生活保護法 第77条(費用等の徴収)
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- 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。
- 2.前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。
この条文の基本情報
費用等の徴収とは何ですか?
定義費用等の徴収とは、生活保護法第77条に定められた規定で、「被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 生活保護法第77条(費用等の徴収)は、日本の生活保護法に含まれる条文です。
- 生活保護法第77条の条文原文は「被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の…」で始まります。
- 生活保護法第77条は第十二章に置かれています。
- 生活保護法の公布日は昭和25年5月4日です。
- 生活保護法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 生活保護法第77条の前の条は生活保護法第76条の3です。
- 生活保護法第77条の次の条は生活保護法第77条の2です。
- 生活保護法第77条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第77条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000144 - 本サイト収録
生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第77条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/325AC0000000144/77
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点生活保護法77条は、民法上の扶養義務者がいるとき、保護費を支弁した自治体の長が義務の範囲内で費用を徴収できると定める。協議不調時は家庭裁判所が負担額を定める。
Q · 親が生活保護を受けたら、子どもは保護費を返せと請求されるの?
請求されうるが、民法上の扶養義務の範囲内に限られる
生活保護法77条により、保護費を支弁した自治体の長は、民法上の扶養義務者から扶養義務の範囲内で費用の全部または一部を徴収できます。成人した子が親に負う義務は、自分の生活を保ったうえで余力があれば援助する生活扶助義務にとどまるため、余力がなければ負担はゼロに近くなります。負担額について協議が調わない、または協議ができないときは、実施機関の申立てにより家庭裁判所が額を定めます(同条2項)。
解説
役所から届く「扶養照会」の封書は、たいてい「援助できますか」という穏やかな問い合わせにすぎない。だが、その後ろにはもう一段強い手段がある。それが生活保護法77条である。親族が民法上の扶養義務を負うとき、保護費を払った都道府県や市町村の長は、払った保護費の全部または一部をその親族から取り立てられる。親族と役所の話し合いがまとまらないときや、話し合い自体ができないときは、役所の申立てを受けて家庭裁判所が負担額を決める。ただし、取り立てられる額には上限がある。条文にある「その義務の範囲内において」がそれにあたり、民法上の扶養義務を超える額は取られない。兄弟姉妹や成人した子が親に対して負うのは、自分の生活に見合った暮らしを保ったうえで余力があれば援助する義務(生活扶助義務)である。余力がなければ、この義務から出てくる負担額はゼロに近い。夫婦どうしや、親が未成熟の子に対して負う義務(生活保持義務)は、これよりずっと重い。封書を放り出すか、自分の収入と生活費を数字で示して返すか。その対応の差が、後で家庭裁判所に持ち込まれたときに効いてくる。
法的な位置づけ
生活保護法77条は、扶養義務者からの費用徴収を定める規定である。保護費を支弁した都道府県または市町村の長は、民法の規定により被保護者を扶養すべき者から、その扶養義務の範囲内で保護費の全部または一部を徴収できる。負担額について協議が調わないとき、または協議ができないときは、保護の実施機関の申立てにより家庭裁判所が負担額を定める。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の扶養義務の重さを確認する 被保護者との関係が、配偶者・未成熟子の親(重い生活保持義務)なのか、親・兄弟姉妹・成人した子(余力の範囲で援助する生活扶助義務)なのかを確認する
- 2.資力を示す資料をそろえる 源泉徴収票や確定申告書、家計の収支表、扶養家族、住宅ローンや教育費などの負債をまとめ、余力がどれだけあるかを数字で示せるようにする
- 3.照会・協議には資料を添えて書面で回答する 扶養照会や協議の書面には期限内に回答し、援助が困難な事情と資料を添える。金額を示される場合は、民法上の扶養義務の範囲をどう算定したかを書面で尋ねる
- 4.家庭裁判所の審判に備える 協議が調わず実施機関が家庭裁判所に申し立てた場合は、資力資料をそろえて審判に臨む。負担額が争点になる場合は弁護士への相談を検討する
よくある質問 AI による整理
Q1生活保護法77条とは?
民法上の扶養義務者から、保護費を支弁した自治体の長が扶養義務の範囲内で費用を徴収できるとする規定です。負担額がまとまらなければ家庭裁判所が定めます。
Q2生活保護 扶養義務者 どこまで?
民法877条により、直系血族と兄弟姉妹が扶養義務者です。特別な事情があれば家庭裁判所が三親等内の親族に扶養義務を負わせることもあります。
Q3生活保護費 親族に請求 いくら?
