土地収用法 第69条(個別払の原則)
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損失の補償は、土地所有者及び関係人に、各人別にしなければならない。但し、各人別に見積ることが困難であるときは、この限りでない。
この条文の基本情報
個別払の原則とは何ですか?
定義個別払の原則とは、土地収用法第69条に定められた規定で、「損失の補償は、土地所有者及び関係人に、各人別にしなければならない。但し、各人別に見積ることが困難であるときは、この限りでない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 土地収用法第69条(個別払の原則)は、日本の土地収用法に含まれる条文です。
- 土地収用法第69条の条文原文は「損失の補償は、土地所有者及び関係人に、各人別にしなければならない。但し、各人別に見積ることが困難であるときは、この限りでない。」で始まります。
- 土地収用法第69条は第一節 収用又は使用に因る損失の補償に置かれています。
- 土地収用法の公布日は昭和26年6月9日です。
- 土地収用法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 土地収用法第69条の前の条は土地収用法第68条です。
- 土地収用法第69条の次の条は土地収用法第70条です。
- 土地収用法第69条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第69条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000219 - 本サイト収録
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)第69条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC0100000219/69
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点土地収用法69条は、損失補償を土地所有者と関係人に各人別に行う「個別払の原則」を定める。各人別の見積りが困難なときに限り、一括払が例外的に認められる。
Q · 土地が収用されたら、借地人の補償は地主さん経由でもらうの?
いいえ。借地人も起業者から自分名義で直接補償を受けます
土地収用法69条は、損失の補償を土地所有者と関係人に「各人別に」行うよう定めています。関係人とは、借地権者、借家人、地役権者、抵当権者など、土地や建物に所有権以外の権利を持つ者です(8条3項)。そのため借地人は、地主から分配を受けるのではなく、起業者から自分の名義で補償を受けます。例外として、各人の損失を別々に見積ることが困難な場合に限り、一括で補償することが認められています。
解説
道路の拡幅や駅前再開発で土地が収用されるとき、補償金は土地一筆につき一回だけ払われるわけではない。土地収用法69条は、損失の補償を「土地所有者及び関係人に、各人別に」行えと定めている。関係人とは、その土地や建物に所有権以外の権利を持つ者を指す。借地権者、借家人、地役権者などがこれにあたる(8条3項)。借地の上で店を営んでいる場合、あなたは地主から分け前をもらう立場ではない。起業者(道路や施設をつくる国・自治体・鉄道会社など、事業を行う側)から自分の名前で補償を受ける当事者である。地主に「補償金はうちに全部来たから、立退料として少し払う」と言われたら、それは法律が想定している払い方と違う。例外として、各人の損失を別々に見積もることが難しいときは一括で払うこともできる。ただし、この例外は起業者の手間を省くために使ってよいものではない。補償の内訳に自分の名前と金額が独立して書かれているか確かめること。借地人・借家人にとって、それが最初の防衛線になる
法的な位置づけ
土地収用法第69条は、収用又は使用に伴う損失補償の支払方法について「個別払の原則」を定める規定である。補償は土地所有者及び同法8条3項に定める関係人ごとに、各人の損失を個別に算定して行われる。各人別の見積りが困難な場合に限り、ただし書により例外的に一括して補償することが認められる。
手順
- 1.自分が関係人であることを書類で固める 借地契約書・借家契約書、地代や家賃の振込記録、営業の帳簿をそろえ、自分が土地収用法8条3項の関係人であることと損失の規模を示せるようにする。登記に載らない賃借権は、特に書類が重要になる
- 2.起業者の用地担当者に権利者として名乗り出る 地主との交渉が先に進む前に、起業者の用地担当者へ書面で連絡する。自分を独立した権利者として調査・補償の対象にしているか、自分名義の補償内訳をつくるかを確認する
- 3.縦覧期間内に意見書を提出する 裁決申請書が縦覧される2週間のうちに、自分の損失を具体的な金額と根拠をつけて収用委員会に意見書として出す(43条)。記録に残すことで、自分の取り分が独立した項目として審理される
- 4.必要なら補償金の支払請求や訴えを使う 移転資金が先に必要なら、事業認定の告示後に起業者へ補償金の支払いを請求する(46条の2)。裁決の補償額に不服があれば、裁決書正本の送達から6か月以内に損失補償に関する訴えを起こす(133条)
よくある質問 AI による整理
Q1土地収用の個別払とは?
収用の損失補償を、土地所有者と借地人・借家人などの関係人それぞれに、本人名義で別々に支払う原則です。土地収用法69条が定めています。
Q2土地収用の関係人とは誰のこと?
