土地収用法 第68条(損失を補償すべき者)
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土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない。
この条文の基本情報
損失を補償すべき者とは何ですか?
定義損失を補償すべき者とは、土地収用法第68条に定められた規定で、「土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第68条(損失を補償すべき者)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第68条の条文原文は「土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受ける損失は、起業者が補償しなければならない。」で始まります。
- 土地収用法第68条は第一節 収用又は使用に因る損失の補償に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第68条の前の条は土地収用法第67条です。
- 土地収用法第68条の次の条は土地収用法第69条です。
- 土地収用法第68条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第68条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第68条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/68
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法68条は、土地の収用・使用によって土地所有者と関係人が受ける損失を、起業者が補償しなければならないと定める。借家人や抵当権者も関係人に含まれる。
Q · 土地を収用されたとき、補償金は誰が払ってくれるの?
事業を行う起業者が払う。借家人など関係人も請求できる
土地収用法68条により、土地の収用または使用によって生じる損失は、その事業を行う起業者(国、自治体、鉄道会社、電力会社など)が補償しなければなりません。補償を受けるのは土地所有者だけでなく、借家人、借地人、抵当権者、地上の物件の所有者といった関係人(同法8条)も含まれます。補償額に不服があり裁判で争う場合も、被告は収用委員会ではなく起業者です(同法133条3項)。
解説
道路の拡幅、ダム、新駅。自分の土地がその計画線にかかったとき、役所から「収用(国や事業者が、所有者の同意がなくても土地を強制的に取得する手続)」と聞くと、多くの人は「国が決めたことには逆らえない」と身を縮める。土地収用法68条が定めているのは、その逆の構図である。土地を取られることで生じる損失は、起業者(その事業を行う国、自治体、鉄道会社、電力会社など)が補償しなければならない。支払う相手は「土地所有者」だけではない。「関係人」も含まれる。関係人とは、その土地や建物の借主、抵当権者、地上の工作物の所有者などを指す(同法8条)。つまり、あなたが借家住まいでも、店を借りて営業していても、請求できる立場にいる。ここで押さえておきたいのは、請求する相手が国や収用委員会ではなく、起業者だという点だ。補償額に不満があるとき、争う相手も起業者になる(同法133条3項)。誰と交渉し、誰を訴えるのか。最初の宛先を間違えなければ、交渉の主導権はあなたの側に残る。
法的な位置づけ
土地収用法68条は、収用・使用に伴う損失補償の義務者と権利者を定める規定である。土地の収用または使用によって土地所有者および関係人が受ける損失について、事業を施行する起業者が補償義務を負う。憲法29条3項の正当な補償を具体化する総則規定として、同法70条以下の個別の補償規定の前提となる。
手順
- 1.補償項目の内訳を書面で求める 起業者の用地担当者から提示を受けたら、土地代、建物移転料、営業補償、借家人補償など項目ごとの内訳と算定根拠を書面で求める。総額だけで判断しない
- 2.物件調書・土地調書の内容を確認し異議を附記する 調書への署名押印を求められた段階(同法36条)で、面積や物件の記載に誤り・漏れがあれば異議を附記する。後の裁決で争点を明確にできる
- 3.独自の評価と税の特例を専門家に確認する 不動産鑑定士に独自評価を依頼して交渉材料をそろえ、税理士に5,000万円特別控除の期限要件(最初の買取り申出から原則6か月以内の譲渡)を確認する
- 4.手続を自ら前に進める 事業認定の告示後は、起業者に裁決申請を請求し(同法39条2項)、補償金の支払請求(同法46条の2)も検討する。交渉の引き延ばしを待たない
- 5.裁決に不服なら6か月以内に起業者を提訴する 収用委員会の裁決の補償額に不服がある場合、裁決書正本の送達から6か月以内に、起業者を被告として損失補償に関する訴えを提起する(同法133条)
よくある質問 AI による整理
Q1土地収用の損失補償とは何ですか?
