土地収用法 第46条の2(補償金の支払請求)
クイックジャンプ
- 土地所有者又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者である関係人を除く。)は、第二十六条第一項の規定による事業の認定の告示があつた後は、第四十八条第一項の規定による裁決前であつても、起業者に対し、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金(第七十六条第三項の規定によるものを除く。)の支払を請求することができる。第三十九条第二項ただし書及び第三項の規定は、この場合に準用する。
- 2.前項の規定による補償金の支払の請求は、第三十九条第二項の規定による請求とあわせてしなければならない。ただし、既に、起業者が同条第一項の規定による収用若しくは使用の裁決の申請をし、又は他の土地所有者若しくは関係人が同条第二項の規定による請求をしているときは、この限りでない。
- 3.裁決手続開始の登記前から差押え又は仮差押えの執行がされている権利(当該差押え又は仮差押えの執行に係る滞納処分、強制執行又は競売によつて消滅すべき権利を含む。)については、第一項の規定による補償金の支払の請求は、することができない。差押え又は仮差押えの執行前に同項の規定による補償金の支払の請求がされた権利について、差押え又は仮差押えの執行後に裁決手続開始の登記がされたときは、同項の規定による補償金の支払の請求は、その効力を失う。
この条文の基本情報
補償金の支払請求とは何ですか?
定義補償金の支払請求とは、土地収用法第46条の2に定められた規定で、「土地所有者又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者である関係人を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第46条の2(補償金の支払請求)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第46条の2の条文原文は「土地所有者又は土地に関して権利を有する関係人(先取特権を有する者、質権者、抵当権者、差押債権者又は仮差押債権者である関係人を除く。」で始まります。
- 土地収用法第46条の2は第三節 補償金の支払請求に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第46条の2の前の条は土地収用法第46条です。
- 土地収用法第46条の2の次の条は土地収用法第46条の3です。
- 土地収用法第46条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第46条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第46条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/46_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法46条の2は、事業認定の告示後、裁決前でも土地所有者等が起業者に補償金の支払を請求できると定める。請求は裁決申請請求と同時に行う必要がある。
Q · 土地収用の補償金は、収用委員会の裁決が出るまで受け取れないの?
告示後なら裁決前でも請求でき、起業者は2か月以内に見積額を払う
土地収用法46条の2により、事業認定の告示後であれば、権利取得裁決の前でも土地所有者や関係人は起業者に補償金の支払を請求できます。請求を受けた起業者は、2か月以内に自ら見積もった額を支払う義務を負います(46条の3)。ただし請求は原則として裁決申請請求(39条2項)とあわせて行う必要があり、抵当権者・差押債権者などは請求できません。また裁決手続開始の登記前から差押えがされている権利についても請求できません。
解説
公共事業で土地を取られる側にとって、最大の敵は時間である。事業認定の告示が出ると、補償額の基準となる土地価格はその時点で固定される(71条。その後は物価変動による修正だけで、地価が上がっても補償額にはほぼ反映されない)。ところが収用委員会の裁決が出るまでには年単位かかることもあり、その間、補償金は手元に一円も入らない。値上がりの恩恵は受けられず、移転資金もない。この「金額は固定されたのに払われない」空白を埋めるのが本条である。告示の後なら裁決前でも、起業者(事業を行う国・自治体・鉄道会社など)に補償金の先払いを請求できる。起業者は請求を受けてから2か月以内に、自分で見積もった額を支払わなければならない(46条の3)。ただし条件がある。この請求は「早く収用委員会に裁決を申請せよ」と求める裁決申請請求(39条2項)と同時に出さなければならない。お金だけ先に受け取って引き延ばすことはできず、手続を前に進めるスイッチも同時に入ることになる。受け取った見積額は最終額ではなく、金額は裁決で精算され、さらに訴訟(133条)で争う道も残る。
法的な位置づけ
土地収用法46条の2は、裁決前の補償金支払請求を定める規定である。事業認定の告示後、権利取得裁決前の段階で、土地所有者及び担保権者・差押債権者等を除く関係人が、起業者に対し土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の支払を請求できる旨を定め、請求は原則として39条2項の裁決申請請求とあわせて行うことを要件とする。
手順
- 1.事業認定の告示日を確認する 官報や都道府県公報で、対象事業の事業認定告示(26条1項)の日付を確認する。告示前であれば本条の請求はできない
- 2.登記簿で担保権・差押えの有無を確認する 法務局で登記事項証明書を取得し、抵当権・差押え・仮差押えの登記と裁決手続開始の登記の先後関係を確認する。差押えが先行していれば請求できない(本条3項)
- 3.裁決申請請求と支払請求を一通の書面で出す 39条2項の裁決申請請求と本条1項の補償金支払請求を同一の書面にまとめ、起業者あてに内容証明郵便で送付して到達日を記録する
- 4.2か月以内の支払を確認し、受領書の文言を点検する 起業者は請求から2か月以内に見積額を支払う義務を負う(46条の3)。受領時は領収書に補償額への同意文言が含まれていないか確認し、不満があれば裁決手続で主張する
よくある質問 AI による整理
Q1土地収用の補償金の支払請求とは?