収用される土地に地上権・賃借権・地役権・抵当権など所有権以外の権利を持つ者や、土地上の物件に権利を持つ者です(土地収用法8条3項)。
Q3借家人 土地収用 補償 もらえる?
もらえます。借家人も関係人にあたるため、移転に伴う費用など自分の損失について、起業者に自分の名義で補償を求めることができます。
Q4土地収用 補償金 一括払 できる?
各人別に見積ることが困難なときに限り、例外として一括払が認められます(69条ただし書)。手続を簡単にしたいという起業者の都合だけでは使えません。
Q5土地収用 補償金 受け取り拒否したらどうなる?
権利者が受領を拒んだり所在が分からなかったりする場合、起業者は補償金を供託できます(95条)。供託されても、後から還付を請求できます。
Q6土地収用 補償金 少ない 不服 いつまで?
裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に、損失補償に関する訴えを起こします(133条2項)。補償額への不服は審査請求の理由にはできません。
Q7抵当権がついた土地の収用補償はどうなる?
抵当権者は、所有者に支払われる補償金に物上代位して回収します。そのためには、払渡しの前に差押えをしておく必要があります(104条、民法304条)。
Q8土地収用 借地権 補償 税金 かかる?
収用等の場合の5000万円特別控除(租税特別措置法33条の4)を、借地人が自分の申告で使える場合があります。要件は最新の情報で確認してください。
この条文についての質問 AI による整理
Q1借地人なんですけど、収用の補償って地主さんからもらうものじゃないんですか?
違います。借地権者は関係人として、起業者から直接、自分の名義で補償を受けます(69条、8条3項)。実務のポイント:任意買収の段階では、用地担当者が地主との交渉を先に進め、借地人には後から説明に来ることがよくあります。その間に地主が借地権の存在を軽く扱う話をしていると、評価の前提がずれます。早い段階で自分から担当者に連絡し、権利者として名乗り出ておくと有利です
Q2地主さんがもう補償金を受け取ったみたいです。私の分はなくなったんでしょうか?
個別払が原則である以上、地主への払渡しによって、あなたの補償を受ける権利がなくなるわけではありません。起業者に、あなた名義の補償がどう算定されているかを確認してください(69条)。実務のポイント:起業者は、関係人に払うべき分を払わずに権利を取得すると、裁決の効力が問題になりかねません(100条)。担当者はこのリスクを嫌うので、書面で照会すると動きが早くなります
Q3家族で共有している土地が収用されます。補償金は代表者にまとめて払われるんですか?
原則は各人別です。ただし、持分が決まっていない、相続が終わっていないなど、各人の損失を見積もるのが難しい場合は例外にあたる余地があります(69条ただし書)。実務のポイント:所在の分からない相続人がいると、補償金は供託されることがあります(95条)。供託金を受け取るには、結局その人が相続人であることを証明する書類が要ります。収用の話が出た時点で相続登記を済ませておくのが、一番の時間短縮です
間違えやすい点 AI による整理
- 「土地の補償は地主が受け取り、借地人は地主から立退料をもらうもの」と考えがちだが、収用の場面では逆である。借地権者も借家人も関係人として、起業者から直接補償を受ける。地主との民間の立退き交渉と同じ感覚で臨むと、本来の交渉相手を取り違える
- 借地人が個別に補償を受けられることは知っていても、その金額が小さくないことまでは知られていない。都市部では借地権価格が更地価格の6割から8割程度と評価される地域もあり、補償額の大部分が借地人側に配分されることも珍しくない。「おまけ程度」という認識は過小評価である
- 「自分は抵当権者だから、個別払で別口の補償金が来るはずだ」と考えるなら、問いの立て方が誤っている。抵当権者は通常、所有者に払われる補償金に対して物上代位(担保の対象が金銭に変わったとき、その金銭から回収する権利)を行う。それには払渡し前の差押えが必要である(104条、民法304条)。待っているだけでは何も届かない
- あなたから見れば、例外の「見積ることが困難」は起業者側が使う便利な抜け道に見えるかもしれない。法律の上では、これは権利関係が本当に絡み合っている場合に限った例外である。一括払で済まされた場合でも、各人の取り分をめぐる争いがそれで終わるわけではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する内容 | 69条:補償を誰に、どの単位で払うか(各人別が原則) | 95条:補償金の払渡しと、受領拒否・所在不明時の供託 104条:担保権者による補償金への物上代位 |
| 主に関係する立場 | 土地所有者・借地権者・借家人などすべての権利者 | 補償金を払う起業者と受け取る権利者 抵当権者・質権者などの担保権者 |
