出入国管理及び難民認定法 第55条の77(法務大臣に対する苦情の申出)
クイックジャンプ
- 被収容者は、自己に対する入国者収容所長等の措置その他自己が受けた処遇について、書面で、法務大臣に対し、苦情の申出をすることができる。
- 2.第五十五条の六十八第二項の規定は、前項の苦情の申出について準用する。
- 3.法務大臣は、第一項の苦情の申出を受けたときは、これを誠実に処理し、処理の結果を当該苦情の申出をした者に通知しなければならない。ただし、その者が出所したときは、この限りでない。
この条文の基本情報
法務大臣に対する苦情の申出とは何ですか?
定義法務大臣に対する苦情の申出とは、出入国管理及び難民認定法第55条の77に定められた規定で、「被収容者は、自己に対する入国者収容所長等の措置その他自己が受けた処遇について、書面で、法務大臣に対し、苦情の申出をすることができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第55条の77(法務大臣に対する苦情の申出)は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の77の条文原文は「被収容者は、自己に対する入国者収容所長等の措置その他自己が受けた処遇について、書面で、法務大臣に対し、苦情の申出をすることができる。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の77は第七節 不服申立てに置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の77の前の条は出入国管理及び難民認定法第55条の76です。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の77の次の条は出入国管理及び難民認定法第55条の78です。
- 出入国管理及び難民認定法第55条の77には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第55条の77 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第55条の77(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/55_77
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点出入国管理及び難民認定法55条の77は、被収容者が自己の処遇について書面で法務大臣に苦情を申し出られると定める。大臣は誠実に処理し結果を通知するが、出所後は通知不要。
Q · 入管の収容施設でひどい扱いを受けたら、どこに苦情を出せばいいの?
法務大臣に書面で直接出せる。出所後は通知されない
出入国管理及び難民認定法55条の77により、被収容者は所長等の措置に限らず、自分が受けた処遇全般について、書面で法務大臣に苦情を申し出ることができます。法務大臣は申出を誠実に処理し、結果を本人に通知する義務を負います(同条3項)。ただし申出人が仮放免や送還などで出所した場合、この通知義務はなくなります。出所が見込まれるときは、申出書の控えを弁護士や支援者に預け、記録を外部に残しておくことが重要です。
解説
入管の収容施設の中で不当な扱いを受けたとき、抗議する相手は目の前の職員でも施設長でもない。本条が用意しているのは、法務大臣に宛てて書面を出すという、現場を飛び越える回路である。対象は懲罰や身体の検査のような個別の「措置」に限られず、「自己が受けた処遇」全般に及ぶ。食事、医療の取次ぎ、面会の扱い、職員の言動、そのどれでも書ける。しかも法務大臣の側には、誠実に処理し、結果を本人に通知する法的義務がある(第3項)。返事を出すか出さないかは裁量の問題ではない。ただし第3項ただし書が牙を隠している。申出人が出所すれば、通知義務は消える。仮放免も送還も「出所」だ。苦情を出した人が施設から消えた瞬間、その件は宙に浮く。支援する側に回るなら、出所見込みの日と申出の日の距離を先に計算しなければならない。
法的な位置づけ
出入国管理及び難民認定法第55条の77は、入管収容施設の被収容者が、入国者収容所長等の措置その他自己が受けた処遇について、書面により法務大臣に苦情を申し出ることができる旨を定める規定である。法務大臣は申出を誠実に処理し、処理の結果を申出人に通知する義務を負うが、申出人が出所した場合は当該通知義務を負わない。
手順
- 1.出来事を時系列で記録する 処遇の問題が起きた日付・時刻、関与した職員、求めた内容、返ってきた答えを順番に書き出す。医療の遅れのように日付が重要な案件ほど、正確さが効く
- 2.まず現場に要求を出し、その応答を記録する 医療の取次ぎや処遇の改善をまず現場の職員に求め、誰が何と答えたかを記録する。苦情書面が抽象的な不満ではなく、応答拒否の記録になる
- 3.法務大臣宛ての苦情申出書を作る 宛先を法務大臣とし、出入国管理及び難民認定法55条の77に基づく苦情の申出であること、事実の経過、求める是正内容を書面にまとめる。方式は同法55条の68第2項が準用されるため、現行条文を確認する。日本語の要約を添えると処理が早くなる
- 4.控えを外部に預け、出所に備える 申出書の写しを弁護士や支援団体、家族に渡しておく。出所すると通知義務は消えるため、外部に記録を残しておけば、後の国家賠償請求や第三者機関への申立てに使える
よくある質問 AI による整理
Q1入管 収容 苦情 どこに言う?
