出入国管理及び難民認定法 第55条の19(識別のための身体検査)
クイックジャンプ
- 入国警備官は、被収容者について、その入国者収容所等における収容の開始に際し、その者の識別のため必要な限度で、その身体を検査することができる。その後必要が生じたときも、同様とする。
- 2.女子の被収容者について前項の規定により検査を行う場合には、女子の入国警備官がこれを行わなければならない。ただし、女子の入国警備官がその検査を行うことができない場合には、男子の入国警備官が入国者収容所長等の指名する女子の職員を指揮して、これを行うことができる。
この条文の基本情報
識別のための身体検査とは何ですか?
定義識別のための身体検査とは、出入国管理及び難民認定法第55条の19に定められた規定で、「入国警備官は、被収容者について、その入国者収容所等における収容の開始に際し、その者の識別のため必要な限度で、その身体を検査することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第55条の19(識別のための身体検査)は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の19の条文原文は「入国警備官は、被収容者について、その入国者収容所等における収容の開始に際し、その者の識別のため必要な限度で、その身体を検査することができる。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の19は第二節 収容の開始に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の19の前の条は出入国管理及び難民認定法第55条の18です。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の19の次の条は出入国管理及び難民認定法第55条の20です。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の19には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第55条の19 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第55条の19(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/55_19
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法55条の19は、入国警備官が被収容者の識別に必要な限度で身体検査できると定め、女子被収容者の検査は原則として女子の入国警備官が行うとする。
Q · 入管施設で、男性職員が女性の被収容者の身体検査をしてもいいの?
原則不可。男性は女子職員を指揮できるだけで、自ら検査はできない
入管法55条の19第2項により、女子被収容者の身体検査は女子の入国警備官が行わなければなりません。女子警備官が行えない場合に限り、男子の入国警備官が入国者収容所長等の指名する女子職員を指揮して行えます。男性にできるのは指揮までで、身体に触れる実施者にはなれません。また検査自体も、第1項により本人の識別に必要な限度に限られます。
解説
「識別のため必要な限度で」。この一句が、入管の収容施設で入国警備官が持つ身体検査権の外周を決めている。本人が誰かを確かめるための検査であって、懲罰でも犯罪捜査でもない。だから傷跡や身体的特徴の確認という目的を超えて、辱めに近い態様に踏み込めば、それは条文が与えた授権の外側に出る。もう一つ、多くの人が読み飛ばす仕掛けが二項にある。女子の被収容者の検査は女子の入国警備官が行わなければならない。例外は但書だけで、女子警備官が行えないとき、男子警備官は「女子の職員を指揮して」行える。指揮であって、実施ではない。男性がその場に立つこと自体は直ちに違法とは限らないが、男性の手が本人の身体に触れた瞬間、法律の線を越える。壁の内側で何が起きたかを外から検証できない以上、この線の位置を知っている人間が一人でも面会に行けるかどうかが、決定的な差になる。
法的な位置づけ
出入国管理及び難民認定法第55条の19は、入国者収容所等の被収容者に対する識別目的の身体検査を定める規定である。入国警備官は収容開始時およびその後必要が生じたときに、識別に必要な限度で身体を検査できる。女子被収容者の検査は女子の入国警備官が行うことを原則とし、例外として男子警備官による女子職員の指揮を認める。
手順
- 1.面会で検査の事実を時系列で聞き取る 最初の面会で、検査の日付・場所・実施者と立会者の人数と性別・具体的な態様を時系列で聞き取り、その場で書き取る。施設内に録音機器は持ち込めないため、書き取りが唯一の記録になる
- 2.検査の目的を分類する 本人がどう説明を受けたかを確認し、識別目的の身体検査(本条)か、保安目的の所持品検査か、医療上の診察かを分類する。目的によって根拠条文と違法性の判断基準が変わる
- 3.女性被収容者なら実施主体を確認する 実際に身体に触れたのが誰か、女子警備官が行えない事情の説明があったか、指名された女子職員がいたかの三点を確認する。男性が立ち会っていただけか、自ら実施したかで評価が分かれる
- 4.代理人弁護士の書面で施設長に申し入れる 本人が施設内にいる間に、代理人弁護士名の書面で施設長宛に事実確認と記録保全を申し入れる。送還や仮放免の後では職員の特定や記録照会が著しく難しくなる
- 5.国家賠償請求・人権救済申立てを検討する 識別の限度を超える態様や実施主体の違反が認められる場合、国家賠償法1条1項に基づく請求を検討し、並行して弁護士会への人権救済申立ても選択肢とする
よくある質問 AI による整理
Q1入管の身体検査とは何ですか?
収容開始時などに、被収容者が本人かどうかを確かめるため入国警備官が行う身体の検査です。入管法55条の19が根拠で、識別に必要な限度に限られます。
Q2入管の身体検査はいつ行われますか?
