税理士法 第35条(意見の聴取)
クイックジャンプ
- 税務官公署の当該職員は、第三十三条の二第一項又は第二項に規定する書面(以下この項及び次項において「添付書面」という。)が添付されている申告書を提出した者について、当該申告書に係る租税に関しあらかじめその者に日時場所を通知してその帳簿書類を調査する場合において、当該租税に関し第三十条の規定による書面を提出している税理士があるときは、当該通知をする前に、当該税理士に対し、当該添付書面に記載された事項に関し意見を述べる機会を与えなければならない。
- 2.添付書面が添付されている申告書について国税通則法又は地方税法の規定による更正をすべき場合において、当該添付書面に記載されたところにより当該更正の基因となる事実につき税理士が計算し、整理し、若しくは相談に応じ、又は審査していると認められるときは、税務署長(当該更正が国税庁又は国税局の当該職員の調査に基づいてされるものである場合においては、国税庁長官又は国税局長)又は地方公共団体の長は、当該税理士に対し、当該事実に関し意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、申告書及びこれに添付された書類の調査により課税標準等の計算について法令の規定に従つていないことが明らかであること又はその計算に誤りがあることにより更正を行う場合には、この限りでない。
- 3.国税不服審判所の担当審判官又は行政不服審査法第九条第一項の規定により国税庁長官若しくは地方公共団体の長が指名した者は、租税についての審査請求に係る事案について調査する場合において、当該審査請求に関し第三十条の規定による書面を提出している税理士があるときは、当該税理士に対し当該事案に関し意見を述べる機会を与えなければならない。
- 4.前三項の規定による措置の有無は、これらの規定に規定する調査に係る処分、更正又は審査請求についての裁決の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。
この条文の基本情報
意見の聴取とは何ですか?
定義意見の聴取とは、税理士法第35条に定められた規定で、「税務官公署の当該職員は、第三十三条の二第一項又は第二項に規定する書面(以下この項及び次項において「添付書面」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 税理士法第35条(意見の聴取)は、日本の税理士法に含まれる条文です。
- 税理士法第35条の条文原文は「税務官公署の当該職員は、第三十三条の二第一項又は第二項に規定する書面(以下この項及び次項において「添付書面」という。」で始まります。
- 税理士法第35条は第四章に置かれています。
- 税理士法の公布日は昭和26年6月15日です。
- 税理士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 税理士法第35条の前の条は税理士法第34条です。
- 税理士法第35条の次の条は税理士法第36条です。
- 税理士法第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237 - 本サイト収録
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC1000000237/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点税理士法35条は、添付書面のある申告書について、税務署が調査の事前通知前に税理士へ意見を述べる機会を与えるよう義務付ける規定。ただし措置の有無は処分の効力に影響しない。
Q · 書面添付をしている申告書だと、税務調査の前に何が起きるの?
事前通知の前に、税務署はまず税理士に意見を聞く
税理士法35条1項により、33条の2の添付書面が付いた申告書で、税理士が30条の税務代理権限証書を出している場合、税務署は実地調査の事前通知の前に、その税理士に添付書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければなりません。疑問がこの段階で解消すれば、実地調査に進まないこともあります。ただし4項により、この手順が抜けても更正などの処分は無効になりません。
解説
税務署が「〇月〇日に調査に伺います」と電話してくる。多くの経営者はそれが最初の接触だと思っている。だが申告書に税理士法33条の2の書面(税理士が何をどう計算し、何を確認したかを書いた添付書面)が付いていて、しかも税理士が30条の税務代理権限証書を出していれば話は変わる。調査官は社長に連絡する前に、まず税理士に意見を述べる機会を与えなければならない。これが「意見聴取」である。疑問点がこの段階で解消すれば、実地調査に進まずに終わることもある。つまり添付書面は、税務署とあなたの間に挟む緩衝材として働く。更正(税務署が申告額を職権で直す処分)の前や、審査請求の審理でも、税理士に意見を述べる機会が与えられる。ただし4項がある。この手順が抜けても、処分そのものは無効にならない。手続の盾にはなっても、処分を覆すための剣にはならない。この違いを知っているかどうかで、税理士への依頼内容が変わる。
法的な位置づけ
税理士法35条は、同法33条の2に規定する添付書面が付された申告書について、税務官公署が実地調査の事前通知前、更正前、および審査請求の調査の各段階で、税理士に意見を述べる機会を与えることを義務付ける規定である。ただし、これらの措置の有無は処分、更正または裁決の効力に影響しない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.書面添付の対応可否を税理士に確認する 決算や申告の打合せの段階で、顧問税理士に33条の2の添付書面を付けられるかを確認する。対応範囲と報酬も合わせて確認しておく
- 2.30条の税務代理権限証書の提出を確認する 添付書面だけでは1項の意見聴取は発動しない。税理士が税務代理権限証書を申告書とあわせて提出しているかを確認する
- 3.根拠資料を整理して税理士に渡す 添付書面に書く確認事項の裏付けとして、帳簿・通帳・契約書・請求書を税理士が確認できる状態にする。確認していない事項は書面に書かれない
- 4.意見聴取の連絡後、すぐに追加資料を出す 税理士から意見聴取の連絡を受けたら、指摘された論点の根拠資料を数日以内に渡す。税理士は論点ごとに書面で回答し、記録を残す
- 5.誤りが見つかったら事前通知前の修正申告を検討する 意見聴取で誤りが判明した場合、事前通知の前に修正申告するかを税理士と判断する。加算税の扱いは事前通知後より有利になりうる
よくある質問 AI による整理
Q1税理士法35条の意見聴取とは?
