要点特許法 105 条の 2 は、侵害訴訟で証拠が相手方の支配領域に偏在する場合に、裁判所が中立の査証人に立入調査を命じて証拠を収集させる査証制度を定める。四要件を満たす必要がある。
Q · 相手の工場の中に特許侵害の証拠があるのに、外から確認できません。どうすればいい?
査証制度で中立の専門家が相手工場に立ち入れます
特許法 105 条の 2 の査証制度により、証拠が相手方の工場・装置・書類・サーバ内に偏在して自ら収集できない場合、裁判所が中立の査証人を指名し、立入り・確認・作動・計測・実験をさせて証拠を収集させることができます。ただし発令には、侵害を疑う相当な理由・必要性・補充性・相当性の四要件を満たし、相手方の意見を聴くことが必要です。日本版の限定的ディスカバリーと呼ばれますが、2020 年の導入後の発令例は極めて少数です。
自社が特許を取った製造方法を、ライバル企業がこっそり真似している。確信はある。だが相手の工場の中で実際にどう作っているかを、あなたは見ることができない。製造方法の特許侵害は、決定的な証拠が全部相手の建物の中に隠れているからだ。2020 年 9 月までの日本では、この壁の前で多くの特許権者が泣き寝入りしてきた。105 条の 2 が変えたのはここだ。裁判所が中立の技術専門家(査証人)を指名し、相手が所持・管理する工場や書類、装置に立ち入って確認・作動・計測・実験をさせ、その結果を報告させる。日本版の限定的なディスカバリーと呼ばれる仕組みだ。ただし扉は簡単には開かない。侵害を疑う相当な理由、立証のための必要性、自分や他の手段では集められないこと(補充性)、相手の負担が不相当でないこと(相当性)、この四つをすべて満たし、さらに相手方の意見を聴いた上で、裁判所が初めて命じる。
査証とは、特許権又は専用実施権の侵害訴訟において、立証されるべき事実の有無を判断するため、裁判所が指名した中立の査証人が、相手方の所持・管理する書類又は装置その他の物に対し、確認・作動・計測・実験その他の措置をとって証拠を収集する制度をいう。特許法 105 条の 2 が定め、四要件と相手方の意見聴取を発令の前提とする。
AI 輔助整理,以條文原文為準
侵害訴訟で証拠が相手方の工場や装置に偏在する場合、裁判所が中立の査証人に立入り・確認・計測・実験をさせて証拠を収集させる制度です。2020 年 10 月施行の特許法 105 条の 2 が根拠です。
侵害を疑う相当な理由・証拠収集の必要性・自らや他の手段では収集できない補充性・相手方の負担が不相当でない相当性の四つです。すべて満たし、かつ相手方の意見を聴いて初めて発令されます。
決定の告知を受けた日から一週間の不変期間内です(民訴 332 条)。この期間を過ぎると確定し、査証を止められなくなります。
証拠保全(民訴 234 条)は証拠の散逸防止が目的で対象も限定的です。査証は侵害立証のため中立の技術専門家が相手の支配領域に踏み込む点で射程が広く、特許侵害訴訟に特化しています。
対象になり得ます。サーバ内部で動く処理手順やソースコード、動作ログは外部から確認できないため、査証人が立ち入って計測・確認することが制度の射程に含まれます。
相当な理由となる事由、対象書類等の特定事項と所在地、立証事実と査証で得る証拠の関係、自ら又は他の手段で収集できない理由などを記載します(105 条の 2 第 2 項)。
発令後に、要する時間や相手方の負担が不相当となる等の事情により査証が相当でないと認められれば、裁判所は命令を取り消せます(同条第 3 項)。
製法は最終製品を分析しても再現できず、決定的な証拠が相手の工場や生産ラインの中に隠れているためです。査証はこの立証の非対称を埋めるために設けられました。
いいえ、はるかに狭い制度です。米国の広範な証拠開示と違い、査証は四要件(相当な理由・必要性・補充性・相当性)を満たした場合に、裁判所が指名した中立の査証人が対象を限定して立ち入るだけです(105 条の 2 第 1 項)。業界裏話ヒント:2020 年の導入後、実際に発令された件数は極端に少なく、現場では「使えるが、ほとんど使われていない制度」と評価されています。査証を当てにした強気の戦略は、要件の壁で空振りしやすい点に注意が必要です
命令前に「相手方の意見を聴く」手続があり(105 条の 2 第 1 項)、対象の特定不足・補充性の欠如・負担の不相当を主張して阻止や範囲限定を狙えます。命令後も決定告知から一週間以内なら即時抗告できます(同条第 4 項)。業界裏話ヒント:裁判所は時間や負担が不相当だと判断すれば、ただし書で命令を拒めます。事後に事情が変われば取消し(第 3 項)も可能。「申し立てられたら終わり」ではなく、防御の入口が複数用意されている制度です
申立人やその代理人ではなく、裁判所が指名する中立の技術専門家(弁理士など)です(105 条の 2 の 2)。当事者の一方に偏った人物が選ばれそうな場合は、忌避を申し立てられます(105 条の 2 の 3)。業界裏話ヒント:査証人が現場で見た営業秘密は報告書に書かれますが、相手方は非開示部分を求める仕組みがあり(105 条の 2 の 5、6)、申立人がすべてを閲覧できるわけではありません。中立性と秘密保護の二重の歯止めが制度設計に組み込まれています
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|---|---|---|
| 証拠収集の担い手 | 105 条の 2(査証):裁判所が指名した中立の査証人が立入り | — |
| 対象範囲 | 書類等(書類・装置その他の物)への確認・作動・計測・実験 | — |
| 発令要件 | 四要件(相当な理由・必要性・補充性・相当性)+意見聴取 | — |
| 不服申立て | 即時抗告(告知から一週間)+事情変更による取消(第 3 項) | — |
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