公共事業のために土地を強制的に取得・使用される人が受ける損失を、金銭で埋め合わせる制度です。土地収用法68条が、起業者に補償の義務を課しています。
Q2起業者とは誰のことですか?
土地を収用・使用する公共事業を行う者です。国や自治体のほか、鉄道会社や電力会社などの民間事業者も起業者になり、補償金を支払う義務を負います。
Q3土地収用の補償を受けられる関係人の範囲は?
土地収用法8条が定めます。地上権者、賃借人などの借主、抵当権者・質権者、地役権者、土地上の物件の所有者などが含まれ、名義人でなくても補償の対象になります。
Q4収用の補償金はいつ支払われますか?
裁決による収用では、権利取得裁決で定められた時期までに起業者が補償金を払い渡します(同法95条)。払渡しがなければ裁決は効力を失うことがあります。
Q5土地収用の補償額はどうやって決まりますか?
土地代は、事業認定の告示時の相当な価格に、権利取得裁決時までの物価変動を反映させて算定します(同法71条)。建物移転料や営業補償は別途算定されます。
Q6土地の一時使用でも補償はもらえますか?
もらえます。68条は「収用」だけでなく「使用」による損失も補償の対象としています。工事用地として一定期間使われる場合なども、起業者に補償を求められます。
Q7抵当権のついた土地が収用されたら銀行はどうなる?
抵当権者は補償金に対して権利を行使できます(同法104条)。ただし払渡し前に差押えが必要とされるため、金融機関は手続の時期を確認して動く必要があります。
Q8収用の補償金に税金はかかりますか?
譲渡所得として課税対象になりますが、収用等の場合は5,000万円の特別控除などの特例があります(租税特別措置法33条の4)。期限要件があるため事前確認が重要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1道路の買収って、断ったら結局強制的に取られるんですか?
事業認定を受けた事業であれば、最終的には収用委員会の裁決で強制取得されうる。ただし、その場合でも起業者は補償義務を負う(68条)。実際には大半が任意の買収契約で決着しており、裁決まで進むのは一部である。実務のポイント:起業者は裁決手続にかかる時間と手間を嫌う。きちんとした根拠を示して争う姿勢を見せた所有者ほど、補償項目の見直しを引き出しやすい
Q2借家に住んでいるだけでも、何かもらえるんですか?
もらえる可能性がある。借家人は68条の「関係人」に当たり、起業者に補償を求められる立場にある。移転料や、家賃差額を一定期間補う借家人補償などが典型である。実務のポイント:用地交渉は大家との間で先に進むことが多く、借家人への説明が後回しになりがち。退去を求められても、自分への補償の有無を確認する前に転居してはいけない
Q3補償額に納得できなくて裁判したい場合、役所を訴えればいいんですか?
補償額だけを争う場合、被告は収用委員会でも都道府県でもなく、起業者である(133条3項)。形式的当事者訴訟と呼ばれる特殊な訴えで、期限は裁決書の正本の送達から6か月。実務のポイント:収用そのものの違法性を争う取消訴訟とは別の訴えなので、何を争うのかを最初に決めておかないと、期間も被告も取り違えることになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「補償を受けられるのは土地の名義人だけ」と思われがちだが、68条は土地所有者と並べて「関係人」を明記している。借地人、借家人、抵当権者、地上の物件の所有者も補償の対象であり、名義を持たない人ほど自分の権利に気づかないまま転居している
- 公共事業だから補償額は役所が一律に決めた妥当な金額だ、という感覚が交渉を止めてしまう。提示額はあくまで起業者側の見積もりであり、収用委員会の裁決で金額が変わることもあるし、その裁決もさらに裁判で争える(133条)。最初の提示は結論ではなく、交渉の出発点にすぎない
- 「補償金をいくらもらえるか」ばかり気にする人が多いが、手取りを最終的に左右するのは税金のほうだ。収用等に伴う譲渡には5,000万円の特別控除があり(租税特別措置法33条の4)、適用要件を外すと、同じ補償額でも手元に残る金額が大きく変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 68条:損失補償の義務者(起業者)と権利者(土地所有者・関係人)を定める総則 | 70条:損失補償は原則として金銭で払う(支払方法) 88条:営業損失など通常受ける損失の補償(補償項目) |