添付書面が付いた申告書について、税務署が実地調査の事前通知の前に、税理士に記載事項について意見を述べる機会を与える手続です。
Q2意見聴取の対象になる条件は?
申告書に33条の2の添付書面が付いていることと、税理士が30条の税務代理権限証書を提出していることの両方が必要です。
Q3意見聴取はどこで行われますか?
通常は税務署に税理士が出向くか、電話や書面でやり取りします。納税者本人が呼ばれる手続ではなく、相手方は税理士です。
Q4意見聴取に納税者は同席できる?
法律上の相手方は税理士です。納税者の同席は想定されていないため、根拠資料を税理士に渡して説明を任せるのが一般的です。
Q5更正の前にも税理士の意見は聞かれる?
35条2項により、添付書面の記載から税理士が計算や審査に関与したと認められる事実で更正する場合、事前に意見を述べる機会が与えられます。
Q6計算ミスでも意見聴取はある?
ありません。2項ただし書により、申告書等から法令違反や計算誤りが明らかな場合の更正では、意見聴取は不要とされています。
Q7審査請求で税理士の意見は聞かれる?
35条3項により、30条の書面を出している税理士がいれば、担当審判官等は事案について税理士に意見を述べる機会を与えなければなりません。
Q8書面添付は相続税でも使える?
使えます。33条の2の添付書面は所得税・法人税・相続税などの申告書に付けることができ、相続税では財産評価の根拠を書く例が多いです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1書面添付ってやつを付けたら、税務調査って本当に来なくなるんですか?
必ず来なくなるわけではない。35条1項が保障しているのは、事前通知の前に税理士が意見を述べる機会だけである。疑問が解消すれば調査に進まないことがある、というにとどまる。実務のポイント:国税庁の事務運営指針には、意見聴取の結果、その時点では調査に移行しない場合に税理士へ知らせる運用がある。添付書面の記載が具体的であるほど、この結果になりやすいと実務家の間では言われる
Q2税務署が税理士に意見を聞かずにいきなり更正してきたら、その更正は無効になりますか?
無効にはならない。35条4項は、意見聴取などの措置があったかどうかは、更正や裁決の効力に影響しないと明記している。さらに2項ただし書により、計算誤りが申告書から明らかな場合は、そもそも意見聴取は不要である。実務のポイント:争うなら手続違反ではなく、課税の根拠となる事実と評価で勝負する。ただし意見聴取が省かれた経緯は、税務署側の検討不足を示す材料として、主張の中で使える場面がある
Q3意見聴取の段階で間違いに気付いたら、修正申告しても加算税はかかりますか?