上限は民法上の扶養義務の範囲です。親子・兄弟姉妹間は余力の範囲で援助する義務なので、収入から自分の家族の生活費を引いた残りが目安になります。
Q4親の生活保護 子どもの給料は差し押さえられる?
77条の徴収額が協議や家庭裁判所の審判で確定しない段階で、いきなり給料が差し押さえられるわけではありません。まず負担額の確定が必要です。
Q5元夫 養育費 払わない 生活保護 請求できる?
父親が未成熟の子に負う扶養義務は重い生活保持義務です。77条による徴収の対象として最もはっきりしており、実施機関が負担を求める余地があります。
Q6扶養照会10年 音信不通 来ない?
2021年の厚生労働省の運用見直しで、おおむね10年程度音信不通の親族などは扶養が期待できない者として照会を控えてよいとされました。
Q7生活保護 親族 家庭裁判所 審判 とは?
実施機関と扶養義務者の協議が調わない、または協議できないときに、実施機関の申立てで家庭裁判所が扶養義務者の負担額を定める手続です(77条2項)。
Q8生活保護 扶養 義務 違法 拒否できる?
援助できないと回答しても違法ではありません。ただし資力があるのに負担を拒むと、77条により協議や家庭裁判所での負担額決定に進む可能性があります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1扶養照会って、断っても大丈夫なんですか?
扶養照会は援助の可否を尋ねるものであり、援助できないと回答すること自体は可能である。親族が援助しなくても、本人の保護は開始されうる(法4条2項)。ただし、保護費を立て替えた自治体には77条による取り立ての道が残っている。実務のポイント:回答欄には「精神的な支援なら可能」のように、金銭以外の関わり方を書く選択肢もある。何も返さないより、事情と資料を添えて返す方が、後で協議になったときに有利に働く
Q2兄が生活保護なんですが、弟の私が全額払わされますか?
全額を払わされる根拠にはならない。取り立ては「民法の扶養義務の範囲内」に限られ(77条1項)、兄弟姉妹の間の義務は、自分の生活を社会的地位にふさわしい水準で保ったうえで余力がある場合に援助すればよいものである(民法877条)。実務のポイント:家庭裁判所では、収入から自分の家族の生活費を差し引いた「余り」が議論の出発点になる。住宅ローンや教育費を資料で示せるかどうかで、負担額がゼロになるか一部負担になるかが分かれる
Q3役所は私の年収をどうやって知るんですか?
2013年の改正で、実施機関は扶養義務者に報告を求めたり(法28条)、官公署などに資料の提供を求めたり(法29条)できる仕組みが整えられた。ただし、どこまで調べられるかは場面ごとに限定がある(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:隠そうとするより、自分から資料を出して算定の土俵を先に作る方が得策である。役所が推計した数字に後から反論するのは、最初に示すよりずっと難しい
間違えやすい点 AI による整理
- 「親族が援助を断ったら、本人は生活保護を受けられない」と思われがちだが、そうではない。法4条2項は扶養を保護より「優先して行われる」ものと定めているだけで、扶養は保護を受けるための要件ではない。親族が断っても保護は開始されうる。役所は開始した後で、77条による取り立ての要否を別途検討する
- 扶養義務という言葉は知っていても、義務の「重さ」が関係によって二段階に分かれていることは知られていない。配偶者と未成熟の子に対する義務は、自分と同じ水準の生活をさせる重い義務である。親、兄弟姉妹、成人した子に対する義務は、余力があれば援助すればよい軽い義務である。同じ「扶養義務者」でも、取り立ての現実味はまったく違う
- あなたからすれば「親の生活まで背負わされる」話に見える。しかし法律は、税金で立て替えた保護費を、本来負担すべき人との間で清算する話として見ている。だから感情的な事情を訴えるよりも、自分の資力が乏しいことを客観的な資料で示す方がはるかに効く。この視点のずれに気づかないと、説明がかみ合わないまま協議が進む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 誰から取り立てるか | 生活保護法77条:民法上の扶養義務者 | 生活保護法63条:資力がありながら保護を受けた被保護者本人 生活保護法4条:徴収規定ではなく、扶養を保護に優先させる原理 |
| 金額の上限 | 民法上の扶養義務の範囲内 | 実施機関が定める額(受けた保護金品に相当する範囲) 該当なし(原理規定) |
