、民法724条・724条の2の時効(人身損害は知った時から5年など)に服します。
Q8自賠責保険から自治体に支払われることはある?
自治体は取得した損害賠償請求権に基づき、加害者側の保険に請求する場合があります。自賠責・任意保険の支払実務の中で調整されるのが一般的です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1生活保護で治療費が出たのに、加害者の保険から治療費ももらえますか?
原則としてもらえない。医療扶助として自治体が支払った範囲では、損害賠償請求権が自治体へ移る(生活保護法76条の2)。本人が二重に受け取る形にはならない。実務のポイント:保険会社は自治体の求償分を差し引いて示談案を作るが、その差引きが慰謝料まで食い込んでいないか確認する人は少ない。内訳を書面でもらうのが基本である
Q2事故の賠償金をもらったら、生活保護は打ち切りになりますか?
すぐに打ち切りとは限らない。ただ賠償金は収入として扱われ、額によっては保護の停止・廃止や、すでに受けた保護費の返還(生活保護法63条)につながる。実務のポイント:慰謝料のうちどこまでを収入として扱い、どこまでを自立更生のための費用として控除できるかは、福祉事務所の判断に余地がある。受け取る前に使い道の計画を相談しておくと、手元に残る額が変わりうる
Q3加害者ですが、被害者と示談して全額払いました。市からまだ請求されることはありますか?
ありうる。医療扶助費の分の請求権は法律上自治体へ移っているため、本人との示談でその部分まで消えたとは限らない。示談の時期と医療扶助が支払われた時期の前後で結論が変わり、実務上、解釈が分かれる点もある。実務のポイント:相手が生活保護を受けていそうなら、示談前に福祉事務所へ求償の予定を確認しておく。これで二重払いの芽を先に摘める
間違えやすい点 AI による整理
- 「生活保護を受けているなら事故の賠償は関係ない、全部役所が面倒を見る」と思われがちだが、逆である。役所が引き継ぐのは医療扶助・介護扶助として支払った額の範囲だけで、慰謝料や通院交通費以外の損害、逸失利益などは本人が請求する権利として残る。本人が動かなければ、その部分は誰も取りに行かない
- 加害者の立場から見ると、被害者本人と示談すれば全部解決したように見える。法律の側から見ると、医療扶助費の分の請求権はすでに自治体へ移っているため、本人との示談でその部分まで決着させることはできない(示談と自治体の取得の時期の前後で扱いが問題になり、実務上、解釈が分かれる場面もある)。この落差が、後から届く請求書になる
- 示談金を受け取れば生活が楽になると考えるのは早い。受け取った賠償金は生活保護上の収入として扱われ、生活保護法63条の返還や保護の停止・廃止の判断につながることがある。「いくら取れるか」の前に「受け取った後どう扱われるか」を確認する必要がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 費用回収の相手 | 76条の2:事故等の原因を作った第三者(加害者) | 63条:資力がありながら保護を受けた被保護者本人 77条:扶養義務を履行しなかった扶養義務者 |
| 対象となる保護費 | 医療扶助・介護扶助として支弁した保護費に限る | 受けた保護金品に相当する金額の範囲内 扶養義務の範囲内で支弁した保護費 |
| 仕組み | 被保護者の損害賠償請求権を自治体が法律上当然に取得 | 被保護者に返還義務を課し、額は保護の実施機関が定める 保護の実施機関が扶養義務者から費用を徴収 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では全民健康保険の給付について第三者行為による代位請求の規定がある。公費で負担した医療費を加害者に戻すという発想は本条と共通する
韓国の医療給付(公的扶助型医療)でも、第三者の行為による給付について自治体の求償権が定められている
ドイツでは社会保険主体および社会扶助主体が給付した範囲で、被害者の損害賠償請求権が法律上移転する(cessio legis)
米国 Medicaid では受給者の第三者に対する請求権の州への譲渡(assignment)が制度化されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 生活保護を受けて一人暮らしをしている父親が、横断歩道で右折車にはねられ入院した。病院代は医療扶助で出ている。ところが数か月後、加害者の保険会社から「治療費分は市から請求が来ているので、示談金から除きます」と連絡が来た。家族は何のことか分からず戸惑う
- もし加害者側のあなたが、被害者本人と示談を済ませて全額払ったつもりでいたら、どうなる? 後日、市役所から医療扶助費の支払いを求める通知が届くことがある。相手が生活保護を受けていると知らずに結んだ示談書が、二重払いの火種になる
- 介護施設の利用者が、送迎中の他社トラックとの事故で骨折し、介護扶助による介護サービスが増えた。増えた介護費用のうち自治体が支弁した分は、自治体がトラック会社に請求できる
- ケースワーカーから「事故の相手方の情報と保険会社を届けてください」と言われた。届出が遅れると、自治体は損害賠償請求の相手を特定できず、請求に動き出すのも遅れる。示談成立まであと数日と言われているなら、先にケースワーカーへ伝える
- 犬の散歩中、よその家の飼い犬に噛まれて通院した受給者。「犬の飼い主」も第三者にあたる。自転車事故、暴行、施設の管理ミスによる転倒も、第三者の行為が原因なら対象になりうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 事故後すぐ、加害者の氏名・連絡先、保険会社、事故証明(警察の交通事故証明書)をそろえ、ケースワーカーに報告する2. 医療扶助で出る治療費と、自分で請求する慰謝料・通院交通費などを分けて整理する3. 保険会社から示談案が来たら、自治体の求償額との重複や差引きの根拠を書面で確認する4. 受け取る賠償金が保護にどう影響するか(63条の返還など)を事前に福祉事務所に確認する。法テラスの無料相談も使える
訴えられた側:1. 被害者が生活保護を受けているか、自治体からの求償の有無を早い段階で確認する2. 任意保険に加入していれば、自治体との精算を含めて保険会社に交渉を任せる3. 本人との示談書には、医療扶助費は自治体と別途精算する旨を明記する4. 自治体から請求が来たら、請求額の内訳(診療明細)と事故との因果関係、過失割合を確認し、過大な部分は争う
時効(請求できる期限):自治体が取得するのは被保護者の不法行為に基づく損害賠償請求権なので、民法724条・724条の2に従う。損害および加害者を知った時から3年(人の生命・身体の侵害は5年)、不法行為の時から20年。起算点を誰の認識で判断するかは個別の検討が必要(最新の改正状況をご確認ください)
- 生活保護法 第4条補足性の原則、他の資力の優先活用
- 生活保護法 第15条医療扶助の範囲、求償対象の費目
- 生活保護法 第15条の2介護扶助の範囲、求償対象の費目
- 生活保護法 第63条資力がある場合の費用返還義務
- 生活保護法 第77条扶養義務者からの費用徴収
- 国民健康保険法 第64条同型の第三者行為求償規定
- 介護保険法 第21条介護給付の第三者行為求償規定
- 民法 第709条取得される損害賠償請求権の根拠
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