受講中の講座ブックマーク無料で登録

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 最終改正 収録時点 令和8年10月2日読了 7 分7 分7 分

自衛隊法 第90条

クイックジャンプ
  1. 第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官は、前条の規定により武器を使用する場合のほか、次の各号の一に該当すると認める相当の理由があるときは、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
  2. 一職務上警護する人、施設又は物件が暴行又は侵害を受け、又は受けようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを排除する適当な手段がない場合
  3. 二多衆集合して暴行若しくは脅迫をし、又は暴行若しくは脅迫をしようとする明白な危険があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合
  4. 三前号に掲げる場合のほか、小銃、機関銃(機関けん銃を含む。)、砲、化学兵器、生物兵器その他その殺傷力がこれらに類する武器を所持し、又は所持していると疑うに足りる相当の理由のある者が暴行又は脅迫をし又はする高い蓋然性があり、武器を使用するほか、他にこれを鎮圧し、又は防止する適当な手段がない場合
  5. 2.前条第二項の規定は、前項の場合について準用する。

この条文の基本情報

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 自衛隊法第90条は、日本の自衛隊法に含まれる条文です。
  2. 自衛隊法第90条の条文原文は「第七十八条第一項又は第八十一条第二項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の自衛官は、前条の規定により武器を使用する場合のほか、次の各号の一に該当すると認める相当の…」で始まります。
  3. 自衛隊法第90条は第七章 自衛隊の権限に置かれています。
  4. 自衛隊法の公布日は昭和29年6月9日です。
  5. 自衛隊法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
  6. 自衛隊法第90条の前の条は自衛隊法第89条です。
  7. 自衛隊法第90条の次の条は自衛隊法第91条です。
  8. 自衛隊法第90条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第90条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000165
  • 本サイト収録自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第90条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000165/90

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点自衛隊法90条は、治安出動した自衛官が警護対象への侵害、多衆の暴行・脅迫、重火器所持者の暴行の三場面で、他に手段がない場合に合理的限度で武器使用できると定める。

Q · 治安出動した自衛隊は、どんなときに武器を使えるの?

三つの場面で、他に手段がないときに合理的限度で使える

自衛隊法90条1項により、治安出動を命じられた自衛官は、89条による警察官職務執行法準用の武器使用に加え、①警護する人・施設・物件への侵害、②多衆集合による暴行・脅迫、③小銃・機関銃・化学兵器などを所持する者の暴行・脅迫、の三場面で武器を使用できます。いずれも「他に適当な手段がない」ことが要件で、使用は事態に応じ合理的に必要な限度に限られます。正当防衛・緊急避難を除き、部隊指揮官の命令が必要です(2項による89条2項の準用)。

解説

戦後、一度も発令されたことのない命令がある。自衛隊の治安出動だ。1960年の安保闘争の際に検討されたが、見送られたとされる。本条は、その「使われていない命令」が下ったときに、自衛官がどこまで武器を使えるかを定めている。押さえるべき点は三つある。第一に、前条(89条)で警察官職務執行法の武器使用ルールが準用され、本条はそれに上乗せする。上乗せが認められるのは、警護している人・施設への侵害、集団による暴行・脅迫、小銃や化学兵器などを持つ武装集団の三つの場面に限られる。第二に、どの場面でも「武器を使用するほか、他に適当な手段がない」ことと「事態に応じ合理的に必要と判断される限度」という二重の歯止めがかかる。第三に、正当防衛・緊急避難(刑法36条・37条)に当たる場合を除き、武器使用には部隊指揮官の命令が要る(2項による89条2項の準用)。隊員一人ひとりが、群衆に銃口を向けるかどうかを独断で決める仕組みにはなっていない。

法的な位置づけ

自衛隊法90条は、治安出動時の自衛官の武器使用権限を定める規定であり、89条による警察官職務執行法7条準用の武器使用に加えて、警護対象への侵害排除、多衆による暴行・脅迫の鎮圧・防止、重火器等所持者による暴行・脅迫の鎮圧・防止の三場面について、他に適当な手段がなく、事態に応じ合理的に必要と判断される限度での武器使用を認める。

よくある質問 AI による整理

Q1治安出動とは何ですか?

一般の警察力では治安を維持できない場合に、内閣総理大臣の命令で自衛隊が出動する制度です。命令による出動(78条)と知事の要請による出動(81条)があります。

Q2治安出動は誰が命じるのですか?

内閣総理大臣です。78条では総理が自ら判断して命じ、81条では都道府県知事が公安委員会と協議のうえ要請し、総理が必要と認めて命じます。

Q3自衛隊法89条と90条の違いは?