| 権利者が注意すべき点 | 自分名義の補償内訳があるかを確認する | 供託された場合、還付には権利を証明する書類が必要 払渡し前に差押えをしないと回収できない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では、出租耕地が徴収された場合、土地所有者が受け取った地価補償から土地増値税を差し引いた残額の3分の1を借主に補償する仕組みがある。権利者ごとに起業者が直接払う日本の個別払とは設計が異なる
韓国は「損失補償は土地所有者や関係人に個人別にしなければならない」と、日本の69条とほぼ同じ構造の個人別補償原則を置く
ドイツ建設法典は収用補償を権利者の財産損失に応じて定め、所有者以外の権利者も補償の対象としている
米国の多くの州では、土地全体を一体として評価してから権利者間で分ける考え方(undivided fee rule)が基本とされ、権利者ごとに算定する日本とは発想が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 親の代から借地で続けてきたラーメン屋の前に、都市計画道路の用地買収が来た。地主は「補償の話はこちらで全部まとめる」と言う。だが借地権の補償はあなた自身の取り分であり、地主を経由させる理由はない。交渉の席には、あなたも当事者として座る
- 収用の対象になった土地に住んでいる借家人のところへ、地主が補償金を受け取ったらしいという噂が入った。自分には何の連絡もない。この場合どうなるのか? 借家人も建物に権利を持つ関係人なので、移転にかかる費用などは自分の名義で補償を求めることができる。地主の受領によって、あなたの権利がなくなるわけではない
- 自治体の用地担当として、早く片付けたい一心で地主に一括で払い、借地人への分配は地主に任せた。半年後、借地人から自治体に直接請求が来る。個別払が原則である以上、地主に払った金額で借地人の補償まで済んだとは言いにくい。二重に払う危険を負うのは起業者の側である
- 収用委員会から裁決申請書を縦覧するという通知が届いた。縦覧期間は2週間しかない。この期間内に意見書を出さなければ、あなた独自の損失を記録に残す最初の機会を逃す
- 銀行から借りて土地に抵当権を設定していた。土地が収用されると、銀行は補償金を差し押さえて回収しに来る
- 相続登記が終わっていない実家の土地が収用対象になった。兄弟4人の持分がまだ決まっていない。各人の取り分を見積もるのが難しいケースは、69条ただし書の例外が問題になる典型である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 借地契約書、借家契約書、地代や家賃の振込記録、営業の帳簿をそろえ、自分が関係人であることと損失の規模を書類で示せるようにする2. 起業者の用地担当者に、自分を独立した権利者として扱っているかを書面で確認する3. 裁決手続に入ったら、縦覧期間内に意見書を出す(43条) 4. 地主に払われた補償で済まされそうになったら、各人別に払うべきだと起業者に指摘し、自分名義の補償額を算定するよう求める
訴えられた側:起業者側の担当者向け。1. 権利者の調査では、登記に載らない借地人・借家人まで洗い出し、各人別の補償調書をつくる2. 一括払を選ぶのは、権利関係が本当に絡み合っていて見積もりが難しい場合に限り、その理由を記録に残す3. 受領拒否や所在不明の権利者がいる場合は、補償金を供託する(95条) 4. 地主に分配を任せると、後から関係人に直接請求されて二重に払う危険を抱える
時効(請求できる期限):裁決申請書の縦覧期間は2週間で、その間に意見書を出せる(43条)。補償金額に不服があるときは、裁決書の正本の送達を受けた日から6か月以内に損失補償に関する訴えを起こす(133条2項)。補償額への不服は、裁決への審査請求の理由にはできない(132条2項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:69条の個別払は、憲法29条3項の正当な補償を各権利者に確実に届けるための原則であり、ただし書の一括払は権利関係が実際に錯綜している場合に限られる例外と解されている。一括払がされても、各人の取り分をめぐる争いが消えるわけではない。
改正沿革 AI による整理
- 昭和26年(1951年) 土地収用法の制定時に置かれた条文と考えられる。文語調の「但し」が残っていることから、その後に実質的な改正を受けていない可能性が高いが、改正の有無は人による確認が必要
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:現行土地収用法(昭和26年法律第219号)の制定により設けられた。その後の実質的な改正の有無は、e-Gov の改正履歴で確認が必要。
- 土地収用法 第8条個別払の対象となる関係人の定義
- 土地収用法 第68条起業者の損失補償義務
- 土地収用法 第95条補償金の払渡しと供託の手続
- 土地収用法 第104条担保権者による補償金への物上代位
- 土地収用法 第133条補償額を争う当事者訴訟
- 租税特別措置法 第33条の4各権利者の収用補償金に対する特別控除
- 民法 第304条104条で準用される物上代位の差押え要件
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