国税庁の事務運営指針は、意見聴取の質疑だけがきっかけで修正申告をした場合、「更正を予知した」修正申告には当たらないとしている。事前通知の前であれば、過少申告加算税は原則として課されない扱いになりうる(国税通則法65条)。実務のポイント:事前通知を受けた後は、更正を予知する前の修正申告でも加算税がかかりうる。意見聴取と事前通知の間の短い期間が、最も安く済ませられる窓である(最新の改正状況をご確認ください)
間違えやすい点 AI による整理
- 「意見聴取も税務調査の一種だ」と思っている人が多いが、ここが前提から違う。意見聴取は調査に入るかどうかを判断するための前段階である。国税庁の事務運営指針は、意見聴取の質疑だけがきっかけで修正申告をした場合、「更正を予知した」修正申告には当たらないとしている。この扱いの違いは加算税の有無に直結する(運用は最新の事務運営指針をご確認ください)
- 意見聴取を飛ばされたら課税処分を取り消せる、という期待は持たないほうがよい。4項は、意見聴取などの措置があったかどうかは、処分・更正・裁決の効力に影響しないと明記している。手続違反だけで勝てる不服申立ては、本条では成り立たない
- 経営者にとって添付書面は、税理士が付けてくれるオプションくらいの存在だろう。だが法律の上では、税理士が自分の名前で内容に責任を負う書面である。虚偽記載は懲戒の対象になる。だから慎重な税理士ほど、帳簿・通帳・契約書を細かく求めてくる。手間をかけさせられていると感じたら、それは盾を厚くしている作業である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 税理士法35条:税務署が税理士に意見を述べる機会を与える義務 | 税理士法33条の2:税理士が計算・審査事項を書く添付書面 税理士法30条:税務代理の権限を示す書面の提出 |
| 義務を負う者 | 税務官公署の職員・税務署長・審判官等 | 書面を作成する税理士 税務代理をする税理士 |
| 違反・不備の効果 | 措置の有無は処分・更正・裁決の効力に影響しない(4項) | 虚偽記載は懲戒の対象(46条) 未提出なら35条1項・3項の意見聴取の前提を欠く |
| 納税者への実益 | 実地調査の前に疑問を解消できる余地 | 税理士の関与の質を税務署に示せる 税理士が調査対応の窓口になれる |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では会計師が営利事業所得税を査核簽證して申告する制度があり、専門家の関与を課税庁の審査に反映させる点で発想が近い。ただし調査前の意見聴取義務という形ではない
韓国の誠実申告確認制度は、税務代理人が申告内容を確認した書面を提出する点で書面添付に近い
フランスの examen de conformité fiscale は、専門家が企業の税務適合性を確認する任意制度で、専門家の確認を課税庁との関係に生かす点で共通する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 顧問税理士から「税務署から書面添付の件で意見聴取の連絡が来ました。売上の計上時期について聞かれています」とメールが届いた。調査の事前通知はまだ来ていない。ここで追加資料を素早く出せるかどうかで、実地調査に進むかどうかが分かれる
- 相続税の申告を終えて半年。どうすれば税務署の実地調査を避けられるのか。相続税は調査で申告漏れを指摘される割合が高い税目とされる。そのため書面添付に対応している税理士を選び、遺産の評価根拠を添付書面に細かく書いてもらう遺族が増えている
- 税理士の側から見た場面。添付書面に「預金の動きはすべて確認済み」と書いたのに、実際は確認していなかった。意見聴取で突っ込まれて答えに詰まる。虚偽記載は46条の懲戒事由になる。あなたの名前が、あなた自身を縛る
- 審査請求を出したが、代理人の税理士は担当審判官から何も聞かれないまま審理が進んでいると感じた。30条の書面を出しているなら、3項により意見を述べる機会を与えられるはずである。まず書面の提出状況を確認する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 顧問税理士に、申告書に33条の2の添付書面が付いているかと、30条の税務代理権限証書を出しているかを確認する。2. 税理士が意見聴取の連絡を受けたら、指摘された論点の根拠資料(契約書、請求書、通帳)をすぐに渡す。3. 誤りが見つかった場合は、事前通知の前に修正申告するかどうかを税理士と即断する。4. 更正の前や審査請求の段階でも、税理士が意見を述べる機会があるか確認する
訴えられた側:税理士の立場では、添付書面には実際に確認した範囲だけを書く。確認していないことを「確認済み」と書けば、46条の懲戒事由になる。意見聴取では、根拠資料を示して論点ごとに回答する。即答できない点は期限を区切って書面で補足し、記録を残す。意見聴取が省かれたことは、処分を取り消す理由にならない(4項)。不服申立てでは事実と計算の誤りで争う
時効(請求できる期限):本条自体に期限の定めはない。関連する期限としては、更正の期間制限が原則として法定申告期限から5年(国税通則法70条)、審査請求の期限が処分の通知を受けた日の翌日から原則3か月(同法77条1項)。意見聴取から事前通知までは短期間のことが多く、実務上は連絡を受けてから数日以内に資料を出すことが勝負になる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
実務上の一般的理解:35条の意見聴取は税理士に意見を述べる「機会」を保障するもので、納税者の権利として処分を争う根拠にはならない。4項がその趣旨を明文で確認している
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:税理士法制定。税理士制度の基本枠組みが定められる
- 2.昭和55年(1980年) 改正:書面添付制度が導入され、添付書面と結びついた意見聴取の仕組みが整備される
- 3.平成13年(2001年) 改正:書面添付制度が拡充され、事前通知前の意見聴取の位置付けが強化される
- 税理士法 第33条の2意見聴取の前提となる添付書面
- 税理士法 第30条税務代理権限証書の提出要件
- 税理士法 第34条調査の通知を税理士にも行う規定
- 税理士法 第46条添付書面の虚偽記載に対する懲戒
- 国税通則法 第74条の9税務調査の事前通知手続
- 国税通則法 第24条更正処分の根拠規定
- 国税通則法 第65条過少申告加算税と更正予知の判断
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める