89条は警察官職務執行法7条を準用する基本の武器使用、90条はそれに上乗せして三つの場面で追加の武器使用を認める規定です。

Q4治安出動の国会承認はいつまでに必要?

78条による命令出動の場合、出動を命じた日から20日以内に国会に付議して承認を求める必要があります(78条2項)。不承認なら撤収となります。

Q5災害派遣の自衛官は90条で武器を使える?

使えません。90条の対象は78条1項または81条2項で出動を命じられた自衛官に限られ、83条の災害派遣は含まれません。

Q6自衛官が武器を使うのに指揮官の命令は必要?

原則必要です。90条2項が89条2項を準用し、刑法36条・37条の正当防衛・緊急避難に当たる場合を除き、部隊指揮官の命令によるとされています。

Q7治安出動で被害を受けたら賠償請求できる?

国家賠償法1条により国に請求するのが原則です。争点は三場面への該当性と「合理的に必要と判断される限度」を超えたかどうかになります。

Q8自衛隊法90条3号はテロにも使われる?

3号は化学兵器・生物兵器・機関銃などを所持する者の暴行・脅迫を対象としており、治安出動下では武装テロ集団への対処も射程に入ります。

この条文についての質問 AI による整理

Q1治安出動って、今まで実際にあったんですか?

一度も発令されていない。1960年の安保闘争の際に検討されたが、見送られたとされる。そのため、本条の武器使用規定が実際の現場で解釈された例はない。実務のポイント:実例がないからこそ、運用の中身は部隊行動基準や、防衛省と国家公安委員会の間で結ばれた治安出動に関する協定に委ねられている。条文を読むだけでは現場の線引きは見えない

Q2つまり自衛官は、警察官より撃ちやすいってことですか?

一部の場面ではそう言える。89条で警察官職務執行法7条が準用され、そのうえで本条が三つの場面について上乗せを認めている。ただし「他に適当な手段がない」「合理的に必要な限度」という比例原則は同じように働く。実務のポイント:警職法7条は、人に危害を与えてよい場合を限定して列挙している。本条にはその形の限定がなく、危害を伴う使用がどこまで許されるかは比例原則の解釈次第である。実務上、解釈が分かれうる論点である

Q3平和的なデモに行くだけでも、対象になっちゃいますか?

ならない。2号は、多衆集合して「暴行若しくは脅迫」をすること、またはその明白な危険があることを要件にしている。集会そのものは憲法21条で保障されている。実務のポイント:危ないのは、群衆の一部が暴徒化した瞬間である。本条の判断は、暴行・脅迫を鎮圧・防止する手段が必要かどうかで行われ、周囲にいる平穏な参加者を区別してくれる保証はない。空気が変わったときにすぐ離れることが、最大の自衛策になる

間違えやすい点 AI による整理

  • 「自衛隊が出てくれば、軍隊として戦える」という前提自体がずれている。治安出動は防衛出動(76条)とは別の制度で、防衛出動時の武力行使(88条)の権限はない。使えるのは警察比例の原則を土台にした武器使用だけで、向き合う相手は「敵」ではなく、国内法で守られた市民である
  • 「最後は自衛官の判断で撃てる」と思われがちだが、その判断を誰が下すのかまでは意外と知られていない。刑法36条・37条に当たる場合を除き、部隊指揮官の命令が要る(2項による89条2項の準用)。誤射が起きた場合、責任を問われるのは引き金を引いた隊員だけではなく、命令系統にも及びうる
  • ニュースでは「銃を向けたかどうか」が争点に見える。しかし法律上の争点は「他に適当な手段があったか」である。放水、盾、警告で足りた場面で武器を使えば、結果として誰も負傷していなくても本条の要件から外れる。見た目の穏当さと法的な適否のずれが、後の検証で決定的な差になる
比較の観点この条文ほかの条文
武器使用の根拠自衛隊法90条:治安出動時の上乗せ武器使用(三場面限定)自衛隊法89条:警察官職務執行法7条の準用
自衛隊法88条:防衛出動時の武力行使
向き合う相手警護対象への侵害者、暴行・脅迫をする群衆、重火器等所持者犯人の逮捕・逃走防止、自己・他人の防護が問題となる相手
わが国に対する武力攻撃を行う外部の相手
歯止め他に適当な手段がないこと+事態に応じ合理的に必要な限度事態に応じ合理的に必要な限度、人への危害は限定された場合のみ
国際の法規・慣例の遵守、事態に応じ合理的に必要な限度
判断権者正当防衛・緊急避難を除き部隊指揮官の命令(2項で89条2項準用)正当防衛・緊急避難を除き部隊指揮官の命令(89条2項)
内閣総理大臣の防衛出動命令の下での部隊行動