| 何が分かるか | 誰が払い、誰が受け取るか | 何で払うか(金銭か替地か) 土地代以外に何が補償されるか |
| 実務での使いどころ | 交渉・請求・訴訟の相手方を起業者に特定する | 替地を希望する場合の例外(82条以下)の確認 店舗・事業者が休業損失や得意先喪失を請求する根拠 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も補償費を需用土地人(事業主体)が負担する構造で、日本の起業者負担と同型。土地徴収条例は市価による補償を定める
韓国は「土地所有者や関係人が受けた損失は事業施行者が補償する」と定め、日本68条とほぼ同じ文言構造をとる
ドイツは基本法が補償規定を伴わない収用を許さない(附帯条項)。補償は原則として受益する収用主体が負担する
米国は just compensation を憲法上保障し、連邦資金事業では移転支援法が借家人の移転費用等も補償対象とする
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 実家の畑が県道バイパスの計画線に入った。役所の担当者が持ってきた買取価格は、近所の不動産屋の感覚より明らかに低い。ここで判子を押すかどうかが、数百万円単位の分かれ目になる
- 築30年のアパートを借りて10年住んでいる。建物が都市計画道路にかかり、大家は起業者と契約を済ませたらしい。借家人である自分には、引っ越し代も家賃差額も出ないのだろうか? 実際には関係人として、起業者から直接補償を受ける余地がある
- あなたは鉄道会社の用地担当で、沿線の小さな商店主と交渉している。店主は「店を閉めたら常連客を失う」と言う。土地代だけで済ませようとすると、営業補償(88条)の請求で後から交渉がこじれる
- 収用委員会の裁決書が届いた。補償額が提示額より下がっている。不服を裁判で争えるのは、裁決書の正本が届いてから6か月以内。被告は収用委員会ではなく起業者である
- 抵当権をつけて融資していた土地が収用された。銀行の担当者が最初に確かめるのは、補償金に物上代位(担保の対象が金銭に変わったとき、その金銭に権利を及ぼす制度)をかけるタイミングである
取るべき行動
被害を受けた側:1. 提示額の内訳(土地代、建物移転料、営業補償、借家人補償など)を書面で求める2. 物件調書に誤りや漏れがあれば署名時に異議を附記する3. 不動産鑑定士などに独自の評価を依頼し、交渉材料をそろえる4. 譲渡のタイミングと租税特別措置法の特例要件を税理士に確認する5. 合意できなければ収用委員会の裁決で争い、さらに不服があれば6か月以内に起業者を被告として提訴する
訴えられた側:1. 土地所有者だけでなく、借家人、抵当権者、地上の物件の所有者など関係人を漏れなく洗い出す2. 公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱に沿って補償項目を網羅し、算定根拠を開示する3. 営業補償や残地補償(74条)の検討漏れは、後の紛争コストに直結する4. 税の特例の期限を相手方にも伝え、早期の合意を双方の利益として設計する
時効(請求できる期限):収用委員会の裁決のうち損失補償に関する訴えは、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内(土地収用法133条2項)。収用等の5,000万円特別控除は、原則として最初の買取り等の申出から6か月以内の譲渡が要件(租税特別措置法33条の4、最新の改正状況をご確認ください)。68条の補償請求そのものに固有の時効規定はない
学説
完全補償説:収用による損失補償は、被収用者の財産状態を収用前と同等に回復させる完全な補償でなければならないとする見解。土地収用法の補償については昭和48年最高裁判決がこの立場をとった。
相当補償説:憲法29条3項の正当な補償は、合理的に算出された相当な額で足り、市場価格と常に一致する必要はないとする見解。農地改革事件の最高裁判決(昭和28年)が採用したとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:日本国憲法の下で旧土地収用法を全面的に改める形で現行土地収用法が制定され、起業者が損失補償義務を負う旨を本条で定めた
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