宛先は法務大臣です。入管法55条の77により、被収容者は現場の職員や施設長を通さず、書面で法務大臣に直接苦情を申し出ることができます。
Q2入管の苦情の申出とは何ですか?
収容中に受けた措置や処遇について、被収容者本人が書面で法務大臣に是正を求める制度です。対象は懲罰などの措置に限らず、処遇全般に及びます。
Q3苦情の申出は口頭でもできますか?
できません。本条1項は「書面で」と定めています。日付・関与した職員・求めた内容・返答を時系列で書いた書面にすると、処理が進みやすくなります。
Q4仮放免されたら苦情の結果は届きますか?
届かない可能性があります。本条3項ただし書により、申出人が出所すると法務大臣の通知義務はなくなります。仮放免や送還も出所にあたります。
Q5入管への苦情の申出はいつまでにできますか?
本条には申出期間の定めがありません。ただし出所すると結果の通知義務が消えるため、実質的な期限は出所予定日と考えて早めに出すのが安全です。
Q6苦情を出せば入管の処分は取り消されますか?
本条の苦情の申出に措置を取り消す効力はありません。法務大臣に課されているのは誠実に処理し結果を通知する義務です。措置そのものを争うには別の手続が必要です。
Q7法務大臣は必ず苦情に返事をしますか?
申出人が収容中であれば、法務大臣には処理と結果通知の法的義務があります(本条3項)。返事をするかどうかは裁量の問題ではありません。
Q8入管での違法な処遇は賠償請求できますか?
国家賠償法1条に基づいて請求できる可能性があります。消滅時効は損害と加害者を知った時から3年です。苦情申出書の控えが証拠として役立ちます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1苦情を出したことが職員にバレて、仕返しされませんか?
本条の申出の方式には第55条の68第2項が準用され、申出書の取扱いについて現場を素通りさせる仕組みが置かれている(具体的な取扱いは同項の現行条文を確認してほしい)。加えて法務大臣には誠実処理義務と結果通知義務がある(第3項)。実務のポイント:実務で効くのは、申出の写しを外部の支援者や弁護士に預けておくこと。外に控えがある案件は、処理の温度が明らかに変わる
Q2弁護士を頼むお金がありません。それでも出せますか?
出せる。本条が求めているのは書面であることだけで、代理人も費用も要件になっていない。ただし読み手に伝わらなければ処理は遅れるので、日本語の要約を添えるのが実務的だ。実務のポイント:日本弁護士連合会や各地の弁護士会には収容・難民分野の相談窓口があり、面会に出向く弁護士がいる。費用を心配する前に、まず面会の予約を取り付ける
Q3家族の私が、本人の代わりに苦情を出せますか?
本条が申出人としているのは「被収容者」本人である。家族が自分名義で同じ書面を送っても本条の申出にはならない。家族の役割は、面会と差入れで本人に書面を作らせること、そして支援団体や国会議員への陳情という別ルートを同時に走らせることだ。実務のポイント:本人の申出と外部からの照会が同時に動いている案件は、施設側の対応速度が目に見えて変わる。一本ではなく二本、同時に走らせる
間違えやすい点 AI による整理
- 「入管に苦情を言っても無駄だから、どこに言えばいいのか」という問いの立て方自体がずれている。本条の宛先は施設長でも出入国在留管理庁でもなく法務大臣であり、処理と通知は裁量ではなく義務として条文に書かれている。無駄かどうかを論じる段階ではなく、義務を履行させる記録をどう残すかが実際の争点である
- 第3項ただし書は多くの人が読み飛ばす。本当に深刻なのは、仮放免という本人にとって最良の出来事が、同時に苦情処理の通知を止める事由にもなるという点だ。救われた瞬間に訴えが宙に浮く構造になっている。知っている人は、出所が見えた時点で書面の目的を「回答をもらうこと」から「外部に記録を残すこと」へ切り替える
- 苦情の申出と審査の申請を同じものだと思っている人が多いが、別の制度である。審査の申請は特定の措置を対象とした不服申立てで、手続も形式も厳格。苦情の申出は「処遇」全般という広い対象を持つ代わりに、措置そのものを取り消す効力までは与えられていない。どちらの箱に入れるかで、返ってくるものが変わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象 | 入管法55条の77:所長等の措置その他自己が受けた処遇全般 | 審査の申請(入管法上の不服申立て):特定の措置 刑事収容施設法166条:刑事施設の被収容者が受けた処遇 |
| 申出人 | 入管収容施設の被収容者本人 | 当該措置を受けた被収容者 刑事施設の被収容者 |