事業認定の告示後、収用委員会の権利取得裁決を待たずに、起業者へ補償金の先払いを求める制度です。根拠は土地収用法46条の2です。
Q2土地収用 補償金 いつまでに支払われる?
46条の2の請求を受けた起業者は、請求を受けた日から2か月以内に、自ら見積もった補償金額を支払わなければなりません(46条の3)。
Q3補償金の支払請求はいつからできる?
事業認定の告示(26条1項)があった後から、権利取得裁決(48条1項)がされる前までの期間に請求できます。告示前は請求できません。
Q4借地人や借家人も補償金を先に請求できる?
本条が除外するのは先取特権者・質権者・抵当権者・差押債権者・仮差押債権者のみです。賃借権者など土地に関して権利を有する関係人は請求主体になりえます。
Q5補償金の支払請求だけを単独で出せる?
原則できません。39条2項の裁決申請請求とあわせて行う必要があります。ただし起業者が既に裁決申請をしている場合などは単独で請求できます(本条2項ただし書)。
Q6土地が差し押さえられていても補償金を請求できる?
裁決手続開始の登記前から差押え・仮差押えがされている権利については請求できません(本条3項)。登記簿で事前に確認が必要です。
Q7請求後に差押えを受けたら請求はどうなる?
請求後に差押え・仮差押えがされ、その後に裁決手続開始の登記がされた場合、請求は効力を失います(本条3項後段)。滞納の放置は直接のリスクになります。
Q8建物の移転料も46条の2で先払いを請求できる?
本条の対象は土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金です。条文上、建物移転料などの損失補償は対象として明記されていないため、個別に確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1役所に「裁決が出るまでお金は払えない」って言われたんですけど、本当ですか?
正確ではない。事業認定の告示後であれば、本条1項により裁決前でも補償金の支払を請求でき、起業者は2か月以内に見積額を支払う義務を負う(46条の3)。実務のポイント:担当者がこの制度に触れないのは、請求が39条2項の裁決申請請求とセットになり、起業者側に裁決申請の圧力がかかるからである。任意買収の段階で自分から教えてもらえることはまずない
Q2先払いのお金を受け取ったら、その金額で納得したことになりませんか?
ならない。本条による支払は起業者の見積額の先払いであり、最終的な補償額は収用委員会の裁決で決まり、差額は精算される。裁決にも不服があれば、133条の損失補償の訴えで争える。実務のポイント:受け取る際の領収書に「補償額に同意する」といった一文が入っていないかだけは確認すること。先払いと任意買収の合意書を混同させる書式が紛れ込むことがある
Q3うちの土地には銀行の抵当権が付いてます。それでも請求できますか?