収容を開始するときが原則です。その後も識別の必要が生じたときは再度行えます(55条の19第1項後段)。収容期間中に反復されることもあります。
Q3入管収容中の身体検査は拒否できますか?
識別に必要な限度の検査は法律上の権限に基づくため、拒否は難しいのが実情です。ただし限度を超える態様には、代理人を通じた書面での異議が考えられます。
Q4入管の身体検査で傷跡を確認されるのはなぜ?
傷跡やほくろ等の身体的特徴は本人識別の手がかりになるためです。識別目的の範囲内であれば、本条の検査として許される確認の典型例です。
Q5入管で違法な身体検査を受けたら賠償請求できる?
識別の限度を超える検査や実施主体の違反があれば、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求の対象になり得ます。証拠の確保が最大の課題です。
Q6入管法55条の19はいつできた条文ですか?
令和5年(2023年)の入管法改正で新設され、令和6年(2024年)6月10日に施行されました。それ以前は省令レベルのルールでした。
Q7入管収容の身体検査に通訳はつきますか?
本条自体は通訳を明記していません。ただし目的の告知が理解されたかは後の争点になり得るため、施設側も通訳を介した告知を記録に残すのが望ましい運用です。
Q8入管の女性被収容者の検査に女性職員がいない場合は?
男子の入国警備官が、入国者収容所長等の指名する女子職員を指揮して行います(55条の19第2項但書)。男性が自ら検査を実施することは認められていません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1収容されたら、服を全部脱がされることもあるんですか?
本条が認めるのは「識別のため必要な限度」の検査(55条の19第1項)に限られ、識別という目的を超える態様は限度超過として違法評価の対象になる。保安目的の所持品確認は別の根拠に基づく別の検査である。実務のポイント:争い方は目的の分類で変わるので、面会ではまず「何のための検査だと説明されたか」を本人に確認する。目的が特定できない記録は、施設側にとっても弱い記録になる。
Q2男性の職員が女性の検査をしたら、それだけで違法ですか?
原則として女子の入国警備官が行わなければならない(55条の19第2項本文)。但書は、女子警備官が行えない場合に限り、男子警備官が入国者収容所長等の指名する女子職員を指揮して行うことを認める。男性は指揮者にはなれるが実施者にはなれない。実務のポイント:争点は「男性がその場にいたか」ではなく「誰が実際に触れたか」と「女子警備官が行えない事情が本当にあったか」の二点。面会でこの二つを具体的に聞き出せるかで、事案の見え方が変わる。
Q3収容中に文句を言って、仕返しされないですか?
この懸念は現場では現実的なものとして語られる。だからこそ実務では、本人の口頭ではなく代理人弁護士名の書面で施設長宛に出すのが定石になっている。違法な検査は国家賠償法1条1項の対象で、請求権の時効は民法724条による。実務のポイント:処遇への申入れと仮放免の審査は制度上別の話だが、本人単独で現場で抗議するより代理人経由のほうが安全というのが支援実務の共通感覚である。
Q4令状もなしに身体を調べられるのは、憲法違反じゃないんですか?
犯罪捜査としての身体検査には令状主義が及ぶ(憲法35条、刑事訴訟法218条)が、本条は捜査ではなく収容中の身元識別という行政目的の措置である。ただし最大判昭和47.11.22(川崎民商事件)は、憲法35条の保障が純然たる刑事手続以外にも及びうると判示しており、行政目的だから無制限という理屈は成り立たない。実務のポイント:「行政手続だから令状は要らない」と説明されたとき、この判例を知っているかどうかで会話の質が変わる。
間違えやすい点 AI による整理
- 「その検査は違法か」と問う前に、そもそも何の目的の検査かを分類しないと問いが成立しない。識別のための身体検査(本条)、保安目的の所持品検査、医療上の診察は、それぞれ根拠も限界も記録の残り方も別である。目的を特定しないまま「身体検査が違法だ」と主張しても、どの要件を欠くのかを指摘できず、法的な主張として組み上がらない
- 「女性には女性職員が対応する」というルール自体は知られている。だが但書の構造まで読む人は少ない。男子の入国警備官にできるのは「指揮」だけで、実施主体にはなれない。つまり男性職員が現場にいたという事実だけでは違法と言い切れず、誰が実際に検査を行ったか、そして女子警備官が行えない事情が本当にあったか、この二点が分水嶺になる。深刻度を見誤ると、争えた事案を取り逃がす
- 本人から見れば屈辱的で理不尽な経験でも、法律から見て問われるのは「識別のため必要な限度」の内側かどうかという一点に絞られる。この落差を知らないまま感情だけを訴えると、事実としては起きたことが、法的主張としては空振りに終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用される施設と対象 | 入管法55条の19:入国者収容所等の被収容者(退去強制手続中の外国人等) | 刑事収容施設法34条:刑事施設の被収容者(受刑者・未決拘禁者等) 入管法39条:収容令書による収容(被収容者が生じる根拠) |