| 効果 | 法務大臣の誠実処理義務と結果通知義務。措置を取り消す効力はない | 措置の当否について審査を受ける。手続と形式は厳格 法務大臣への苦情申出。入管の制度と同じ型 |
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾は暫予收容に対する司法審査(收容異議)を中心に制度を組んでいる。日本のように大臣宛ての苦情申出を法律で義務化しているかは、個別の規則で確認が必要
韓国は保護外国人が処遇に不服がある場合、法務部長官または保護施設の長に請願できる。宛先が二つある点が日本と異なる
ドイツは送還のための拘禁の執行条件を連邦法で定め、苦情手続の具体化は州の執行法に委ねられている
フランスは行政収容センターを含む自由剥奪施設を独立機関 CGLPL が監督し、被収容者本人のほか第三者からの申立ても受け付ける
米国は法律ではなく ICE の収容基準で施設内の苦情手続を定めている。拘束力と実効性は施設の運営形態によって差がある
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 持病の薬を三日渡してもらえなかったら、誰に言えばいいのか? 現場の職員に言っても「申請中だ」で止まる。本条なら、その職員の頭越しに法務大臣宛ての書面を出せる。医療の遅れは日付が命なので、書面には「何月何日に何を求め、誰が何と答えたか」を時系列で並べる。感情の訴えではなく、応答の記録として書いた書面ほど処理側は動かしにくくなる
- 支援団体のボランティアとして面会に行き、収容されている人から「来週、送還されるらしい」と聞いた。苦情を出しても、出所した瞬間に通知義務は消える(第3項ただし書)。残り時間は数日しかない。それでも出す意味があるのは、申出をした事実と内容が記録として残り、後日の国家賠償請求や第三者機関への申立てで使えるからだ
- 職員の側から見れば話は逆向きになる。自分の言動が大臣宛ての書面に名指しで書かれ、本省が処理し、その結果が本人に通知される。現場の裁量では握り潰せない回路があること自体が、日々の接し方を静かに変える。
- 面会に来た家族が、本人の顔にあざを見つけた。ここで家族が自分の名前で書面を送っても本条の申出にはならない。本条が申出人としているのは「被収容者」本人だからだ。家族にできるのは、本人が書面を書けるよう面会と差入れで支えること、そして弁護士や支援団体という別ルートを同時に動かすこと。誰が申出人になれるかを取り違えると、貴重な一週間が空転する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 出来事を日付・時刻・関与した職員・求めた内容・返答の順で時系列に固める2. まず現場に要求を出し、その応答自体を記録として確保する3. 法務大臣宛ての書面を作り、本条に基づく苦情の申出であることと求める是正を明記する(方式は第55条の68第2項が準用される) 4. 出所の見込みがあるなら同内容の控えを支援者や弁護士に渡し、通知が止まっても外部に記録が残る形にしておく
訴えられた側:1. 申出書が本省へ届く前提で、当該時点の勤務記録・面談記録・医療の取次記録を直ちに保全する2. 事後に作成した説明文書は信用されにくい、記録は当日中に残す3. 是正可能な内容であれば、処理結果の通知を待たず現場で改善しておく。改善済みという事実は、後の国家賠償訴訟における過失評価とその後の運用監査の双方に効く4. 申出をした者への不利益な取扱いは、それ自体が次の申出と訴訟の火種になる
時効(請求できる期限):本条には申出期間の定めが置かれていない。実質的な期限は出所日であり、出所すると処理結果の通知義務が消える(第3項ただし書)。処遇の違法を金銭で争う国家賠償請求は、損害および加害者を知った時から3年、行為時から20年(国家賠償法4条、民法724条)。最新の改正状況をご確認ください
改正沿革 AI による整理
- 令和5年(2023年)改正、令和6年(2024年)施行 入管収容施設の被収容者処遇に関する規定群を法律本体に取り込む改正の一環として新設された条文。従来は省令レベルの運用に委ねられていた苦情処理を、法務大臣への申出権と誠実処理・結果通知義務という形で法定化した
改正の年表
- 1.令和5年(2023年) 新設:入管収容施設の被収容者処遇に関する規定を法律本体に取り込んだ改正の一環として新設。法務大臣への苦情申出権と、誠実処理・結果通知の義務を法律で定めた(施行は令和6年(2024年))
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める