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
陸海空軍軍人使用武器條例・警械使用條例

台湾では軍人と警察官それぞれについて武器使用の要件を個別の条例で定めており、比例原則による限定という発想は日本と共通する

韓国
계엄법・통합방위법

韓国は戒厳制度と統合防衛法の枠組みで軍の国内投入を規律する。戒厳制度を持たない日本とは制度設計が大きく異なる

ドイツ
Grundgesetz Art. 87a Abs. 4

ドイツは基本法で連邦軍の国内投入を、組織的・軍事的に武装した反乱者への対処などに限定し、憲法レベルで厳格な枠をはめている

アメリカ
Insurrection Act / Posse Comitatus Act

米国は原則として連邦軍の国内法執行を禁じ(Posse Comitatus Act)、反乱鎮圧法による大統領の発動を例外とする構造をとる

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • もし大地震の混乱に乗じて暴動が広がり、警察では抑えきれないと判断されたら、どうなるのか。内閣総理大臣が78条で治安出動を命じれば、本条の三つの場面に限って武器使用が上乗せされる。ただし、災害派遣(83条)で来ている自衛官には本条の武器使用権限はない。同じ迷彩服でも、命令の根拠が違えば持てる権限はまったく違う
  • あなたは治安出動した部隊の指揮官である。目の前の群衆が投石を始め、隊員が「使いますか」と指示を待っている。正当防衛・緊急避難に当たる場合を除けば、武器を使うかどうかはあなたの命令で決まる(2項、89条2項)。放水や盾、警告で足りるなら「他に適当な手段がない」という要件は満たされない。一言の命令が、後の国会質疑と訴訟の中心になる
  • デモに参加しただけで撃たれることはあるのか。平穏な集会なら、答えは否である。2号は「暴行若しくは脅迫」か、その明白な危険を要件にしている。
  • 知事の要請(81条)を受けて治安出動が決まり、市街地で小銃を持つグループが目撃されたとの一報が入る。3号は「所持していると疑うに足りる相当の理由」があれば適用されうる。残された時間は数時間しかない。その間に誤認が一件でも起きれば、何年も続く国家賠償訴訟の火種になる
  • 内閣総理大臣が治安出動を命じたら、命じた日から20日以内に国会に付議し、承認を求めなければならない(78条2項)。不承認なら撤収である。本条の武器使用権限は、この命令が生きている間しか使えない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 治安出動の現場で負傷したり財産に被害を受けたりしたら、診断書、現場写真・動画、時刻、部隊の標識、警告の有無をその日のうちに記録する2. 請求の相手は隊員個人ではなく国とし、国家賠償法1条で請求するのが原則である(判例上、公務員個人の責任は否定される傾向) 3. 争点は、三つの場面への該当性と「合理的に必要な限度」である。情報公開請求で部隊の行動記録の開示を求める4. 弁護士会の人権擁護委員会への申立ても並行して検討する

訴えられた側:自衛官の立場で武器使用を問われた場合:誰の命令か、どの号に当たると判断したか、他の手段を検討したかを速やかに記録し、法令による行為(刑法35条)であることの裏付けにする。群衆側として疑われた場合:平穏な集会参加にとどまっていたことを示す映像や同行者の証言を確保し、取調べの前に弁護人を呼ぶ

時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。武器使用による被害の国家賠償請求には国家賠償法4条により民法が適用され、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年、民法724条の2)、不法行為の時から20年(民法724条)で請求できなくなる。また、治安出動の命令は、命じた日から20日以内に国会に付議し承認を求めなければならない(自衛隊法78条2項)

学説

通説(警察作用説):治安出動時の武器使用は、防衛出動時の武力行使とは異なり警察作用の一環であり、警察比例の原則に服する。本条は警職法7条を基礎に、場面を限定して上乗せを認めたものと理解される。

改正沿革 AI による整理

  • 平成13年(2001年)改正(要確認) 小銃・機関銃・化学兵器・生物兵器などを所持する者への武器使用を定める第1項第3号が追加されたとされる。改正年と経緯は人手による確認が必要

改正の年表

  1. 1.昭和29年(1954年) 新設:自衛隊法の制定により、治安出動を命じられた自衛官の武器使用に関する規定が置かれた

ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。

自衛隊法の全文を見る所属する編章節を開く:第七章 自衛隊の権限

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

次に調べる

判例を探す:条文単位の判例の紐づけは準備中です。上のカードから法令名で検索できます。裁判所「裁判例検索」で探す ›