| 検査の目的と限度 | 識別のため必要な限度 | 識別のため必要な限度(同趣旨の規定) 身体検査の定めはなく、収容の要件と手続を規律 |
| 女子被収容者の実施主体 | 女子の入国警備官。例外は男子警備官が指名女子職員を指揮 | 女子の刑務官。例外は男子刑務官が指名女子職員を指揮 該当規定なし |
| 制度の沿革 | 令和5年改正で省令から法律に格上げ(2024年施行) | 監獄法から刑事収容施設法への全面改正で法律化 昭和26年の出入国管理令以来の収容根拠 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も収容時の身体・物品検査を行政規則レベルで定める。日本は令和5年改正で法律本体に格上げした点が異なる
韓国も保護外国人の身体検査を法律で定め、女性の検査は女性公務員が行うとする点で日本と近い構造
ドイツは退去強制のための収容(Abschiebungshaft)を法律で規律し、執行の細目は各州の執行法に委ねられる
米国は収容権限を法律で定め、身体検査の運用は ICE の拘禁基準(行政基準)で規律される
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 在留期限を数日過ぎたまま働いていた知人が摘発され、収容されたと連絡が来た。面会に行ったとき、何を聞けばいいのか。収容理由と仮放免の見込みを聞く人は多いが、収容開始当日に何をされたかを時系列で聞き出す人はほとんどいない。処遇の違法を後から争う材料は、その日の本人の記憶にしか残っていない
- 女性の被収容者が、男性職員の立会いのもとで検査を受けたと訴えている。立会いがあっただけなら違法とは限らない。争点は、実際に身体へ触れたのが誰だったかである
- あなたが入国警備官の側だったとする。夜勤帯で女子の警備官が誰も出勤していない。但書の手順、つまり所長等が指名した女子職員を指揮するという段取りを踏まずに自分で済ませれば、その一回が数年後の国家賠償訴訟で唯一の争点になる
- 送還予定まであと5日。本人は施設内での検査の態様に強く抗議している。本人が国外に出た後では、職員の特定も記録の照会も現実には極めて難しくなる。書面で申し入れるなら、本人が施設内にいる今しか窓がない
- 技能実習先の従業員が収容され、会社の担当者として面会に行くことになった。本人は日本語での説明を十分に理解できていない。受けた検査が識別目的だったのか保安上の所持品確認だったのか、本人自身も整理できていない。あなたが唯一の外部の目になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 面会の最初の10分で、検査の日付・場所・実施者と立会者の人数と性別・具体的な態様を時系列で聞き取り、その場で書き取る。施設内に録音機器は持ち込めない2. 女性の被収容者なら「実際に身体へ触れたのは誰か」「女子警備官が行えない事情の説明があったか」を必ず確認3. 疑義は本人の口からではなく代理人弁護士の書面で施設長宛に出す4. 識別目的の限度を超える態様であれば国家賠償法1条1項に基づく賠償請求、並行して弁護士会への人権救済申立ても選択肢
訴えられた側:1. 検査は識別目的に必要な限度で設計し、保安目的の所持品検査とは根拠も記録様式も分けて残す2. 女子被収容者の検査は女子入国警備官が原則。但書を使う場合は「女子警備官が行えなかった事情」と「所長等が指名した女子職員の氏名」を記録に残す。この二点が欠けると、後から但書の要件充足を立証できない3. 実施日時・目的・態様・立会者を定型書式で記録4. 通訳を介して目的を告知した事実も記録に残す
時効(請求できる期限):本条自体に期間の定めはない。違法な検査に対する国家賠償請求は、損害および加害者を知った時から3年、人の身体を害する場合は5年(国家賠償法4条、民法724条、724条の2)、行為時から20年で除斥。ただし実務上の勝負どころは本人が施設内にいる期間で、送還後は事実上の立証が著しく困難になる
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)6月10日施行 被収容者の処遇に関する規定群の新設に伴い、従来は法務省令に置かれていた識別のための身体検査のルールが法律本体に格上げされた。目的の限定と、女子被収容者に対する実施主体の限定が法律の条文として明示された
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:令和5年法律第56号による入管法改正で被収容者の処遇に関する規定群が新設され、識別のための身体検査のルールが法律本体に置かれた。令和6年(2024年)6月10日施行
- 出入国管理及び難民認定法 第39条収容令書による収容、被収容者の発生根拠
- 出入国管理及び難民認定法 第41条収容期間、検査が反復されうる期間の枠
- 出入国管理及び難民認定法 第52条退去強制令書の執行に伴う収容
- 出入国管理及び難民認定法 第54条仮放免、収容状態からの離脱手続
- 刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律 第34条刑事施設における同趣旨の識別身体検査
- 国家賠償法 第1条限度を超えた検査に対する賠償責任
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める