| 争いの決着 | 協議不調・協議不能なら家庭裁判所が負担額を定める | 実施機関が返還額を決定(行政上の不服申立ての対象) 保護の要否判断の中で考慮される |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では扶養義務者の範囲は民法が定め、社会救助の要否判断で一定範囲の親族の収入が世帯として計算される。日本の77条のような事後徴収の一般規定とは構造が異なる
韓国も扶養能力のある扶養義務者から給付費用を徴収できる規定を置き、日本の77条と同種の清算構造を持つ
ドイツは扶養請求権が社会扶助の実施主体に移転する構造をとる。2020年以降、親子間では年収10万ユーロ以下の子への求償が原則として制限された
フランスでは扶養義務者の負担を考慮し、扶養義務者が負担しない場合は行政が裁判所に扶養料の確定を求めることができ、家庭裁判所が額を定める日本と構造が近い
米国は連邦の一般規定はなく、一部の州法が子に親の扶養責任を課す。実際の執行例は州によって大きく異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 二十年会っていない父親が、遠くの市で生活保護を受け始めた。市役所から「扶養届」の用紙が届く。そこに書く一行が、77条による取り立ての出発点にもなれば、取り立て対象から外れる根拠にもなる
- もし扶養照会の回答を無視し続けたら、どうなる? 回答しないだけで保護費をすぐ請求されるわけではない。ただ、役所は収入を調べたうえで協議を求め、最終的には家庭裁判所への申立てという手段も持っている。黙っていれば、あなたの事情を知らないまま判断が進む
- あなたは年収が高い部類の会社員で、母親が生活保護を受けていることを、職場の誰にも話していない。市役所から「負担額について協議したい」という書面が届き、二週間以内の回答を求められた。家計の収支表、住宅ローン、子どもの教育費。これらを数字で出せるかどうかで、協議の着地点が変わる
- 離婚した元夫が養育費を払わず、あなたと子どもは生活保護を受けることになった。元夫が子どもに対して負う扶養義務は重い義務(生活保持義務)にあたり、77条による取り立ての対象として最もはっきりしている
- 兄が保護を受けていると、友人から相談された。「弟の俺が全部払わされるのか」と青ざめている。弟が兄に対して負うのは余力の範囲で援助する義務なので、まず友人自身の生活費を確保した後にいくら残るかを計算すること。答えはそこで決まる
取るべき行動
被害を受けた側:保護を受けている本人の立場で読む場合の手順。1. 親族からの援助が期待できない事情(音信不通、DV、虐待など)がある場合は、申請の段階でケースワーカーに具体的に伝える2. 2021年に見直された運用では、そうした事情のある親族には照会しない扱いがありうる3. 親族が援助を拒んだことを理由に申請を拒まれたら、扶養は保護の要件ではない(法4条2項)と指摘し、書面での決定を求める4. 却下されたら審査請求を検討する
訴えられた側:保護費を請求される扶養義務者の立場で読む場合の手順。1. 自分の立場が重い義務(配偶者、未成熟子の親)なのか、軽い義務(親、兄弟姉妹、成人した子)なのかを確認する2. 収入資料と生活費の内訳、扶養家族、負債をまとめる3. 協議では金額の算定根拠を書面で求める4. 協議がまとまらなければ家庭裁判所の審判に移る。審判では資力が総合的に判断されるので、資料をそろえて臨む。弁護士に相談することも有力な選択肢である
時効(請求できる期限):本条そのものには時効期間の定めがない。徴収金は地方公共団体の金銭債権として地方自治法236条の5年の時効が問題になりうるが、77条の徴収金の性質をどう見るかについては解釈が分かれる(最新の改正状況と実務の運用をご確認ください)。回答期限は、役所の照会や協議の書面に記載された日付に従う
学説
通説(扶養義務二分論):77条の徴収上限は民法上の扶養義務の範囲で画される。生活保持義務者(配偶者・未成熟子の親)は重く、生活扶助義務者(親・兄弟姉妹・成人した子)は余力の範囲に限られるため、徴収可能額は関係ごとに大きく異なる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和25年(1950年) 新設:現行生活保護法の制定時に、扶養義務者からの費用徴収と、協議不調時に家庭裁判所が負担額を定める仕組みが設けられた
- 生活保護法 第4条補足性の原理、扶養の優先
- 生活保護法 第24条保護開始時の扶養義務者への通知
- 生活保護法 第28条扶養義務者への報告の求め
- 生活保護法 第29条官公署等への資料提供の求め
- 生活保護法 第63条資力ある被保護者の費用返還義務
- 民法 第877条扶養義務者の範囲、徴収の上限を画する
- 民法 第879条扶養の程度・方法を家庭裁判所が定める
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