請求主体から除外されているのは抵当権者など担保権者の側であり、所有者本人は請求できる(本条1項括弧書)。ただし抵当権者は物上代位で補償金に権利を及ぼせるため(104条)、支払方法に影響が出ることがある。実務のポイント:先払いを移転資金に充てるつもりなら、請求前に銀行と繰上返済や抵当権抹消の段取りを話しておくこと。それをしないと、入金されたお金がそのまま返済に消えることがある
間違えやすい点 AI による整理
- 「補償金は裁決が出てから一括で支払われるもの」と思われているが、事業認定の告示後であれば、裁決前でも起業者の見積額を先に受け取る道がある(本条1項、46条の3)。知らない人だけが、金額が固定されたまま無収入の期間を耐えている
- 先払いの存在は知っていても、請求の重みまでは知られていない。この請求は裁決申請請求(39条2項)と合わせて出すのが原則であり、出した時点で起業者には裁決申請へ進む圧力がかかる。任意交渉で条件を詰める余地を残したいのか、手続を前に進めたいのか。それを決めないまま書面を出すと、交渉カードを自分で一枚捨てることになる
- 所有者から見れば「自分の土地の補償金を先にもらうだけ」に見える。だが法律から見ると、抵当権や差押えが付いている土地は話が違う。抵当権者などは請求主体から除外され(本条1項括弧書)、差押えが先行していれば請求そのものができない(3項)。担保や滞納を整理しないまま当てにしていた資金が、入ってこないことがある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 制度の内容 | 46条の2:裁決前に補償金の支払を請求する権利 | 39条2項:起業者に収用委員会への裁決申請を求める権利 46条の3:請求を受けた起業者の見積額支払義務 |
| 誰が使うか | 土地所有者・関係人(担保権者・差押債権者等を除く) | 土地所有者・関係人 起業者(義務を負う側) |
| 時期・期限 | 事業認定告示後〜権利取得裁決前 | 事業認定告示後(46条の2請求とあわせて行うのが原則) 請求を受けた日から2か月以内 |
| 効果 | 見積額の先払いを受ける(最終額は裁決で精算) | 起業者に裁決申請を進めさせる 見積額の支払を履行する |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾は行政機関による徴収処分後、公告期間満了から15日以内に補償費を発給する構造で、裁決前の先払い請求という仕組みは採っていない
連邦政府が推定補償額を裁判所に供託して先行取得し、権利者は供託額の払渡しを受けつつ最終額を争える点で機能的に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 道路拡幅の事業認定が告示されてから1年半。起業者の担当者は「裁決が出るまでお支払いできません」の一点張りで、あなたは移転先の手付金すら用意できない。だが、その説明は法律上正確ではない。告示後であれば、支払請求と裁決申請請求を同時に出すことで、2か月以内の支払義務を相手に発生させられる
- もし、提示額に納得できないまま見積額を受け取ったら、もう争えなくなるのか? ならない。46条の2による支払は裁決前の先払いであり、最終額は収用委員会の裁決で決まる。受け取ることと金額に同意することは、法律上は別物である
- 店舗の賃借人であるあなたは、自分には請求する資格がないと思い込んでいた。だが本条から除外されているのは先取特権者、質権者、抵当権者、差押債権者、仮差押債権者だけである。賃借権も「土地に関して権利を有する関係人」の権利であり、賃借人も請求主体に入りうる
- 固定資産税の滞納が続き、市が土地を差し押さえた。その後に裁決手続開始の登記がされた。この場合、先払いの請求自体ができない(本条3項)。しかも差押えより前に請求していても、差押えの後に裁決手続開始の登記がされれば、請求は効力を失う
- 起業者側の用地担当として、あなたは支払請求書を受け取った。期限は2か月。見積額の決裁が間に合わなければ、加算金(90条の3)のリスクが組織に跳ね返る。決裁ルートを今週中に動かさなければならない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 官報や公報で事業認定の告示日を確認し、告示後であることを確かめる2. 登記簿で抵当権・差押え・仮差押えの有無を確認する。差押えが先行していれば請求できない(本条3項) 3. 39条2項の裁決申請請求と本条の支払請求を同一の書面で起業者に出し、内容証明で到達日を残す4. 見積額は受け取ってよい。不満があれば裁決で主張し、裁決後は133条の訴訟も検討する5. 受領時期が課税特例に与える影響を税理士に確認する
訴えられた側:起業者側の場合:1. 請求の到達日を起点に、2か月の支払期限(46条の3)を管理する2. 請求者が除外対象(抵当権者等)に当たらないか、差押えが先行していないかを登記で確認する3. 見積額の根拠を書面で残す。見積りが低すぎたり支払が遅れたりすると、裁決で加算金・過怠金(90条の3、90条の4)が課される可能性がある4. 抵当権が付いている場合の支払方法(供託の要否)を事前に詰めておく
時効(請求できる期限):請求できる期間は、事業認定の告示(26条1項)の後、権利取得裁決(48条1項)の前まで。起業者は請求を受けた日から2か月以内に見積額を支払わなければならない(46条の3)。裁決額に不服がある場合の損失補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内(133条)(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 昭和42年(1967年)改正 事業認定時の価格固定制(71条)の導入とあわせて、裁決前の補償金支払請求制度として本条が新設されたとされる。その後の改正の有無と内容は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和42年(1967年) 新設:事業認定時の価格固定制(71条)の導入とあわせて、裁決前の補償金支払請求制度として新設されたとされる。その後の改正内容は要確認
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める